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6章
第60話 ゴブリンの大群
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偵察にやって来たゴブリンを2匹をエクレアがすぐさま倒し、俺とエクレアの2人は揃って洞穴の奥を目指した。
奥に行けば行くほど道は細くなっていく。
こんなところでゴブリンに襲われでもしたら面倒だ。
「エクレア、ここからは注意しろよ」
「どうして?」
「この先は特に危険だ。道幅も狭くなっている。ゴブリンの群れにでも見つかればひとたまりもないぞ」
とは言え、俺は余裕だ。
問答無用でゴブリンを迎撃し、すぐさま殲滅するだろう。
しかしエクレアはどうだ。もしかしたら先程は1匹ずつだからよかったが、流石に群れになると黄昏の陽射しによる流し撃ちも命中精度が低くなるかもしれない。
「ふーん。でも大丈夫でしょ。私たちそれぞれが相手をすればいいんだから」
「お前に連携の二文字があるのか?」
「空間把握能力を舐めないでよ。カイ君も、フレイム=バーナーで一気に焼き払おう!」
「馬鹿か。熱を燃焼させれば一酸化炭素中毒になるんだぞ」
「……私の魔法も光を熱エネルギーに変換するものなんだけど」
「お前のはよくわからんが大丈夫な仕様らしい」
「私もわかんないからツッコめない」
エクレアは途方に暮れていた。
しかし俺とエクレアの調子が上がっている調子なのか、緊張が少し解けてきた当たりだった。
少し道幅が広くなるかならないかの最中で、急に何かが飛んできた。
銀色の短剣が、俺に向かって放たれた。
「来たかっ!」
「カイ君避けて!」
俺は剣を抜いて迎撃しようとした。刃を合わせれば簡単に払い落とせそうだったが、エクレアが背中越しに話しかけてきた。
すると俺の合図もなく勝手に光が放たれる。
俺は危うく頭を撃ち抜かれるところでギリギリしゃがみ込んで攻撃を回避した。
しかしあまりの命中精度に俺の目は驚いて瞬きを忘れてしまう。
「凄いな。短剣ごと、ゴブリンを吹き飛ばしたのか」
「凄いでしょ。イェーイ!」
「イェーイじゃない。危く俺の方が死にかけるところだった」
「それは……まあ生きているんだからいいでしょ?」
コイツ殴ってやりたい。俺は心底ムカムカして拳を握っていた。
しかしあどけない笑顔を向けられてしまい、俺はさらにイライラが募る。
「って、何か来たよ?」
「誰の仕業だ」
「えーっと、誰かな?」
「お前に決まっているだろ」
それが急にゴブリンが集まってきてしまったので、イライラの発散先を変えることにした。このまま怒っていても仕方ないからだ。
「俺が前衛をやる。お前は後方から援護だ」
「オッケー! それじゃあ行ってみよう!」
「うるさい」
俺はフレイム=バーナーと黒飯綱を装備して、ゴブリンを倒すことにした。
1匹ゴブリンを切り裂くと魔石に変わり、すぐさま鞭で引き寄せると、別のゴブリンの首を折った。瞬く間に魔石に変化すると、次々正確無比に倒していく。
「凄い。これじゃ私の援護も要らないね」
エクレアのサボる声がした。しかし俺の目がギロッと向けられると、流石のエクレアも援護射撃を開始した。
今度は3ついっぺんに光が撃ち出される。
ゴブリンの眉間を狙って的確に撃ち抜くと、早速魔石が手に入る。
「よし、このまま……うおっと!」
「どうしたエクレア!」
振り返るとエクレアが太陽の聖剣を抜刀してゴブリンと戦っていた。
石斧を持ったゴブリンに槍を持ったゴブリンとバリエーションも豊富だ。
援護に入ってやりたかったが、俺は目の前のゴブリンを殲滅するのに忙しくて手が回らない。そこでエクレアに声を掛けようと思ったが、声を掛ける頃にはエクレアは片付けていた。
「もう、みんなうるさいよ! そんなに私が人気だったら、全員まとめて倒しちゃうね!」
バッタバッタとエクレアは太陽の聖剣を振るいゴブリンを軽く一ひねり。
次から次へと襲ってくるゴブリン共も全部まとめてやっつけてしまう。
少し大柄のゴブリンや涎をダラダラ垂らした性欲丸出しのゴブリンも例外にならずに難なく蹴散らしてしまう。まさしく【太陽の剣姫】に触れた報いだ。
「アイツ怖いな」
「聞こえてるよ! 私そんなに怖くないよ!」
「笑顔で敵を倒しているあたりがサイコなんだよ。少しは気が付け!」
「なんで、なんで私が怒られてるの? ちょっとショボーンなんですけど」
エクレアの表情がコロコロ変化して面白かった。
しかしすぐに笑みを浮かべるとテンションを上げてゴブリンを倒していく。
もはや俺が援護している気がするが、あまりの力の差に本来たくさんいるはずのゴブリンはもう数えるほどしかいなくなっていた。
「お前凄いな」
「何言ってるの? カイ君もでしょ」
「いや、お前の足元の魔石の数。俺のものとは比じゃないぞ」
「でも正確に倒してたのはカイ君でしょ? 私は適当にやっただけだよ」
そうは言うがやはり別格だ。
俺はエクレアの余りに強さに改めて認識を変える必要が出て来る。
コイツは完全に怪物殺しの才能がある。
奥に行けば行くほど道は細くなっていく。
こんなところでゴブリンに襲われでもしたら面倒だ。
「エクレア、ここからは注意しろよ」
「どうして?」
「この先は特に危険だ。道幅も狭くなっている。ゴブリンの群れにでも見つかればひとたまりもないぞ」
とは言え、俺は余裕だ。
問答無用でゴブリンを迎撃し、すぐさま殲滅するだろう。
しかしエクレアはどうだ。もしかしたら先程は1匹ずつだからよかったが、流石に群れになると黄昏の陽射しによる流し撃ちも命中精度が低くなるかもしれない。
「ふーん。でも大丈夫でしょ。私たちそれぞれが相手をすればいいんだから」
「お前に連携の二文字があるのか?」
「空間把握能力を舐めないでよ。カイ君も、フレイム=バーナーで一気に焼き払おう!」
「馬鹿か。熱を燃焼させれば一酸化炭素中毒になるんだぞ」
「……私の魔法も光を熱エネルギーに変換するものなんだけど」
「お前のはよくわからんが大丈夫な仕様らしい」
「私もわかんないからツッコめない」
エクレアは途方に暮れていた。
しかし俺とエクレアの調子が上がっている調子なのか、緊張が少し解けてきた当たりだった。
少し道幅が広くなるかならないかの最中で、急に何かが飛んできた。
銀色の短剣が、俺に向かって放たれた。
「来たかっ!」
「カイ君避けて!」
俺は剣を抜いて迎撃しようとした。刃を合わせれば簡単に払い落とせそうだったが、エクレアが背中越しに話しかけてきた。
すると俺の合図もなく勝手に光が放たれる。
俺は危うく頭を撃ち抜かれるところでギリギリしゃがみ込んで攻撃を回避した。
しかしあまりの命中精度に俺の目は驚いて瞬きを忘れてしまう。
「凄いな。短剣ごと、ゴブリンを吹き飛ばしたのか」
「凄いでしょ。イェーイ!」
「イェーイじゃない。危く俺の方が死にかけるところだった」
「それは……まあ生きているんだからいいでしょ?」
コイツ殴ってやりたい。俺は心底ムカムカして拳を握っていた。
しかしあどけない笑顔を向けられてしまい、俺はさらにイライラが募る。
「って、何か来たよ?」
「誰の仕業だ」
「えーっと、誰かな?」
「お前に決まっているだろ」
それが急にゴブリンが集まってきてしまったので、イライラの発散先を変えることにした。このまま怒っていても仕方ないからだ。
「俺が前衛をやる。お前は後方から援護だ」
「オッケー! それじゃあ行ってみよう!」
「うるさい」
俺はフレイム=バーナーと黒飯綱を装備して、ゴブリンを倒すことにした。
1匹ゴブリンを切り裂くと魔石に変わり、すぐさま鞭で引き寄せると、別のゴブリンの首を折った。瞬く間に魔石に変化すると、次々正確無比に倒していく。
「凄い。これじゃ私の援護も要らないね」
エクレアのサボる声がした。しかし俺の目がギロッと向けられると、流石のエクレアも援護射撃を開始した。
今度は3ついっぺんに光が撃ち出される。
ゴブリンの眉間を狙って的確に撃ち抜くと、早速魔石が手に入る。
「よし、このまま……うおっと!」
「どうしたエクレア!」
振り返るとエクレアが太陽の聖剣を抜刀してゴブリンと戦っていた。
石斧を持ったゴブリンに槍を持ったゴブリンとバリエーションも豊富だ。
援護に入ってやりたかったが、俺は目の前のゴブリンを殲滅するのに忙しくて手が回らない。そこでエクレアに声を掛けようと思ったが、声を掛ける頃にはエクレアは片付けていた。
「もう、みんなうるさいよ! そんなに私が人気だったら、全員まとめて倒しちゃうね!」
バッタバッタとエクレアは太陽の聖剣を振るいゴブリンを軽く一ひねり。
次から次へと襲ってくるゴブリン共も全部まとめてやっつけてしまう。
少し大柄のゴブリンや涎をダラダラ垂らした性欲丸出しのゴブリンも例外にならずに難なく蹴散らしてしまう。まさしく【太陽の剣姫】に触れた報いだ。
「アイツ怖いな」
「聞こえてるよ! 私そんなに怖くないよ!」
「笑顔で敵を倒しているあたりがサイコなんだよ。少しは気が付け!」
「なんで、なんで私が怒られてるの? ちょっとショボーンなんですけど」
エクレアの表情がコロコロ変化して面白かった。
しかしすぐに笑みを浮かべるとテンションを上げてゴブリンを倒していく。
もはや俺が援護している気がするが、あまりの力の差に本来たくさんいるはずのゴブリンはもう数えるほどしかいなくなっていた。
「お前凄いな」
「何言ってるの? カイ君もでしょ」
「いや、お前の足元の魔石の数。俺のものとは比じゃないぞ」
「でも正確に倒してたのはカイ君でしょ? 私は適当にやっただけだよ」
そうは言うがやはり別格だ。
俺はエクレアの余りに強さに改めて認識を変える必要が出て来る。
コイツは完全に怪物殺しの才能がある。
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