VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ユウ

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◇38 烈火の如く

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 いよいよだ。
 いよいよ今日、ここに親友がやって来る。
 私ことアキラは、『Creatures Union』に先にログインしていた。今はNightはいない。つまり私一人だ。

「でもどんな感じで来るんだろ。きっと、烈火は私みたいにヒューマンは選ばないんだろうなー」

 私はベンチに座って、笑っていた。
 今更だけど、私はこの選択を後悔していない。
 アキラは噴水広場の噴水の水が高く上がったのを見た。

「うわぁー」

 楽観的に気分を良くしていると、水飛沫が上がっただけで面白い。
 箸が転んでもおかしい年頃とかことわざはあるけれど、結局面白いことは面白い。特に気分がいい時になると、なんでも面白いって思っちゃう。
 アキラは噴水の上がった水の中に虹ができていたのを凝視した。
 綺麗な虹だ。アキラは口をポカーンと開けていた。
 すると、何処からともなく声がした。ような気がした。

「やっほー、アキラ」
「えっ!?」

 ふと顔を上げると、そこには見慣れない子がいた。
 赤い髪の女の子だった。頭の上に黄色いリボンが付いていた。それから白い角がある。二本角が生えていた。竜の角だ。
 だけど顔は見慣れている。
 その表情は垢抜けていて、いつもみたいに、ニカッと笑っていた。きっとそうなんだよね。

「もしかして、烈火?」
「うん。お待たせー、アキラ。ちなみにこっちだと、私の名前はフェルノだから。そこんとこ、よろしくーってことで」

 何だろこの感覚。やっぱり烈火は烈火だ。
 何処にいても、どんなことがあっても、どれだけへこたれても、烈火は烈火のままで、垢抜けた感じと、全力の闘志がふつふつと炎のように燃え滾る。まるで焚火の火のようで、薪をくべればくべるほど、メラメラと音を立てて燃え上がっていく印象だ。
 計り知れないものがある。だけどそれはNightも同じで、烈火とは中学の頃からの親友だけど、こうして少し姿が変わって見えても、何も変わらないのが素敵だった。
 ってなに言ってんだ私。とアキラはふと一人笑ってしまった。

「えーっと、それでフェルノだっけ?」
「そうそう。インフェルノのフェルノ」
「インフェルノ?」
「烈火だからね。烈火の如く、どんどんメラメラ燃えてくよ。と言うわけで、これからもよろしくってことで、いっちょ行ってみよー!」
「う、うん。まあ相変わらずってことで、よろしくフェルノ」
「こっちもね、アキラ」

 二人は拳を突き出した。
 アキラとフェルノの何だか歯痒くて熱い友情。少年漫画か! と言いたくなるツッコみどころのシーンだけど、周りは面白いものを見たとしか思っていない。
 そんな中で、ふと二人は我に返った。
 それは急に声を掛けられたからだ。そこにいたのは、やっぱりこの子しかいない。

「何やってるんだ公衆の面前で。ありきたりな王道シーンを繰り広げるな」
「そのツッコみはちょっと違くない?」
「うん、それはないと思うよNight」
「私が否定されるのか?」
「「うん」」
「不条理だ!」

 高らかなツッコみ。
 こっちの方がちょっとインパクトがあって強かった。きっとこっちの方が持ってくるにはよかったと思うんだけど、それはアキラの胸の中に仕舞っておく。
 と言うわけで、Nightの謎の叫びは一旦置いておくとして、ここに烈火がやって来た。それでいい。
 と言うわけで、私とフェルノは速やかにフレンド登録と、パーティー加入を認めた。
 申請を行ったのは、当然アキラだ。Nightはフェルノとその間にフレンド申請を送っていたのが、ちらっと見えた。

 これからやることは決まっていない。
 だけどとりあえず、烈火は暴れたかった。
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