47 / 68
共闘したら強すぎた
しおりを挟む
俺と謎のウサ耳を生やした獣人、ラパンは互いに共闘した。
迫り来る人達を掻い潜り、何とか鎮圧しようと試みる。
「α星の煌炎!」
俺は右手に魔法を込めた。
鋭い拳を突き出すと、屈強な男性の体が後ろに吹き飛ぶ。
「ぐへっ!」
壁に思いっきり叩きつけられると、くの字に曲がった。動かなくなると、次は背後に女性が立っている。
「スーレット様~」
「この、しつこいぞ!」
俺はα星の煌炎の余波で女性をはたく。
顔に焼け痕が残らないように配慮しつつ、地面に押し倒すと、ラパンの動きを見た。
「はっ、はぁぁぁぁぁ!」
ラパンは恵まれた体格を活かした格闘術で応戦していた。
動きにくい筈の制服をものともせず、裏拳を決め、後ろ周り蹴りで蹴り付ける。
圧倒的な力の前に、成す術なく倒されていた。
(怖っ、マジで怖っ。ユキムラ達よりよっぽど怖いだろ)
真面目に全身が凍りつきそうだった。
圧倒的な実力はユキムラ達以上で、もはや勇者のそれだ。
正直、俺じゃなくてこの女性がベルフォーを倒せば良かったのでは? そう思いたくなるレベルだ。
ぶっちゃけると、勇者とか要らなくね? と口に出したいくらい強く、俺は視線を奪われる。
「私のことばかり見ないで、もっと周りを見て欲しいわね」
「えっ、ああそうだな」
いけないいけない、別に見惚れていた訳じゃないけど、普通に怒られてしまう。
俺は火の手が上がるなか、真っ赤な瞳をした人達に囲まれそうになる。
(一体いつまで続くんだよ!)
助っ人が参戦してくれたから多少楽にはなった。
でも多少が多少過ぎる。数の暴力の恐ろしさに駆られた。
「このままじゃキリが無いぞ」
「そうだね。でも、数は減っているよ」
「減ってるのか? 正直、次から次に倒れては起き上がって……えっ?」
そこで俺は気が付いてしまった。
せっかく気絶させた街の人達が起き上がり、再び俺達に牙を剥く。
真っ赤な瞳をチラつかせると、「スーレット様~」と遠吠えする。
「そうか。気絶させて起きる奴等と、起きない奴等の差がある筈だ」
「そうだね。しかも答えはそこにある」
「答えだと……あっ!」
俺は倒れている人達を見た。
仰向けとうつ伏せで倒れている人に分かれていて、仰向けで倒れている人達は起き上がっていない。逆に言えばうつ伏せで倒れている人達は起き上がっている。
一体どんな差があるのかは分からない。だがしかし、それが事実なら話が早い。
「答えが分かれば簡単だ。ここで終わらせる!」
「その必要は無いよ」
「えっ?」
ラパンが呟くと、火柱の向こうから二人分の人影が飛び出す。
街行く人達の背後を取ると、顔を掴んで押し倒す。
あまりにも素早い動きに俺は目を奪われてしまった。
「「とっとと止まるワン」ニャー!」
二人の女性が現れると、やっぱり獣人だった。
一人は頭からイヌ耳を生やしていて、もう一人はネコ耳を生やしている。
爪を研ぎ、赤い目をした人達を、次から次へと薙ぎ払っていく姿はまさに爽快。
ここまでの展開は一体何だったのか。あっという間に顔を地面に叩き付けると、意識を奪い取ってしまった。
「マジかよ」
「リシュワン、アーニャ。お疲れだね」
「「お疲れじゃないワン」ニャ!」
如何やらラパンの知り合いらしい。同じ制服を着ているので分かりやすい。
けれどリシュワンとアーニャの二人は、ラパンと険悪な態度を取った。
なにがあるのかは知らないが、恐らくラパンがサボっていたのだろう。
二人はたくさんの汗を掻くと、制服がビショビショに濡れていた。
「ううっ、気持ち悪いワン」
「予備は洗濯中だから、これしかないニャーのに」
「それは残念だね。良かったら私の予備を貸すけど?」
「「サイズが合わないワン!」ニャ!」
リシュワンとアーニャはラパンの提案を速攻で否定した。
もちろんサイズが合わないのは明白で、俺は白い目を向ける。
するとラパンの視線が俺に移動し、同時にリシュワンとアーニャも俺を気掛かりに思う。
「ところでその変な格好の人はなんだニャ?」
「アーニャ、見た目で判断すると、またマスターに怒られるワン」
「でも変な格好ニャ」
「そうだけど……あっ」
リシュワンとアーニャは散々ね言い分だった。
もちろん俺は寛容な上に、この格好で“変な奴”じゃない訳が無い。
重々承知の上で飲み込むと、ラパンは俺の顔をジッと見た。
「その格好に名前、やはり貴女が」
「なんだよ?」
「いや、少し歯を食いしばってね」
「えっ!?」
ラパンの物騒な言葉に俺は警戒と動揺が隠せない。
けれど距離を取ろうとした瞬間、ラパンの拳が炸裂。
俺に向かって放たれると、目を瞑り死を覚悟した。それほどまでに威圧的で、俺は拳圧にビビりまくった。
迫り来る人達を掻い潜り、何とか鎮圧しようと試みる。
「α星の煌炎!」
俺は右手に魔法を込めた。
鋭い拳を突き出すと、屈強な男性の体が後ろに吹き飛ぶ。
「ぐへっ!」
壁に思いっきり叩きつけられると、くの字に曲がった。動かなくなると、次は背後に女性が立っている。
「スーレット様~」
「この、しつこいぞ!」
俺はα星の煌炎の余波で女性をはたく。
顔に焼け痕が残らないように配慮しつつ、地面に押し倒すと、ラパンの動きを見た。
「はっ、はぁぁぁぁぁ!」
ラパンは恵まれた体格を活かした格闘術で応戦していた。
動きにくい筈の制服をものともせず、裏拳を決め、後ろ周り蹴りで蹴り付ける。
圧倒的な力の前に、成す術なく倒されていた。
(怖っ、マジで怖っ。ユキムラ達よりよっぽど怖いだろ)
真面目に全身が凍りつきそうだった。
圧倒的な実力はユキムラ達以上で、もはや勇者のそれだ。
正直、俺じゃなくてこの女性がベルフォーを倒せば良かったのでは? そう思いたくなるレベルだ。
ぶっちゃけると、勇者とか要らなくね? と口に出したいくらい強く、俺は視線を奪われる。
「私のことばかり見ないで、もっと周りを見て欲しいわね」
「えっ、ああそうだな」
いけないいけない、別に見惚れていた訳じゃないけど、普通に怒られてしまう。
俺は火の手が上がるなか、真っ赤な瞳をした人達に囲まれそうになる。
(一体いつまで続くんだよ!)
助っ人が参戦してくれたから多少楽にはなった。
でも多少が多少過ぎる。数の暴力の恐ろしさに駆られた。
「このままじゃキリが無いぞ」
「そうだね。でも、数は減っているよ」
「減ってるのか? 正直、次から次に倒れては起き上がって……えっ?」
そこで俺は気が付いてしまった。
せっかく気絶させた街の人達が起き上がり、再び俺達に牙を剥く。
真っ赤な瞳をチラつかせると、「スーレット様~」と遠吠えする。
「そうか。気絶させて起きる奴等と、起きない奴等の差がある筈だ」
「そうだね。しかも答えはそこにある」
「答えだと……あっ!」
俺は倒れている人達を見た。
仰向けとうつ伏せで倒れている人に分かれていて、仰向けで倒れている人達は起き上がっていない。逆に言えばうつ伏せで倒れている人達は起き上がっている。
一体どんな差があるのかは分からない。だがしかし、それが事実なら話が早い。
「答えが分かれば簡単だ。ここで終わらせる!」
「その必要は無いよ」
「えっ?」
ラパンが呟くと、火柱の向こうから二人分の人影が飛び出す。
街行く人達の背後を取ると、顔を掴んで押し倒す。
あまりにも素早い動きに俺は目を奪われてしまった。
「「とっとと止まるワン」ニャー!」
二人の女性が現れると、やっぱり獣人だった。
一人は頭からイヌ耳を生やしていて、もう一人はネコ耳を生やしている。
爪を研ぎ、赤い目をした人達を、次から次へと薙ぎ払っていく姿はまさに爽快。
ここまでの展開は一体何だったのか。あっという間に顔を地面に叩き付けると、意識を奪い取ってしまった。
「マジかよ」
「リシュワン、アーニャ。お疲れだね」
「「お疲れじゃないワン」ニャ!」
如何やらラパンの知り合いらしい。同じ制服を着ているので分かりやすい。
けれどリシュワンとアーニャの二人は、ラパンと険悪な態度を取った。
なにがあるのかは知らないが、恐らくラパンがサボっていたのだろう。
二人はたくさんの汗を掻くと、制服がビショビショに濡れていた。
「ううっ、気持ち悪いワン」
「予備は洗濯中だから、これしかないニャーのに」
「それは残念だね。良かったら私の予備を貸すけど?」
「「サイズが合わないワン!」ニャ!」
リシュワンとアーニャはラパンの提案を速攻で否定した。
もちろんサイズが合わないのは明白で、俺は白い目を向ける。
するとラパンの視線が俺に移動し、同時にリシュワンとアーニャも俺を気掛かりに思う。
「ところでその変な格好の人はなんだニャ?」
「アーニャ、見た目で判断すると、またマスターに怒られるワン」
「でも変な格好ニャ」
「そうだけど……あっ」
リシュワンとアーニャは散々ね言い分だった。
もちろん俺は寛容な上に、この格好で“変な奴”じゃない訳が無い。
重々承知の上で飲み込むと、ラパンは俺の顔をジッと見た。
「その格好に名前、やはり貴女が」
「なんだよ?」
「いや、少し歯を食いしばってね」
「えっ!?」
ラパンの物騒な言葉に俺は警戒と動揺が隠せない。
けれど距離を取ろうとした瞬間、ラパンの拳が炸裂。
俺に向かって放たれると、目を瞑り死を覚悟した。それほどまでに威圧的で、俺は拳圧にビビりまくった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?
さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。
僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。
そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに……
パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。
全身ケガだらけでもう助からないだろう……
諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!?
頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。
気づけば全魔法がレベル100!?
そろそろ反撃開始してもいいですか?
内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる