80 / 555
◇80 お宝だけ盗みました(奪いました)
しおりを挟む
その頃地上では、Nightとフェルノが困惑していた。
急に砂の中に飲まれた友達を放っておくわけにもいかない。試行錯誤をして、熱を送ってみたが何も変化はい。
そのまま時間は進み、30分が経った頃——
「ど、如何しよう。このままじゃ」
「これをやったのはおそらくサンドアントヘルだ。殺傷性は低いが、一度飲み込まれれば迷路となった巣の中に落とされ、食いつくされる。極めて気持ち悪いモンスターだ」
「そんな! じゃあ如何したらいいの?」
「それは……くそっ!」
Nightまで打つ手がなかった。自分ならどうにでもなるのに、あの二人では駄目だ。
そう思ったのも束の間のこと。
急にメッセージが届いた。
ピロン!
「あれ? もしかしてアキラから」
「まさか。……本当だ。なに? もう帰ってきていいよ?」
「それってどういうこと。もしかして、やられちゃったの?」
「いや。……先に町に戻ったみたいだ。しかも大量のメダルを入手してな」
Nightも訳がわからなかった。しかし無事で何より。
そう思ったのはいいが、一体何あったのか。真相は、二人にしかわからない。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
それは今から30分前のことになる。
アキラと雷斬は選んだ道を歩いていた。たくさんの道がある中から如何してこの道を選んだのか。理由は二つある。
「アキラさん。如何してこの道を選んだのですか?」
「うーん。何となくかな。一番シンプルで何もなかったから」
「なるほど。それは怪しいですね」
「そういう雷斬は?」
「私は、そうですね。近かったからです」
二人とも選んだ理由はしょうもなかった。けれどその選択に後悔はない。
何せどのみち迷っても仕方ない。来るものが来るなら、叩き折る。そんな思惑で動いていた。つまり、何も考えていないんだ。
「それにしても何も起きませんね」
「うん。モンスターの影もないけど。もしかして間違えたのかな?」
「いえ。もしかしたら、その逆の可能性もありますよ。こういう展開も味があっていいですね」
「味って言うか、テンポがいいよね。ただイベントにはなってないけど」
「それは言わなくてもよろしいのでは?」
確かに何も起きていない。怖いぐらいに変化がないので、不安になるのも仕方ないが、アキラたちは間違っていなかった。
不意に視界の先が明るくなる。外に繋がっているのでは? と思い、二人は少しだけ足早になる。
「うわぁ、眩しい!」
「天井が開いていますね。如何やらそこから陽の光が差し込んでいるようです」
冷静に推測する。ここまでモンスターがいない。つまりここが決戦の地になる。
アキラはいつでもスキルを発動できるように準備する。
雷斬も刀の鞘を握り込み、抜刀が即座にできるように構えた。
しかし……
「なにも……起きない?」
「そうみたいですね。もしかしたら、ここはそのような場所ではないのかもしれませんね」
こんなに敵が出てきそうなのに、何もなないなんてそれはそれで悲しい。
けれど一つだけ気がかりなものがあった。
「雷斬、あの明らかに罠な宝箱どう思う?」
「そうですね。おそらく罠でしょうが、既に来た道は戻れないですし、この先に道もないので……」
「開けるしかないんだね」
確かに振り返っても道はない。完全に閉じ込められてしまった。
アキラは雷斬に周りの警戒を任せて、宝箱の上蓋に手をかける。鍵はかかっていない。
ごくりと喉を鳴らして、思いっきり開けてみた。すると中には大量のメダルが入っていた。しかも表面には十個の星が描かれる。
「な、なにこれ?」
「メダルですね。しかもこんなにたくさん。明らかに罠でしょうが」
「で、でも普通に拾えるよ? それに何か書いてある」
「どれですか?」
「ここ。上蓋の裏に」
迷いの先に進み、見事幸運を勝ち取った者よ。ここに褒美を残す。手にすれば人の声を聞くだろう。——名もなき冒険家より、未来ある者へ
うわぁ、これはやってる。明らかに運営が仕掛けた救済措置だった。
しかしここに置いてあるということは貰ってもいいんだ。
アキラと雷斬は恐る恐る手に取ると、インベントリの中に勝手に収納された。
「これでよかったのかな?」
「如何でしょうか。何もないといいのですが……」
「そ、それはそうだけど……ん? イベント終了のお知らせ。隠しメダルを入手されたプレイヤーは即時にイベントを終了します? はい!」
「これは呪いのメダル!」
雷斬が叫んだ。
すると次の瞬間、視界が開け二人は町に戻って来ていた。呆然と立ち尽くし、困惑する。二人は互いに顔を見合わせると、薄ら笑いを乾いた目で続けた。
これは二人に申し訳がない。
それどころか、私たちを飲み込んだモンスターに申し訳が立たない。も行かしたら今もだれかを持っていて、その出番をこんなタイミングで失ってしまったのかもしれないなと思い、心を痛めるアキラだった。
急に砂の中に飲まれた友達を放っておくわけにもいかない。試行錯誤をして、熱を送ってみたが何も変化はい。
そのまま時間は進み、30分が経った頃——
「ど、如何しよう。このままじゃ」
「これをやったのはおそらくサンドアントヘルだ。殺傷性は低いが、一度飲み込まれれば迷路となった巣の中に落とされ、食いつくされる。極めて気持ち悪いモンスターだ」
「そんな! じゃあ如何したらいいの?」
「それは……くそっ!」
Nightまで打つ手がなかった。自分ならどうにでもなるのに、あの二人では駄目だ。
そう思ったのも束の間のこと。
急にメッセージが届いた。
ピロン!
「あれ? もしかしてアキラから」
「まさか。……本当だ。なに? もう帰ってきていいよ?」
「それってどういうこと。もしかして、やられちゃったの?」
「いや。……先に町に戻ったみたいだ。しかも大量のメダルを入手してな」
Nightも訳がわからなかった。しかし無事で何より。
そう思ったのはいいが、一体何あったのか。真相は、二人にしかわからない。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
それは今から30分前のことになる。
アキラと雷斬は選んだ道を歩いていた。たくさんの道がある中から如何してこの道を選んだのか。理由は二つある。
「アキラさん。如何してこの道を選んだのですか?」
「うーん。何となくかな。一番シンプルで何もなかったから」
「なるほど。それは怪しいですね」
「そういう雷斬は?」
「私は、そうですね。近かったからです」
二人とも選んだ理由はしょうもなかった。けれどその選択に後悔はない。
何せどのみち迷っても仕方ない。来るものが来るなら、叩き折る。そんな思惑で動いていた。つまり、何も考えていないんだ。
「それにしても何も起きませんね」
「うん。モンスターの影もないけど。もしかして間違えたのかな?」
「いえ。もしかしたら、その逆の可能性もありますよ。こういう展開も味があっていいですね」
「味って言うか、テンポがいいよね。ただイベントにはなってないけど」
「それは言わなくてもよろしいのでは?」
確かに何も起きていない。怖いぐらいに変化がないので、不安になるのも仕方ないが、アキラたちは間違っていなかった。
不意に視界の先が明るくなる。外に繋がっているのでは? と思い、二人は少しだけ足早になる。
「うわぁ、眩しい!」
「天井が開いていますね。如何やらそこから陽の光が差し込んでいるようです」
冷静に推測する。ここまでモンスターがいない。つまりここが決戦の地になる。
アキラはいつでもスキルを発動できるように準備する。
雷斬も刀の鞘を握り込み、抜刀が即座にできるように構えた。
しかし……
「なにも……起きない?」
「そうみたいですね。もしかしたら、ここはそのような場所ではないのかもしれませんね」
こんなに敵が出てきそうなのに、何もなないなんてそれはそれで悲しい。
けれど一つだけ気がかりなものがあった。
「雷斬、あの明らかに罠な宝箱どう思う?」
「そうですね。おそらく罠でしょうが、既に来た道は戻れないですし、この先に道もないので……」
「開けるしかないんだね」
確かに振り返っても道はない。完全に閉じ込められてしまった。
アキラは雷斬に周りの警戒を任せて、宝箱の上蓋に手をかける。鍵はかかっていない。
ごくりと喉を鳴らして、思いっきり開けてみた。すると中には大量のメダルが入っていた。しかも表面には十個の星が描かれる。
「な、なにこれ?」
「メダルですね。しかもこんなにたくさん。明らかに罠でしょうが」
「で、でも普通に拾えるよ? それに何か書いてある」
「どれですか?」
「ここ。上蓋の裏に」
迷いの先に進み、見事幸運を勝ち取った者よ。ここに褒美を残す。手にすれば人の声を聞くだろう。——名もなき冒険家より、未来ある者へ
うわぁ、これはやってる。明らかに運営が仕掛けた救済措置だった。
しかしここに置いてあるということは貰ってもいいんだ。
アキラと雷斬は恐る恐る手に取ると、インベントリの中に勝手に収納された。
「これでよかったのかな?」
「如何でしょうか。何もないといいのですが……」
「そ、それはそうだけど……ん? イベント終了のお知らせ。隠しメダルを入手されたプレイヤーは即時にイベントを終了します? はい!」
「これは呪いのメダル!」
雷斬が叫んだ。
すると次の瞬間、視界が開け二人は町に戻って来ていた。呆然と立ち尽くし、困惑する。二人は互いに顔を見合わせると、薄ら笑いを乾いた目で続けた。
これは二人に申し訳がない。
それどころか、私たちを飲み込んだモンスターに申し訳が立たない。も行かしたら今もだれかを持っていて、その出番をこんなタイミングで失ってしまったのかもしれないなと思い、心を痛めるアキラだった。
0
お気に入りに追加
213
あなたにおすすめの小説
モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件
こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。
だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。
好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。
これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。
※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ
ーOnly Life Onlineーで生産職中心に遊んでたらトッププレイヤーの仲間入り
星月 ライド
ファンタジー
親友の勧めで遊び、マイペースに進めていたら何故かトッププレイヤーになっていた!?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注意事項
※主人公リアルチート
暴力・流血表現
VRMMO
一応ファンタジー
もふもふにご注意ください。
VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
VRMMOで神様の使徒、始めました。
一 八重
SF
真崎宵が高校に進学して3ヶ月が経過した頃、彼は自分がクラスメイトから避けられている事に気がついた。その原因に全く心当たりのなかった彼は幼馴染である夏間藍香に恥を忍んで相談する。
「週末に発売される"Continued in Legend"を買うのはどうかしら」
これは幼馴染からクラスメイトとの共通の話題を作るために新作ゲームを勧められたことで、再びゲームの世界へと戻ることになった元動画配信者の青年のお話。
「人間にはクリア不可能になってるって話じゃなかった?」
「彼、クリアしちゃったんですよね……」
あるいは彼に振り回される運営やプレイヤーのお話。
Beyond the soul 最強に挑む者たち
Keitetsu003
SF
西暦2016年。
アノア研究所が発見した新元素『ソウル』が全世界に発表された。
ソウルとは魂を形成する元素であり、謎に包まれていた第六感にも関わる物質であると公表されている。
アノア研究所は魂と第六感の関連性のデータをとる為、あるゲームを開発した。
『アルカナ・ボンヤード』。
ソウルで構成された魂の仮想世界に、人の魂をソウルメイト(アバター)にリンクさせ、ソウルメイトを通して視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、そして第六感を再現を試みたシミュレーションゲームである。
アルカナ・ボンヤードは現存のVR技術をはるかに超えた代物で、次世代のMMORPG、SRMMORPG(Soul Reality Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)として期待されているだけでなく、軍事、医療等の様々な分野でも注目されていた。
しかし、魂の仮想世界にソウルイン(ログイン)するには膨大なデータを処理できる装置と通信施設が必要となるため、一部の大企業と国家だけがアルカナ・ボンヤードを体験出来た。
アノア研究所は多くのサンプルデータを集めるため、PVP形式のゲーム大会『ソウル杯』を企画した。
その目的はアノア研究所が用意した施設に参加者を集め、アルカナ・ボンヤードを体験してもらい、より多くのデータを収集する事にある。
ゲームのルールは、ゲーム内でプレイヤー同士を戦わせて、最後に生き残った者が勝者となる。優勝賞金は300万ドルという高額から、全世界のゲーマーだけでなく、格闘家、軍隊からも注目される大会となった。
各界のプロが競い合うことから、ネットではある噂が囁かれていた。それは……。
『この大会で優勝した人物はネトゲ―最強のプレイヤーの称号を得ることができる』
あるものは富と名声を、あるものは魂の世界の邂逅を夢見て……参加者は様々な思いを胸に、戦いへと身を投じていくのであった。
*お話の都合上、会話が長文になることがあります。
その場合、読みやすさを重視するため、改行や一行開けた文体にしていますので、ご容赦ください。
投稿日は不定期です
Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~
NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。
「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」
完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。
「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。
Bless for Travel
そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。
生産職から始まる初めてのVRMMO
結城楓
ファンタジー
最近流行りのVRMMO、興味がないわけではないが自分から手を出そうと思ってはいなかったふう。
そんな時、新しく発売された《アイディアル・オンライン》。
そしてその発売日、なぜかゲームに必要なハードとソフトを2つ抱えた高校の友達、彩華が家にいた。
そんなふうが彩華と半ば強制的にやることになったふうにとっては初めてのVRMMO。
最初のプレイヤー設定では『モンスターと戦うのが怖い』という理由から生産職などの能力を選択したところから物語は始まる。
最初はやらざるを得ない状況だったフウが、いつしか面白いと思うようになり自ら率先してゲームをするようになる。
そんなフウが贈るのんびりほのぼのと周りを巻き込み成長していく生産職から始まる初めてのVRMMOの物語。
現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する
にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
この作品は 旧題:金運に恵まれたが人運に恵まれなかった俺は、現実逃避するためにフルダイブVRゲームの世界に逃げ込んだ
の内容を一部変更し修正加筆したものになります。
宝くじにより大金を手に入れた主人公だったが、それを皮切りに周囲の人間関係が悪化し、色々あった結果、現実の生活に見切りを付け、溜まっていた鬱憤をVRゲームの世界で好き勝手やって晴らすことを決めた。
そして、課金したりかわいいテイムモンスターといちゃいちゃしたり、なんて事をしている内にダンジョンを手に入れたりする主人公の物語。
※ 異世界転移や転生、ログアウト不可物の話ではありません ※
※修正前から主人公の性別が変わっているので注意。
※男主人公バージョンはカクヨムにあります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる