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◇91 VSツインビー
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ベルの目の前に飛び出したのは、緑色の籠手だった。
腕に纏った籠手は、何処となく昆虫のような光沢を持っていて、緑の中に赤や黄色の線が混ざっている。
鋭い針が突き刺さっても傷1つ付かない硬度に見惚れていた。
「あ、アキラ!?」
「大丈夫、ベルさん」
肘窩で針を受け止めると、そのまま弾いた。
あまりの動きの忠実さに本当にアキラなのかと疑うベルだが、困惑する前にナイフが飛んできた。
キュィーン!
ナイフではありえない音がした。
空気を切るようなナイフの回転音が耳にすることができ、巨大なハチ目掛けて飛ぶ。金属の独特な匂いをまき散らしながら、ブーメランのように向かっていくのだが、流石に当たらない。
いや、当たることは想定に入れていなかった。
「これは一体何が起こっているの!」
「何がじゃない。とっと動け。考える余力があるなら、弓を引け」
そう告げるのはNightだった。
両手にナイフを持ち、空中をホバリングするハチ目掛けて連続で投げつける。
しかし全て当たらない。微かに羽に触れるだけだった。
「流石に当たらないか……」
「Night、あれはなに?」
「あれはツインビーだ。レベルは25。少し高いな……」
Nightに尋ねたアキラに軽く説明した。
ツインビーなんて、昔のゲームの名前のようだけど今回は見た目でわかる。
針が2本ついたハチ。だからツインビーだ。
「ツインビー? それって凶悪なモンスターじゃない」
「わからないけど、そうなの?」
「凶悪なモンスターなのは言うまでもないな。鋭いドリルのような針を2本持っていて、毒性も強いから当たれば即死並み。とはいえ、アキラには効かなかったが……」
これも【キメラハント】で奪った【甲蟲】のスキルにある。
圧倒的な防御力を纏った装甲が武器になってくれた。
そのおかげで戦うことができた。アキラは幸運だ。即死を回避したんだから。
「即死回避しただけで凄いがアキラはそれだけじゃない」
「あはは。褒めてくれるのは嬉しいけど、私飛べないよ」
「今度は飛べるスキルを奪えばいい。あいつからは針を奪え」
「奪うってなに、ちょっと話が付いていけないんだけど私」
ベルは完全に話に付いて行けず置いて行かれてしまった。
しかしNightはそれどころの話ではないので、【ライフ・オブ・メイク】を使って、投げナイフをたくさん用意する。今回は刃の部分で曲線を描き、ククリナイフのような状態だった。
「凄い。どうなってるのよ、そのスキル」
「【ライフ・オブ・メイク】だ。私の固有スキル。この世界に存在しないものを構築する、いわゆるアウトロースキルだ」
「あ、アウトロー……確かにすれすれな感じがするわね」
「それを言えば、アキラのスキルも大概だがな」
カキーンカキーン!
今度はグレーウルフから奪った【灰爪】で飛ばしてくる針を叩き落とした。
アキラが一番わかる。このモンスターは強い。
Night曰く、群れをなさないで巣も作らない特殊なハチだって聞いていたが、納得した。
(少しでも気を緩めば即死。道理でこんなところに誰も近づかないわけだよ)
ツインビーはこの辺りにしか生息していないハチ型のモンスターだ。
その毒性は圧倒的、群れをなさず単独で行動し、他のハチ系モンスターの巣を奪う獰猛さを持っている。怖いとしか言えない。
「2人ともいい加減戦ってよ。私だけだときついよ」
「そうだな、そろそろ説明はやめだ。だからベル。私たちの射程じゃ倒せないから、お前に掛かっているんだぞ」
「何だかわからないけど、プレッシャーには強いから安心していいわ」
「ちなみに精度は?」
「自慢じゃないけど、私風が出ているときの方が精度高いのよね。今は微風でしょ? 問題なく射貫けるわ」
「そうか……信じてるぞ」
Nightはそう言い渡し、ナイフを投げつけた。
ベルは弓を構えると、今までにない集中さを発揮する。
腕に纏った籠手は、何処となく昆虫のような光沢を持っていて、緑の中に赤や黄色の線が混ざっている。
鋭い針が突き刺さっても傷1つ付かない硬度に見惚れていた。
「あ、アキラ!?」
「大丈夫、ベルさん」
肘窩で針を受け止めると、そのまま弾いた。
あまりの動きの忠実さに本当にアキラなのかと疑うベルだが、困惑する前にナイフが飛んできた。
キュィーン!
ナイフではありえない音がした。
空気を切るようなナイフの回転音が耳にすることができ、巨大なハチ目掛けて飛ぶ。金属の独特な匂いをまき散らしながら、ブーメランのように向かっていくのだが、流石に当たらない。
いや、当たることは想定に入れていなかった。
「これは一体何が起こっているの!」
「何がじゃない。とっと動け。考える余力があるなら、弓を引け」
そう告げるのはNightだった。
両手にナイフを持ち、空中をホバリングするハチ目掛けて連続で投げつける。
しかし全て当たらない。微かに羽に触れるだけだった。
「流石に当たらないか……」
「Night、あれはなに?」
「あれはツインビーだ。レベルは25。少し高いな……」
Nightに尋ねたアキラに軽く説明した。
ツインビーなんて、昔のゲームの名前のようだけど今回は見た目でわかる。
針が2本ついたハチ。だからツインビーだ。
「ツインビー? それって凶悪なモンスターじゃない」
「わからないけど、そうなの?」
「凶悪なモンスターなのは言うまでもないな。鋭いドリルのような針を2本持っていて、毒性も強いから当たれば即死並み。とはいえ、アキラには効かなかったが……」
これも【キメラハント】で奪った【甲蟲】のスキルにある。
圧倒的な防御力を纏った装甲が武器になってくれた。
そのおかげで戦うことができた。アキラは幸運だ。即死を回避したんだから。
「即死回避しただけで凄いがアキラはそれだけじゃない」
「あはは。褒めてくれるのは嬉しいけど、私飛べないよ」
「今度は飛べるスキルを奪えばいい。あいつからは針を奪え」
「奪うってなに、ちょっと話が付いていけないんだけど私」
ベルは完全に話に付いて行けず置いて行かれてしまった。
しかしNightはそれどころの話ではないので、【ライフ・オブ・メイク】を使って、投げナイフをたくさん用意する。今回は刃の部分で曲線を描き、ククリナイフのような状態だった。
「凄い。どうなってるのよ、そのスキル」
「【ライフ・オブ・メイク】だ。私の固有スキル。この世界に存在しないものを構築する、いわゆるアウトロースキルだ」
「あ、アウトロー……確かにすれすれな感じがするわね」
「それを言えば、アキラのスキルも大概だがな」
カキーンカキーン!
今度はグレーウルフから奪った【灰爪】で飛ばしてくる針を叩き落とした。
アキラが一番わかる。このモンスターは強い。
Night曰く、群れをなさないで巣も作らない特殊なハチだって聞いていたが、納得した。
(少しでも気を緩めば即死。道理でこんなところに誰も近づかないわけだよ)
ツインビーはこの辺りにしか生息していないハチ型のモンスターだ。
その毒性は圧倒的、群れをなさず単独で行動し、他のハチ系モンスターの巣を奪う獰猛さを持っている。怖いとしか言えない。
「2人ともいい加減戦ってよ。私だけだときついよ」
「そうだな、そろそろ説明はやめだ。だからベル。私たちの射程じゃ倒せないから、お前に掛かっているんだぞ」
「何だかわからないけど、プレッシャーには強いから安心していいわ」
「ちなみに精度は?」
「自慢じゃないけど、私風が出ているときの方が精度高いのよね。今は微風でしょ? 問題なく射貫けるわ」
「そうか……信じてるぞ」
Nightはそう言い渡し、ナイフを投げつけた。
ベルは弓を構えると、今までにない集中さを発揮する。
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