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三白眼の逆襲
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ギシギシと揺れる壁、それを支える柱がミシミシと音を立てている。SとMが倒れたスニーフを前に呆然と立ち尽くしている悪夢城の2階にも、徐々に崩壊の予兆が見え始めていた。
「逃げよう。ここはもう終わりだ」
MがSを促すように言った。
「スニーフはどうするんだ?」
心配気なS。分かっているよ、そんなこと。
「大丈夫だよ。こいつは殺したって死にやしない奴だからさ」
Mは無理矢理笑いながら答える。どれほど奥歯を食いしばっても、その瞳からは止められない涙が溢れていた。それを見たSはスニーフを抱き起こそうとするが、Sの倍以上もあるその身体は、抱き起すことすら出来ない。Sは必死でスニーフに呼びかけ、大きく身体を揺すった。
「やめろ、やめてくれ。無理だよ。スニーフのことは諦めよう」
Mが叫ぶ。
「M、諦めちゃだめだ。絶対に三人でここから出よう。スニーフ、スニーフ起きてくれ、頼む。約束を忘れたのか?絶対だって約束しただろう。ぼくは、ぼくは生きてるぞ」
立ちすくんでいたMも、Sの声に押され、その声に重ねるようにスニーフに呼びかけた。
「スニーフ起きろ。もうここはもたないぞ。死ぬんじゃない。頼むから、何でもいいから死ぬんじゃない」
二人の呼びかけの声が悪夢城いっぱいに響いた。しかしその間にも、城の崩壊は進んでいく。時間がない。
ギュワン。突然の不協和音。冷たい風が身体に刺さる。明らかに空気が変わった。まさか。音のした方を振り向いたMは、この世の終わりを見た恐怖に息を飲んだ。「長……、K」
「にゃーにゃー喧しいわ、この雌猫どもめが」
床から1メートルほどの高さに浮遊した長Kが三人を見下ろしていた。これ以上ないというくらいに機嫌の悪い顔。眉は吊り上り、真っ赤な髪の毛は総毛立っていた。
「私の城を、よくもこんなにしてくれたなスニーフ。虫けらのようなお前を、私がこれまでどれだけ大きな気持ちで見逃してきてやったことか。その恩も忘れてこのような所業、つくづく恐れ入ったわ。最早一片の遠慮も情けも要らぬ。さあ、Mよ。その虫けらをひと思いにこの場で葬ってやれ」
真っ青な顔でKの話を聞いていたMは「はい」と答え、Kの差し出した剣を受け取った。
「やめろM。スニーフの気持ちは。いやM、君自身の気持ちはそれでいいのか」
「いいんだ。スニーフは放っておいてもここで死ぬ。だったらあたしの手で葬ってやるのがせめても情けさ」
スニーフに向かって剣を振り上げたMにSは後ろから抱きついた。
「やめろM。その剣を振りおろしたら一生後悔することになるぞ。絶対ダメだ」
もみ合うSとM。ほくそ笑んで眺めるK。争え、争え。友だちも仲間も恋人も、所詮はバラバラの別の命。お前たちはみんな一人ぼっちだ。結局のところ分かり合うことなんて出来やしない。憎しみ合って孤独に一人で死ぬがいい。
ドドドドドと階下で何かが崩壊した大きな音と振動が響いた。Kがその音に気を取られた瞬間、MがSの耳元に何か囁いた。Kはそれに気づいていない。
「いつまでじゃれ合っているつもりだ。Mよ、さっさとスニーフの息の根を止めるのだ。さもなくば、先におまえの息の根を私が止めるまでぞ」
SがMに壁際まで突き飛ばされる。すかさずMは剣を振りあげ「おおおおおおおおお」と雄叫びを上げてスニーフに襲い掛かった。
ズンという低い音。「ぐうっ」という声。
Mがスニーフに剣を振りおろすタイミングに合わせて、Sが壁の剣を抜きKに向かって真っすぐ突き刺した。完全に死角から虚を突かれた長Kは、脇腹にSの刃をまともに受けていた。
「き、貴様あああっ」
Kは剣の刃を握ると力任せにそれを振り回そうとした。だが、Sはまったく動かない。剣術は一人旅を生き抜く為に死に物狂いで稽古してきた。相手が長Kとはいえ、刃を握られて振り回されるような腰抜けではない。
「くそお、生意気な小娘が」
Kはカッと目を見開いてSを吹き飛ばす。「ぐああああっ」小人を一網打尽に剣山に突き刺したその猛烈な風にSは懸命に足を踏ん張った。ボロ雑巾のようになった上着と同じように、Sの身体は既にボロボロだった。でも、絶対に諦めない。絶対に。
Sの精神力がKの術を僅かに上回った。Sは壁際ギリギリのところまで押されながらも、ついに術を乗り越えて踏ん張り切ったのだ。
確かにK自身もスニーフの一撃で消耗していた。そこにSに突き立てられた脇腹の傷も存外に深く、K本来の力の半分も出せる状態ではなかった。しかし、それ以上にKは自分の術が名も知らぬ小娘に破られたことに激しく動揺していた。その小娘が長である自分に対して、まるでひるむことなく、真っ直ぐにその三白眼で睨みつけてくる。
「何だその忌々しい目は。もう勘弁ならん」
Kは頭上に手を上げると吹き抜けの上空に雷雲を作り始めた。落雷をSにぶつけようというのだろう。おそらくSはもう動けない。Mはスニーフに突き立てた剣を引き抜くと、Kに向かってその刃を向けて突進した。Kは雷雲の術の途中に現れた新たな敵に、激風の術を浴びせたが、Mは素早く姿勢を低くしてこれをかわし、そのままKの太腿に斬りつけた。グラリとKの身体がバランスを崩す。しかし今度こそと至近距離から放たれた激風の術に、Mはもんどりを打って高々と吹き飛ばされた。もう、誰も動ける者はいない。
「何だというのだ。貴様らは。だが、もう終わりだ」
Kは改めて雷雲の術を唱え、天井を覆い尽くす雷雲を創り出した。天井が落ち始めている。悪夢城は既に限界を迎えていた。
「さらばだ」
Kの指先が宙を舞うと、雷雲から三本の閃光が走り、フロアは何も見えなくなった。
(続く)
「逃げよう。ここはもう終わりだ」
MがSを促すように言った。
「スニーフはどうするんだ?」
心配気なS。分かっているよ、そんなこと。
「大丈夫だよ。こいつは殺したって死にやしない奴だからさ」
Mは無理矢理笑いながら答える。どれほど奥歯を食いしばっても、その瞳からは止められない涙が溢れていた。それを見たSはスニーフを抱き起こそうとするが、Sの倍以上もあるその身体は、抱き起すことすら出来ない。Sは必死でスニーフに呼びかけ、大きく身体を揺すった。
「やめろ、やめてくれ。無理だよ。スニーフのことは諦めよう」
Mが叫ぶ。
「M、諦めちゃだめだ。絶対に三人でここから出よう。スニーフ、スニーフ起きてくれ、頼む。約束を忘れたのか?絶対だって約束しただろう。ぼくは、ぼくは生きてるぞ」
立ちすくんでいたMも、Sの声に押され、その声に重ねるようにスニーフに呼びかけた。
「スニーフ起きろ。もうここはもたないぞ。死ぬんじゃない。頼むから、何でもいいから死ぬんじゃない」
二人の呼びかけの声が悪夢城いっぱいに響いた。しかしその間にも、城の崩壊は進んでいく。時間がない。
ギュワン。突然の不協和音。冷たい風が身体に刺さる。明らかに空気が変わった。まさか。音のした方を振り向いたMは、この世の終わりを見た恐怖に息を飲んだ。「長……、K」
「にゃーにゃー喧しいわ、この雌猫どもめが」
床から1メートルほどの高さに浮遊した長Kが三人を見下ろしていた。これ以上ないというくらいに機嫌の悪い顔。眉は吊り上り、真っ赤な髪の毛は総毛立っていた。
「私の城を、よくもこんなにしてくれたなスニーフ。虫けらのようなお前を、私がこれまでどれだけ大きな気持ちで見逃してきてやったことか。その恩も忘れてこのような所業、つくづく恐れ入ったわ。最早一片の遠慮も情けも要らぬ。さあ、Mよ。その虫けらをひと思いにこの場で葬ってやれ」
真っ青な顔でKの話を聞いていたMは「はい」と答え、Kの差し出した剣を受け取った。
「やめろM。スニーフの気持ちは。いやM、君自身の気持ちはそれでいいのか」
「いいんだ。スニーフは放っておいてもここで死ぬ。だったらあたしの手で葬ってやるのがせめても情けさ」
スニーフに向かって剣を振り上げたMにSは後ろから抱きついた。
「やめろM。その剣を振りおろしたら一生後悔することになるぞ。絶対ダメだ」
もみ合うSとM。ほくそ笑んで眺めるK。争え、争え。友だちも仲間も恋人も、所詮はバラバラの別の命。お前たちはみんな一人ぼっちだ。結局のところ分かり合うことなんて出来やしない。憎しみ合って孤独に一人で死ぬがいい。
ドドドドドと階下で何かが崩壊した大きな音と振動が響いた。Kがその音に気を取られた瞬間、MがSの耳元に何か囁いた。Kはそれに気づいていない。
「いつまでじゃれ合っているつもりだ。Mよ、さっさとスニーフの息の根を止めるのだ。さもなくば、先におまえの息の根を私が止めるまでぞ」
SがMに壁際まで突き飛ばされる。すかさずMは剣を振りあげ「おおおおおおおおお」と雄叫びを上げてスニーフに襲い掛かった。
ズンという低い音。「ぐうっ」という声。
Mがスニーフに剣を振りおろすタイミングに合わせて、Sが壁の剣を抜きKに向かって真っすぐ突き刺した。完全に死角から虚を突かれた長Kは、脇腹にSの刃をまともに受けていた。
「き、貴様あああっ」
Kは剣の刃を握ると力任せにそれを振り回そうとした。だが、Sはまったく動かない。剣術は一人旅を生き抜く為に死に物狂いで稽古してきた。相手が長Kとはいえ、刃を握られて振り回されるような腰抜けではない。
「くそお、生意気な小娘が」
Kはカッと目を見開いてSを吹き飛ばす。「ぐああああっ」小人を一網打尽に剣山に突き刺したその猛烈な風にSは懸命に足を踏ん張った。ボロ雑巾のようになった上着と同じように、Sの身体は既にボロボロだった。でも、絶対に諦めない。絶対に。
Sの精神力がKの術を僅かに上回った。Sは壁際ギリギリのところまで押されながらも、ついに術を乗り越えて踏ん張り切ったのだ。
確かにK自身もスニーフの一撃で消耗していた。そこにSに突き立てられた脇腹の傷も存外に深く、K本来の力の半分も出せる状態ではなかった。しかし、それ以上にKは自分の術が名も知らぬ小娘に破られたことに激しく動揺していた。その小娘が長である自分に対して、まるでひるむことなく、真っ直ぐにその三白眼で睨みつけてくる。
「何だその忌々しい目は。もう勘弁ならん」
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「さらばだ」
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(続く)
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