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4章
第37話 マガライト宝石店
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俺はマガライト宝石店にやって来た。
丸みを帯びた白い建物だが、何本もの柱が支柱になっている。
ガラス張りで外から入ってきた光が中のシャンデリアを照らしている。
「なるほどな。見せかけじゃない訳だ」
ここなら信頼できる。俺は相応しくない格好だったが、マガライト宝石店の扉を開いた。
カランカラーンと綺麗な鈴の音が鳴る。
店の中は眩しい暗い宝石がショーケースの中に納められていて俺は怪訝な表情を浮かべる。煌びやかな場所は嫌いだ。俺のスタンスに合わない。
「ようこそお越しいただきましたお客様。当店は初めてですか?」
「はい。買取ってしてますか?」
「もちろんです。当店には一流の宝石鑑定師であるクロム社長を始め、世界規模の宝石やブランド物の鑑定士が在籍しております」
「なるほどな。信頼はできそうだ」
俺は店員の女に買取を頼んだ。
するとお店の奥から別の人が顔を出す。
「クソがぁ! こんだけかよ」
男の手には数枚の硬貨が握られていた。
なかなか少なく、俺は絶句する。よっぽど安い買い取り額なのか。
俺は吹っ掛ける準備を整えると、別の人が出てくる。今度は若い男だ。青年らしい。
「はぁー、くたびれたよ。また偽物だった」
「お疲れ様です。ですが、もう1人買取にお越しになられた方がいて……」
「うん、いいよ。今日はもう1人ぐらいはできそうだから」
「すみません。お願いします」
「うん、もちろん構わないよ。あっ、僕の名前言ってなかったね。僕はクロム。クロム・マガライト、よろしくね」
青年は俺に自己紹介をした。けれど俺の反応は「そうですか」とめちゃくちゃあっさりで、店内が騒然とする。けれどすぐに空気が乾いたみたい静かになる。
「あ、あはは……これくらいの方がいいよ」
「買い取ってくれればなんだっていい。俺は誰であろうが❘態度《スタンス》を変える気はない」
「凄いな、君は。うん、合格だよ。さあこっちに来て、やる気出て来たぞぉー!」
クロムはガッツポーズを取ると、俺を店の奥に案内した。
どうやら2階に買取部屋があるらしく、俺は個室に通された。
木製の扉がドンと立ちはだかる。
「さあ入って」
「どうも。おお、なんか凄い空気ですね」
「そうかな? まあここは戦場だからね。僕らはこの場所で命を賭して鎬を削っているんだよ」
「俺が冒険者活動で命を懸けているのと同じだな」
立場は違うが誇りは同じだ。
俺は心してかからなければ気圧されると気合を入れ直し、ソファーに腰を下ろした。
するとクロムは俺の前にある1人掛けのソファーに腰を埋めた。
腕組をして俺に話しかける。
「それで今回はどのような品をお売りになられるのでしょうか?」
「まず初めに聞きたいのは、金は原価で買い取ってくれるのか?」
「はい、もちろんですとも。金は様々なものに加工ができますからね。貴族の方々も大変気に入っていただけているんですよ。もっともじかによるものが大きいので、若干価格は変動いたしますが最近は金の産出量の減少もあるので高く買い取らせていただいております」
「キロだと?」
「そうですね。純度にもよりますが、平均してキロ2000万ユリスから」
「では、これを見たうえで信用していただければ幸いです」
俺はテーブルの上に金製の短剣を置いた。
鞘に納められてはいるが赤や緑色の宝石が小さく散りばめられているので、見ているだけで美しい。中身もククリ形状で金と鉛を基に作られている。
もちろん魔法で作られたものなので見栄えもよく、何だか好印象だ。
「良いものですね。こちらは何処で」
「それは言えません。ただ盗難品などではなく、もちろん短剣としても使いもにはなりません。完全に観賞用です」
「なるほど……いいですね。これは売れますよ」
「よかったです。それじゃあ本題に入りましょうか」
「そうですね。そろそろ本題に……」
ここからが正念場だ。俺のマージンを活かすチャンスでもある。
丸みを帯びた白い建物だが、何本もの柱が支柱になっている。
ガラス張りで外から入ってきた光が中のシャンデリアを照らしている。
「なるほどな。見せかけじゃない訳だ」
ここなら信頼できる。俺は相応しくない格好だったが、マガライト宝石店の扉を開いた。
カランカラーンと綺麗な鈴の音が鳴る。
店の中は眩しい暗い宝石がショーケースの中に納められていて俺は怪訝な表情を浮かべる。煌びやかな場所は嫌いだ。俺のスタンスに合わない。
「ようこそお越しいただきましたお客様。当店は初めてですか?」
「はい。買取ってしてますか?」
「もちろんです。当店には一流の宝石鑑定師であるクロム社長を始め、世界規模の宝石やブランド物の鑑定士が在籍しております」
「なるほどな。信頼はできそうだ」
俺は店員の女に買取を頼んだ。
するとお店の奥から別の人が顔を出す。
「クソがぁ! こんだけかよ」
男の手には数枚の硬貨が握られていた。
なかなか少なく、俺は絶句する。よっぽど安い買い取り額なのか。
俺は吹っ掛ける準備を整えると、別の人が出てくる。今度は若い男だ。青年らしい。
「はぁー、くたびれたよ。また偽物だった」
「お疲れ様です。ですが、もう1人買取にお越しになられた方がいて……」
「うん、いいよ。今日はもう1人ぐらいはできそうだから」
「すみません。お願いします」
「うん、もちろん構わないよ。あっ、僕の名前言ってなかったね。僕はクロム。クロム・マガライト、よろしくね」
青年は俺に自己紹介をした。けれど俺の反応は「そうですか」とめちゃくちゃあっさりで、店内が騒然とする。けれどすぐに空気が乾いたみたい静かになる。
「あ、あはは……これくらいの方がいいよ」
「買い取ってくれればなんだっていい。俺は誰であろうが❘態度《スタンス》を変える気はない」
「凄いな、君は。うん、合格だよ。さあこっちに来て、やる気出て来たぞぉー!」
クロムはガッツポーズを取ると、俺を店の奥に案内した。
どうやら2階に買取部屋があるらしく、俺は個室に通された。
木製の扉がドンと立ちはだかる。
「さあ入って」
「どうも。おお、なんか凄い空気ですね」
「そうかな? まあここは戦場だからね。僕らはこの場所で命を賭して鎬を削っているんだよ」
「俺が冒険者活動で命を懸けているのと同じだな」
立場は違うが誇りは同じだ。
俺は心してかからなければ気圧されると気合を入れ直し、ソファーに腰を下ろした。
するとクロムは俺の前にある1人掛けのソファーに腰を埋めた。
腕組をして俺に話しかける。
「それで今回はどのような品をお売りになられるのでしょうか?」
「まず初めに聞きたいのは、金は原価で買い取ってくれるのか?」
「はい、もちろんですとも。金は様々なものに加工ができますからね。貴族の方々も大変気に入っていただけているんですよ。もっともじかによるものが大きいので、若干価格は変動いたしますが最近は金の産出量の減少もあるので高く買い取らせていただいております」
「キロだと?」
「そうですね。純度にもよりますが、平均してキロ2000万ユリスから」
「では、これを見たうえで信用していただければ幸いです」
俺はテーブルの上に金製の短剣を置いた。
鞘に納められてはいるが赤や緑色の宝石が小さく散りばめられているので、見ているだけで美しい。中身もククリ形状で金と鉛を基に作られている。
もちろん魔法で作られたものなので見栄えもよく、何だか好印象だ。
「良いものですね。こちらは何処で」
「それは言えません。ただ盗難品などではなく、もちろん短剣としても使いもにはなりません。完全に観賞用です」
「なるほど……いいですね。これは売れますよ」
「よかったです。それじゃあ本題に入りましょうか」
「そうですね。そろそろ本題に……」
ここからが正念場だ。俺のマージンを活かすチャンスでもある。
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