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◇2 宅配の中身は?

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 次の日。
 明輝は今日の最後の授業が終わり、タブレット端末をリュックの中に詰め込んだ。
 今の時代、タブレット端末で授業をする。
 教科書は重たいから、年々減っているらしい。あんなに分厚かったのにね。

「明輝! もう帰るのー?」
「うん。烈火は部活?」
「まぁねー。一か月後に新人戦あるからさ、頑張んないと」

 頑張るって、どれだけやるんだろ。
 こう見えて烈火は、中学の頃全国一位だった。
 でも本人は楽しそうにやっているから、きっと面白いんだろうね。
 よく筋トレ付き合ってたよ。
 そのせいで握力が結構上がったっけ。

「でもさ、私もゲームしたいんだよね」
「ゲーム?」
「うん。スポーツも楽しいけど、やっぱり時代はVRGAMEだよね!」
「VR……筐体じゃなくて?」
「それは古いよ。今も好きな人いるけどさー」

 烈火は昔からゲーム好きだ。
 体を動かす方が流石に性に合っているみたいだけど、VRGAMEは、その名の通り、実際にゲームの中にいるみたいな感覚になれるらしい。
 実際は動いていないのに、意識だけがゲームの中の世界で過ごす。
 そうすれば、脳波によってまるで実際の世界みたいに感じられるらしい。

 烈火が特に食いついたのは、

「最近は『Creatures Union』って新作のVRMMOが人気らしいんだよね」
「『Creatures Union』? なにそれ」
「えっ、知らないの!」

 烈火は詰め寄った。
 そんなに有名だったんだ。
 明輝は、VRGAMEなんてやったことない。
 だから何も知らなかった。

「そっかぁー。ちょっと調べてみたらいいよ。私、部活行かないといけないから」
「うん。調べてみるね。えーっと、くりいちゃあナンタラ」
「『Creatures Union』だよ。じゃ、またねー」

 烈火はテニス部の部室に行ってしまった。
 今日も一人で帰ることになるのは確定だ。
 はい、ボッチになりました。

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 家に帰ると、宅配便のトラックが停まっていた。
 しかも明輝の家の前だ。
 玄関先を見やると、そこには宅配の人がいた。

「ずっとチャイム鳴らしてる。あのー、うちに届け物ですか?」
「立花さんですか。こちらにサインをいただけますか?」
「わかりました」

 ボールペンを受け取り、名前を書いた。
 宅配便の男性は、サインを受け取り、明輝にダンボール箱を渡す。
 そこまで重たくない。
 すぐにトラックに乗って行ってしまい、明輝は家の鍵を開けて、引き戸のドアを開けて家の中に入った。


 明輝はリビングにある木製のテーブルの上に、ダンボール箱を置いた。
 かなり小さめだ。
 それに中身も軽い。

「一体誰宛? それにだろからこんなもの……送り主は……エルネットコーポレーション? どこ」

 スマホで調べることにした。
 するとVRドライブとかを作っていたりネットワークの制御を行っている会社で、世界中に支社がある大企業だった。
 しかし社長は誰か分かっていない謎の会社だ。

 だけど信頼は折り紙付きで、今あるほとんどのVRドライブ搭載型端末やAI搭載モデルはこの会社がシェアを席巻しているらしい。
 知らないけど。
 興味ないから。

「しかも私宛だ。何で私に……」

 とりあえず開けた見た。
 ハサミで真ん中のテープを裂いて、中に入っていた手書きの手紙が気になった。
 しかもかなり字が綺麗で読みやすい。達筆だ。

「えーっと、遊んでみてください。えっ!? それだけなの!」

 まさか一分だった。
 小さく切り分けられた白い紙にこの一文が、ど真ん中に小さく書かれていた。
 あまりに唐突で驚いた。
 しかし中にはプチプチで包まれた本体がある。

「遊んでみてくださいって言われても。なにか懸賞とか応募してたっけ?」

 だけどそんな記憶はない。
 プチプチで巻かれたものを剥がすと、真っ白な箱が一つとゲームのダウンロードチップが入っていた。

「これって時計? なわけないか」

 明輝は箱を開けてみた。
 すると中には青い高純度、高硬度性の液晶パネル。
 腕に取り付けると、勝手にバンドが飛び出て、使えるようになった。

「凄い。これってVRドライブだ!」

 初めて使ってみたけど、こんなにぴったりで違和感がないなんて驚きだ。
 それにこのゲーム。
 確か、烈火が言っていたやつだ。

「『Creatures Union』。これを遊んでねってこと?」

 首を傾げる。
 だけど面白そうなパッケージなのはかなり好印象。

「まずはいろいろ設定だよね。それからチップを入れてゲームをダウンロード。よし、これでオッケー!」

 早速遊べるようにした。
 リュックを適当に投げ出して、ソファーの上で横になると、ゲームを遊んでみることにした。
 なにも調べていないが、説明書何て読まなくても遊べる。だから何も調べなかった。
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