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◇41 何も釣れない
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アキラたちは、揃って緩やかな小川に来ていた。
そこに他の人たちはおらず、完全に三人だけの世界が広がっている。
しかしだだっ広い草原に座り込み、木製の釣竿を投げ込んで以来、何の変化も起きていなかった。
それから小一時間が経とうとしていた。
「何にもかからないね」
「そうだねー、静かだよねー」
「糸がぴくぴくもしないんだけど」
「そうだよねー。全然、一ミリも動いていないよね」
「暇だよね。でもそれが釣りなんだよね」
「うーん。でもかからなすぎませんか? それで、この提案をしたNightさん、貴女はどんなー、お気持ちですか?」
フェルノは Nightを見た。
Nightだけは釣竿を垂らしてはいない。
先程からずっと、小川を一ミリも見ずに、持ってきた本を読んでいる。
しかも無言で、ピクリとも動かない。これって中身、入ってるのかな? と思いきや、Nightの目がギロッと動いた。
「何の話だ?」
「だってさっきから釣れないんだよー」
「釣れない? そんなの当たり前だろ。お前たち、この小川で魚の影が動いているのを見たか?」
「それは見てないけどさー。なー」
「うん。なんにも意味がない、小川に来るのかなって?」
「普通は来ないだろうな。そもそも、この小川に立ち入るような命知らず、他に聞いたことがない」
Nightは完全にそう言い切った。
まさかそんなことを言われてしまうとは思わなかった。
しかし、アキラもフェルノもまじまじと顔を見合わせ、もう一回Nightを見た。
するとパタン! と本を閉じた。
「はぁー。二人とも、この小川を見て何か違和感に気づかなかったのか?」
「違和感って? うーん、魚がいないことかな?」
「それは一つの証拠に過ぎない。では話し方を変えよう。この小川を見て、魚以外に思うところはないか?」
「えっ? うーん、ちょっと濁ってる?」
「あっ、それは思ってた。ちょっととろみがあるって言うか、何って言うんだろう。変に、汚れてないって言うか、そこが見えてるのかな?」
「そこに気づけたのは、大したものだな。確かに私が言いたいのは、そういう話だ。だったら種明かしをしよう、二人とも釣竿を上げてみろ」
二人は驚いたまま、釣竿を上げた。
半信半疑だったが、釣竿を上げると異変に気付いた。
糸がかなり脆く、細くなっていた。
先に付けた金属製の釣り針は黒くなり、ミミズが溶けている。これってどういうこと?
「うわぁ!」
「うげぇー。なんか汚いねー」
「そういう話だ。この小川には強力な酸性の毒が含まれている。その影響で、魚はおろか、私たちでさえ長時間つかれば、溶けてこうなる」
「そんなところにこんなにいたの!」
「匂いとか、大丈夫系?」
「それは心配ない。しかしその反応は予想以上に、よかったな。これから私達は、この元凶の一つを生み出した奴を片付けに行くんだ」
Nightは変に話しを始めた。
二人は割り込む余裕がなかった。
そこで話を聞くと、聞き慣れない単語が出てきた。
「この小川の上流には、滝があるらしい。その裏側には、蛇の胃袋と言う洞窟が広がっていて、その最奥にはオロチコンダと言う毒蛇がいるそうだ」
「「オロチコンダ?」」
「そうだ。大蛇とアナコンダの要素を取ってつけたらしい蛇のモンスターらしいが、強力な毒を持っているそうだ。本来アナコンダは毒はないんだがな。そこは適当ならしい」
「そこに目を向けちゃ駄目だと思うよ」
「それで、そのオロチコンダを討伐するってことか? できるのかよ」
「さあな。だが、それがこの依頼書に書いてある。まだ誰も達成していない、オロチコンダの討伐依頼だ」
そう言ってみせてくれたのは、ギルドの依頼書だった。
内容は『オロチコンダの討伐』。しかし、そんなことできるのかな、と悩んでしまうが、既に二人はやる気な様子で、アキラは乗せられてしまった。
そこに他の人たちはおらず、完全に三人だけの世界が広がっている。
しかしだだっ広い草原に座り込み、木製の釣竿を投げ込んで以来、何の変化も起きていなかった。
それから小一時間が経とうとしていた。
「何にもかからないね」
「そうだねー、静かだよねー」
「糸がぴくぴくもしないんだけど」
「そうだよねー。全然、一ミリも動いていないよね」
「暇だよね。でもそれが釣りなんだよね」
「うーん。でもかからなすぎませんか? それで、この提案をしたNightさん、貴女はどんなー、お気持ちですか?」
フェルノは Nightを見た。
Nightだけは釣竿を垂らしてはいない。
先程からずっと、小川を一ミリも見ずに、持ってきた本を読んでいる。
しかも無言で、ピクリとも動かない。これって中身、入ってるのかな? と思いきや、Nightの目がギロッと動いた。
「何の話だ?」
「だってさっきから釣れないんだよー」
「釣れない? そんなの当たり前だろ。お前たち、この小川で魚の影が動いているのを見たか?」
「それは見てないけどさー。なー」
「うん。なんにも意味がない、小川に来るのかなって?」
「普通は来ないだろうな。そもそも、この小川に立ち入るような命知らず、他に聞いたことがない」
Nightは完全にそう言い切った。
まさかそんなことを言われてしまうとは思わなかった。
しかし、アキラもフェルノもまじまじと顔を見合わせ、もう一回Nightを見た。
するとパタン! と本を閉じた。
「はぁー。二人とも、この小川を見て何か違和感に気づかなかったのか?」
「違和感って? うーん、魚がいないことかな?」
「それは一つの証拠に過ぎない。では話し方を変えよう。この小川を見て、魚以外に思うところはないか?」
「えっ? うーん、ちょっと濁ってる?」
「あっ、それは思ってた。ちょっととろみがあるって言うか、何って言うんだろう。変に、汚れてないって言うか、そこが見えてるのかな?」
「そこに気づけたのは、大したものだな。確かに私が言いたいのは、そういう話だ。だったら種明かしをしよう、二人とも釣竿を上げてみろ」
二人は驚いたまま、釣竿を上げた。
半信半疑だったが、釣竿を上げると異変に気付いた。
糸がかなり脆く、細くなっていた。
先に付けた金属製の釣り針は黒くなり、ミミズが溶けている。これってどういうこと?
「うわぁ!」
「うげぇー。なんか汚いねー」
「そういう話だ。この小川には強力な酸性の毒が含まれている。その影響で、魚はおろか、私たちでさえ長時間つかれば、溶けてこうなる」
「そんなところにこんなにいたの!」
「匂いとか、大丈夫系?」
「それは心配ない。しかしその反応は予想以上に、よかったな。これから私達は、この元凶の一つを生み出した奴を片付けに行くんだ」
Nightは変に話しを始めた。
二人は割り込む余裕がなかった。
そこで話を聞くと、聞き慣れない単語が出てきた。
「この小川の上流には、滝があるらしい。その裏側には、蛇の胃袋と言う洞窟が広がっていて、その最奥にはオロチコンダと言う毒蛇がいるそうだ」
「「オロチコンダ?」」
「そうだ。大蛇とアナコンダの要素を取ってつけたらしい蛇のモンスターらしいが、強力な毒を持っているそうだ。本来アナコンダは毒はないんだがな。そこは適当ならしい」
「そこに目を向けちゃ駄目だと思うよ」
「それで、そのオロチコンダを討伐するってことか? できるのかよ」
「さあな。だが、それがこの依頼書に書いてある。まだ誰も達成していない、オロチコンダの討伐依頼だ」
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