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◇43 蛇の胃袋
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蛇の胃袋と呼ばれる洞窟の入り口は、滝の裏側にあった。
そこには大きな洞窟がある。
まるで牙のように、生え揃った鍾乳石がある。
それが口のようだった。
「うわぁ、本当に口みたいだな」
「凄い。こんな形になるんだなー。不思議な地形だねー」
「そうだな。この辺りの鉱石を考えると、風化して削れたのか。浸食されたのは、随分昔のはずだが……」
「わかるの?」
「ここを見てみろ。水かさがあったのがわかるだろ」
確かに、少しだけ色味が異なっていた。
そこから判断するのは凄い。
三人は、揃って洞窟の中に突入すると、早速気づいたことがあった。
如何してオロチコンダを討伐できないのか、その理由の一つだ。
「あれ? 急に狭くなった」
「ほんとだー。如何する? 壊しちゃう?」
「馬鹿か。そんなことをしたら、この洞窟自体が崩落するだろ」
「それはそうだけど、急にルートに狭い道が出てきたんだよ?」
「おそらくこちらだな。広い方のルートが正解のはずだ」
Nightは地図など持っていなかった。
しかし迷ってしまうのは無理がない。
何せ、かなり入り組んでいて広い道から狭い道と様々だった。
一応迷わないように、目印を付けてはいるが、このままじゃ埒が明かない。そう思ったのはアキラで、色々見ていると、ふとこっちなんじゃないかと思う瞬間があった。
しかも誰も通らないような道だ。
「ねえねえ、こっちに行ってみようよ」
「アキラ、流石にそっちはない」
「如何して?」
「明らかに罠の匂いがするからだ」
「うーん。Night、ここは一回アキラの意見に従ってみようよ」
「何故だ?」
「こういう時のアキラの勘はかなりあてになるんだよ。ほぼ、確定ぐらい。騙されたと思ってさ、一回。一回だけ」
「なんだそのジンクスは。それにそのあてにならない話口調は、信じられないぞ」
とは言っても、Nightも意見を聞いてくれた。
その結果、アキラの選んだ道を選択して進んでいく。
すると広くて、明らかに正解の道に繋がった。
目をぱちぱち、瞬きの連続で、Nightは計算を疑った。
けれど二人が気付いていないことがあった。
それは洞窟のぬめり具合だった。その視線は、洞窟の下の方に向く。何かの死骸が溶けていた。
「でもさ、さっきからどんどん壁がぬめぬめしてない?」
「そうだよね。初めはこんなに濡れてなかったのに。何でだろ」
「さあねー。でも、触ってみたら、わかるかな?」
そう言いながら、壁に手を当てそうになるフェルノ。
しかしNightが突然叫んだ。
「触るな、フェルノ!」
「えっ!?」
急に言われて、手を離したフェルノ。
何事かと思い、瞬きを繰り返すが、Nightは短く説明した。
あくまで確証は薄い。
しかし、その感性は正しかった。
「如何したの、Night?」
「そうだよー。ちょっと触ろうとしただけなのに」
「お前たち絶対に触るなよ。この壁のぬめりは、酸性の毒を含んだ液だ。強力な、小川に流れていたものとは、わけが違う」
「「マジで!」」
Nightに言われて言葉を失った。
それもそのはず、Nightには一つの考えが生まれていた。
もし、この毒液の物理的な量が正しいルートを示しているのだとしたら、それにいち早く気づけたアキラの感覚は鋭い。そしてそれを信じたフェルノ。
その上、この毒性について気づけたNight。
それぞれ個性はバラバラで、全く相容れないようだったが、何か見えないもので繋がれているような、そんな感覚に陥っていた。
しかし言葉にはしない。
何故なら、気恥ずかしいから。そしてこの気持ちは内側にだけ残しておきたいと、思ったから。真に信じるものは、いつも見えないものだと、誰かが言う日が来るのかもしれない。
そこには大きな洞窟がある。
まるで牙のように、生え揃った鍾乳石がある。
それが口のようだった。
「うわぁ、本当に口みたいだな」
「凄い。こんな形になるんだなー。不思議な地形だねー」
「そうだな。この辺りの鉱石を考えると、風化して削れたのか。浸食されたのは、随分昔のはずだが……」
「わかるの?」
「ここを見てみろ。水かさがあったのがわかるだろ」
確かに、少しだけ色味が異なっていた。
そこから判断するのは凄い。
三人は、揃って洞窟の中に突入すると、早速気づいたことがあった。
如何してオロチコンダを討伐できないのか、その理由の一つだ。
「あれ? 急に狭くなった」
「ほんとだー。如何する? 壊しちゃう?」
「馬鹿か。そんなことをしたら、この洞窟自体が崩落するだろ」
「それはそうだけど、急にルートに狭い道が出てきたんだよ?」
「おそらくこちらだな。広い方のルートが正解のはずだ」
Nightは地図など持っていなかった。
しかし迷ってしまうのは無理がない。
何せ、かなり入り組んでいて広い道から狭い道と様々だった。
一応迷わないように、目印を付けてはいるが、このままじゃ埒が明かない。そう思ったのはアキラで、色々見ていると、ふとこっちなんじゃないかと思う瞬間があった。
しかも誰も通らないような道だ。
「ねえねえ、こっちに行ってみようよ」
「アキラ、流石にそっちはない」
「如何して?」
「明らかに罠の匂いがするからだ」
「うーん。Night、ここは一回アキラの意見に従ってみようよ」
「何故だ?」
「こういう時のアキラの勘はかなりあてになるんだよ。ほぼ、確定ぐらい。騙されたと思ってさ、一回。一回だけ」
「なんだそのジンクスは。それにそのあてにならない話口調は、信じられないぞ」
とは言っても、Nightも意見を聞いてくれた。
その結果、アキラの選んだ道を選択して進んでいく。
すると広くて、明らかに正解の道に繋がった。
目をぱちぱち、瞬きの連続で、Nightは計算を疑った。
けれど二人が気付いていないことがあった。
それは洞窟のぬめり具合だった。その視線は、洞窟の下の方に向く。何かの死骸が溶けていた。
「でもさ、さっきからどんどん壁がぬめぬめしてない?」
「そうだよね。初めはこんなに濡れてなかったのに。何でだろ」
「さあねー。でも、触ってみたら、わかるかな?」
そう言いながら、壁に手を当てそうになるフェルノ。
しかしNightが突然叫んだ。
「触るな、フェルノ!」
「えっ!?」
急に言われて、手を離したフェルノ。
何事かと思い、瞬きを繰り返すが、Nightは短く説明した。
あくまで確証は薄い。
しかし、その感性は正しかった。
「如何したの、Night?」
「そうだよー。ちょっと触ろうとしただけなのに」
「お前たち絶対に触るなよ。この壁のぬめりは、酸性の毒を含んだ液だ。強力な、小川に流れていたものとは、わけが違う」
「「マジで!」」
Nightに言われて言葉を失った。
それもそのはず、Nightには一つの考えが生まれていた。
もし、この毒液の物理的な量が正しいルートを示しているのだとしたら、それにいち早く気づけたアキラの感覚は鋭い。そしてそれを信じたフェルノ。
その上、この毒性について気づけたNight。
それぞれ個性はバラバラで、全く相容れないようだったが、何か見えないもので繋がれているような、そんな感覚に陥っていた。
しかし言葉にはしない。
何故なら、気恥ずかしいから。そしてこの気持ちは内側にだけ残しておきたいと、思ったから。真に信じるものは、いつも見えないものだと、誰かが言う日が来るのかもしれない。
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