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第4章 囚われのヒーロー

4-2 開口

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 ショーカットに切れ長の瞳。ほおう。行方不明になったリサ王女の顔は頭に叩き込んであったが、改めて素顔の王女の顔を見たサトルは、その美しさに思わずため息をついた。なるほど。これなら蛇王子が執着するのも分かる気がする。王家の娘になど全く興味のなかったサトルは、このイタズラもほんの話のネタ程度にしか考えていなかったが、改めて本格的にこの女を味わってみたい衝動にかられた。

「これはこれは、王女様。想像以上になかなか可愛い顔をしているじゃないか。やはりナマが一番、写真じゃわからないものだな」

 サトルは手袋を外すと、エビ反りになって空を仰いでいる王女の顎を一撫でした。

「やめろ、気色悪い」

 王女はサトルに向かって唾を吐いたが、唾はサトルには掛からず王女自身の頬に張り付いた。

「強気なお嬢さんだな。益々興味が湧いて来たよ」

 サトルはタブレットを操作しながら、意味深な微笑みを浮かべた。

「ちょっと面白い設定を見つけてしまってね。これを押すとスーツの特定の部分が開くらしい」

 開閉システム。スーツを着たまま内部空調の調整を行ったり、いわゆる生理現象の処理を考慮したシステムだ。地下ではからかい半分で開け閉めして見せたりしたが、今、身体の自由を奪われた状態で開かれてしまったらどうなるか......。王女は身体を捩らせて態勢を変えようと試みたが、スーツはビクともしない。

「無駄だ、無駄だ。緊縛以上の拘束状態だからな。このスーツ、もしかするとこの為に開発されたものなのかも知れないな。まあ、せいぜいマゾヒズムに浸って快感を貪るといい。いや王女様はサドがお似合いかな。ハハハハハ」

 サトルは嬉しそうに笑いながら、王女の苦悶の表情を楽しんだ。 

「フフフフ、まあ、いつまで焦らしても悪いからな。じゃあ、最初は。ここでどうだ」

 サトルがタブレットを操作すると、シャキンという軽やかな金属音がした。テッコツマンのボディ前面の真ん中が直径15cmほどの円形に開いた。白い肌。無駄肉の全くないすっきりした腹部に形の良い縦型のおへそが見える。

「やめろ」

 王女が呟く。

「おお、かわいいおへそじゃないか。なるほど、なるほど。王女様。何と大胆な。このスーツの下、何もお召しになっていないというわけですな。ジュルルルル。おっと、よだれが」

 サトルはわざとらしい仕草で王女を貶める。くそぉ、このスーツから出られさえすれば。こんなやつの言いなりになんてならないのに。王女は臍を噛んで悔しがった。

「では、次に行こうか」

 サトルがタブレットを叩くと、シャキン、シャキンという金属音を立てて、テッコツマンの胸部に腹部の開口部とほぼ同じ大きさの円形が左右対称に開いた。

「あううッ」

 王女の口から声が漏れる。二つの開口部には、決して大きくはないが間違いなく女の膨らみが覗いていた。身体をのけ反らせている為に、恐らくスーツの裏地に押し潰される形になっていたのだろう。双丘はわずかにスーツのラインから飛び出し、その先端にあるピンク色の蕾を外気に晒した。

 人気のない深夜。サトルが浴びせるブルーのスポットライトの中で、まるで場末のキャバレーのダンサーのように胸を反らした王女の、まだ発達途上の青いバストが露わになる。僅かに勃起しかけた群青の複雑な濃淡に彩られた円柱が夜空を仰ぐ。サトルの操作によって、テッコツマンの両手はまるでその胸を見てくれとばかりに自らの下乳を掴んだ。

「や、やめてくれ」

 どうにも出来ない悔しさに押し潰されそうになりながら、王女が呟くようにサトルに懇願する。

「やめてくれ、じゃないだろう。王女様。人にモノを頼むときはどう言えばいいのか、王宮ではそんなことも教えてくれないのか」

 そう言うとサトルは王女の左胸の先端を指先で弾いた。

「ひいっ」

 突然の刺激に王女は身体をびくっと跳ねさせると同時が声を上げる。

「さあ王女様。『やめてください、サトル様』というんだ。さあ」

 サトルは王女の敏感な円柱を摘まんだ指先に力を入れると、そのままギュッと右回りに捩じった。硬度が増していくのが指先の感触に伝わる。

「ひいいいいっ、や、やめてくれ」

「おや、まだ、分からないのか。教養不足のあばずれ王女め。ならばこれでどうだ」

 サトルの指が右胸にも襲い掛かる。未開発の性感が少しずつ押し広げられていた。その王女の感覚を分かっているかのように、サトルの指先が絶妙な力加減で圧をコントロールしている。だめだ、もうこれ以上は。

「だ、だめ、い、いや、や、やめてください」

 王女は降伏の意思を示した。よし、もういいだろう。次で仕上げだ。サトルは残されたもう一つの開閉口のボタンに手を掛けた。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 空から人が降って来た。店長と王女の位置情報を失ったタマネギとボクサーは、敵の集結地点を目指して町外れの病院まで来たところで、その屋上から人が飛ぶのを見た。まるでムササビのように両腕に羽を付けた人影が二人のほど近くに着地する。

 キャプテン・アのコスチューム。店長だった。

「王女は、王女はどこですか?」

 息せき切ってボクサーが尋ねる。

「ロケット砲で分断された後、敵が一斉に自分の方に向かって来たんだ。敵を王女から引き離そうと必死でここまで走ってきた。敵はあの屋上にうようよいるぞ。早くここを離れないと」

 店長が一気にまくし立てた。敵が店長を追掛けたのは、キャプテン・アが王女だと言う誤った指令があったに違いない。誤報か?いや違う。獲物の独り占めだ。わざと偽の情報を流したんだ。タマネギは瞬時そう分析した。だとすれば相手は相当に切れる奴だ。王女が危ない。

「王女は広場だ。すぐに戻るぞ」

 タマネギは踵を返して走り出した。深夜の病院から濃密な敵の気配が伝わって来る。都合50人。この集団を広場に戻してはこちらが断然不利になる。ボクサーと店長が顔を見合わせて頷き合った。王女はタマネギに託そう。こいつらはここで俺たちで食い止める。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 サトルの指が最後の開閉ボタンを押す。カシャッという乾いた音。

「あああっ」

 膝をつきのけ反った態勢の王女が小さな呻き声を漏らす。スーツを着たまま排泄を可能にする為の機能的な開閉システムは、今、サトルの欲望を満たし、王女ーを恥辱の底に貶める装置に成り果てた。

 サトルは股間の開口部にブルーライトを照射して中を覗き込んだ。王女の股間の翳りが見えている。

「おおお。清楚だ。実に清楚だ。さすがは王女様だ。眉唾と思っていたが、生娘というのは本当らしいな。もっと、もっと良く見せてくれ」

 サトルは更にその形態を観察しようとテッコツマンの股間部に顔を近づけた。

「うーむ。これじゃ、良く見えないな。もっと見やすくしてもらおうか」

 サトルの操作によって再びスーツが操られ、王女はブリッジの態勢にされ、更に両脚を大きく広げられた。横10cm、縦20cmほどの楕円形の開口部から、その中身が丸見えになりそうになったが、ここで王女は思いきり腰を振って中心を僅かに右にずらした。間一髪。開口部に左腰骨を引っ掛けることで肝心な部分を見えない位置にずらすことに成功した。

「ほう、小癪なことをするじゃないか、王女様。しかしその恰好、いつまでそうしていられるかな?」

 言われる通り苦しい態勢である。そう長くは続かない。くっそう、何か方法はないのか。必死にあがく王女の腰骨に、サトルの手が忍び寄っていた。

(続く)
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