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◇56 ソウラの仲間たち2
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アキラは一人、Deep Skyにやって来ていた。
お店の中は今日も空いていて、かなり居心地がよかった。
そこにはいつも通り暇なのか、店番をしているソウラさんの姿があった。
「それで、アキラ。今日は如何したの?」
「如何もこうもって言いますか、なんと言うんでしょうか。このやるせない、心のモヤモヤ感」
「おやおや、これはこれは。さては、乙女の悩みの匂い!」
「いや、それは違うんですけどね」
「なーんだ。じゃあなに?」
「家具がなかったんですよ」
「・・・?」
ソウラは首を傾げた。
と言うか、フリーズしていた。
けれどペースを合わせるようにして、ソウラはアキラのペースに乗った。
「へぇー、えっ?」
「ギルドホームを買ったんです」
「ギルドホーム! それじゃあアキラたちもギルドを作ったのね。それじゃあNightともう一人誰かを加えたのかしら?」
「は、はい。私の親友です」
「親友! いい響きよね。爽快感があるって言うのかしらね」
「爽快?」
「そうそう、炭酸みたいな。しゅわっと、熱い」
「いやいや、炭酸に求めているのは冷たくて爽快感たっぷりな感じなので、熱いのは飲みたくないと思うんですけど?」
普通にツッコんでしまった。
すると白けてしまったらしい。
ソウラは真顔になって、アキラの顔色を窺う。
「それで、家具がないってどういうこと?」
「普通にテンション戻っちゃった。ごめんなさい、相談に乗って貰っているのに」
「別にいいわよ。私もノリでやってただけだから」
それにしては、かなりテンション高かった。
しかしそう言われてしまえば、それまでの話でしかない。
そこでアキラは気を取り直して、話を戻した。相談しに来た側が、いち早く話を戻すのがルールだ。
「はい。ギルドホームを買ったんですけど、家具がほとんどなくて。あっ、でも暖炉とかキッチンとかはあったんですよ。でもテーブルもなければ椅子もなくて、床にごろ寝って感じなんです」
「ごろ寝ねー。それはあんまり女の子としては、見せない方がいいかしらね」
「女の子しかいないんですけどね」
「モテモテじゃない」
「?」
「あっ、そこで白けるのね」
ソウラのボケは、アキラの真顔と疑問符の連鎖コンボに軽く打ち砕かれてしまった。
しかしアキラもそれを汲んでか、一応ツッコんでみようとした。
完全に後出しなので面白くもない。
「あー、えーっと、お、女の子にモテても仕方ないと思いますけど。あはは」
「そういうアキラは、女の子からバレンタインにチョコをもらったことは?」
「・・・友チョコなら?」
「はい、ロン!」
「ロン?」
「最近流行ってるのよ、百合系」
「百合? ネットスラングですか?」
完全に今日は噛み合っていない二人。
そんな二人は微妙な空気に支配されながらも、独自の立ち回りをしていた。
ソウラの先回りのボケを、アキラの回転の速さ、切り替えの早さで何とかで無理矢理補った。その結果がこれだ——
「「ふぅー。美味しい」」
二人はお茶を飲んでいた。
しかも緑茶だった。渋い。でも美味い。
だんだん落ち着いてきた気持ちを高ぶらせることは決してせず、後は流れるようだった。何も考えていない。
「じゃあ、うちで余っているものがないか聞いてみるわね」
「ありがとうございます」
「いいのよ。けみーはちょっと違うとして、ピーコにでも頼んでみましょうか」
「ピーコ?」
「woodpecker。キツツキの英語をもじって略したのよ。その子なら、きっと力になってくれると思うわ。お得意様だものね」
「ありがとうございます。じゃあそんな感じでお願いします、ソウラさん」
「はい、喜んで。毎度ありー」
静かだった。
とっても静かなムードだった。
今日はもう何もする気が起きないし、もう一度お茶を啜った。
「「うん。緑茶、美味しい」」
お店の中は今日も空いていて、かなり居心地がよかった。
そこにはいつも通り暇なのか、店番をしているソウラさんの姿があった。
「それで、アキラ。今日は如何したの?」
「如何もこうもって言いますか、なんと言うんでしょうか。このやるせない、心のモヤモヤ感」
「おやおや、これはこれは。さては、乙女の悩みの匂い!」
「いや、それは違うんですけどね」
「なーんだ。じゃあなに?」
「家具がなかったんですよ」
「・・・?」
ソウラは首を傾げた。
と言うか、フリーズしていた。
けれどペースを合わせるようにして、ソウラはアキラのペースに乗った。
「へぇー、えっ?」
「ギルドホームを買ったんです」
「ギルドホーム! それじゃあアキラたちもギルドを作ったのね。それじゃあNightともう一人誰かを加えたのかしら?」
「は、はい。私の親友です」
「親友! いい響きよね。爽快感があるって言うのかしらね」
「爽快?」
「そうそう、炭酸みたいな。しゅわっと、熱い」
「いやいや、炭酸に求めているのは冷たくて爽快感たっぷりな感じなので、熱いのは飲みたくないと思うんですけど?」
普通にツッコんでしまった。
すると白けてしまったらしい。
ソウラは真顔になって、アキラの顔色を窺う。
「それで、家具がないってどういうこと?」
「普通にテンション戻っちゃった。ごめんなさい、相談に乗って貰っているのに」
「別にいいわよ。私もノリでやってただけだから」
それにしては、かなりテンション高かった。
しかしそう言われてしまえば、それまでの話でしかない。
そこでアキラは気を取り直して、話を戻した。相談しに来た側が、いち早く話を戻すのがルールだ。
「はい。ギルドホームを買ったんですけど、家具がほとんどなくて。あっ、でも暖炉とかキッチンとかはあったんですよ。でもテーブルもなければ椅子もなくて、床にごろ寝って感じなんです」
「ごろ寝ねー。それはあんまり女の子としては、見せない方がいいかしらね」
「女の子しかいないんですけどね」
「モテモテじゃない」
「?」
「あっ、そこで白けるのね」
ソウラのボケは、アキラの真顔と疑問符の連鎖コンボに軽く打ち砕かれてしまった。
しかしアキラもそれを汲んでか、一応ツッコんでみようとした。
完全に後出しなので面白くもない。
「あー、えーっと、お、女の子にモテても仕方ないと思いますけど。あはは」
「そういうアキラは、女の子からバレンタインにチョコをもらったことは?」
「・・・友チョコなら?」
「はい、ロン!」
「ロン?」
「最近流行ってるのよ、百合系」
「百合? ネットスラングですか?」
完全に今日は噛み合っていない二人。
そんな二人は微妙な空気に支配されながらも、独自の立ち回りをしていた。
ソウラの先回りのボケを、アキラの回転の速さ、切り替えの早さで何とかで無理矢理補った。その結果がこれだ——
「「ふぅー。美味しい」」
二人はお茶を飲んでいた。
しかも緑茶だった。渋い。でも美味い。
だんだん落ち着いてきた気持ちを高ぶらせることは決してせず、後は流れるようだった。何も考えていない。
「じゃあ、うちで余っているものがないか聞いてみるわね」
「ありがとうございます」
「いいのよ。けみーはちょっと違うとして、ピーコにでも頼んでみましょうか」
「ピーコ?」
「woodpecker。キツツキの英語をもじって略したのよ。その子なら、きっと力になってくれると思うわ。お得意様だものね」
「ありがとうございます。じゃあそんな感じでお願いします、ソウラさん」
「はい、喜んで。毎度ありー」
静かだった。
とっても静かなムードだった。
今日はもう何もする気が起きないし、もう一度お茶を啜った。
「「うん。緑茶、美味しい」」
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