上 下
30 / 556

◇30 青いゴースト1

しおりを挟む
 青白い靄。階段のフロアに佇んで、アキラたちを見ている。
 見下ろしているのが正しい、しかし姿形はなく、何にもしてこない。それも、攻撃をしてこないんだ。こんな不思議なことあるのかな? だって相手は敵対反応すら示していないのに、モンスター? の表記が出ている。

「Night? あれ、なにかな」
「知らないな。前に来たときは、あんなものはいなかった」

 アキラにNightは答えた。不安になることだ。
 普通に考えれば、同じダンジョンには、同じようなモンスターが現れるのが定石のはず。Nightが話したのは、そんな当たり前なシステムだった。でもこんなことがあるなんて、二人は硬直してその場から動けなかった。これもパターンの模索だと、Nightはアキラに伝えていた。

「いいか、アキラ。動くなよ」
「如何して? 動かないと、やられちゃうよ」
「向こうは何もしてこないんだ。動かないのが、吉と見た。それに動く行為が、向こうのパターンの可能性だってある」

 Nightの見立てはそんなところだった。
 けれどまだ確証はない。そこでNightは、落ちていたタイルの破片を取り上げると、投げつけた。タイルは、青白いものをすり抜ける。

「すり抜けたな」
「すり抜けたね」

 アキラとNightは淡々としていた。
 青白いものは、すり抜けただけで攻撃してこない。もしかして大丈夫なのかな? アキラは首を傾げつつ、Nightをチラ見し、一歩を踏み出そうとした。すると、

「うわぁ!」

 青白い何かが飛んできた。
 鋭い光弾となってアキラの歩いたタイルを焼いた。これは敵対行為だ。本当に、攻撃してくるなんて、まさかこんなことになるなんて。アキラはこめかみから、汗を流した。ちょっと怖い。

「ま、まさか本当に攻撃してきちゃった」
「大丈夫だ」
「Night!」

 すぐ隣にいるNightがいつも以上に頼もしい。
 彼女の手の中には、十字架のような剣がある。完全に敵対意識を向けていた。剣を抜くのはNightだけじゃない、私も剣を抜き、アキラは戦う意識を定めた。

「Night、どうするの?」
「問題ない。互いに左右から行くぞ、聖水は塗っておけ」
「わ、わかった」

 聖水を使う時が来た。インベントリの中から取り出すと、アキラは剣の刀身に浸した。
 ぽたぽたと零れだす。だけどモンスターは、聖水を見ているうちに何かを悟ったのか、足っぽいものが、後退した。もしかして、びびってるのかな? アキラは、一人で試行錯誤していたけど、すぐに前に出ることにしたんだ。

「私は右だ。お前は左から行け」
「オッケー」

 ロングソードには、聖水が。十字架の剣には、何も塗っていない。
 私とNightは距離を詰めながら、階段の一段目に足先を駆けると、モンスターは体を変に歪ませて、アキラたちを襲ったんだ。

 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結済み】VRゲームで遊んでいたら、謎の微笑み冒険者に捕獲されましたがイロイロおかしいです。<長編>

BBやっこ
SF
会社に、VRゲーム休があってゲームをしていた私。 自身の店でエンチャント付き魔道具の売れ行きもなかなか好調で。なかなか充実しているゲームライフ。 招待イベで魔術士として、冒険者の仕事を受けていた。『ミッションは王族を守れ』 同僚も招待され、大規模なイベントとなっていた。ランダムで配置された場所で敵を倒すお仕事だったのだが? 電脳神、カプセル。精神を異世界へ送るって映画の話ですか?!

VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

超ゲーム初心者の黒巫女召喚士〜動物嫌われ体質、VRにモフを求める〜

ネリムZ
SF
 パズルゲームしかやった事の無かった主人公は妹に誘われてフルダイブ型VRゲームをやる事になった。  理由としては、如何なる方法を持ちようとも触れる事の出来なかった動物達に触れられるからだ。  自分の体質で動物に触れる事を諦めていた主人公はVRの現実のような感覚に嬉しさを覚える。  1話読む必要無いかもです。  個性豊かな友達や家族達とVRの世界を堪能する物語〜〜なお、主人公は多重人格の模様〜〜

また、つまらぬものを斬ってしまった……で、よかったっけ? ~ 女の子達による『Freelife Frontier』 攻略記

一色 遥
SF
運動神経抜群な普通の女子高生『雪奈』は、幼なじみの女の子『圭』に誘われて、新作VRゲーム『Freelife Frontier(通称フリフロ)』という、スキルを中心としたファンタジーゲームをやることに。 『セツナ』という名前で登録した雪奈は、初期スキルを選択する際に、0.000001%でレアスキルが出る『スーパーランダムモード』(リセマラ不可)という、いわゆるガチャを引いてしまう。 その結果……【幻燈蝶】という謎のスキルを入手してしまうのだった。 これは、そんなレアなスキルを入手してしまった女の子が、幼なじみやその友達……はたまた、ゲーム内で知り合った人たちと一緒に、わちゃわちゃゲームを楽しみながらゲーム内トップランカーとして走って行く物語!

チート級スキルを得たゲーマーのやりたいことだけするVRMMO!

しりうす。
ファンタジー
VRゲーム【Another world・Online】βテストをソロでクリアした主人公──────雲母八雲。 βテスト最後のボスを倒すと、謎のアイテム【スキルの素】を入手する。不思議に思いつつも、もうこのゲームの中に居る必要はないためアイテムの事を深く考えずにログアウトする。 そして、本サービス開始時刻と同時に【Another world・Online】にダイブし、そこで謎アイテム【スキルの素】が出てきてチート級スキルを10個作ることに。 そこで作ったチート級スキルを手に、【Another world・Online】の世界をやりたいことだけ謳歌する! ※ゆるーくやっていくので、戦闘シーンなどの描写には期待しないでください。 ※処女作ですので、誤字脱字、設定の矛盾などがあると思います。あったら是非教えてください! ※感想は出来るだけ返信します。わからない点、意味不明な点があったら教えてください。(アンチコメはスルーします)

Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~

NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。 「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」 完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。 「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。 Bless for Travel そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。

【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組

瑞多美音
SF
 福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……  「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。  「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。  「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。  リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。  そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。  出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。      ○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○  ※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。  ※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。

処理中です...