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◇104 意外と堅実なベル
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アキラたちは早速森の中に踏み出すことにする。
これと言った入り口もなく、何処から入れまでいいかわからないので、適当に獣道を進むことになった。
「獣道ができているね。もしかしてモンスターがいるのかな?」
「どうかしらね。私が1人で的当ての練習をしていた時も、モンスターの影も形もなかったけど」
「それはまだ入り口だからだよ。とにかく、奥の方まで行ってみないと」
アキラは前向きだった。
モンスターもいない平和な島の中だ。
獣道ができることがそう易々とあるだろうか?
「アキラさん、はしゃぐのはいいですが警戒は怠らないでくださいね」
「うん。私は警戒を怠るなんてしないよ」
今はNightがいなので、全員が目となり耳となる。
それを裏返すように、アキラは【キメラハント】で奪った【灰爪】をギラリと光らす。
「これでも油断はしてないんだよ」
「……ちょっと、それは怖すぎでしょ」
ベルが苦い表情を浮かべ、唇を曲げる。
しかし雷斬は「流石です」と言って褒めてくれる。
対照的な2人だけど、揃えば百人力だ。
「それじゃあ出発!」
「おー」
雷斬は乗ってくれた。
子供の教育テレビのお兄さんお姉さんみたいなはきはきとした掛け声だった。
しかしベルは何も言わなかった。乗って来ると思ったが、プライドがあるのかもしれない。
何処まで行っても森。
ずっと続くのは綺麗な緑の深い葉達だ。
天然の葉っぱカーテンに守られながら、獣道を進んでいく。ここまでずっと真っ直ぐだった。
「何にもないね」
「そうね。うーん、やっぱりモンスターなんていないのかしら?」
「どうでしょうか。確かに今のところ悪意を持った存在の気配は感じませんが、生物の気配はしますよ。微弱ですが」
凄い。どうしてわかるんだろう。
アキラは気になって雷斬に尋ねる。
「どうしてそんなことがわかるの?」
「私の種族が雷獣だからです。このように、【雷鳴】」
指先から青白い稲妻が上がる。
ビリビリと音を立てると木々たちの幹を貫通して、遠くの方まで飛んでいく。
なるほど、《雷獣》の種族スキルを巧みに使用し、生体電気を感知しているんだ。
四六時中常にできるのは凄まじい忍耐力だとアキラは思った。それと同時に、剣士らしくない用意周到性がある。
頼りになるから別に構わないんだけど。
「それにベルだって、帰り道に事を気にしてくれていますよね」
「そうなの!」
アキラはベルの方に視線を配る。
すると後ろの木に×印がされていた。
深くナイフで切られたみたいな痕がある。
「これってベルがやったの?」
「そうよ。だって帰れないと困るでしょ?」
今のところその雰囲気はまるで感じないが、もし入り組んだ道となると話しは変わる。
目印の有無は生還率を左右すると、アキラは母親から聞いたことがある。
どうしてそんなことを教えられたのかはいまだに謎だが、多分サバイバル番組が多かったからだ。
不意にベルは持っていたナイフを隠すと、照れくさそうにする。
「私、基本1人が好きだから。こんなこともあろうかと、準備はしているのよね」
「用意周到でいいと思うよ。私は真似してみよう、えいっ!」
【灰爪】で幹を切りつけた。
すると木の表面が痛んでしまう。アキラは絶句して落ち込んだ。
大切な森の木を傷つけてしまったんだ。
「ご、ごめんね」
「大丈夫ですよアキラさん」
「えっ?」
雷斬は瞬時にアキラの肩を持つ。
見れば木の表面に付けた傷は確かに樹皮をはぎ取ってしまうが、しっかりと遠めから見てもわかる目印になった。
「これだけ大きいと誰が見てもわかるわね」
「それって、フォローになってるの?」
「さあね、でもやってことに後悔してても仕方ないでしょ?」
何だろう。ベルが大人っぽく見えたアキラ。
気にしていても仕方ないか、確かにそれもそうかもと意識を切り替える。
これぐらいみんなが意識を転換できれば、きっともっと楽に生きられるんだろうけどと皮肉を吐きそうになった。
これと言った入り口もなく、何処から入れまでいいかわからないので、適当に獣道を進むことになった。
「獣道ができているね。もしかしてモンスターがいるのかな?」
「どうかしらね。私が1人で的当ての練習をしていた時も、モンスターの影も形もなかったけど」
「それはまだ入り口だからだよ。とにかく、奥の方まで行ってみないと」
アキラは前向きだった。
モンスターもいない平和な島の中だ。
獣道ができることがそう易々とあるだろうか?
「アキラさん、はしゃぐのはいいですが警戒は怠らないでくださいね」
「うん。私は警戒を怠るなんてしないよ」
今はNightがいなので、全員が目となり耳となる。
それを裏返すように、アキラは【キメラハント】で奪った【灰爪】をギラリと光らす。
「これでも油断はしてないんだよ」
「……ちょっと、それは怖すぎでしょ」
ベルが苦い表情を浮かべ、唇を曲げる。
しかし雷斬は「流石です」と言って褒めてくれる。
対照的な2人だけど、揃えば百人力だ。
「それじゃあ出発!」
「おー」
雷斬は乗ってくれた。
子供の教育テレビのお兄さんお姉さんみたいなはきはきとした掛け声だった。
しかしベルは何も言わなかった。乗って来ると思ったが、プライドがあるのかもしれない。
何処まで行っても森。
ずっと続くのは綺麗な緑の深い葉達だ。
天然の葉っぱカーテンに守られながら、獣道を進んでいく。ここまでずっと真っ直ぐだった。
「何にもないね」
「そうね。うーん、やっぱりモンスターなんていないのかしら?」
「どうでしょうか。確かに今のところ悪意を持った存在の気配は感じませんが、生物の気配はしますよ。微弱ですが」
凄い。どうしてわかるんだろう。
アキラは気になって雷斬に尋ねる。
「どうしてそんなことがわかるの?」
「私の種族が雷獣だからです。このように、【雷鳴】」
指先から青白い稲妻が上がる。
ビリビリと音を立てると木々たちの幹を貫通して、遠くの方まで飛んでいく。
なるほど、《雷獣》の種族スキルを巧みに使用し、生体電気を感知しているんだ。
四六時中常にできるのは凄まじい忍耐力だとアキラは思った。それと同時に、剣士らしくない用意周到性がある。
頼りになるから別に構わないんだけど。
「それにベルだって、帰り道に事を気にしてくれていますよね」
「そうなの!」
アキラはベルの方に視線を配る。
すると後ろの木に×印がされていた。
深くナイフで切られたみたいな痕がある。
「これってベルがやったの?」
「そうよ。だって帰れないと困るでしょ?」
今のところその雰囲気はまるで感じないが、もし入り組んだ道となると話しは変わる。
目印の有無は生還率を左右すると、アキラは母親から聞いたことがある。
どうしてそんなことを教えられたのかはいまだに謎だが、多分サバイバル番組が多かったからだ。
不意にベルは持っていたナイフを隠すと、照れくさそうにする。
「私、基本1人が好きだから。こんなこともあろうかと、準備はしているのよね」
「用意周到でいいと思うよ。私は真似してみよう、えいっ!」
【灰爪】で幹を切りつけた。
すると木の表面が痛んでしまう。アキラは絶句して落ち込んだ。
大切な森の木を傷つけてしまったんだ。
「ご、ごめんね」
「大丈夫ですよアキラさん」
「えっ?」
雷斬は瞬時にアキラの肩を持つ。
見れば木の表面に付けた傷は確かに樹皮をはぎ取ってしまうが、しっかりと遠めから見てもわかる目印になった。
「これだけ大きいと誰が見てもわかるわね」
「それって、フォローになってるの?」
「さあね、でもやってことに後悔してても仕方ないでしょ?」
何だろう。ベルが大人っぽく見えたアキラ。
気にしていても仕方ないか、確かにそれもそうかもと意識を切り替える。
これぐらいみんなが意識を転換できれば、きっともっと楽に生きられるんだろうけどと皮肉を吐きそうになった。
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