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◇40 火竜が吠えると燃え上がる2
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草原を駆け抜ける感覚。足の裏から全身を巡る鼓動。
私こと、フェルノは額から流れる綺麗な汗を浴びていた。
「うわぁ! めっちゃ気持ちいい! この世界も悪くないじゃんかー」
完全にハイになっていた。
全身を駆ける血液のビート。酸素を介して、包み込むのは、気持ちのいい感覚。
例えゲームの中だとしても、こうした体を動かせるのは面白い。私は素直な気持ちだった。
だけど、これからどうやって戦おう。Nightは戦えるって言ってくれたけど、どうやって戦うのかは流石にわからない。
「でもまあ、何とかなるでしょ!」
アキラやNightの役に立つためにも、頑張ろうって決めた。
すると私の拳が熱くなる。まるで熱を帯びたみたいで、ふと視線を落とすと、そこにあったのは、自分の腕なのは間違いない。しかしどこかおかしい、いや全部がおかしい。
フェルノの腕は、赤く、そして太く、それこそ竜の前脚のようになっていた。
「な、なにこれ!」
急ブレーキ仕様にも、それは無理な様子。
目の前には巨大なカエルがいて、近づいてきたフェルノには前もくれずだが、ギョロッと目が動いた。フェルノを見ている。
「これってヤバくない!?」
そう思った矢先、巨大カエル、ジャイアントフロッグの太くてぬるぬるの前脚が降りかかってきた。
まるでハエを潰すみたいに、スタンプしてくる。
フェルノは持ち前の反射神経と身体能力でレベル差を完全に補ったものの、勝ち手段がない。何せ武器がないからだ。
いや、武器はある。そのことに気が付いた。
「そっか、この腕を使えばいいんだ!」
ゲロッ!
カエルが鳴いた。
次の瞬間、大きな顎目掛けて、下から一点突破。フェルノの拳が付き上がった。
アッパーのようで、カエルをかち上げたのだった。完全に増している。
恐ろしいのはそれだけじゃない。
フェルノ自身も目を見開いた。
「うわぁ! 炎が出た!」
炎の拳。それは火竜の特権。
炎の拳は竜のかぎ爪とともに、ジャイアントフロッグを討伐した。そこには、炎の塔が出現し、まさにジャイアントキリングの瞬間だった。
だけど、本人はと言うと……
「あ、あれれ? も、もう終わり!」
完全にパニックだった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
一方その頃——
草原の小高い丘で座っていた、アキラとNight。
そんな二人の視界には、立ち上った炎の塔が見えていた。
「な、なにあれ!」
「やってるなー。見ろ、あの炎は火竜特有のものだ。にしても、やけに火力があるな。あれは竜種特有のものではないはずだが……凄い才能だ。熱意と言うやつか」
「うん。フェルノは昔から、燃えやすくて、冷めるってことがないから。なんでも楽しめる性格?」
「お前みたいだな」
「どういうこと!」
アキラは聞き返した。
あまりにレスポンスが早すぎて、耳を抑えるNight。しかしその様子は楽しそうで、悪い様子はなかった。
それからフェルノことだが、今のは種族スキルになる。
これこそが、ファイアー・ドレイクの【吸炎竜化】だった。
「炎を操る種族の中でも、特に強力な種族であり、単純な火力よりも他者の炎を奪い取ることができる。その点に尽きれば、あの種族以外で、炎を奪うことができる種族は少ないだろうな。それこそ、この状態になれば、竜の力が覚醒して、半竜化しているだろう」
「半竜化って?」
「竜種特有の竜化の力だ。お前の、【キメラハント】と同じだよ」
「なるほどー」
とても分かりやすかった。
ピコンと頭の電球を光らせ、納得する。手のひらを叩いてリアクションを取る間に、フェルノも戻ってきた。如何やら腑に落ちない様子で、しかめっ面だった。
私こと、フェルノは額から流れる綺麗な汗を浴びていた。
「うわぁ! めっちゃ気持ちいい! この世界も悪くないじゃんかー」
完全にハイになっていた。
全身を駆ける血液のビート。酸素を介して、包み込むのは、気持ちのいい感覚。
例えゲームの中だとしても、こうした体を動かせるのは面白い。私は素直な気持ちだった。
だけど、これからどうやって戦おう。Nightは戦えるって言ってくれたけど、どうやって戦うのかは流石にわからない。
「でもまあ、何とかなるでしょ!」
アキラやNightの役に立つためにも、頑張ろうって決めた。
すると私の拳が熱くなる。まるで熱を帯びたみたいで、ふと視線を落とすと、そこにあったのは、自分の腕なのは間違いない。しかしどこかおかしい、いや全部がおかしい。
フェルノの腕は、赤く、そして太く、それこそ竜の前脚のようになっていた。
「な、なにこれ!」
急ブレーキ仕様にも、それは無理な様子。
目の前には巨大なカエルがいて、近づいてきたフェルノには前もくれずだが、ギョロッと目が動いた。フェルノを見ている。
「これってヤバくない!?」
そう思った矢先、巨大カエル、ジャイアントフロッグの太くてぬるぬるの前脚が降りかかってきた。
まるでハエを潰すみたいに、スタンプしてくる。
フェルノは持ち前の反射神経と身体能力でレベル差を完全に補ったものの、勝ち手段がない。何せ武器がないからだ。
いや、武器はある。そのことに気が付いた。
「そっか、この腕を使えばいいんだ!」
ゲロッ!
カエルが鳴いた。
次の瞬間、大きな顎目掛けて、下から一点突破。フェルノの拳が付き上がった。
アッパーのようで、カエルをかち上げたのだった。完全に増している。
恐ろしいのはそれだけじゃない。
フェルノ自身も目を見開いた。
「うわぁ! 炎が出た!」
炎の拳。それは火竜の特権。
炎の拳は竜のかぎ爪とともに、ジャイアントフロッグを討伐した。そこには、炎の塔が出現し、まさにジャイアントキリングの瞬間だった。
だけど、本人はと言うと……
「あ、あれれ? も、もう終わり!」
完全にパニックだった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
一方その頃——
草原の小高い丘で座っていた、アキラとNight。
そんな二人の視界には、立ち上った炎の塔が見えていた。
「な、なにあれ!」
「やってるなー。見ろ、あの炎は火竜特有のものだ。にしても、やけに火力があるな。あれは竜種特有のものではないはずだが……凄い才能だ。熱意と言うやつか」
「うん。フェルノは昔から、燃えやすくて、冷めるってことがないから。なんでも楽しめる性格?」
「お前みたいだな」
「どういうこと!」
アキラは聞き返した。
あまりにレスポンスが早すぎて、耳を抑えるNight。しかしその様子は楽しそうで、悪い様子はなかった。
それからフェルノことだが、今のは種族スキルになる。
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「炎を操る種族の中でも、特に強力な種族であり、単純な火力よりも他者の炎を奪い取ることができる。その点に尽きれば、あの種族以外で、炎を奪うことができる種族は少ないだろうな。それこそ、この状態になれば、竜の力が覚醒して、半竜化しているだろう」
「半竜化って?」
「竜種特有の竜化の力だ。お前の、【キメラハント】と同じだよ」
「なるほどー」
とても分かりやすかった。
ピコンと頭の電球を光らせ、納得する。手のひらを叩いてリアクションを取る間に、フェルノも戻ってきた。如何やら腑に落ちない様子で、しかめっ面だった。
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