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まさかの配信中だった件
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俺は裸になっていた。
一体誰が野郎の裸なんて見たいんだ。
いや、如何して衣装が消えたんだ。さっぱり分からない俺は、混乱してしまった。
「どうして俺裸になってるんだよ。一体なにしたんだ? ……ん」
俺は一度ヘッドホンを外してみる。
とりあえずじっくり見てみると、特に怪しい所は無い。
友人Aが作ってくれたヘッドホンで、様々な機能が施されていた。
その中でも、俺が危惧したのは、何故か赤い点が光っていること。
確かこれはカメラアプリの機能だ。
あまり使う機会は多くないが、写真や動画を充分撮れる。だがしかし、俺はカメラアプリを起動した覚えはない。
「まさか……な」
俺はヘッドホンを再び使用。バイザーを起動し、ボタンを押し、ダイヤルをロールする。
クルクルと表示したのは、動画配信サイト、μTubeのアプリ。
ボタンを押してクリックすると、ありえない出来事に絶句してしまった。
「な、なんで……ってか、誰?」
俺がアプリを起動すると、カメラとスピーカーが連携していた。
更に配信中の表示がされていて、知らない視聴者から、大量のコメントが送られている。
無名のタイトルで始まった配信。
ましてや一人も知らない視聴者。
俺のチャンネルの登録者数も激減していて、もはや面影すらない。
あり得ないバグが発生している中、何故か俺のアバター、中堅VTuber:宙の魔王カガヤキ・トライスティルの姿が小さく映し出されていた。
「なんだ、これ? どういう原理だ。っていうか、詰め込み過ぎだろ」
異世界転移・魔王キャラ・ヘッドホンの機能・それに加えて配信。
あまりにもてんこ盛りだ。俺は訳が分からなくなると、頭を抱える。
というか萎えてしまいそうになる中、気晴らしにコメントを見た。
「もういい、もう分かった。なんでもありなんだな、なんでも……よし、俺はもうツッコまないぞ」
コメントを見る勇気を持った。
きっと何処かの誰かが観ているに違いない。
異世界転移がありなら、次元を超えた視聴も可能な筈。
俺は全てを諦めると、無表情でコメントを覗き込んだ。
天の星:いや~、面白いね~
太陽の主:そうですね、流石は魔王です
水の声:何故水の魔法を使わないんだ
紅蓮の神:α星の爆炎。なかなかの魔法だったな!
雷神の太鼓:がーはっはっはっ、雷とはまさに轟雷よ
風祭の矢:風の魔法も使って欲しかったわね
……
「なんだ、これ?」
あまりにも視聴者の偏りがあった。
いや、それが普通なのだろうが、俺にとってはおかしい。
こんな全員“漢字”が使ってあって、しかも全員自由。
民度と言うより、エンタメを通した交流の場に使っているようで、俺は不思議と唖然とする。
「誰だ、一体。天の星さん? 太陽の主さん? いや、一体誰なんだ?」
一度も聞いたことが無い新規の視聴者層だった。
もしかしたら、普段の俺の視聴者層よりも、少し年配なのかもしれない。
そう考えると、逆に嬉しくなると、マイクをONにして、俺は感謝する。
「新しい視聴者のみんな、俺の配信に来てくれてありがとう。なんだかよく分からないことになったが、俺は俺だ。魔王と呼ばれるのは癪だが、ここまでを観た全員知っているな。俺も分かっていないが、俺は魔王を倒した。勇者パーティーも蹴散らした。これが俺の実力って訳だな……運がよかっただけだが」
天の星: にゃ~はっはっはっ、面白かったね~(3,000P)
太陽の主:自分の実力に驕り高ぶらない姿勢はいいですね(5,000P)
水の声:何故水の魔法を、水の魔法を使ってくれなかったんだ!(1,000P)
紅蓮の神:α星の爆炎は最高だったぞ! (5,500P)
雷神の太鼓:がーはっはっはっ、よかったぞ、流石は見込んだ男だ(4,600P)
風祭の矢:次は風の魔法を使ってね。絶対、絶対よ! (10,000P)
……
「P? なんだか分からないが、ありがとうな。今回はあれだったか、次回の配信の時も楽しみに待っていてくれよ。じゃあな」
俺は配信を終えることにした。
カメラとスピーカーを切り、マイクも落とす。
完全に配信から切り離されると、俺は仰向けにベッドに横になった。
「Pってなんだったんだ? それに、この視聴者の民度……ノリがよくていいな」
俺は天井のシミを数えながらニヤッと笑う。
何故配信ができたのか、何故配信していたのか。誰が観ていたのか。
何もかも分からない。あまりにも謎が多すぎる。俺は分からないことだらけ、何もスッキリしない今の時代優しくない異世界転移に、呆れて眠りこけた。
一体誰が野郎の裸なんて見たいんだ。
いや、如何して衣装が消えたんだ。さっぱり分からない俺は、混乱してしまった。
「どうして俺裸になってるんだよ。一体なにしたんだ? ……ん」
俺は一度ヘッドホンを外してみる。
とりあえずじっくり見てみると、特に怪しい所は無い。
友人Aが作ってくれたヘッドホンで、様々な機能が施されていた。
その中でも、俺が危惧したのは、何故か赤い点が光っていること。
確かこれはカメラアプリの機能だ。
あまり使う機会は多くないが、写真や動画を充分撮れる。だがしかし、俺はカメラアプリを起動した覚えはない。
「まさか……な」
俺はヘッドホンを再び使用。バイザーを起動し、ボタンを押し、ダイヤルをロールする。
クルクルと表示したのは、動画配信サイト、μTubeのアプリ。
ボタンを押してクリックすると、ありえない出来事に絶句してしまった。
「な、なんで……ってか、誰?」
俺がアプリを起動すると、カメラとスピーカーが連携していた。
更に配信中の表示がされていて、知らない視聴者から、大量のコメントが送られている。
無名のタイトルで始まった配信。
ましてや一人も知らない視聴者。
俺のチャンネルの登録者数も激減していて、もはや面影すらない。
あり得ないバグが発生している中、何故か俺のアバター、中堅VTuber:宙の魔王カガヤキ・トライスティルの姿が小さく映し出されていた。
「なんだ、これ? どういう原理だ。っていうか、詰め込み過ぎだろ」
異世界転移・魔王キャラ・ヘッドホンの機能・それに加えて配信。
あまりにもてんこ盛りだ。俺は訳が分からなくなると、頭を抱える。
というか萎えてしまいそうになる中、気晴らしにコメントを見た。
「もういい、もう分かった。なんでもありなんだな、なんでも……よし、俺はもうツッコまないぞ」
コメントを見る勇気を持った。
きっと何処かの誰かが観ているに違いない。
異世界転移がありなら、次元を超えた視聴も可能な筈。
俺は全てを諦めると、無表情でコメントを覗き込んだ。
天の星:いや~、面白いね~
太陽の主:そうですね、流石は魔王です
水の声:何故水の魔法を使わないんだ
紅蓮の神:α星の爆炎。なかなかの魔法だったな!
雷神の太鼓:がーはっはっはっ、雷とはまさに轟雷よ
風祭の矢:風の魔法も使って欲しかったわね
……
「なんだ、これ?」
あまりにも視聴者の偏りがあった。
いや、それが普通なのだろうが、俺にとってはおかしい。
こんな全員“漢字”が使ってあって、しかも全員自由。
民度と言うより、エンタメを通した交流の場に使っているようで、俺は不思議と唖然とする。
「誰だ、一体。天の星さん? 太陽の主さん? いや、一体誰なんだ?」
一度も聞いたことが無い新規の視聴者層だった。
もしかしたら、普段の俺の視聴者層よりも、少し年配なのかもしれない。
そう考えると、逆に嬉しくなると、マイクをONにして、俺は感謝する。
「新しい視聴者のみんな、俺の配信に来てくれてありがとう。なんだかよく分からないことになったが、俺は俺だ。魔王と呼ばれるのは癪だが、ここまでを観た全員知っているな。俺も分かっていないが、俺は魔王を倒した。勇者パーティーも蹴散らした。これが俺の実力って訳だな……運がよかっただけだが」
天の星: にゃ~はっはっはっ、面白かったね~(3,000P)
太陽の主:自分の実力に驕り高ぶらない姿勢はいいですね(5,000P)
水の声:何故水の魔法を、水の魔法を使ってくれなかったんだ!(1,000P)
紅蓮の神:α星の爆炎は最高だったぞ! (5,500P)
雷神の太鼓:がーはっはっはっ、よかったぞ、流石は見込んだ男だ(4,600P)
風祭の矢:次は風の魔法を使ってね。絶対、絶対よ! (10,000P)
……
「P? なんだか分からないが、ありがとうな。今回はあれだったか、次回の配信の時も楽しみに待っていてくれよ。じゃあな」
俺は配信を終えることにした。
カメラとスピーカーを切り、マイクも落とす。
完全に配信から切り離されると、俺は仰向けにベッドに横になった。
「Pってなんだったんだ? それに、この視聴者の民度……ノリがよくていいな」
俺は天井のシミを数えながらニヤッと笑う。
何故配信ができたのか、何故配信していたのか。誰が観ていたのか。
何もかも分からない。あまりにも謎が多すぎる。俺は分からないことだらけ、何もスッキリしない今の時代優しくない異世界転移に、呆れて眠りこけた。
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