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第2章:黄昏時の獅子
■9 ある日の放課後①
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玲夜さんとの対戦でオーバーリンカーの楽しさを知った私。
初めて勝てたビギナーズラックを嬉しく思いながら、私は親友の橘美咲と楽しくお喋りしていた。
「へぇー、ついに彩葉も始めたんだ」
「うん!」
美咲ちゃんは私よりもオーバーリンカーに詳しい。
と言うか情報通なので大抵のことは小耳に挟んでいてもおかしくはない。
「で、どんなデッキなの?色は?戦術は?」
「そんなに詰め寄らないでよ。私、まだよくわかってないんだから」
「そっかごめんごめん。で、どんなデッキタイプなわけ?」
「えっとね白属性をメインに据えた〈魔術師〉デッキだよ!」
「〈魔術師〉!いやー、また難しいデッキを使ってるんだねー。正直初心者とは思えないよ」
「どういうこと?」
ちょっと含みがあった。
「あのね彩葉、〈魔術師〉デッキって初心者向きじゃないし、むしろ玄人向き?」
「でも扱いやすいって」
「それと勝てるかとじゃ話が違うの。〈魔術師〉デッキは目立ったキーカードがないから勝ちにくいんだよ」
「そ、そうなんだ(じゃあアルルはなんなのさ)」
ツッコミたくなる気持ちを抑えて私はグッと堪えた。
まあ要するにそこそこ難しいデッキテーマだということがわかった。まあテーマとか言われても、そんなに私カードの種類とか知らないんだけどね。
放課後。
私と美咲ちゃんは一緒に帰っていた。
「美咲ちゃん。今日部活は?」
「ないよ」
「そっか。じゃあどこか寄り道する?」
「ん?んーと、いや今日は止めとく」
「えっ?うん、いいけど。なんで?」
美咲ちゃんが急にそう言い出したので私は首を傾げる。
いや、いつもなら公園とかに行ってアクティブにするのに。
「どうしたの?いつもの美咲ちゃんらしくないよ?」
「いうもの私ってなにさ。まあいいや。最近噂になってるんだよねー」
「噂?」
「うん。夕暮れ時になると近くの黄昏公園知ってるでしょ。あそこに獅子がやって来るって」
「は、い?」
「だから獅子がやって来るの」
「えっと……ヤンキー?」
「いや違うけど」
「ん?」
さっぱり美咲ちゃんの話が読めない。
一体何を怖がってるんだろ。いつもの美咲ちゃんらしくもない。
「ねえねえ美咲ちゃん。なにを怖がってるの?」
「いや怖がってるっていうか、獅子って呼ばれてる人が公園にやって来るって噂。なんでも気性が荒いらしって噂なんだよねー」
「そうなんだ。よくわかんないけど、しばらくは近づかない方がいいかもね」
「まあねー」
美咲ちゃんもえらくあっさりだ。
でもどんな人なのかちょっぴり気になる。
「それじゃあまた明日」
「うん。また明日」
私は美咲ちゃんと喋っていたが、途中で別れた。
それから私はまっすぐ家に帰るのだが、今日はちょっと公園に寄ってみようと思う。それはなんでかというと……
「ねえねえ彩葉」
「なに?」
「公園に獅子が現れるって言ってたよ」
「うん。そうみたいだね」
「行こ!」
「帰る」
私はそう選択しようとした時だ。
アルルが奇妙なことを言い出した。
「いいじゃん行こうよ!」
「だーめ。もしそれでなにかあっても私対処できないんだよ!」
「匂うの!」
「匂うって?」
「私と同じユニオンの匂い。きっと公園にもいるんだよ。喋るユニオン」
「えっ?」
なんだろ。そんな不思議なこと言われても私にはちんぷんかんぷんだ。
さらに追い討ちのようにアルルは喋る。
「昨日の人からも匂ったし」
「はいっ?玲夜さんから。まさか……」
「嘘じゃないよ!私こう見えても、そういうの結構強いんだよ!」
「そ、そうなんだ」
「だから彩葉!」
めちゃくちゃしつこい。
私はそのしつこさに折れることにした。まあちょっと見に行ってみるだけだし。何かあったらすぐに引き返せばいい。
「わかったよ。じゃあちょっとだけね」
「うん!」
アルルは大きく縦に振る。
対する私はため息混じりで落胆していた。
初めて勝てたビギナーズラックを嬉しく思いながら、私は親友の橘美咲と楽しくお喋りしていた。
「へぇー、ついに彩葉も始めたんだ」
「うん!」
美咲ちゃんは私よりもオーバーリンカーに詳しい。
と言うか情報通なので大抵のことは小耳に挟んでいてもおかしくはない。
「で、どんなデッキなの?色は?戦術は?」
「そんなに詰め寄らないでよ。私、まだよくわかってないんだから」
「そっかごめんごめん。で、どんなデッキタイプなわけ?」
「えっとね白属性をメインに据えた〈魔術師〉デッキだよ!」
「〈魔術師〉!いやー、また難しいデッキを使ってるんだねー。正直初心者とは思えないよ」
「どういうこと?」
ちょっと含みがあった。
「あのね彩葉、〈魔術師〉デッキって初心者向きじゃないし、むしろ玄人向き?」
「でも扱いやすいって」
「それと勝てるかとじゃ話が違うの。〈魔術師〉デッキは目立ったキーカードがないから勝ちにくいんだよ」
「そ、そうなんだ(じゃあアルルはなんなのさ)」
ツッコミたくなる気持ちを抑えて私はグッと堪えた。
まあ要するにそこそこ難しいデッキテーマだということがわかった。まあテーマとか言われても、そんなに私カードの種類とか知らないんだけどね。
放課後。
私と美咲ちゃんは一緒に帰っていた。
「美咲ちゃん。今日部活は?」
「ないよ」
「そっか。じゃあどこか寄り道する?」
「ん?んーと、いや今日は止めとく」
「えっ?うん、いいけど。なんで?」
美咲ちゃんが急にそう言い出したので私は首を傾げる。
いや、いつもなら公園とかに行ってアクティブにするのに。
「どうしたの?いつもの美咲ちゃんらしくないよ?」
「いうもの私ってなにさ。まあいいや。最近噂になってるんだよねー」
「噂?」
「うん。夕暮れ時になると近くの黄昏公園知ってるでしょ。あそこに獅子がやって来るって」
「は、い?」
「だから獅子がやって来るの」
「えっと……ヤンキー?」
「いや違うけど」
「ん?」
さっぱり美咲ちゃんの話が読めない。
一体何を怖がってるんだろ。いつもの美咲ちゃんらしくもない。
「ねえねえ美咲ちゃん。なにを怖がってるの?」
「いや怖がってるっていうか、獅子って呼ばれてる人が公園にやって来るって噂。なんでも気性が荒いらしって噂なんだよねー」
「そうなんだ。よくわかんないけど、しばらくは近づかない方がいいかもね」
「まあねー」
美咲ちゃんもえらくあっさりだ。
でもどんな人なのかちょっぴり気になる。
「それじゃあまた明日」
「うん。また明日」
私は美咲ちゃんと喋っていたが、途中で別れた。
それから私はまっすぐ家に帰るのだが、今日はちょっと公園に寄ってみようと思う。それはなんでかというと……
「ねえねえ彩葉」
「なに?」
「公園に獅子が現れるって言ってたよ」
「うん。そうみたいだね」
「行こ!」
「帰る」
私はそう選択しようとした時だ。
アルルが奇妙なことを言い出した。
「いいじゃん行こうよ!」
「だーめ。もしそれでなにかあっても私対処できないんだよ!」
「匂うの!」
「匂うって?」
「私と同じユニオンの匂い。きっと公園にもいるんだよ。喋るユニオン」
「えっ?」
なんだろ。そんな不思議なこと言われても私にはちんぷんかんぷんだ。
さらに追い討ちのようにアルルは喋る。
「昨日の人からも匂ったし」
「はいっ?玲夜さんから。まさか……」
「嘘じゃないよ!私こう見えても、そういうの結構強いんだよ!」
「そ、そうなんだ」
「だから彩葉!」
めちゃくちゃしつこい。
私はそのしつこさに折れることにした。まあちょっと見に行ってみるだけだし。何かあったらすぐに引き返せばいい。
「わかったよ。じゃあちょっとだけね」
「うん!」
アルルは大きく縦に振る。
対する私はため息混じりで落胆していた。
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