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◇22 駅前広場の出会い
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放課後。
時間はあっという間に経っていて、午後の授業はいつの間にか終わってしまっていたらしい。気づかぬ合間に終わっていたのに、ノートだけは丁寧に取ってあって、不思議と意識だけははっきりとしていたみたいだ。
「あ、あれれ? もう終わり」
「そうだよー。ってことで、私は部活なんだけど、もう帰るの?」
「うーん。そうだなー」
ちょっと今日は寄って帰らないといけないところがあるので、先にそっちによることにした。
それを伝えると、納得してくれたのか、「そっかー」と名残惜しそう。
そりゃ、これから部活で、烈火はシングルスに出るから、特にビシバシって感じみたいで、毎日疲れた顔をしている。
それを知っているからこそ、明輝は余計な励ましよりも、「そっかー」と、オウム返しにして返す方が多くなっていた。
烈火もそれを気付いているのか、あからさまに気怠い雰囲気は出さない。
もともと烈火は常人離れした運動能力と、それをものともしない強靭な精神力を持っている。馬鹿みたいな体力もその過程でついたもので、明輝はそれこそ何も心配していなかった。
こんなに華奢に見えるのに、腕は意外に太くて、脂肪はなくほとんどが無駄を省いた筋肉なところがちょっぴり、気持ち悪いけど、別に個人の感想だ。
と言うことで、
「じゃあ烈火、また明日」
「はいはい。また明日。って、思い出した。明輝、私もう少ししたらゲームするから。その時はリードしてねー」
「うん。上手くいくかはわかんないけど」
「まあ何とかなるよ。じゃそう言うことでー」
それを聞いていた明輝は、烈火がとことん楽観的なことを再確認した。
リュックを背負い、明輝も教室を後にする。
今日は寄るところがある。それは何処か、もちろん決まっていた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
やって来ていたのは駅前。
時刻はもう夕方で、それは夕焼け模様。山の向こうの雲は、所々が欠けていて、もやっとしていた。
そんな中、駅前のスーパーから出てきた明輝は、リュックの中身を重くしていたんだ。
中には、今日買った食材が入っている。
「うん。やっぱりここは安い」
今日はこのスーパーの特売日。
別にお金に余裕がないわけでも、そこまで高いわけでもないけど、安くていいものに越したことはない。
そこで中学の頃から明輝は、こんな生活を続けていた。料理は上手くならないが。
「さてと、後は家に帰るだけだけど。結構遅くなっちゃったなー」
まさか卵争奪戦争になるなんて。
こんなことになること、今の時代はない。ただ産地直送の、二黄卵が、こんな安く買えるなんて珍しいんだ。これは参加せざるおえない。
「これで明日のお弁当はちょっとボリュームが増すぞー」
明輝は上の空だった。
そんな中。駅前広場の時計の前を通りかけたところで、ふとよそ見をしていたのか、明輝は、
ドカァ!——
歩いた他の子とぶつかってしまった。
それに反射してか、
「うわぁ!」
明輝は声を上げるが、反対にもう一人の子。同い年ぐらいの少女は、何も言わなかった。
にも拘らず、手には本が握られていたのか、文庫が落ちている。
如何やらお互いによそ見をしていたらしい。
「いたた。大丈夫ですか?」
「ああ。なんともない。それより、そっちは」
「私は大丈夫だよ。あれ?」
「ん?」
ほぼ同時に顔を上げた。
すると明輝は何か違和感に気が付いた。
少女の顔は何も変なところはない。
色白の肌。自分よりも華奢で、少し背が低い。着ている制服は、御鷹高校と同じ地区にある進学校、来栖高校のものだった。
少女はなぜ自分の顔を見て回し、じろじろと凝視するのか、不思議でたまらなかったが、すぐにタイルの上に透明な青いカラーコンタクトが落ちていることに気が付いた。
それを何故か隠すように拾い上げ、制服のポケットに突っ込むも、少女は目を覆う頃には、すでに顔を赤くしていた。
だけど、
「その目、可愛いね。それにとってもカッコいいよ」
明輝は少女に声を掛けた。
そこにいる少女は、その言葉を聞くと、ハッとなったみたいだ。
時間はあっという間に経っていて、午後の授業はいつの間にか終わってしまっていたらしい。気づかぬ合間に終わっていたのに、ノートだけは丁寧に取ってあって、不思議と意識だけははっきりとしていたみたいだ。
「あ、あれれ? もう終わり」
「そうだよー。ってことで、私は部活なんだけど、もう帰るの?」
「うーん。そうだなー」
ちょっと今日は寄って帰らないといけないところがあるので、先にそっちによることにした。
それを伝えると、納得してくれたのか、「そっかー」と名残惜しそう。
そりゃ、これから部活で、烈火はシングルスに出るから、特にビシバシって感じみたいで、毎日疲れた顔をしている。
それを知っているからこそ、明輝は余計な励ましよりも、「そっかー」と、オウム返しにして返す方が多くなっていた。
烈火もそれを気付いているのか、あからさまに気怠い雰囲気は出さない。
もともと烈火は常人離れした運動能力と、それをものともしない強靭な精神力を持っている。馬鹿みたいな体力もその過程でついたもので、明輝はそれこそ何も心配していなかった。
こんなに華奢に見えるのに、腕は意外に太くて、脂肪はなくほとんどが無駄を省いた筋肉なところがちょっぴり、気持ち悪いけど、別に個人の感想だ。
と言うことで、
「じゃあ烈火、また明日」
「はいはい。また明日。って、思い出した。明輝、私もう少ししたらゲームするから。その時はリードしてねー」
「うん。上手くいくかはわかんないけど」
「まあ何とかなるよ。じゃそう言うことでー」
それを聞いていた明輝は、烈火がとことん楽観的なことを再確認した。
リュックを背負い、明輝も教室を後にする。
今日は寄るところがある。それは何処か、もちろん決まっていた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
やって来ていたのは駅前。
時刻はもう夕方で、それは夕焼け模様。山の向こうの雲は、所々が欠けていて、もやっとしていた。
そんな中、駅前のスーパーから出てきた明輝は、リュックの中身を重くしていたんだ。
中には、今日買った食材が入っている。
「うん。やっぱりここは安い」
今日はこのスーパーの特売日。
別にお金に余裕がないわけでも、そこまで高いわけでもないけど、安くていいものに越したことはない。
そこで中学の頃から明輝は、こんな生活を続けていた。料理は上手くならないが。
「さてと、後は家に帰るだけだけど。結構遅くなっちゃったなー」
まさか卵争奪戦争になるなんて。
こんなことになること、今の時代はない。ただ産地直送の、二黄卵が、こんな安く買えるなんて珍しいんだ。これは参加せざるおえない。
「これで明日のお弁当はちょっとボリュームが増すぞー」
明輝は上の空だった。
そんな中。駅前広場の時計の前を通りかけたところで、ふとよそ見をしていたのか、明輝は、
ドカァ!——
歩いた他の子とぶつかってしまった。
それに反射してか、
「うわぁ!」
明輝は声を上げるが、反対にもう一人の子。同い年ぐらいの少女は、何も言わなかった。
にも拘らず、手には本が握られていたのか、文庫が落ちている。
如何やらお互いによそ見をしていたらしい。
「いたた。大丈夫ですか?」
「ああ。なんともない。それより、そっちは」
「私は大丈夫だよ。あれ?」
「ん?」
ほぼ同時に顔を上げた。
すると明輝は何か違和感に気が付いた。
少女の顔は何も変なところはない。
色白の肌。自分よりも華奢で、少し背が低い。着ている制服は、御鷹高校と同じ地区にある進学校、来栖高校のものだった。
少女はなぜ自分の顔を見て回し、じろじろと凝視するのか、不思議でたまらなかったが、すぐにタイルの上に透明な青いカラーコンタクトが落ちていることに気が付いた。
それを何故か隠すように拾い上げ、制服のポケットに突っ込むも、少女は目を覆う頃には、すでに顔を赤くしていた。
だけど、
「その目、可愛いね。それにとってもカッコいいよ」
明輝は少女に声を掛けた。
そこにいる少女は、その言葉を聞くと、ハッとなったみたいだ。
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