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第3章 深夜の攻防
3-2 双璧
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2Fに向かった組織の5人はそこで見てはいけないものを見る。ブラック○○○○とキャプテン・○。スーパーヒロイン風のタイトなスーツを身に着けているのは明らかに男性だ。しかもそれを身に着けるにはあまりにも体型に余裕があり過ぎる。5人の戦闘員は、生か死かというこの張りつめた空気の中で、この男たちはどうしてこれほど緊張感のないコスプレをしているのか、その意図を計りかねて立ち尽くした。
その一瞬があれば十分だった。
ダダダダダダダダ
ミサイルが扮したキャプテン・〇が構えた麻酔銃が吠えた。5人の戦闘員はなすすべもなくその場に倒れた。
「これで7人か。我々は実に優秀なソルジャーだな」
信号機が言う。
「いや、ここまでは全部俺のお手柄じゃねえかな」
と、ミサイル。
「おお、そうだ、そうだ。流石は元GB、仕事にソツがない。それと、もうひとつ勝因を上げれば、店長のこのスーツだろう。やはりこいつを選んで正解だった」
信号機はミサイルを立てつつ、店長のコレクションの威力にも言及した。
「ああ、でもやっぱりそいつは王女に着て欲しかったぜ」
ミサイルは信号機が着た為にパツパツに伸びているブラック○○○○スーツの憐れを眺めた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
オークションチームはここまでに10名の戦闘員を戦闘不能状態にしていた。残る敵は約半分。その内の半分の部隊長のヨシムラを含む5人は1Fのメインエントランスにいる。となると排気口ルートから外部脱出を図っているヘソマニアと主催者の出口に残りの5人程が張っている可能性があったが、実際には2人の出口は全くのフリーだった。
「何だ、ここは警戒ゼロですか」
主催者が安堵の溜息をつく。その時。
ドガーーーン
地下の爆破。はじまった。これで後戻りは出来なくなった。
「来ましたね。ゾクゾクするなこれ」
主催者の暢気な言葉に、ヘソマニアの脳裏に一瞬嫌な予感が走る。
「いや待て。このフリー、もしかすると罠の可能性もある。十分に注意しよう」
ヘソマニアは自らにも言い聞かせるように、主催者の気の緩みを諌める。戦闘シーンにおいてはいついかなる時であっても緊張を解いてはならない。それはメシを食っている時も、クソをしている時も、寝ている時でさえもだ。かつて戦場で上官に殴られながら聞いた言葉が蘇る。
地下を爆破した以上、このビルはいつ崩壊してもおかしくない状態にあった。ここに長居は無用だ。ヘソマニアと主催者はとりあえずビルから出て、外から内部を窺った。
メインエントランスにいた10人の戦闘員の動きが慌ただしくなり、5人が2Fに消えた。信号機の作戦が動いている。順調のようだなと、ヘソマニアが安堵した瞬間、黒いマントが2人の頭を覆った。
「くそ、何だ」
主催者は闇雲に手を振り回したが、一切の手ごたえはなかった。掛けられたマントが首の部分で絞まってくる。「ヤバイ」そう思った途端に意識が切れた。ヘソマニアも激しく抵抗したがやがて動かなくなった。黒マントを操った戦闘員は、2人を車に乗せると一発クラクションを短く鳴らすと、そのまま深夜の町に消えて行った。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ヨシムラの電話が鳴る。2名確保の報。やれやれやっとか。こちらはもう10名も被害が出ているというのに。続いて逃走中の2名のパーティを2つ。都合4名発見したと連絡が入る。
「どこだ?」
ヨシムラの声に力が入る。
「四丁目公園を横切りビーチライン方向。海に向かってるようだな、これは」
組織がビルオーナーになっているこのビルでのドンパチは避けたかったが故に、ビルから逃げられた後の包囲網を厚くしておいた。ビルの配員15名に対して外回りの警戒に実に100名を投入していたのだ。奴らがどれほど戦争に精通していても、いや精通していればいるほど、この完全にコスト度返しの常軌を逸した戦力は想像出来まい。
戦力差があっても、なるべく少数にしてから潰す。それも逃げ場のな場所がベストだ。隠れ場所のない広い場所で獲物を想像以上の大人数で囲む。そのシチュエーションがヨシムラのゾクゾク来るポイントだった。
「逃げている中に必ず王女はいる。網に引っ掻けたら絶対逃がすな」
100人の捕獲システムからは絶対に逃げられん。強面のヨシムラの唇の端が一瞬緩んだ。
組織の配した外回りの包囲網100名を遠隔コントロールは、カゼと呼ばれる謎の存在に任されていた。キャリアも年齢も性別も不詳。その冷血極まりない指示にAIシステムなんじゃないかと、存在そのものを怪しむ者さえいた。そもそも100名もの荒くれ者の傭兵をまとめるのに必要なのは、キャリアや年齢や性別ではない。厳格非情なまでの統制と、現場における臨機応変かつ迅速的確な判断、そして失敗が死と直結する現場で、必要最低限の犠牲で勝利を導く戦略戦術だけが求められる。
その意味でカゼは組織から厚い信頼を得ていた。それは全部隊を統括するヨシムラと双璧、いや今回の作戦でも明らかに戦略の肝は外回りの包囲網にある。
外回りのメンバーは、先行して海岸に向かって走っているキャプテン・アとテッコツマン、そしてその後方を行く2人の進路をほぼ全員が把握していた。数に任せて行く手を塞ぐことはいつでも出来たが、カゼは闇雲に少人数で進路を塞ぐような手段は講じない。
ベストな戦略は戦わずして降伏させることにある。強大な力を持つ組織とは言え、優秀な戦闘員には限りがあるのだ。今回のように大部分を傭兵に頼るような状況であるが故に、尚更正規の戦闘員の消耗は避けなければならない。そもそもが色ボケオヤジから一人の女をさらうという赤子の手を捻るようなミッションなのだ。無傷なのが当たり前。カゼはそう考えていた。
ところが、15人のビル部隊で既に半数がやられたという報。優秀な人材は外回りに集められており、ヨシムラのビル部隊がオークションチームの奇襲に無様に戦力を失ってしまったのも、配置されたメンバーが寄せ集めだった問題が大きかったとも考えられたが。
「何をやってるんだ、ヨシムラは」
力では到底ヨシムラには敵わないカゼだったが、戦略においては自分の方が上だ。結果が全て。カゼは通信装置を利用して100人の傭兵たちに指示を出した。リーダー1名に100人の兵が動く超フラットな組織は、レスポンスが早いのが特徴だ。
「95.8%の確率で逃げている4人のいずれかが王女だ。王女を確定しろ」
指示に対して、たちどころに80%前後の反応が来る。「了解」「ラジャー」といったパターンも多いが、更に詳しい指示を仰いで来たり、確認や指示に対する質問や意見、あからさまに反抗的なことを口にする者もいる。
それでも反応を返す者はまだいい。問題は残りの20%。その殆どはそもそもまったく反応する気がない。勿論、返事などしなくともきっちり仕事をしてくれればいいのだが、そんな有能な戦闘員は極限られている。結果として理解不足や勘違いをした行動で全体の利益を損なうことも少なくない。更に反乱分子や敵のスパイの存在も頭に入れておく必要がある。傭兵を雇えば、その規模が大きくなればなるほど全体の数パーセントはそんな輩が混じると思っておいて間違いない。傭兵マネジメントは、スパイが混じることも前提におく必要があった。
例えば今回カゼが抱える100人の傭兵の中で、コードネームPと呼ばれる奴は、恐らく相当の使い手であると同時に、その振る舞いから敵のスパイである可能性も高いとマークされている一人だった。案の定、指令への返事もない。カゼは一斉指令に返信のない者には即座に個別の緊急通報を投げる。最初が肝心だ。3回目の個別通報でPからの返答があった。
「やかましいな」
「そうか、だったら初回に回答を寄こせ。今、お前のボスは俺だ。次はない」
「何だ高飛車だな」
「無駄口は要らない。外れるなら今すぐ外れろ。今すぐだ。やるかやらないか。どっちだ」
「くっ......。くそやろうが。やるさ」
「なら初回に回答を寄こせ。次はない」
カゼは通信を切った。目立つ奴はそれほど怖くない。Pも次は回答してくるだろう。ヤバイ奴はむしろ最初の80%の中にいる。
(続く)
その一瞬があれば十分だった。
ダダダダダダダダ
ミサイルが扮したキャプテン・〇が構えた麻酔銃が吠えた。5人の戦闘員はなすすべもなくその場に倒れた。
「これで7人か。我々は実に優秀なソルジャーだな」
信号機が言う。
「いや、ここまでは全部俺のお手柄じゃねえかな」
と、ミサイル。
「おお、そうだ、そうだ。流石は元GB、仕事にソツがない。それと、もうひとつ勝因を上げれば、店長のこのスーツだろう。やはりこいつを選んで正解だった」
信号機はミサイルを立てつつ、店長のコレクションの威力にも言及した。
「ああ、でもやっぱりそいつは王女に着て欲しかったぜ」
ミサイルは信号機が着た為にパツパツに伸びているブラック○○○○スーツの憐れを眺めた。
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オークションチームはここまでに10名の戦闘員を戦闘不能状態にしていた。残る敵は約半分。その内の半分の部隊長のヨシムラを含む5人は1Fのメインエントランスにいる。となると排気口ルートから外部脱出を図っているヘソマニアと主催者の出口に残りの5人程が張っている可能性があったが、実際には2人の出口は全くのフリーだった。
「何だ、ここは警戒ゼロですか」
主催者が安堵の溜息をつく。その時。
ドガーーーン
地下の爆破。はじまった。これで後戻りは出来なくなった。
「来ましたね。ゾクゾクするなこれ」
主催者の暢気な言葉に、ヘソマニアの脳裏に一瞬嫌な予感が走る。
「いや待て。このフリー、もしかすると罠の可能性もある。十分に注意しよう」
ヘソマニアは自らにも言い聞かせるように、主催者の気の緩みを諌める。戦闘シーンにおいてはいついかなる時であっても緊張を解いてはならない。それはメシを食っている時も、クソをしている時も、寝ている時でさえもだ。かつて戦場で上官に殴られながら聞いた言葉が蘇る。
地下を爆破した以上、このビルはいつ崩壊してもおかしくない状態にあった。ここに長居は無用だ。ヘソマニアと主催者はとりあえずビルから出て、外から内部を窺った。
メインエントランスにいた10人の戦闘員の動きが慌ただしくなり、5人が2Fに消えた。信号機の作戦が動いている。順調のようだなと、ヘソマニアが安堵した瞬間、黒いマントが2人の頭を覆った。
「くそ、何だ」
主催者は闇雲に手を振り回したが、一切の手ごたえはなかった。掛けられたマントが首の部分で絞まってくる。「ヤバイ」そう思った途端に意識が切れた。ヘソマニアも激しく抵抗したがやがて動かなくなった。黒マントを操った戦闘員は、2人を車に乗せると一発クラクションを短く鳴らすと、そのまま深夜の町に消えて行った。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ヨシムラの電話が鳴る。2名確保の報。やれやれやっとか。こちらはもう10名も被害が出ているというのに。続いて逃走中の2名のパーティを2つ。都合4名発見したと連絡が入る。
「どこだ?」
ヨシムラの声に力が入る。
「四丁目公園を横切りビーチライン方向。海に向かってるようだな、これは」
組織がビルオーナーになっているこのビルでのドンパチは避けたかったが故に、ビルから逃げられた後の包囲網を厚くしておいた。ビルの配員15名に対して外回りの警戒に実に100名を投入していたのだ。奴らがどれほど戦争に精通していても、いや精通していればいるほど、この完全にコスト度返しの常軌を逸した戦力は想像出来まい。
戦力差があっても、なるべく少数にしてから潰す。それも逃げ場のな場所がベストだ。隠れ場所のない広い場所で獲物を想像以上の大人数で囲む。そのシチュエーションがヨシムラのゾクゾク来るポイントだった。
「逃げている中に必ず王女はいる。網に引っ掻けたら絶対逃がすな」
100人の捕獲システムからは絶対に逃げられん。強面のヨシムラの唇の端が一瞬緩んだ。
組織の配した外回りの包囲網100名を遠隔コントロールは、カゼと呼ばれる謎の存在に任されていた。キャリアも年齢も性別も不詳。その冷血極まりない指示にAIシステムなんじゃないかと、存在そのものを怪しむ者さえいた。そもそも100名もの荒くれ者の傭兵をまとめるのに必要なのは、キャリアや年齢や性別ではない。厳格非情なまでの統制と、現場における臨機応変かつ迅速的確な判断、そして失敗が死と直結する現場で、必要最低限の犠牲で勝利を導く戦略戦術だけが求められる。
その意味でカゼは組織から厚い信頼を得ていた。それは全部隊を統括するヨシムラと双璧、いや今回の作戦でも明らかに戦略の肝は外回りの包囲網にある。
外回りのメンバーは、先行して海岸に向かって走っているキャプテン・アとテッコツマン、そしてその後方を行く2人の進路をほぼ全員が把握していた。数に任せて行く手を塞ぐことはいつでも出来たが、カゼは闇雲に少人数で進路を塞ぐような手段は講じない。
ベストな戦略は戦わずして降伏させることにある。強大な力を持つ組織とは言え、優秀な戦闘員には限りがあるのだ。今回のように大部分を傭兵に頼るような状況であるが故に、尚更正規の戦闘員の消耗は避けなければならない。そもそもが色ボケオヤジから一人の女をさらうという赤子の手を捻るようなミッションなのだ。無傷なのが当たり前。カゼはそう考えていた。
ところが、15人のビル部隊で既に半数がやられたという報。優秀な人材は外回りに集められており、ヨシムラのビル部隊がオークションチームの奇襲に無様に戦力を失ってしまったのも、配置されたメンバーが寄せ集めだった問題が大きかったとも考えられたが。
「何をやってるんだ、ヨシムラは」
力では到底ヨシムラには敵わないカゼだったが、戦略においては自分の方が上だ。結果が全て。カゼは通信装置を利用して100人の傭兵たちに指示を出した。リーダー1名に100人の兵が動く超フラットな組織は、レスポンスが早いのが特徴だ。
「95.8%の確率で逃げている4人のいずれかが王女だ。王女を確定しろ」
指示に対して、たちどころに80%前後の反応が来る。「了解」「ラジャー」といったパターンも多いが、更に詳しい指示を仰いで来たり、確認や指示に対する質問や意見、あからさまに反抗的なことを口にする者もいる。
それでも反応を返す者はまだいい。問題は残りの20%。その殆どはそもそもまったく反応する気がない。勿論、返事などしなくともきっちり仕事をしてくれればいいのだが、そんな有能な戦闘員は極限られている。結果として理解不足や勘違いをした行動で全体の利益を損なうことも少なくない。更に反乱分子や敵のスパイの存在も頭に入れておく必要がある。傭兵を雇えば、その規模が大きくなればなるほど全体の数パーセントはそんな輩が混じると思っておいて間違いない。傭兵マネジメントは、スパイが混じることも前提におく必要があった。
例えば今回カゼが抱える100人の傭兵の中で、コードネームPと呼ばれる奴は、恐らく相当の使い手であると同時に、その振る舞いから敵のスパイである可能性も高いとマークされている一人だった。案の定、指令への返事もない。カゼは一斉指令に返信のない者には即座に個別の緊急通報を投げる。最初が肝心だ。3回目の個別通報でPからの返答があった。
「やかましいな」
「そうか、だったら初回に回答を寄こせ。今、お前のボスは俺だ。次はない」
「何だ高飛車だな」
「無駄口は要らない。外れるなら今すぐ外れろ。今すぐだ。やるかやらないか。どっちだ」
「くっ......。くそやろうが。やるさ」
「なら初回に回答を寄こせ。次はない」
カゼは通信を切った。目立つ奴はそれほど怖くない。Pも次は回答してくるだろう。ヤバイ奴はむしろ最初の80%の中にいる。
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