VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ユウ

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◇117 経験値を稼げ!

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 その日、突如として運営からお知らせもなく新しいモンスターが追加された。
 ダンジョンも追加され、アイテムも増えた。
 そのことに気が付く者は、まだ誰もいない。

「社長、これでよろしいですか?」
「はい。この変化がプレイヤーの皆さんにどんな結果をもたらしてくれるのか、非常に楽しみです」

 彼女は部下とともに期待していた。
 薄暗い部屋の中、パソコンのディスプレイだけが青く光る。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 ギルドホームの中で、5人は久々に集まっていた。
 ここ最近はNightも用事があったのかログインできていない。
 そのため、アキラとフェルノの2人に、たまに雷斬が加わる超前衛思考なパーティーが組みあがっていた。

「ヤバかったよね。前衛しかいないパーティーって」
「確かに大変でしたね。おかげでレベルは上がりましたが」
「そうだよ! ついに私がレベル25だよ!」
「25なのね。私の方がちょっと上かな」

 ベルが対抗心を燃やした。
 実際レベルは28とやや上。しかし団栗の背比べとでも思ったのだろうが、Nightは紅茶を一口飲み……

「レベルなんて関係ないだろう」
「「それは言わないで!」」
「被らすな被らすな。話し方の違う2人がハモると聞き取りにくい」
「エコー掛かっちゃうもんね」

 確かに2人の声はよく聞こえなかった。
 アキラはストレートティーを飲みながら温まる。
 まだ寒くはないけど、その内寒くなるだろう。

「そんなお前たち2人にいい知らせがある」
「いい知らせってなにー?」
「また無茶はごめんよ」
「違う。今回は経験値稼ぎだ」

 珍しい。珍しすぎて何も口に出せないアキラは、黙ってNightの話を聞く体勢に入った。
 するとNightは違和感を覚え、チラチラと視線を送り付ける。何か言えってことだろう。
 でもその意図に気が付かないアキラはNightが話し出すのを待つ。

「いいか、今回はメタル系だ」
「メタル系? それってこの間のと同じだよね」

 メタル系。ゲームだと超超超おなじみの経験値荒稼ぎモンスターだ。
 通常のモンスターが落とす経験値とは比べ物にならない経験値を落としてくれる、ゲームだとおなじみの存在だ。
 当然この世界にもいるが、1つだけ欠点もある。
 この世界だとそんなに意味がないことだ。プレイヤーの勝敗を分けるのは皮の部分ではなく、中身の方にある。スタータスはおまけのようなもので、貢献度も低い。ステータス格差やレベル差なんかも覆せるのが、このゲームのポイントの1つでガッツリプレイヤースキルとスキル選択に依存する。固有スキルは変えられないので、完全ガチャ仕様で文句は誰も言えないが、底が魅力の1つでもあるのは確か。
 とは言え、レアモンスターであるはずのメタル系もあまり当てにならない。

「メタル系は珍しいのですか?」
「いいや、そこまでだ。そしてしょっぱい」
「しょっぱいんかい!」

 今一番上げちゃいけないものを出した。
 確かにステータスが上がると微々たる差だが貢献してくれる。基本的にステータスの上り幅は経験。経験値ではなく経験だ。つまり経験の早い襲い、自分への貢献度に応じて決まった経験値は出現しない。それがこの世界のこのゲームの経験値問題だ。

「この世界におけるメタル系は、厄介度が高いことになる」
「厄介度……確かに面倒だよね」
「面倒度とも言うが、メタル系は討伐が極めて厄介かつ時間がかかる。要は非効率モンスターで、誰も好きに戦いたくない。この世界における経験値問題もあるが旨味が少ないんだ」
「でもアイテムは美味しいよ。それだったらいいんじゃないの?」
「誰が使うんだ」
「あっ……」

 論破されてしまった。
 確かにレア種とは言え、3日もすれば見つかった。
 でもとりあえずレベル上げはしておいた方がいい。このゲームで遊んでいるうレイヤーは未だにレベル上げ必須だと思っている人も6割以上もいるらしい。
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