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15話 瞬殺
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僕は小石を蹴り飛ばした。
コッーン!
壁に反射して、小石が音を鳴らす。
するとオークたちは揃いも揃って、視線を動かすと、首ごとぐるっと回して、壁の方に近づいた。
「何もないぞ?」
「なんだなんだ」
「風だろ」
口々にそう言い合う。
するとオークの一体が、突然ぶっ倒れた。
バタン!
「な、なんだなんだ!?」
「死んでるぞ」
「いつ死んだ! いつ死んだ!」
慌てふためくオークたち。
そんな中、僕は何も持たずに、オークたちの前に現れた。
「仲間を心配するんだね。やっぱり統率が取れてるよ」
「なんだお前!?」
「どこから入ってきた!」
オークたちは慌てふためく。
各々が手に武器を持ち、僕に襲いかかった。
ガラ空きの後頭部。
打ち下ろされた、棍棒だったが、僕に到達する前に、オークのボスが叫んだ。
「やめろ、お前たち!」
「ギッ!」
オークの腕が止まる。
髪の先端に棍棒が触れていたが、確かに丈を見るのはいい。
なかなかに優れている。
見どころがあるが、敵に塩を送るなんて、いささかじゃないか。
こいつの手には、あの子から奪ったと思しき剣の鞘が握られていて、気持ち悪い手汗がびっしり。
「お前は誰だ。いつからそこにいた」
「さっきかな。それより、その剣の鞘返してよ」
「なに?」
僕は早速本題に入った。
これだけ話ができるなら、きっと話し合いに応じてくれるはず。
だけど、
「それは無理な提案だな」
「どうして? もしかして、仲間を殺したことに怒ってる?」
そりゃそうだよね。
僕は仲間を殺した。だから話し合いにも乗ってこないはず。
だけど、どうやら違うらしい。
「この剣には価値がある。それにあんな奴が一匹死のうが関係ないんでな」
「やっぱり魔物だね。じゃあもう一つ。お前たちはなんで、馬車を襲ったんだ。その剣にそれだけの価値があるなら、直接町を襲って、奪えばいい」
「そんなことか。ふん。それぐらいは教えてやるよ! 俺たちはな……」
僕の手がベルトに触れる。
すると、オークのボスは理由を口にした。
「殺したかったからに決まっているだろ。ただ奪うだけなら造作もない。だが人間は死ぬ時にいい声を上げる」
「・・・」
「それにこの剣の持ち主のエルフは高く売れるからな。それに、美しい。お前も男ならわかるだろ」
「わからないね。僕、そう言うこと一度も思ったことないんだ」
「そうか。寂しい人間だ」
話にならない。
こんなに心の奥底から、ざわめきを立てて、熱を帯びるのは久方ぶり。
しかも、僕の心の熱は、綺麗じゃない。
今汚染されているのは、胸糞悪い殺意だった。
「それにあの子供もよかったな。最後まで泣き叫んで!」
「ああ、あの骨の軋む音、最高だったな!」
「よかったよかった!」
「もっとやりたいやりたい!」
その時、ピキッと音を立てて。
次の瞬間、
シュパッ!ーー
オークのボスの首が飛んだ。
血飛沫を上げて吹き飛んだ。
ボトッと音を立てて、地面で割れ、僕の赤く狂った目をギラつかせ、オークの首を踏みつけた。
コッーン!
壁に反射して、小石が音を鳴らす。
するとオークたちは揃いも揃って、視線を動かすと、首ごとぐるっと回して、壁の方に近づいた。
「何もないぞ?」
「なんだなんだ」
「風だろ」
口々にそう言い合う。
するとオークの一体が、突然ぶっ倒れた。
バタン!
「な、なんだなんだ!?」
「死んでるぞ」
「いつ死んだ! いつ死んだ!」
慌てふためくオークたち。
そんな中、僕は何も持たずに、オークたちの前に現れた。
「仲間を心配するんだね。やっぱり統率が取れてるよ」
「なんだお前!?」
「どこから入ってきた!」
オークたちは慌てふためく。
各々が手に武器を持ち、僕に襲いかかった。
ガラ空きの後頭部。
打ち下ろされた、棍棒だったが、僕に到達する前に、オークのボスが叫んだ。
「やめろ、お前たち!」
「ギッ!」
オークの腕が止まる。
髪の先端に棍棒が触れていたが、確かに丈を見るのはいい。
なかなかに優れている。
見どころがあるが、敵に塩を送るなんて、いささかじゃないか。
こいつの手には、あの子から奪ったと思しき剣の鞘が握られていて、気持ち悪い手汗がびっしり。
「お前は誰だ。いつからそこにいた」
「さっきかな。それより、その剣の鞘返してよ」
「なに?」
僕は早速本題に入った。
これだけ話ができるなら、きっと話し合いに応じてくれるはず。
だけど、
「それは無理な提案だな」
「どうして? もしかして、仲間を殺したことに怒ってる?」
そりゃそうだよね。
僕は仲間を殺した。だから話し合いにも乗ってこないはず。
だけど、どうやら違うらしい。
「この剣には価値がある。それにあんな奴が一匹死のうが関係ないんでな」
「やっぱり魔物だね。じゃあもう一つ。お前たちはなんで、馬車を襲ったんだ。その剣にそれだけの価値があるなら、直接町を襲って、奪えばいい」
「そんなことか。ふん。それぐらいは教えてやるよ! 俺たちはな……」
僕の手がベルトに触れる。
すると、オークのボスは理由を口にした。
「殺したかったからに決まっているだろ。ただ奪うだけなら造作もない。だが人間は死ぬ時にいい声を上げる」
「・・・」
「それにこの剣の持ち主のエルフは高く売れるからな。それに、美しい。お前も男ならわかるだろ」
「わからないね。僕、そう言うこと一度も思ったことないんだ」
「そうか。寂しい人間だ」
話にならない。
こんなに心の奥底から、ざわめきを立てて、熱を帯びるのは久方ぶり。
しかも、僕の心の熱は、綺麗じゃない。
今汚染されているのは、胸糞悪い殺意だった。
「それにあの子供もよかったな。最後まで泣き叫んで!」
「ああ、あの骨の軋む音、最高だったな!」
「よかったよかった!」
「もっとやりたいやりたい!」
その時、ピキッと音を立てて。
次の瞬間、
シュパッ!ーー
オークのボスの首が飛んだ。
血飛沫を上げて吹き飛んだ。
ボトッと音を立てて、地面で割れ、僕の赤く狂った目をギラつかせ、オークの首を踏みつけた。
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