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◇24 パーティーを組んだ
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アキラはログインした。
そこは何の変哲もない町並みが広がっていて、いつもとさほども変わらない。
しかし一つ違うのは、フレンド欄に載っているblue nightの文字。
赤くビックリマークが点灯し、メッセージが送られてきた。
『今何処にいる。もう、ログインしているのか?』
簡潔で特に目立ったことはない文脈。
しかしアキラはそれを見ると嬉しくて、ニコッと口角が緩んだ。
だって、このゲームで初めてのフレンド。そして、
『ログインしてるよ。スタットの噴水広場』
〈スタット〉の町。
最初に私達が降りるのは、この町で、始まりの町だから、スタートを短くして、スタットなんだ。
その町の綺麗な噴水広場。ごみ一つ落ちていないで、美化に厳しかった。
「この広場、いつ来ても本当に綺麗。それに噴水も……」
「噴水もなんだ」
後ろから聞こえた簡潔な話口調。
振り返れば、そこにいたのは赤い瞳と青い瞳を持つ、銀髪の女の子。
背丈は私より少し低いぐらいで、黒のブラウスが、よく映える。
おまけに全身を黒で着飾っていて、靴の先まで黒かった。
それこそ吸血鬼。上から羽織ったマントが、より一層吸血鬼感を演出する。
「おはよう、Night。昨日はごめんね」
「何がだ?」
「だから、帰りのことだよ。リムジンが停まってたけど、あれって……」
「あれはたまたまだ。うちのメイドが偶然通りがかった際に、駅まで迎えに来てくれただけだ」
「そうなんだ」
「引っかからないんだな」
「なにが?」
アキラは鈍感だった。
いや、意識が切り替わっていない感じで、心ここにあらずって感じだった。いやいや、でも本当はただスルーしていたわけでもなく、それこそ意識して聞いていなかっただけだ。
それをNightは不思議に思ったんだろう。
そのせいで、瞬きを繰り返してしまい、長めの溜息を吐き出した。
「お前はどういう神経をしているんだ。ツッコみどころしか、なかっただろ」
「そうかな? もしかして、リムジンのこと?」
「そうだ。普通気になるだろ」
「うーん。私は気にならないけど、もしかしてNightの家ってお金持ちなの?」
逆に直球。その方が気持ちがよかった。
何の気もなしに聞いて来て、無関心なアキラにはNightも驚かされてばかりだ。
「一応な。だが、こう見えて私も……」
「私も?」
アキラとNightの間に、微妙な空気が流れる。
だけど歪みではなく、不思議な違和感もなかった。
だからこそ、Nightは何の気なしに、「また今度な」と軽く返答した。
「そんなことよりもさ、パーティー組んでくれるんだよね?」
「仕方ないな。それで何処に行くんだ」
「何処って?」
アキラは首を傾げる。
するとNightもゆっくり振り返り、頭を抱えると、またもや溜息。
「なにも予定がないのか」
「うん、ないよ」
「そんなにはっきり言わなくてもいいだろ。そうだな、うーん。とりあえず草原にでも行くぞ」
「草原?」
如何して草原なんだろう。
Nightは何も言わずに、腰のベルトに手を当てると、そのまま歩き出してしまった。
こう見えても、アキラは運がいい。
だから行き当たりばっかりでもなんとかなるが、Nightは計画を練って行動するタイプだった。
そんな凸凹コンビは、とりあえず、草原に当てもなく向かっていたんだ。
だけどそれがまた面白くて、二人も嫌ではなかった。
そこは何の変哲もない町並みが広がっていて、いつもとさほども変わらない。
しかし一つ違うのは、フレンド欄に載っているblue nightの文字。
赤くビックリマークが点灯し、メッセージが送られてきた。
『今何処にいる。もう、ログインしているのか?』
簡潔で特に目立ったことはない文脈。
しかしアキラはそれを見ると嬉しくて、ニコッと口角が緩んだ。
だって、このゲームで初めてのフレンド。そして、
『ログインしてるよ。スタットの噴水広場』
〈スタット〉の町。
最初に私達が降りるのは、この町で、始まりの町だから、スタートを短くして、スタットなんだ。
その町の綺麗な噴水広場。ごみ一つ落ちていないで、美化に厳しかった。
「この広場、いつ来ても本当に綺麗。それに噴水も……」
「噴水もなんだ」
後ろから聞こえた簡潔な話口調。
振り返れば、そこにいたのは赤い瞳と青い瞳を持つ、銀髪の女の子。
背丈は私より少し低いぐらいで、黒のブラウスが、よく映える。
おまけに全身を黒で着飾っていて、靴の先まで黒かった。
それこそ吸血鬼。上から羽織ったマントが、より一層吸血鬼感を演出する。
「おはよう、Night。昨日はごめんね」
「何がだ?」
「だから、帰りのことだよ。リムジンが停まってたけど、あれって……」
「あれはたまたまだ。うちのメイドが偶然通りがかった際に、駅まで迎えに来てくれただけだ」
「そうなんだ」
「引っかからないんだな」
「なにが?」
アキラは鈍感だった。
いや、意識が切り替わっていない感じで、心ここにあらずって感じだった。いやいや、でも本当はただスルーしていたわけでもなく、それこそ意識して聞いていなかっただけだ。
それをNightは不思議に思ったんだろう。
そのせいで、瞬きを繰り返してしまい、長めの溜息を吐き出した。
「お前はどういう神経をしているんだ。ツッコみどころしか、なかっただろ」
「そうかな? もしかして、リムジンのこと?」
「そうだ。普通気になるだろ」
「うーん。私は気にならないけど、もしかしてNightの家ってお金持ちなの?」
逆に直球。その方が気持ちがよかった。
何の気もなしに聞いて来て、無関心なアキラにはNightも驚かされてばかりだ。
「一応な。だが、こう見えて私も……」
「私も?」
アキラとNightの間に、微妙な空気が流れる。
だけど歪みではなく、不思議な違和感もなかった。
だからこそ、Nightは何の気なしに、「また今度な」と軽く返答した。
「そんなことよりもさ、パーティー組んでくれるんだよね?」
「仕方ないな。それで何処に行くんだ」
「何処って?」
アキラは首を傾げる。
するとNightもゆっくり振り返り、頭を抱えると、またもや溜息。
「なにも予定がないのか」
「うん、ないよ」
「そんなにはっきり言わなくてもいいだろ。そうだな、うーん。とりあえず草原にでも行くぞ」
「草原?」
如何して草原なんだろう。
Nightは何も言わずに、腰のベルトに手を当てると、そのまま歩き出してしまった。
こう見えても、アキラは運がいい。
だから行き当たりばっかりでもなんとかなるが、Nightは計画を練って行動するタイプだった。
そんな凸凹コンビは、とりあえず、草原に当てもなく向かっていたんだ。
だけどそれがまた面白くて、二人も嫌ではなかった。
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