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エスメールである意味
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そうだ、最初からこれでよかった。
俺のやることは、ちょっと背中を押してやり、いい感じに御膳立てをすること。
それが正しい判断で、何も間違っていないと確信する。
「主よ、我が祈りを捧げ、煌めく翼が天を裂き、産声を上げた言葉が暗闇さえも貫く……」
(ん? これはあれか、必殺技って奴か?)
俺がスーレットを抑え込む中、ミュシェルは腹を括った。
覚悟が決まったからこそ、大技を放とうとする。
所謂大魔法って奴で、楽しみは楽しみだけど、俺が逃げることも考えて欲しい。
「クソッ、ただで殺されると思うな。私も全ての魔力を注ぎ……」
「うるさい」
「いやがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
スーレットがこの期に及んで抵抗してきた。
そんなの当たり前で、殺されたくは誰だって無い。
けれど俺はスーレットを逃がす気は無く、残酷に残忍に無情な感情を込め腕を吹っ飛ばす。
「わ、私の腕が、腕が……」
「吸血鬼モデルなんだろ? だったら再生してみせろよ」
「くっ、そんな真似できるか、バカが!」
「そうか。だったら丁度いいや」
俺はスーレットが再生できないことを知ると、最低なことを思い付く。
だけどやらないと俺が死ぬかもしれないので、ここは心を完全に殺す。
スーレットの体を全体図で覗き込み、腕と脚を吹っ飛ばす。
「南十字星の切断」
「うりょぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
断末魔は悲鳴の域を超えていた。
もはやモスキート音の域に達しており、正直なに言ってるのか分からない。
だけど俺が残酷で残忍で最低なことをした犯罪者なのは伝わると、自分のしたことに後悔をする。
(うっ、気持ち悪い。いや、吐きたいし死にたい。いや、ダメだ。今だけはダメだ。俺はカガヤキ・トライスティル、俺はカガヤキ・トライスティル)
現実逃避をしていると、ミュシェルの詠唱が聞こえる。
まだ魔法を唱えており、その輝きは粒子になる。
しかも目に見える大きな粒子で、ポワポワと舞って温かい。
「心の淀みを取り払い、静寂の空に響かせよ」
(終わったな?)
「愚鈍な感情に裁きを下し、届いた歌は安寧へと導く……」
「いや、長いって!」
流石に詠唱が長すぎる。
もしかしてアレなのか、台本がめちゃめちゃ長いパターンの奴か?
多分数ページ刻みの長尺の台詞を喋っているのか、も二分くらい一人で詠唱を続けている。しかも止める部分が一切無く、流れるように口ずさんでいたので、俺はツッコんでしまった。
「さすればかの者を貫く槍となり、真なる光が永久を告げる。全ての闇を打ち払い、浄化の力を解放せよ—救世の神槍撃」
「あっ、名前はシンプルなのね」
こんな状況でも俺はツッコんでしまった。
だがしかし、そんな暇は無かった。
突き出した槍の切っ先、そこから放たれるのは眩い閃光。
視界を一瞬で覆い尽くしてしまった。
俺とスーレットの体を、部屋中を、丸ごと覆い尽くしてしまう。
もはや逃げるとか逃げないとかの話じゃない。光翼が広がり、俺ごとスーレットを貫こうとすると、もはや何もかも構っている暇は無かった。
「クソッ、時空隧道」
俺は咄嗟に魔法を唱える。
その瞬間、体を強力な磁場が捩じって行く。
空間に虫食い穴が生まれ、俺の姿を一時的に飲み込む最中、スーレットの体が映り込む。
表情が歪み、体が変形している。
光に飲まれ、もはや闇の存在は何処にも無い。
逃げる間もない一瞬の合間を縫い、スーレットの命は尽きてしまった。
俺のやることは、ちょっと背中を押してやり、いい感じに御膳立てをすること。
それが正しい判断で、何も間違っていないと確信する。
「主よ、我が祈りを捧げ、煌めく翼が天を裂き、産声を上げた言葉が暗闇さえも貫く……」
(ん? これはあれか、必殺技って奴か?)
俺がスーレットを抑え込む中、ミュシェルは腹を括った。
覚悟が決まったからこそ、大技を放とうとする。
所謂大魔法って奴で、楽しみは楽しみだけど、俺が逃げることも考えて欲しい。
「クソッ、ただで殺されると思うな。私も全ての魔力を注ぎ……」
「うるさい」
「いやがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
スーレットがこの期に及んで抵抗してきた。
そんなの当たり前で、殺されたくは誰だって無い。
けれど俺はスーレットを逃がす気は無く、残酷に残忍に無情な感情を込め腕を吹っ飛ばす。
「わ、私の腕が、腕が……」
「吸血鬼モデルなんだろ? だったら再生してみせろよ」
「くっ、そんな真似できるか、バカが!」
「そうか。だったら丁度いいや」
俺はスーレットが再生できないことを知ると、最低なことを思い付く。
だけどやらないと俺が死ぬかもしれないので、ここは心を完全に殺す。
スーレットの体を全体図で覗き込み、腕と脚を吹っ飛ばす。
「南十字星の切断」
「うりょぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
断末魔は悲鳴の域を超えていた。
もはやモスキート音の域に達しており、正直なに言ってるのか分からない。
だけど俺が残酷で残忍で最低なことをした犯罪者なのは伝わると、自分のしたことに後悔をする。
(うっ、気持ち悪い。いや、吐きたいし死にたい。いや、ダメだ。今だけはダメだ。俺はカガヤキ・トライスティル、俺はカガヤキ・トライスティル)
現実逃避をしていると、ミュシェルの詠唱が聞こえる。
まだ魔法を唱えており、その輝きは粒子になる。
しかも目に見える大きな粒子で、ポワポワと舞って温かい。
「心の淀みを取り払い、静寂の空に響かせよ」
(終わったな?)
「愚鈍な感情に裁きを下し、届いた歌は安寧へと導く……」
「いや、長いって!」
流石に詠唱が長すぎる。
もしかしてアレなのか、台本がめちゃめちゃ長いパターンの奴か?
多分数ページ刻みの長尺の台詞を喋っているのか、も二分くらい一人で詠唱を続けている。しかも止める部分が一切無く、流れるように口ずさんでいたので、俺はツッコんでしまった。
「さすればかの者を貫く槍となり、真なる光が永久を告げる。全ての闇を打ち払い、浄化の力を解放せよ—救世の神槍撃」
「あっ、名前はシンプルなのね」
こんな状況でも俺はツッコんでしまった。
だがしかし、そんな暇は無かった。
突き出した槍の切っ先、そこから放たれるのは眩い閃光。
視界を一瞬で覆い尽くしてしまった。
俺とスーレットの体を、部屋中を、丸ごと覆い尽くしてしまう。
もはや逃げるとか逃げないとかの話じゃない。光翼が広がり、俺ごとスーレットを貫こうとすると、もはや何もかも構っている暇は無かった。
「クソッ、時空隧道」
俺は咄嗟に魔法を唱える。
その瞬間、体を強力な磁場が捩じって行く。
空間に虫食い穴が生まれ、俺の姿を一時的に飲み込む最中、スーレットの体が映り込む。
表情が歪み、体が変形している。
光に飲まれ、もはや闇の存在は何処にも無い。
逃げる間もない一瞬の合間を縫い、スーレットの命は尽きてしまった。
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