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第19話 最終局面来ましたよ
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いよいよ最終局面に入った。
しかも俺達が完全に優位に立っている。
先程までの余裕だったスーレットの顔が歪み、弱者になってしまった姿が面白い。
まさに魔王の所業。きっとベルファーも浮かばれるだろう。
「行くぞ、ミュシェル」
「は、はい! あの、カガヤキさん」
「なんだ? さっさとスーレットを倒すぞ」
「それはそうなのですが……もう、勝っているのではないですか?」
ミュシェルは卑怯だと思ったのだ。スーレットの心をへし折り、戦意を喪失させていることに気が付いている。
けれど吹っ掛けられた勝負だ。どっちかが死ぬまで終わらない……多分。
「俺も戦いたくはない。だけど、スーレットを倒さないことには終わらない」
ここは天河晃陽じゃなくて、カガヤキ・トライスティルとして奮起する。
魔王っぽい格好をした転移者が魔王とその側近を倒す。
それが一番……それっぽい。
「はっ!」
「くっ、この私が負ける訳には……」
俺は距離を縮めた。衣装を揺らし、スーレットの懐に飛び込む。
右腕を振り上げ、問答無用でチェーンソーを叩き込む。
触れれば一巻の終わり。そんな絶望的な状況の中、遺された魔力も少ないスーレットは、魔力を両手に集めて真剣白刃取りを試みる。
「おっ、真剣白刃取りか……面白いな!」
けれど俺は決して油断はしなかった。
体重を掛け、チェーンソーの凶器&狂気でスーレットを恐怖心の底へと叩き落とす。
ドンドン心が魔王になって行く中、俺の芯のある目がスーレットを殺す。
「お前に恨みはない。けど、お前を生かしておくと、今度は俺が殺されそうだ」
実際スーレットは頭が切れる。
今回はたまたま俺とミュシェルが気が付いてしまっただけで、人心のコントトールには長けている。いつか俺の首を潰しかねない敵になるのは明白で、だからこそ本気で終わらせる。
「くっ、お前さえいなければ、私の計画は……」
「計画なんて最初から上手く行かないから計画なんだよ。事前の準備に胡坐をかいてるようじゃ、本番は決して上手く行かない。大体それでミスるんだよ!」
俺はチェーンソーの回転を速めた。
音は意識下の中で恐怖心を跳ね上げる。
実際、スーレットの腕が竦み始めると、俺は勝利を確信しつつも、宣言はまだしない。
何せ俺が倒したら意味が無いのだから。
「ミュシェル!」
「は、はい!?」
俺はミュシェルに叫んだ。突然のことに対処ができず、ミュシェルは目を見開く。
ピクリと背筋が伸びて爪先を立たせると、瞬きを二度した。
杖を体に引き寄せると、警戒した様子を見せる。
「お前が決めろ。それが正しい」
「わ、私がですか!?」
「ああ。お前じゃなきゃダメだ。ミュシェル・エスメールとして、スーレットを倒すことで初めて意味が生まれる。賢いんだから分かるだろ、この街を救うのはミュシェル・エスメールじゃなきゃダメなんだよ」
俺の声がミュシェルの脳を劈く。
元から相場は決まっている。いや、部外者が介入して強大な敵を討ち破る異世界ファンタジーがおかしい。
その世界の人が、その国の人が、難題を難敵を目の前にして見事討ち破ること。
それが一番美しいし、初めて意味が生まれる。
変わる必要が無い、変える必要が無いのならそれが正解で、ミュシェル自身も気が付くと、無意識に詠唱を始めた。
しかも俺達が完全に優位に立っている。
先程までの余裕だったスーレットの顔が歪み、弱者になってしまった姿が面白い。
まさに魔王の所業。きっとベルファーも浮かばれるだろう。
「行くぞ、ミュシェル」
「は、はい! あの、カガヤキさん」
「なんだ? さっさとスーレットを倒すぞ」
「それはそうなのですが……もう、勝っているのではないですか?」
ミュシェルは卑怯だと思ったのだ。スーレットの心をへし折り、戦意を喪失させていることに気が付いている。
けれど吹っ掛けられた勝負だ。どっちかが死ぬまで終わらない……多分。
「俺も戦いたくはない。だけど、スーレットを倒さないことには終わらない」
ここは天河晃陽じゃなくて、カガヤキ・トライスティルとして奮起する。
魔王っぽい格好をした転移者が魔王とその側近を倒す。
それが一番……それっぽい。
「はっ!」
「くっ、この私が負ける訳には……」
俺は距離を縮めた。衣装を揺らし、スーレットの懐に飛び込む。
右腕を振り上げ、問答無用でチェーンソーを叩き込む。
触れれば一巻の終わり。そんな絶望的な状況の中、遺された魔力も少ないスーレットは、魔力を両手に集めて真剣白刃取りを試みる。
「おっ、真剣白刃取りか……面白いな!」
けれど俺は決して油断はしなかった。
体重を掛け、チェーンソーの凶器&狂気でスーレットを恐怖心の底へと叩き落とす。
ドンドン心が魔王になって行く中、俺の芯のある目がスーレットを殺す。
「お前に恨みはない。けど、お前を生かしておくと、今度は俺が殺されそうだ」
実際スーレットは頭が切れる。
今回はたまたま俺とミュシェルが気が付いてしまっただけで、人心のコントトールには長けている。いつか俺の首を潰しかねない敵になるのは明白で、だからこそ本気で終わらせる。
「くっ、お前さえいなければ、私の計画は……」
「計画なんて最初から上手く行かないから計画なんだよ。事前の準備に胡坐をかいてるようじゃ、本番は決して上手く行かない。大体それでミスるんだよ!」
俺はチェーンソーの回転を速めた。
音は意識下の中で恐怖心を跳ね上げる。
実際、スーレットの腕が竦み始めると、俺は勝利を確信しつつも、宣言はまだしない。
何せ俺が倒したら意味が無いのだから。
「ミュシェル!」
「は、はい!?」
俺はミュシェルに叫んだ。突然のことに対処ができず、ミュシェルは目を見開く。
ピクリと背筋が伸びて爪先を立たせると、瞬きを二度した。
杖を体に引き寄せると、警戒した様子を見せる。
「お前が決めろ。それが正しい」
「わ、私がですか!?」
「ああ。お前じゃなきゃダメだ。ミュシェル・エスメールとして、スーレットを倒すことで初めて意味が生まれる。賢いんだから分かるだろ、この街を救うのはミュシェル・エスメールじゃなきゃダメなんだよ」
俺の声がミュシェルの脳を劈く。
元から相場は決まっている。いや、部外者が介入して強大な敵を討ち破る異世界ファンタジーがおかしい。
その世界の人が、その国の人が、難題を難敵を目の前にして見事討ち破ること。
それが一番美しいし、初めて意味が生まれる。
変わる必要が無い、変える必要が無いのならそれが正解で、ミュシェル自身も気が付くと、無意識に詠唱を始めた。
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