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◇99 龍の声を聞いて
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アキラは眠りに落ちていた。
ふわふわとした気分の中、意識は水の中にあった。
如何してわかるのか。それは体を密着する水の圧力を感じるからだ。
「なんだろう……とっても気持ちいい。水の膜に包まれているみたい……」
アキラは気持ちが良すぎて起き上がりたくなかった。
そんなアキラは不意に変を感じる。
何かが近づいて来ている。ここは夢の中のはず。それすら理解できた。
明晰夢の中に落ちたアキラは衣のように柔らかいがそれでいてはっきりとした意識状に存在しないものに悩まされた。
『起きて……』
「えっ!?」
アキラの意識が覚醒した。
不意に目を開けるとそこは霊龍の泉の袂。
瞬きを連続で繰り返し、キョロキョロと周囲を見回した。
「今には何? 如何して変な声が聞こえたの?」
何もかもがわからない。
理解しようにもできないことなので、意識を切り替えて落ち着こうとした。
だけどできない。意識は切り替えられるのに、如何しても頭の片隅に残ってしまう。
これはもしかしてモンスターの精神攻撃かもしれない。
「もしかしてもしかして、夢の中で攻撃してくるモンスターなの! そんなのがいる……いるよね」
この世界はAIが発達している。
それもそのはずで、常に成長している。
アキラたちプレイヤーの脳波や経験を基にしてこの世界は潤滑油に成長し続ける。それが醍醐味で、無敵もはめ技も存在しないのだ。
だけど夢の中は悪質だよ。
「でも敵意は感じなかったんだよね。優しい女の人の声だったなー」
敵意も悪意も感じない。
むしろ何か目的があってアキラを起こしてくれたみたいだ。
「さてと、そろそろ休憩はお休みにして、早速検証開始」
アキラは霊龍の泉に近づいた。
その場でしゃがみ込むと、水を掬って口に含む。
ごくごくとがぶ飲みした。最近なんて全く気にしない。
冷たくて普通に美味しい。
「ぷはぁー、美味しい! 今までに飲んだ水の中で、素だと一番美味しいかも」
『それはよかったです』
「うわぁ!」
腰を抜かしてしまった。
もしかしてここはあの童話の中の斧を放り込んだら女神さまが出てくる的な場所なんじゃないかと思い、水を飲んだことを後悔する。
しかし声は聞こえなくなった。
やっぱり幻聴なのか、プログラムのミスなのか。もう余計なことは関係ない。聞こえるものは聞こえることにした。
「そうだ、水を飲んだもんね。だったらバフがかかって最大HPが……変わってない?」
おかしいな。噂と違う。
アキラは首を捻る。
ここにアキラが来ようと思ったのは偶然ではない。1人の時にでも検証しようと思い、この霊龍の森にやって来たのはこの泉の水を飲むことで、最大HPが増えると言うものだった。
しかし実際は全く変わらない。
噂はデマだった。
「そうだよね、ソースがあるわけでもない小さな記事だったもんね。仕方ないよね」
何処かがっかりしてしまった。
でもよかった。もしもNightにこのことを伝えていたらきっと鼻で笑われるか、しつこいぐらいに検証に必死になる。
そんな予感が薄々感じていたから1人で来た次第だ。
それがわかっただけでも万々歳と言えよう。
「さてと何もなかったからそろそろ帰ろうかな」
アキラは踵を返した。
やはり茨のトンネルは無くなり、一方通行の道だけがある。
もうここには来られないかもしれない。そう思ったが、またいつでも来られるはずだ。
一礼してからその場を立ち去ろうとした時だ。またしても声が聞こえた。
『またいつでも……そしてこれからも共に』
首筋がひやりとした。
アキラは気になって振り返るがそこに泉はない。如何やら森の入り口らしく、声も聞こえなくなっていた。
けれどひやりとはしたが、その奥には温もりも感じる。
不思議な体験をしたアキラだったが、そこまで気にならない。
首を捻るだけだったが、アキラの知らないところでアキラの身には変化が起きていた。
そのことに気が付くことはなかったが、新しいスキルを獲得していたんだ。
ふわふわとした気分の中、意識は水の中にあった。
如何してわかるのか。それは体を密着する水の圧力を感じるからだ。
「なんだろう……とっても気持ちいい。水の膜に包まれているみたい……」
アキラは気持ちが良すぎて起き上がりたくなかった。
そんなアキラは不意に変を感じる。
何かが近づいて来ている。ここは夢の中のはず。それすら理解できた。
明晰夢の中に落ちたアキラは衣のように柔らかいがそれでいてはっきりとした意識状に存在しないものに悩まされた。
『起きて……』
「えっ!?」
アキラの意識が覚醒した。
不意に目を開けるとそこは霊龍の泉の袂。
瞬きを連続で繰り返し、キョロキョロと周囲を見回した。
「今には何? 如何して変な声が聞こえたの?」
何もかもがわからない。
理解しようにもできないことなので、意識を切り替えて落ち着こうとした。
だけどできない。意識は切り替えられるのに、如何しても頭の片隅に残ってしまう。
これはもしかしてモンスターの精神攻撃かもしれない。
「もしかしてもしかして、夢の中で攻撃してくるモンスターなの! そんなのがいる……いるよね」
この世界はAIが発達している。
それもそのはずで、常に成長している。
アキラたちプレイヤーの脳波や経験を基にしてこの世界は潤滑油に成長し続ける。それが醍醐味で、無敵もはめ技も存在しないのだ。
だけど夢の中は悪質だよ。
「でも敵意は感じなかったんだよね。優しい女の人の声だったなー」
敵意も悪意も感じない。
むしろ何か目的があってアキラを起こしてくれたみたいだ。
「さてと、そろそろ休憩はお休みにして、早速検証開始」
アキラは霊龍の泉に近づいた。
その場でしゃがみ込むと、水を掬って口に含む。
ごくごくとがぶ飲みした。最近なんて全く気にしない。
冷たくて普通に美味しい。
「ぷはぁー、美味しい! 今までに飲んだ水の中で、素だと一番美味しいかも」
『それはよかったです』
「うわぁ!」
腰を抜かしてしまった。
もしかしてここはあの童話の中の斧を放り込んだら女神さまが出てくる的な場所なんじゃないかと思い、水を飲んだことを後悔する。
しかし声は聞こえなくなった。
やっぱり幻聴なのか、プログラムのミスなのか。もう余計なことは関係ない。聞こえるものは聞こえることにした。
「そうだ、水を飲んだもんね。だったらバフがかかって最大HPが……変わってない?」
おかしいな。噂と違う。
アキラは首を捻る。
ここにアキラが来ようと思ったのは偶然ではない。1人の時にでも検証しようと思い、この霊龍の森にやって来たのはこの泉の水を飲むことで、最大HPが増えると言うものだった。
しかし実際は全く変わらない。
噂はデマだった。
「そうだよね、ソースがあるわけでもない小さな記事だったもんね。仕方ないよね」
何処かがっかりしてしまった。
でもよかった。もしもNightにこのことを伝えていたらきっと鼻で笑われるか、しつこいぐらいに検証に必死になる。
そんな予感が薄々感じていたから1人で来た次第だ。
それがわかっただけでも万々歳と言えよう。
「さてと何もなかったからそろそろ帰ろうかな」
アキラは踵を返した。
やはり茨のトンネルは無くなり、一方通行の道だけがある。
もうここには来られないかもしれない。そう思ったが、またいつでも来られるはずだ。
一礼してからその場を立ち去ろうとした時だ。またしても声が聞こえた。
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首筋がひやりとした。
アキラは気になって振り返るがそこに泉はない。如何やら森の入り口らしく、声も聞こえなくなっていた。
けれどひやりとはしたが、その奥には温もりも感じる。
不思議な体験をしたアキラだったが、そこまで気にならない。
首を捻るだけだったが、アキラの知らないところでアキラの身には変化が起きていた。
そのことに気が付くことはなかったが、新しいスキルを獲得していたんだ。
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