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◇85 親友との帰り道
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東京。都心部からは少し離れた場所に、雷斬の通う高校はある。
電車通学などはせず、自宅からも歩いて行ける距離にあった。
高校の名前は、市立雷慟山高校。如何してこんな名前になったのか、それは数十年前にこの近くにあった山に雷が起きたことが由来するそう。
この国は数十年前まで極度の災害に弱い傾向があった。それは今も変わらないが、特に頻繁化していた時期があったらしく、その時に起きた落雷事故から起因する。
元々は頼慟山と言う名前の山だったが、雷が落ちたことで山が割れ、当時の登山客が何人も犠牲になったことから「友」と言う意味から取られた「頼」から、この事故のことを後世に残すため「雷」になった。そのために市の職員が駆け回ったとの噂もある。
そんな今は市の名前にもなっている雷慟市にある普通高校、雷慟山。
その校門前で少女は一人立ち尽くしていた。
時刻は夕方。午後6時を回った。7月の西日が照り出す。
「あれ? 雷さん。こんなところで如何したの?」
「これは長谷部さん。鈴来を待っているんです。何か心当たりはありませんか?」
「鈴来? 風見さんのことね。もう少しで出てくると思うけど……あっ、来た!」
長谷部は大きく手を振った。同じ部活の彼女なら同じ一年生のことも詳しいはず。
私は久々とも思えるが、部活終わりの彼女を見つけた。
「長谷部? おーい、って斬禍?」
「お疲れですね、鈴来」
「お疲れって言うか、なんで?」
鈴来は走ってきました。
タッタッタッと軽快なステップを踏みますが、相変わらず無駄のない動きに斬禍は目を奪われます。
そんなことをしているうちに長谷部は帰ってしまい、2人だけになりました。
「如何したの、こんな時間まで待っててくれるなんて」
「久々に一緒に帰りたいと思いまして。それと、少しお話が」
「お話? 何か重要なことなの?」
「ことの話は、歩きながらでも問題ないでしょう。家も近所なんです。それより、いくら夏とは言え日が暮れる時間が少し伸びただけですので……」
「そうね。うん、早く行きましょ」
ふと日を見ると、赤々と点滅していました。
赤とオレンジの境界線で、爛々と輝いています。その袂には黒い影が伸びる。などと斬禍は古風な感性でした。
雷斬禍は幼馴染で親友の風見鈴来と一緒に下校していました。
普段は自分から離しを振らず聞き役に回る斬禍の神妙な顔色に感化されたのか、くだらない話を時々織り交ぜつつ、鈴来はタイミングを計っている。
「それで斬禍。話って?」
「鈴来はゲームしていましたよね。Creature Union」
「もちろんやってるよ。そもそも斬禍に押し付けたの私でしょ」
「それもそうでしたね。それで、今はログイン……」
「うーん、週に3日、4日ぐらいかな」
「よかったです。すでにやめているのかと……」
「やめない。やめない。だってアカウントとしても使えるんだから、やめないよ」
かなり好感の持てる反応だった。
斬禍はそれを聞けて嬉しいというかホッと胸を撫で下ろす。
だとしたら話は早い。早速話に移行した。
「鈴来、早速ですがお願いしたいことが……」
「お願い? ゲーム関係よね。だったらクエスト? 別にいいんだけど……」
「それはよかったです。では、話しが早いですが……」
コホンと咳き込む斬禍。一呼吸置くのにちょうどよかった。
「私ギルドに加入したんです。鈴来にも入ってほしいんです」
「えっ? あの斬禍が何で。もしかして、無理やり入れさせられた?」
「いいえ、これは自分で決めたことです。自分から誘われて考えて加入したんです」
「珍しいこともあるんだね。うーん、ギルドね。悪いけど、パスかな」
「どうしてですか?」
「私、そう言うのに興味ないんだ。ほら、私ってちょっと変でしょ」
「それは……否定できませんね」
「そこは否定してほしかった」
何やら難航しそうだ。
しかし斬禍は諦めない。ここで折れる刀にはなれない。
電車通学などはせず、自宅からも歩いて行ける距離にあった。
高校の名前は、市立雷慟山高校。如何してこんな名前になったのか、それは数十年前にこの近くにあった山に雷が起きたことが由来するそう。
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元々は頼慟山と言う名前の山だったが、雷が落ちたことで山が割れ、当時の登山客が何人も犠牲になったことから「友」と言う意味から取られた「頼」から、この事故のことを後世に残すため「雷」になった。そのために市の職員が駆け回ったとの噂もある。
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その校門前で少女は一人立ち尽くしていた。
時刻は夕方。午後6時を回った。7月の西日が照り出す。
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長谷部は大きく手を振った。同じ部活の彼女なら同じ一年生のことも詳しいはず。
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そんなことをしているうちに長谷部は帰ってしまい、2人だけになりました。
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「お話? 何か重要なことなの?」
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「そうね。うん、早く行きましょ」
ふと日を見ると、赤々と点滅していました。
赤とオレンジの境界線で、爛々と輝いています。その袂には黒い影が伸びる。などと斬禍は古風な感性でした。
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「それで斬禍。話って?」
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「もちろんやってるよ。そもそも斬禍に押し付けたの私でしょ」
「それもそうでしたね。それで、今はログイン……」
「うーん、週に3日、4日ぐらいかな」
「よかったです。すでにやめているのかと……」
「やめない。やめない。だってアカウントとしても使えるんだから、やめないよ」
かなり好感の持てる反応だった。
斬禍はそれを聞けて嬉しいというかホッと胸を撫で下ろす。
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