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エスメールってどんな街?
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「おお、ここが」
「はい、ここがエスメールです」
俺とミュシェルは、森を抜け、ついにエスメールに辿り着いた。
とは言え、ここまで片道二十分だ。
コスプレ姿でやって来ると、汗を掻いてしまった。
「ミュシェル、この街はどんな街なんだ?」
「エスメールは、世界中に六つ存在している魔王城の中でも、最も近くにある街だと言われています」
「それは自慢するところじゃ無い気が……」
「そ、そうですね。後、歴史は浅いのですが、立派な貴族が治めているので、活気があり、何よりも多種多様な人達の交流が激しい、商業の街として知られているんですよ。えっへん」
ミュシェルは自信満々に鼻を高くする。
如何して自慢するんだろう? 俺はミュシェルが可愛く思う。
「それはそうと、街に来てなにをするんだ?」
「私は父に顔を出してきます。カガヤキさん、これを」
「これ? ……コイン?」
ミュシェルは腰に付けたポーチから、小さな袋を取り出した。
ズッシリしていて重く、口を縛っていた紐を外すと、中にはコインが入っている。
一つ一つ大きさも色も異なっていて、まるでこれは……
「お金?」
「はい。手持ちが無いと、なにかと不便ですよね」
不便の前に、俺はこの世界のお金を持っていない。
街中をすっからかんの状態で歩くのは危険だ。
それを思って、ミュシェルは渡したのだろうが、流石に受け取り辛い。
「いや、受け取るのはちょっと……」
「大丈夫です。これは、私を助けてくれたお礼と、勇者パーティーが謝って、カガヤキさんを攻撃してしまったこと。この二つへの謝礼です」
「謝礼……考えたね」
「はい、考えました。一晩考えましたよ」
あまり冗談に聞こえない回答だった。
実際、ミュシェルの目の下には、深い隈ができている。
せっかく早めに寝させてあげたのに、これだとまるで意味が無い。
俺は真面目過ぎるのも大概だと思いつつ、ミュシェルを反面教師にする。
「分かった。とりあえず受け取っておくよ」
「ありがとうございます。受け取って貰えなければ、どうしようかと思っていました」
「そこまで考えなくても……」
ミュシェルは不安から解放され、胸を撫で下ろした。
手持ちも心も軽くなったのか、顔色も目の下の隈以外は良くなる。
愛らしい笑みを浮かべると、杖を手にして先導する。
「それでは行きましょうか、カガヤキさん」
「ああ、待った!」
「くれぐれも、私から離れないようにしてくださいね」
ミュシェルは俺を先導してくれた。
先を歩き、堂々としている。
そのおかげか、俺のこの格好も、類似系だと思って貰えたのか、周りからの目が痛くない。
「それにしても、色んな人がいるんだね」
街行く人を観察するだけで面白い、
異世界ならではの服装に身を包んでいる。
冒険者らしき人もたくさん行き交い、何より、普通の人間以外もたくさんいる。
例えば、頭から猫の耳を生やした女性。亜人って奴だ。
顔付きが獣の男性。これが獣人。
小さな小人の種族で、背中から羽が生えているのは妖精。
耳の長いエルフや、小柄なドワーフ。本当に多種多様で、面白い。
「エスメールはいい街だね」
「ふふっ、そう言って貰えて嬉しいです」
ミュシェルはまるで、自分のことのように喜んだ。
本当に真面目で律義な子だ。
俺はミュシェルの背中を目で追いながら、とりあえず開けた場所を目指した。
「はい、ここがエスメールです」
俺とミュシェルは、森を抜け、ついにエスメールに辿り着いた。
とは言え、ここまで片道二十分だ。
コスプレ姿でやって来ると、汗を掻いてしまった。
「ミュシェル、この街はどんな街なんだ?」
「エスメールは、世界中に六つ存在している魔王城の中でも、最も近くにある街だと言われています」
「それは自慢するところじゃ無い気が……」
「そ、そうですね。後、歴史は浅いのですが、立派な貴族が治めているので、活気があり、何よりも多種多様な人達の交流が激しい、商業の街として知られているんですよ。えっへん」
ミュシェルは自信満々に鼻を高くする。
如何して自慢するんだろう? 俺はミュシェルが可愛く思う。
「それはそうと、街に来てなにをするんだ?」
「私は父に顔を出してきます。カガヤキさん、これを」
「これ? ……コイン?」
ミュシェルは腰に付けたポーチから、小さな袋を取り出した。
ズッシリしていて重く、口を縛っていた紐を外すと、中にはコインが入っている。
一つ一つ大きさも色も異なっていて、まるでこれは……
「お金?」
「はい。手持ちが無いと、なにかと不便ですよね」
不便の前に、俺はこの世界のお金を持っていない。
街中をすっからかんの状態で歩くのは危険だ。
それを思って、ミュシェルは渡したのだろうが、流石に受け取り辛い。
「いや、受け取るのはちょっと……」
「大丈夫です。これは、私を助けてくれたお礼と、勇者パーティーが謝って、カガヤキさんを攻撃してしまったこと。この二つへの謝礼です」
「謝礼……考えたね」
「はい、考えました。一晩考えましたよ」
あまり冗談に聞こえない回答だった。
実際、ミュシェルの目の下には、深い隈ができている。
せっかく早めに寝させてあげたのに、これだとまるで意味が無い。
俺は真面目過ぎるのも大概だと思いつつ、ミュシェルを反面教師にする。
「分かった。とりあえず受け取っておくよ」
「ありがとうございます。受け取って貰えなければ、どうしようかと思っていました」
「そこまで考えなくても……」
ミュシェルは不安から解放され、胸を撫で下ろした。
手持ちも心も軽くなったのか、顔色も目の下の隈以外は良くなる。
愛らしい笑みを浮かべると、杖を手にして先導する。
「それでは行きましょうか、カガヤキさん」
「ああ、待った!」
「くれぐれも、私から離れないようにしてくださいね」
ミュシェルは俺を先導してくれた。
先を歩き、堂々としている。
そのおかげか、俺のこの格好も、類似系だと思って貰えたのか、周りからの目が痛くない。
「それにしても、色んな人がいるんだね」
街行く人を観察するだけで面白い、
異世界ならではの服装に身を包んでいる。
冒険者らしき人もたくさん行き交い、何より、普通の人間以外もたくさんいる。
例えば、頭から猫の耳を生やした女性。亜人って奴だ。
顔付きが獣の男性。これが獣人。
小さな小人の種族で、背中から羽が生えているのは妖精。
耳の長いエルフや、小柄なドワーフ。本当に多種多様で、面白い。
「エスメールはいい街だね」
「ふふっ、そう言って貰えて嬉しいです」
ミュシェルはまるで、自分のことのように喜んだ。
本当に真面目で律義な子だ。
俺はミュシェルの背中を目で追いながら、とりあえず開けた場所を目指した。
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