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閑話 夢の中の思い出①

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 浮かんだのは、懐かしい景色。
 僕の目を通して、その景色は体現されていた。

 それは、僕が師匠たちと別れ、初めて町に来た時のこと。
 僕が初めて冒険者ギルドにやって来た日のこと。

「ここが冒険者ギルド?」

 僕が冒険者ギルドにやって来た日、その日はあまり冒険者がいなかった。
 時刻はちょうど十時頃。
 空模様は、澄み渡る青空。綺麗な空だ。

「よしっ!」

 僕は冒険者ギルドの中に入った。
 それからおどおどしていると、その様子を見ていた一人の女の人が声をかけてくれた。

「どうしたのかな?」
「えっ!?」

 冒険者ギルドの職員さんだ。
 制服を着ている。しかも、受付の女の人たちが全員同じ形の制服を着ていたから、多分受付嬢ってやつだ。

「あ、あの冒険者になりたくて」
「冒険者に? うーん、冒険者に憧れるのは、わかるけど、君幾つかな?」
「はい?」

 あれ、なんだろこれ。
 完全に僕のこと、子供だと思ってるのかな?

 確かに身長は百五十センチ台。
 だけどそんな風に見られるなんて、本当に子供扱いされてるのかな? 不安だ。

「あ、あの、冒険者になりたくて……」
「うんうん、憧れるのはわかるよ。でもね、冒険者ってかなり大変なお仕事で、ちょーっと考え直した方がいいと思うなー、お姉さんは」
「お、お姉さん?」
「そう、お姉さん! だからね、お姉さんからの忠告。考え直した方がいいと思うよ? 君、可愛いから」
「か、可愛い?」

 ヤバい。僕のこと、女のことだと思ってるのかな?
 確かに僕は童顔で、よく女の子に間違われて、師匠たちから着せ替え人形にされたこともあったけど、僕はちゃんと男だ。恋愛観はないし、筋トレと詰め込み勉強で、性欲とかないけどさ。

「あ、あの。僕、本気で冒険者になりたいんです! だから!」
「うわぁ、その目本気だね。うーん、十二歳は超えてる?」
「はい!」

 僕の威圧的な態度を感じてか、それとも僕の目を見てけ、女の人は、目の色を変えた。
 それは本気の目だった。

「じゃあ冒険者登録しよっか」
「いいんですか?」
「うん。別に止めるわけじゃないから。ただし無茶はしちゃ駄目だよ。お姉さんからの、約束」

 僕に女の人は、人差し指を向けた。
 完全に心配された子供だ。保護者みたいな感じで、ちょっと歯痒いけど、受けしかった。

 やっぱり、人に褒められたりすると嬉しい。
 それにこうやって優しくされるのも、嫌いじゃない。だからこそ、僕は僕のために、いつか師匠たちみたいな立派な冒険者になって、世界を見て回るんだ。
 そんな中、

「そうだ、君名前は?」
「僕ですか? 僕は天月です。天月・オボロナ」
「天月君かー。私は、エレナよ。よろしくね」

 女の人、エレナさんはにこやかに笑った。
 その阿賀野は素敵で、一目惚れとかではないけど、かわいらしかった。でも、やっぱり僕のこと、子供だと思っている感じで、ちょっと頬を膨らませた。
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