VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ユウ

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◇44 あからさまな広間

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  様々な思考がよぎる中、三人は最深部を目指して歩いていた。
 すると何処となく、道幅が広くなった気がする。
 そのことに気が付いたのは、やはりと言うか、Night。それからフェルノだった。

「あれれー? 何だか、少し道幅が広くなってきてない?」
「そうだな。見てみろ、先に洞窟の出口があるぞ」
「「出口!?」」
「ああ。だが、ただの出口じゃない。向こうが暗いということは、おそらくは次の空間が広がっているはずだ」
「そうなんだ!」
「じゃあさー、もしかして、モンスターがいるかもねー」
「そうだな。その可能性は比較的高いだろうな」

 Nightはそう言い切った。
 すると、ここまでモンスターみたいなものに出くわさなかったなと思い返した。
 人為的に作られたわけではないので、罠などはない。
 しかし、モンスターがいないのはどうしてだろうか? アキラたちは試行錯誤した。
 しかしNightには答えが見えている。

「おそらくこの洞窟にはオロチコンダしかいない」
「どうしてそう言い切れるの?」
「この洞窟の隙間を流れる液体。これは酸性の毒だ。この毒のせいで、おそらく他の生物は近づけないんだろうな」
「だったら、オロチコンダは自分の毒に耐性があるってこと?」
「おそらくな。そうでないのに、特性を理解できていないで、脅威になり得るか?」

 Nightは逆に聞き返した。
 けれど納得は行く。でも、圧倒的に強すぎる気がした。
 しかし、Nightには何か引っかかることがある。
 蛇の毒を如何やって体外に出しているんだ。


 早速洞窟の先に行くと、そこには広間が広がっていた。
 広間だから広いのは当たり前だが、天井が高すぎる。

「うわぁ! すっごい高い」
「めちゃくちゃ出そうじゃなかな? この雰囲気、それっぽいじゃんか」

 アキラとフェルノは興奮していた。
 しかしNightはかなり警戒しながらだった。
 しかし、アキラが踏み出した次の瞬間、急に雰囲気が変わった。
 壁に付いたヒカリゴケが薄っすら光って目印になるものの、三人は嫌な予感はして、その場を飛んだ。

「全員避けろ。何か来るぞ!」
「「うわぁ!」」

 二人もその声に反応して、その場を勢い良く後ろに飛んだ。
 アキラとNightは左側に、それから右側に避けたのはフェルノ。
 ちょうど真ん中をかき分けるみたいに、分割した。

「うわぁ、大丈夫フェルノ!」
「大丈夫大丈夫。そっちは如何なの?」
「こっちもなんとかねー。それより、Night。何見見えないよ?」
「声を出すな」

 Nightはすぐさまインベントリから木の棒を取り出すと、炎を付けた。
 すると、松明に早変わりした。
 明ルくなって、周りを見回すと、そこには紫色をした巨体が横たわる。
 まさかじゃない。これは、蛇の皮模様だ。

「嘘でしょ。大きすぎるって!」
「しかも粘液が付いている。まずい!」

 Nightはアキラを掴んだ。
 手にはワイヤーのように強靭な紐を持ち、その先端には、かぎ爪上状の銛のフックが付いていた。それを壁に叩きつけると、弾みをつけて移動する。ワイヤー銃みたいだったが、Nightの筋力が足りずに落ちた。

「「うわぁ!」」

 額をぶつけた。
 HPが少しずつ削れている。
 アキラとNightはそのまま起き上がるものの、何を感知したのか、気が付けば黄色いギョロっと動く瞳に睨まれていた。

「これがもしかして?」
「もしかしてもじゃない。こいつがオロチコンダだ」

 そこにいたのは、巨大な紫色をした蛇皮を持つ蛇。
 アキラとNightの姿を捉え、獲物を見つけたというべきか、体を上げて、アキラたちに襲い掛かる。

「うわぁ! や、やられる!」
「このっ!」

 Nightは松明を投げつけた。
 すると一瞬だけ、オロチコンダの視線が移りその隙に離脱する。
 何が起きたのか、一瞬困惑したもののすぐさまその目は追いかけてきた。
 二人はオロチコンダに蛇睨みされてしまった。
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