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◇12 初めてのクエスト
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明輝はアキラとしてログインしていた。
しかし今日はいつもと違う。
って、昨日始めたばっかりなんだけどね。
ちなみに何が違うのか。
今回は、クエストを受けることにしていた。
「えーっと、確かこっちだよね」
森にやって来た。
とは言っても、ここは昨日の森とは違う。
昨日来た森が、初心者向けだとしたら、今回はやや初心者向けだった。
つまり、
「あー、如何しよう。わかんない。私、方向音痴じゃないのになー」
マップを見てもよくわからない。
如何してかって? アキラが今いるのは、『やや迷森』だからだ。
えーっと、その。かなり読みにくい。
顔を顰めた。
もう一度読み返してみる。
「えーっと、めいしん、でいいのかな?」
なにがめいしんなんだろ。頓智みたいに、ふと思いついた。
しかしアキラは気にしない。
結局、名前は関係あるけど、今回のクエストはこの森にあるっていう、天然炭木っていう名前の木があるらしい。
その枝を持ってきてほしいとのことだった。
「うーん。天然炭木って一体何だろ。如何やって使うのかな?」
もしかして、炭木ってことは燃やすのかな。
だったら、結構使い道があるかも。
炭って、焼肉屋さんとかでよく使われる、いい肉のやつだけど、やっぱり炭って匂いとかがいいし、構造的に穴が空いている? から、汚れとかも取れるのかな?
よくわからないけどさ。
「でもさ、他に人がいないのは如何して?」
やけに人気が少ない。いや、全くない。
ここまで誰にも会わなかったアキラは、まるで自分だけが世界の何処かに、迷い込んで孤立してしまったみたいな感覚に苛まれてしまっていた。
不安だ。とても不安だった。
せめて、スライムでも言いからモンスターの一匹でも出てきてほしいと心から思っていた。
けれどその期待は空しく、まるで泡のように消された。
だけどこここそが、アキラの本領発揮。
切り替えの早さを見せつけて、頬をバチンと叩いた。
「よし、ここは気合入れて……クンクンクン。あれ? この匂いって」
鼻腔をくすぐるような香りの高い匂い。
ここから離れたところからした。
「こっちからするけど。うへぇうへぇ! すっごい強い」
匂いが充満していた。
森中の木々を覆いつくそうとしているみたいな、そんな感じだった。
「こっちからした気がするんだけど、うわぁ!」
突飛な声を上げた。
アキラはモンスターに襲われてしまった。
アキラを襲ったのは、灰色の毛並みのオオカミ。
「このっ!」
突然だったからか、【キメラハント】で奪った【甲蟲】のスキルを発動した。
緑色の武者の籠手。
それを使って無理矢理鋭い牙をガードして、力任せに投げ飛ばす。
ワフッ!
オオカミのモンスター、なんとレベルは8。
名前はグレーウルフで、シンプルで覚えやすい。だけどその実力は、あくまでレベルだけだとアキラより少し上。しかし、牙を受け付けない籠手があるんだ。ダメージはない……はずだよね。
「何でこんなところに、オオカミがいるんだろ」
ここは森だ。
少しメルヘンに考えると、オオカミの一匹や二匹、ファンタジー世界のゲームで登場してもおかしくない。だけど考えにくいのは、一匹ってこと。
そこまで詳しくないけど、オオカミって一匹じゃないらしい。
普通は群れを作る生き物で、群れじゃないのは追い出されたオス。つまり、一匹オオカミになる。
けれど、ことわざで一匹オオカミとかあるけど、オオカミはその生態から一匹は弱い。
群れを作る生き物から、その要素を失えばどうなる? 簡単だ。弱くなる。
つまり孤独になるんだ。
そんなモンスターを目の前にして、アキラはこう思った。
「ごめん。あんまり戦うの好きじゃないけど、逃げないんだったら、こっちも容赦はしないからね」
大きく動けるグレーウルフと違って、横やりが入らないか気を配りながらだ。
小さく前かがみになる。自然体に入った。
それから拳を前に突き出すと、アキラの目の色が変わる。
「【キメラハント】、十分行けるよね」
まるで意味のない掛け合い。
やっぱりアキラはこうでないといけない。従来の切り替えの早さとの見込みの早さ。二つの早さが交じり合ったことで、アキラはすんなり受け入れにかかった。
それはここがゲームだからだろうか。
繰り出されて拳は、鈍い音を静観とさせ、グレーウルフに挑むのだった。
だけどグレーウルフも不思議と、やる気十分。
一人と一匹は戦い始めたみたいだ。
しかし今日はいつもと違う。
って、昨日始めたばっかりなんだけどね。
ちなみに何が違うのか。
今回は、クエストを受けることにしていた。
「えーっと、確かこっちだよね」
森にやって来た。
とは言っても、ここは昨日の森とは違う。
昨日来た森が、初心者向けだとしたら、今回はやや初心者向けだった。
つまり、
「あー、如何しよう。わかんない。私、方向音痴じゃないのになー」
マップを見てもよくわからない。
如何してかって? アキラが今いるのは、『やや迷森』だからだ。
えーっと、その。かなり読みにくい。
顔を顰めた。
もう一度読み返してみる。
「えーっと、めいしん、でいいのかな?」
なにがめいしんなんだろ。頓智みたいに、ふと思いついた。
しかしアキラは気にしない。
結局、名前は関係あるけど、今回のクエストはこの森にあるっていう、天然炭木っていう名前の木があるらしい。
その枝を持ってきてほしいとのことだった。
「うーん。天然炭木って一体何だろ。如何やって使うのかな?」
もしかして、炭木ってことは燃やすのかな。
だったら、結構使い道があるかも。
炭って、焼肉屋さんとかでよく使われる、いい肉のやつだけど、やっぱり炭って匂いとかがいいし、構造的に穴が空いている? から、汚れとかも取れるのかな?
よくわからないけどさ。
「でもさ、他に人がいないのは如何して?」
やけに人気が少ない。いや、全くない。
ここまで誰にも会わなかったアキラは、まるで自分だけが世界の何処かに、迷い込んで孤立してしまったみたいな感覚に苛まれてしまっていた。
不安だ。とても不安だった。
せめて、スライムでも言いからモンスターの一匹でも出てきてほしいと心から思っていた。
けれどその期待は空しく、まるで泡のように消された。
だけどこここそが、アキラの本領発揮。
切り替えの早さを見せつけて、頬をバチンと叩いた。
「よし、ここは気合入れて……クンクンクン。あれ? この匂いって」
鼻腔をくすぐるような香りの高い匂い。
ここから離れたところからした。
「こっちからするけど。うへぇうへぇ! すっごい強い」
匂いが充満していた。
森中の木々を覆いつくそうとしているみたいな、そんな感じだった。
「こっちからした気がするんだけど、うわぁ!」
突飛な声を上げた。
アキラはモンスターに襲われてしまった。
アキラを襲ったのは、灰色の毛並みのオオカミ。
「このっ!」
突然だったからか、【キメラハント】で奪った【甲蟲】のスキルを発動した。
緑色の武者の籠手。
それを使って無理矢理鋭い牙をガードして、力任せに投げ飛ばす。
ワフッ!
オオカミのモンスター、なんとレベルは8。
名前はグレーウルフで、シンプルで覚えやすい。だけどその実力は、あくまでレベルだけだとアキラより少し上。しかし、牙を受け付けない籠手があるんだ。ダメージはない……はずだよね。
「何でこんなところに、オオカミがいるんだろ」
ここは森だ。
少しメルヘンに考えると、オオカミの一匹や二匹、ファンタジー世界のゲームで登場してもおかしくない。だけど考えにくいのは、一匹ってこと。
そこまで詳しくないけど、オオカミって一匹じゃないらしい。
普通は群れを作る生き物で、群れじゃないのは追い出されたオス。つまり、一匹オオカミになる。
けれど、ことわざで一匹オオカミとかあるけど、オオカミはその生態から一匹は弱い。
群れを作る生き物から、その要素を失えばどうなる? 簡単だ。弱くなる。
つまり孤独になるんだ。
そんなモンスターを目の前にして、アキラはこう思った。
「ごめん。あんまり戦うの好きじゃないけど、逃げないんだったら、こっちも容赦はしないからね」
大きく動けるグレーウルフと違って、横やりが入らないか気を配りながらだ。
小さく前かがみになる。自然体に入った。
それから拳を前に突き出すと、アキラの目の色が変わる。
「【キメラハント】、十分行けるよね」
まるで意味のない掛け合い。
やっぱりアキラはこうでないといけない。従来の切り替えの早さとの見込みの早さ。二つの早さが交じり合ったことで、アキラはすんなり受け入れにかかった。
それはここがゲームだからだろうか。
繰り出されて拳は、鈍い音を静観とさせ、グレーウルフに挑むのだった。
だけどグレーウルフも不思議と、やる気十分。
一人と一匹は戦い始めたみたいだ。
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