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第4話 魔王が死んだら?
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「終わったか」
俺はベルファーを見事? に倒した。
冷たくなったベルファーの遺体が赤いカーペットの上に転がっている。
「ごめんな、ベルファー」
俺はベルファーの遺体に手を合わせる。
日本人の心が廃れていないおかげだろうか。
ベルファーを殺したのは俺なのに、俺はベルファーの遺体を丁重に扱った。
「……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
胸の奥底、心が悲鳴を上げ、ついに叫んだ。
如何して俺がこんな目に遭うのか。いや、違う。こんなよく分からない、異世界? っていうのか知らないけど、多分マジの魔王? を倒してしまった。
しかもこんな格好をした。何処から如何見ても、俺の方が魔王っぽいのにと思いながら、俺の絶叫は続いた。
「もう訳が分からないんだけど!? 一体何がどうなってこうなった? 一の前に〇すら分からない。あのゲームか? あのゲームのせいなのか? ここまでリアルだと、最新のVRゲーム……な訳も無いか。あー、誰か教えてくれ!」
もはやカガヤキの威厳は何処にも無い。
完全に晃陽に戻った俺は、ベルファーが先程まで座っていた金の椅子にもたれかかった。
「はぁー、なんでこうなった? 異世界転生なんて、フィクションだろ」
異世界転生は所詮、アニメや漫画の中だけの話。
つまり俺は超リアルな夢を見続けている。
そう、これは明晰夢だ。自覚のある夢だからこそ、異世界だと勘違いした。きっとそうに違いない。
俺の思い込みレベルだと、ここまでが関の山で、それ以上は想像もできなかった。
「はぁー。ベルファーに、ここが異世界かどうかくらい、聞いておけばよかった」
俺は呆れたことを言った。
あの状況で、ベルファーがまともに会話してくれる筈もない。
結果として、俺の疑問は残ったまま。ましてやここが何処の何なのかも分からないまま、項垂れてしまう。
「はぁー、誰か来ないかな」
あまりにもフラグを立ててしまった。
けれど、話がまともにできる相手ならそれでもいい。
できれば戦いたくはない。穏便に話し合いで解決できるような、もっとフレンドリーな関係をと、なんやかんや想像してしまった。
「ここだな!」
「フラグ回収来た! ……はっ?」
圧倒的スピード回収。
俺は立てたばかりのフラグが回収されて喜び、項垂れていた様子から一変、振り返って扉を見る。
そこに居たのは四人の男女。
年齢は俺とほとんど変わらないと思うけど、格好が現代人っぽくない。
アニメと漫画・もっと言えばゲームに出て来るような冒険者の格好をしている。
「誰だ、お前達?」
「俺達は、お前を殺すためにやって来た勇者パーティーだ!」
「勇者……なんって?」
ごめん、なに言ったんだ。俺は聞き返してしまった。
もし、俺の耳が耄碌していなかったら、“勇者パーティー”とかバカなことを言っていた。
確かに魔王がいるなら勇者も居る。そんな気はするけど、如何してここにやって来るんだ? それになにより、俺のことを殺すみたいな発言。
流石に誹謗中傷罪で訴えてもいいんじゃないかと思ったが、案の定だった。
「俺達は勇者パーティー、魔王であるベルファー・ベルムグリンドを倒しにやって来た。さぁ、俺達と戦え!」
ああ、そう言うこと。そう言うことね。
コイツら、俺のことを魔王だと思っている。
しかも、俺が死力を尽くして倒した、ベルファー・ベルムグリンドだと思い込んでいた。
「あのさ、俺はベルファーじゃなくて」
「魔王の言葉など聞くか! 覚悟しろ、お前の命貰うぞ」
「はぁー、勇者っぽくない発言だな」
落胆してしまう俺だったが、如何やら本気らしい。
一種視線を落とした瞬間、勇者っぽい格好をした少年が飛び掛かって来る。
真白に輝く剣を振るい、この俺に勝負を挑むのだった。本当に、面倒臭いと心の中で苛立って。
俺はベルファーを見事? に倒した。
冷たくなったベルファーの遺体が赤いカーペットの上に転がっている。
「ごめんな、ベルファー」
俺はベルファーの遺体に手を合わせる。
日本人の心が廃れていないおかげだろうか。
ベルファーを殺したのは俺なのに、俺はベルファーの遺体を丁重に扱った。
「……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
胸の奥底、心が悲鳴を上げ、ついに叫んだ。
如何して俺がこんな目に遭うのか。いや、違う。こんなよく分からない、異世界? っていうのか知らないけど、多分マジの魔王? を倒してしまった。
しかもこんな格好をした。何処から如何見ても、俺の方が魔王っぽいのにと思いながら、俺の絶叫は続いた。
「もう訳が分からないんだけど!? 一体何がどうなってこうなった? 一の前に〇すら分からない。あのゲームか? あのゲームのせいなのか? ここまでリアルだと、最新のVRゲーム……な訳も無いか。あー、誰か教えてくれ!」
もはやカガヤキの威厳は何処にも無い。
完全に晃陽に戻った俺は、ベルファーが先程まで座っていた金の椅子にもたれかかった。
「はぁー、なんでこうなった? 異世界転生なんて、フィクションだろ」
異世界転生は所詮、アニメや漫画の中だけの話。
つまり俺は超リアルな夢を見続けている。
そう、これは明晰夢だ。自覚のある夢だからこそ、異世界だと勘違いした。きっとそうに違いない。
俺の思い込みレベルだと、ここまでが関の山で、それ以上は想像もできなかった。
「はぁー。ベルファーに、ここが異世界かどうかくらい、聞いておけばよかった」
俺は呆れたことを言った。
あの状況で、ベルファーがまともに会話してくれる筈もない。
結果として、俺の疑問は残ったまま。ましてやここが何処の何なのかも分からないまま、項垂れてしまう。
「はぁー、誰か来ないかな」
あまりにもフラグを立ててしまった。
けれど、話がまともにできる相手ならそれでもいい。
できれば戦いたくはない。穏便に話し合いで解決できるような、もっとフレンドリーな関係をと、なんやかんや想像してしまった。
「ここだな!」
「フラグ回収来た! ……はっ?」
圧倒的スピード回収。
俺は立てたばかりのフラグが回収されて喜び、項垂れていた様子から一変、振り返って扉を見る。
そこに居たのは四人の男女。
年齢は俺とほとんど変わらないと思うけど、格好が現代人っぽくない。
アニメと漫画・もっと言えばゲームに出て来るような冒険者の格好をしている。
「誰だ、お前達?」
「俺達は、お前を殺すためにやって来た勇者パーティーだ!」
「勇者……なんって?」
ごめん、なに言ったんだ。俺は聞き返してしまった。
もし、俺の耳が耄碌していなかったら、“勇者パーティー”とかバカなことを言っていた。
確かに魔王がいるなら勇者も居る。そんな気はするけど、如何してここにやって来るんだ? それになにより、俺のことを殺すみたいな発言。
流石に誹謗中傷罪で訴えてもいいんじゃないかと思ったが、案の定だった。
「俺達は勇者パーティー、魔王であるベルファー・ベルムグリンドを倒しにやって来た。さぁ、俺達と戦え!」
ああ、そう言うこと。そう言うことね。
コイツら、俺のことを魔王だと思っている。
しかも、俺が死力を尽くして倒した、ベルファー・ベルムグリンドだと思い込んでいた。
「あのさ、俺はベルファーじゃなくて」
「魔王の言葉など聞くか! 覚悟しろ、お前の命貰うぞ」
「はぁー、勇者っぽくない発言だな」
落胆してしまう俺だったが、如何やら本気らしい。
一種視線を落とした瞬間、勇者っぽい格好をした少年が飛び掛かって来る。
真白に輝く剣を振るい、この俺に勝負を挑むのだった。本当に、面倒臭いと心の中で苛立って。
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