103 / 583
◇103 探検に行こうよ!
しおりを挟む
ギルドホームでのまったりとした時間を過ごす中、不意に雷斬が口にした。
「そう言えば本日は静かですね」
「フェルノがいないからね」
アキラはすぐさま返す。
別にフェルノが騒がしいわけではない。
アキラも同調するからうるさく聞こえるだけだ。
そこにNightが巻き込まれる形で捕捉するので話の展開が速くなり、雷斬とベルはその話しに耳を傾ける。
けれど今日はその中心人物の2人が欠けている。
そのためここまで静かな居住空間が完成したことに繋がった。
「お2人は何かご用事ですか?」
「うん。フェルノは部活で、3日間ぐらい合宿でいないんだ。Nightは家族旅行。今はハワイの方に言っているみたいだけど、夜にはログインできるって」
2人の都合は最初から織り込み済みだ。
フェルノに至っては数日前から山の方に部活の合宿があるとかで張り切っていた。
夏なのに蒸し暑い山に行くことには不満を垂らしていたけれど、楽しそうで何よりだ。
一方のNightは久々に帰って来た両親と兄と姉に引っ張られて海外旅行。
お金持ちなのは知っていたけれど、意外にハワイなのはベタすぎた。
だけど食事とかは凄いらしく、本人がインドアな気質なせいもあり普段から旅行の際はいやいや引っ張られるらしい。
「お土産楽しみだなー」
「お土産って、もしかして頼んでたの?」
ベルが尋ねる。
アキラはそれに対して首を横に振った。
別に頼んではいないけど、Nightの性格的にアキラの考えていることを読んできそうだった。
「ううん。でもNightなら買って来てくれると思うんだ」
「どれだけ信頼しているのよ」
「信頼しているからこそ、わざわざメッセージのやり取りで事細かに教えてくれるんでしょ? だって、ゲームの中でまで勉強を見てもらったんだもん」
あの日、1学期期末テストの数日前だ。
冒険もせずダンジョンにも潜らず、アキラたち3人はNight先生の徹底した予測を武器にしてテスト勉強に励んだ。
その結果なんと普段は中間ぐらいの点数しか取れないアキラは上位に食い込み、社会のテストではフェルノがトップ10入りを果たした。
「それって元々ポテンシャルは合ったんじゃないの?」
「そうかも。でも予測って凄いよね」
「予測ができるのはそれだけ知識を有しており、経験を積んだ証でしょうね。Nightさんは何かされていたのでしょうか?」
「FPSをやっているらしいよ。ソロで100人規模のガン・アクションゲームで何度も1位を取っているんだって。大型大会で優勝したこともあるらしいよ」
「それは凄いですね。道理で周りの様子を把握する力が優れているわけです」
雷斬の見立ては正しかった。
そんなこんなでアキラたちはこの場にいない人たちの話をしていると、ふとしたことでアキラは2人に提案した。
「そうだ。このメンバーだけって珍しいから、何かしようよ」
「何かってなによ」
「そうですね。アキラさんは何かやりたいことがあるのですか?」
「うん。さっきベルと少し話をしていたけど、この島の探索をしたくて」
アキラは唐突だった。
しかしベルも「あー」と口にして肯定的な反応を示す。
「いいわね、それ。私もこの島のこと気になっていたのよ」
「正直1人で探索するのは怖くて。2人の協力が欲しいんだ」
アキラは2人にお願いした。
しかしベルは最初からそのつもりで、雷斬も考える時間は持たない。
もちろんアキラたちに従う。
雷斬もこの島のことには少し興味があった。
「わかりました。早速準備をしましょうか」
「うん。マッピング能力が少し薄いメンバーだけど、何処まで行けるか挑戦してみようよ!」
「そうね。マッピング苦手なね」
ベルが強調した。
破壊不可のエフェクトがないといいんだけど、この島のことを何も知らない3人だった。
「そう言えば本日は静かですね」
「フェルノがいないからね」
アキラはすぐさま返す。
別にフェルノが騒がしいわけではない。
アキラも同調するからうるさく聞こえるだけだ。
そこにNightが巻き込まれる形で捕捉するので話の展開が速くなり、雷斬とベルはその話しに耳を傾ける。
けれど今日はその中心人物の2人が欠けている。
そのためここまで静かな居住空間が完成したことに繋がった。
「お2人は何かご用事ですか?」
「うん。フェルノは部活で、3日間ぐらい合宿でいないんだ。Nightは家族旅行。今はハワイの方に言っているみたいだけど、夜にはログインできるって」
2人の都合は最初から織り込み済みだ。
フェルノに至っては数日前から山の方に部活の合宿があるとかで張り切っていた。
夏なのに蒸し暑い山に行くことには不満を垂らしていたけれど、楽しそうで何よりだ。
一方のNightは久々に帰って来た両親と兄と姉に引っ張られて海外旅行。
お金持ちなのは知っていたけれど、意外にハワイなのはベタすぎた。
だけど食事とかは凄いらしく、本人がインドアな気質なせいもあり普段から旅行の際はいやいや引っ張られるらしい。
「お土産楽しみだなー」
「お土産って、もしかして頼んでたの?」
ベルが尋ねる。
アキラはそれに対して首を横に振った。
別に頼んではいないけど、Nightの性格的にアキラの考えていることを読んできそうだった。
「ううん。でもNightなら買って来てくれると思うんだ」
「どれだけ信頼しているのよ」
「信頼しているからこそ、わざわざメッセージのやり取りで事細かに教えてくれるんでしょ? だって、ゲームの中でまで勉強を見てもらったんだもん」
あの日、1学期期末テストの数日前だ。
冒険もせずダンジョンにも潜らず、アキラたち3人はNight先生の徹底した予測を武器にしてテスト勉強に励んだ。
その結果なんと普段は中間ぐらいの点数しか取れないアキラは上位に食い込み、社会のテストではフェルノがトップ10入りを果たした。
「それって元々ポテンシャルは合ったんじゃないの?」
「そうかも。でも予測って凄いよね」
「予測ができるのはそれだけ知識を有しており、経験を積んだ証でしょうね。Nightさんは何かされていたのでしょうか?」
「FPSをやっているらしいよ。ソロで100人規模のガン・アクションゲームで何度も1位を取っているんだって。大型大会で優勝したこともあるらしいよ」
「それは凄いですね。道理で周りの様子を把握する力が優れているわけです」
雷斬の見立ては正しかった。
そんなこんなでアキラたちはこの場にいない人たちの話をしていると、ふとしたことでアキラは2人に提案した。
「そうだ。このメンバーだけって珍しいから、何かしようよ」
「何かってなによ」
「そうですね。アキラさんは何かやりたいことがあるのですか?」
「うん。さっきベルと少し話をしていたけど、この島の探索をしたくて」
アキラは唐突だった。
しかしベルも「あー」と口にして肯定的な反応を示す。
「いいわね、それ。私もこの島のこと気になっていたのよ」
「正直1人で探索するのは怖くて。2人の協力が欲しいんだ」
アキラは2人にお願いした。
しかしベルは最初からそのつもりで、雷斬も考える時間は持たない。
もちろんアキラたちに従う。
雷斬もこの島のことには少し興味があった。
「わかりました。早速準備をしましょうか」
「うん。マッピング能力が少し薄いメンバーだけど、何処まで行けるか挑戦してみようよ!」
「そうね。マッピング苦手なね」
ベルが強調した。
破壊不可のエフェクトがないといいんだけど、この島のことを何も知らない3人だった。
1
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説
最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職
鎌霧
ファンタジー
『To The World Road』
倍率300倍の新作フルダイブ系VRMMOの初回抽選に当たり、意気揚々と休暇を取りβテストの情報を駆使して快適に過ごそうと思っていた。
……のだが、蓋をひらけば選択した職業は調整入りまくりで超難易度不遇職として立派に転生していた。
しかしそこでキャラ作り直すのは負けた気がするし、不遇だからこそ使うのがゲーマーと言うもの。
意地とプライドと一つまみの反骨精神で私はこのゲームを楽しんでいく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした
水の入ったペットボトル
SF
これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。
ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。
βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?
そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。
この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
春空VRオンライン ~島から出ない採取生産職ののんびり体験記~
滝川 海老郎
SF
新作のフルダイブVRMMOが発売になる。 最初の舞台は「チュートリ島」という小島で正式リリースまではこの島で過ごすことになっていた。
島で釣りをしたり、スライム狩りをしたり、探険したり、干物のアルバイトをしたり、宝探しトレジャーハントをしたり、のんびり、のほほんと、過ごしていく。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユニーク職業最弱だと思われてたテイマーが最強だったと知れ渡ってしまったので、多くの人に注目&推しにされるのなぜ?
水まんじゅう
SF
懸賞で、たまたま当たったゲーム「君と紡ぐ世界」でユニーク職業を引き当ててしまった、和泉吉江。 そしてゲームをプイイし、決まった職業がユニーク職業最弱のテイマーという職業だ。ユニーク最弱と罵られながらも、仲間とテイムした魔物たちと強くなっていき罵ったやつらを見返していく物語
後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~
夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。
多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』
一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。
主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!!
小説家になろうからの転載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる