112 / 555
◇111 海に行こう!(ゲームの中ですが何か?)
しおりを挟む
夏休みも終盤。
あと1,2週間となりました。
そんな中、明輝のスマホに蒼伊からメッセージが入る。
「蒼伊から? 何だろ」
スマホを開き、メッセージを読んでみるとそこには蒼伊からの意外な提案でした。
「『海に行くぞ。明日、ギルドホームに集合だ』えっ?」
珍しい。明輝は口を開けっ放しにした。
まさかこのタイミングで要望が叶うなんて。明輝や烈火は、ずっと何処かに遊びに行きたいと思っていた。
雷斬とベルは何処に住んでいるのかわからないので、誘うに誘えないのだが蒼伊の家は知っている。郊外の大きなお屋敷だ。ここからだと結構遠い。
「でもどうしてゲームの中なのかな? 絶対裏があるよね」
蒼伊の性格的に、裏があるのは確実だ。
きっと明輝の想像とは全くの逆。実際問題、蒼伊に行ってもインドアなせいで遊んでくれるかわからない。
そこで首を捻るが、とりあえず楽しみにはしておく。
ここ最近はバトルバトルで疲れちゃったからね、と明輝は笑って疲れを誤魔化した。
アキラたちは集まっていた。
ギルドホームを飛び出して向かった先は、白い砂浜で覆われた青い海だった。
もちろん島とは違う。ここはれっきとした『Creature Union』の世界だ。
「凄い、綺麗な海に砂浜だね」
「うん。現実じゃないけどね」
「あはは、それ言ったらお終いだよ」
アキラとフェルノは少しだけ残念だった。
一方のNightは至って変わらない表情だが、素肌を見せたくないのかいつもよりもマントを深く羽織っている。もう簀巻きだよ。アキラは格好を見て思った。
「確かに綺麗な場所だけど、どうして人が誰もいないのかしらね」
「確かにそうですね。この場所は近づいてはいけない場所なのでしょうか?」
「それってこの間のキングヤドカリーの時みたいだよ」
あの時は散々な目に遭った。
終わった後は笑い話だったが、フェルノとNightは汗を掻いていた。
だけどここは違うと信じたい。信じたいのはやまやまなのだが、アキラは唇を歪めた。
「Night、ここにはモンスターがいないんだよね。安全なんだよね」
「はぁ?」
Nightは武装していた。もちろんアキラたちも武装している。
格好には似合わないが、いつでも戦えるように準備していた。
この格好を指定したのはNightで、最初から嫌な予感がしていた。
「馬鹿か。ここはモンスターがいる海域だ」
「で、ですよねー」
大体予想通りだった。
しかしいつも以上にあっさりとしていて、しかもNightは何か怒っているようだ。
試しに地雷だと思うも聞いてみた。
「ねえNight。何かあったの?」
「何もない。何もなければよかったのだが……」
「どっちなのさー」
フェルノは関係なく煽った。
するとNightは溜息を吐きつつも、リアルの話を持ち出した。
「この間の旅行の時のことだ。まさかチケットを落とすなんて……」
「落としたの! Nightが……」
「私じゃない、姉さんだ。海外暮らしが長いしでチケット有無を忘れ、テンションが高いせいで私は置いてけぼりになった。兄さんと同じだ」
何だか大変そうだ。
アキラもフェルノも兄弟がいないので話には少しだけ付いて行けなかったが、大変そうなのは本当に伝わった。
何の気の迷いか、アキラに写真を送った。しかし、表情がくたびれていた。
「あはは、散々でしたね」
「全くだ。だから今日は全力で狩るぞ」
つまりイライラの発散に付き合わされていることになる。
なるほど今回アキラたちはおまけなんだと理解した。
それにしては黒いマントの下に隠してあるもの。アキラと雷斬は気が付いていた。
(はしゃいでるね)
(なるほど、どうやら人混みが苦手なだけですね)
マントの下に隠してあったのは浮き輪だった。
背中に回しているので完全に見えないけれど、Nightは楽しみにしていることは明らかになった。
あと1,2週間となりました。
そんな中、明輝のスマホに蒼伊からメッセージが入る。
「蒼伊から? 何だろ」
スマホを開き、メッセージを読んでみるとそこには蒼伊からの意外な提案でした。
「『海に行くぞ。明日、ギルドホームに集合だ』えっ?」
珍しい。明輝は口を開けっ放しにした。
まさかこのタイミングで要望が叶うなんて。明輝や烈火は、ずっと何処かに遊びに行きたいと思っていた。
雷斬とベルは何処に住んでいるのかわからないので、誘うに誘えないのだが蒼伊の家は知っている。郊外の大きなお屋敷だ。ここからだと結構遠い。
「でもどうしてゲームの中なのかな? 絶対裏があるよね」
蒼伊の性格的に、裏があるのは確実だ。
きっと明輝の想像とは全くの逆。実際問題、蒼伊に行ってもインドアなせいで遊んでくれるかわからない。
そこで首を捻るが、とりあえず楽しみにはしておく。
ここ最近はバトルバトルで疲れちゃったからね、と明輝は笑って疲れを誤魔化した。
アキラたちは集まっていた。
ギルドホームを飛び出して向かった先は、白い砂浜で覆われた青い海だった。
もちろん島とは違う。ここはれっきとした『Creature Union』の世界だ。
「凄い、綺麗な海に砂浜だね」
「うん。現実じゃないけどね」
「あはは、それ言ったらお終いだよ」
アキラとフェルノは少しだけ残念だった。
一方のNightは至って変わらない表情だが、素肌を見せたくないのかいつもよりもマントを深く羽織っている。もう簀巻きだよ。アキラは格好を見て思った。
「確かに綺麗な場所だけど、どうして人が誰もいないのかしらね」
「確かにそうですね。この場所は近づいてはいけない場所なのでしょうか?」
「それってこの間のキングヤドカリーの時みたいだよ」
あの時は散々な目に遭った。
終わった後は笑い話だったが、フェルノとNightは汗を掻いていた。
だけどここは違うと信じたい。信じたいのはやまやまなのだが、アキラは唇を歪めた。
「Night、ここにはモンスターがいないんだよね。安全なんだよね」
「はぁ?」
Nightは武装していた。もちろんアキラたちも武装している。
格好には似合わないが、いつでも戦えるように準備していた。
この格好を指定したのはNightで、最初から嫌な予感がしていた。
「馬鹿か。ここはモンスターがいる海域だ」
「で、ですよねー」
大体予想通りだった。
しかしいつも以上にあっさりとしていて、しかもNightは何か怒っているようだ。
試しに地雷だと思うも聞いてみた。
「ねえNight。何かあったの?」
「何もない。何もなければよかったのだが……」
「どっちなのさー」
フェルノは関係なく煽った。
するとNightは溜息を吐きつつも、リアルの話を持ち出した。
「この間の旅行の時のことだ。まさかチケットを落とすなんて……」
「落としたの! Nightが……」
「私じゃない、姉さんだ。海外暮らしが長いしでチケット有無を忘れ、テンションが高いせいで私は置いてけぼりになった。兄さんと同じだ」
何だか大変そうだ。
アキラもフェルノも兄弟がいないので話には少しだけ付いて行けなかったが、大変そうなのは本当に伝わった。
何の気の迷いか、アキラに写真を送った。しかし、表情がくたびれていた。
「あはは、散々でしたね」
「全くだ。だから今日は全力で狩るぞ」
つまりイライラの発散に付き合わされていることになる。
なるほど今回アキラたちはおまけなんだと理解した。
それにしては黒いマントの下に隠してあるもの。アキラと雷斬は気が付いていた。
(はしゃいでるね)
(なるほど、どうやら人混みが苦手なだけですね)
マントの下に隠してあったのは浮き輪だった。
背中に回しているので完全に見えないけれど、Nightは楽しみにしていることは明らかになった。
0
お気に入りに追加
213
あなたにおすすめの小説
モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件
こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。
だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。
好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。
これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。
※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ
ーOnly Life Onlineーで生産職中心に遊んでたらトッププレイヤーの仲間入り
星月 ライド
ファンタジー
親友の勧めで遊び、マイペースに進めていたら何故かトッププレイヤーになっていた!?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注意事項
※主人公リアルチート
暴力・流血表現
VRMMO
一応ファンタジー
もふもふにご注意ください。
VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
VRMMOで神様の使徒、始めました。
一 八重
SF
真崎宵が高校に進学して3ヶ月が経過した頃、彼は自分がクラスメイトから避けられている事に気がついた。その原因に全く心当たりのなかった彼は幼馴染である夏間藍香に恥を忍んで相談する。
「週末に発売される"Continued in Legend"を買うのはどうかしら」
これは幼馴染からクラスメイトとの共通の話題を作るために新作ゲームを勧められたことで、再びゲームの世界へと戻ることになった元動画配信者の青年のお話。
「人間にはクリア不可能になってるって話じゃなかった?」
「彼、クリアしちゃったんですよね……」
あるいは彼に振り回される運営やプレイヤーのお話。
Beyond the soul 最強に挑む者たち
Keitetsu003
SF
西暦2016年。
アノア研究所が発見した新元素『ソウル』が全世界に発表された。
ソウルとは魂を形成する元素であり、謎に包まれていた第六感にも関わる物質であると公表されている。
アノア研究所は魂と第六感の関連性のデータをとる為、あるゲームを開発した。
『アルカナ・ボンヤード』。
ソウルで構成された魂の仮想世界に、人の魂をソウルメイト(アバター)にリンクさせ、ソウルメイトを通して視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、そして第六感を再現を試みたシミュレーションゲームである。
アルカナ・ボンヤードは現存のVR技術をはるかに超えた代物で、次世代のMMORPG、SRMMORPG(Soul Reality Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)として期待されているだけでなく、軍事、医療等の様々な分野でも注目されていた。
しかし、魂の仮想世界にソウルイン(ログイン)するには膨大なデータを処理できる装置と通信施設が必要となるため、一部の大企業と国家だけがアルカナ・ボンヤードを体験出来た。
アノア研究所は多くのサンプルデータを集めるため、PVP形式のゲーム大会『ソウル杯』を企画した。
その目的はアノア研究所が用意した施設に参加者を集め、アルカナ・ボンヤードを体験してもらい、より多くのデータを収集する事にある。
ゲームのルールは、ゲーム内でプレイヤー同士を戦わせて、最後に生き残った者が勝者となる。優勝賞金は300万ドルという高額から、全世界のゲーマーだけでなく、格闘家、軍隊からも注目される大会となった。
各界のプロが競い合うことから、ネットではある噂が囁かれていた。それは……。
『この大会で優勝した人物はネトゲ―最強のプレイヤーの称号を得ることができる』
あるものは富と名声を、あるものは魂の世界の邂逅を夢見て……参加者は様々な思いを胸に、戦いへと身を投じていくのであった。
*お話の都合上、会話が長文になることがあります。
その場合、読みやすさを重視するため、改行や一行開けた文体にしていますので、ご容赦ください。
投稿日は不定期です
生産職から始まる初めてのVRMMO
結城楓
ファンタジー
最近流行りのVRMMO、興味がないわけではないが自分から手を出そうと思ってはいなかったふう。
そんな時、新しく発売された《アイディアル・オンライン》。
そしてその発売日、なぜかゲームに必要なハードとソフトを2つ抱えた高校の友達、彩華が家にいた。
そんなふうが彩華と半ば強制的にやることになったふうにとっては初めてのVRMMO。
最初のプレイヤー設定では『モンスターと戦うのが怖い』という理由から生産職などの能力を選択したところから物語は始まる。
最初はやらざるを得ない状況だったフウが、いつしか面白いと思うようになり自ら率先してゲームをするようになる。
そんなフウが贈るのんびりほのぼのと周りを巻き込み成長していく生産職から始まる初めてのVRMMOの物語。
Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~
NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。
「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」
完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。
「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。
Bless for Travel
そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。
運極ちゃんの珍道中!〜APの意味がわからなかったのでとりあえず運に極振りしました〜
斑鳩 鳰
ファンタジー
今話題のVRMMOゲーム"Another World Online"通称AWO。リアルをとことん追求した設計に、壮大なグラフィック。多種多様なスキルで戦闘方法は無限大。
ひょんなことからAWOの第二陣としてプレイすることになった女子高生天草大空は、チュートリアルの段階で、AP振り分けの意味が分からず困ってしまう。
「この中じゃあ、運が一番大切だよね。」
とりあえず運に極振りした大空は、既に有名人になってしまった双子の弟や幼馴染の誘いを断り、ソロプレーヤーとしてほのぼのAWOの世界を回ることにした。
それからレベルが上がってもAPを運に振り続ける大空のもとに個性の強い仲間ができて...
どこか抜けている少女が道端で出会った仲間たちと旅をするほのぼの逆ハーコメディー
一次小説処女作です。ツッコミどころ満載のあまあま設定です。
作者はぐつぐつに煮たお豆腐よりもやわやわなメンタルなのでお手柔らかにお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる