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第3章
6回表①/新たな不安
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<6回表>
スコアは2-0。うのは打撃で1-1の1打点、投げてはノーヒットノーランの大車輪。しかも第1打席でデッドボールをぶつけられ、その負傷を負っての成績だ。知る人からすれば、昨日、精神的にも肉体的にもギリギリの状態に追い込まれての今日である。試合に出場していることですら驚異だった。となると、やはり不安要素はスタミナである。幸いここまでの投球数は少ないものの、わかたか学園もなりふり構っていられる状況ではない。うの攻略のためにあらゆる手段を講じて来るであろう。
その意味も含めて1番のキイチからはじまるこの回は、もう1点うのにプレゼントしておきたい大事な回だ。
<救護室>
山本先生が、ベッドにうつ伏せになったうのの背中をマッサージをしている。
「どう?右腕の方は大丈夫そう?」
「はい、痛みはありますけど、投球の時の違和感はなくなりました。コントロールが上手く出来なくなった時はホント焦りましたよ」
「良かったわ。多分、暫くは痛むと思うけど、応急処置はしっかりしたから、跡が残ったりはしないと思うけど、それにしてもボールが当たって切りキズが出来るって、一体どんな球投げてるのかしら」
山本先生は、そう言って背中から腰を揉みながら、うののユニフォームに包まれたお尻を見ていた。3人組の話が気になっていたのだ。やっぱりちゃんと聞いておこう。
「うのちゃんにひとつ聞きたいことがあるんだけど」
山本先生はマッサージの手を腰からお尻に動かし、
「この下、何履いてるの?」
と聞いた。
「あ、えっ先生、どうしてですか?」
慌てたように、うのが聞き返す。
「ははあ、その慌てようは、やっぱりね。うのちゃん、先生にこの下を見せなさい、いいわね」
有無を言わせない命令口調に、
「は、はい」
うのは素直に従った。山本先生はうのに腰を上げさせるとベルトを緩め、ユニフォームのズボンを剥くようにスルリと降ろした。ピンクのTバック。しかもほぼ紐状のそれは、正にギリギリだった。
「いつもの試合ではスライディングパンツを履いてたじゃない。どうして今日に限ってこれを履こうと思ったの?」
「これ、昨日、松村理事長にいただいたものなんです。ピンチの時に役立つからって言われて……信じて履いてみたんですけど、おかしいですか?」
それも事実ではあったが、もう一つの理由は言わなかった。
「ふーん、理事長がね……。なるほど。おかしいなんてことはないけど。それにこのTバック、本当にピンチを救ってくれたのかも知れないわよ」
「このTバックがですか?」
「それがね。あ、そうそう、うのちゃん、あなた花畑の兄貴にどこかでお尻を触られなかった?」
え、という顔をして、少し考えを巡らしたうのは、試合前のことをはたと思い出す。
「あ、そういえば、試合前にポンと叩かれました。ていうか、あの人、打席でわたしのお尻をジロジロ見るんですよ、絶対変態です」
「そうだったのね。確かに花畑の兄貴は間違いなく変態ね。うのちゃんのこと男だと思ってるのに、そのお尻が気になって仕方ないんだからね。それでわかたかの一年に命令して、うのちゃんの見張りをさせていたらしいのよ」
「見張りを?」
「そう。さっきここに来たわかたかの生徒、実は3人組でね、私をここから引き離して何か実験をしようとしてたらしいんだけど……そしたら、うのちゃんがストリップを始めて、そのTバックのお尻を見たって大騒ぎになったわけ」
「ストリップ?そんなことするわけないじゃ……あ、そういえば着替えようとした時にズボンが落ちちゃって。もしかしてそこを覗かれてたんですか?」
「そう、それよ。あいつらったら、それを見て……フフフ、ホントにバカみたいな話なんだけど、このTバックをピンクのふんどしだって言うのよ。うのちゃんは彼らからすると、とんだお祭り野郎なんだそうよ。こんなエッチなTバックを見てね。一体どんな目をしてるんだって感じよね」
山本先生はTバックの腰紐を掴んでパチンと離した。
「きゃん」
「かわいい……」
うのの反応も、白くすべすべの双丘もとても可愛い。思わず漏れてしまった声は、山本先生がいつも思っている心の声だった。
「えっ、何?先生?」
ダメダメ、今はこんなことしてる場合じゃないわ。
「うううん、何でもないの。さあ、ソロソロ次の回の準備をしようか。絶対勝って、甲子園行こうね」
「はい。大丈夫です。わたしはひとりじゃないから」
笑顔のうのは本当に美しかった。いつもはわざと仏頂面ばかりしているみたいだけど、女の子だって、どうして分からないのかしら。山本先生は、何とも不思議な気持ちになるのと同時に、急に不安な気持ちも湧き上がってきた。
ピントのズレた3人組は何とか騙せても、うのの秘密がバレるのは流石にもう時間の問題だろう。花畑兄の次の指令も心配だ。せめてこの試合が終わるまでは、私がうのちゃんを守ってあげなくちゃ。山本先生は悲壮な決意を固めるのだった。
(続く)
スコアは2-0。うのは打撃で1-1の1打点、投げてはノーヒットノーランの大車輪。しかも第1打席でデッドボールをぶつけられ、その負傷を負っての成績だ。知る人からすれば、昨日、精神的にも肉体的にもギリギリの状態に追い込まれての今日である。試合に出場していることですら驚異だった。となると、やはり不安要素はスタミナである。幸いここまでの投球数は少ないものの、わかたか学園もなりふり構っていられる状況ではない。うの攻略のためにあらゆる手段を講じて来るであろう。
その意味も含めて1番のキイチからはじまるこの回は、もう1点うのにプレゼントしておきたい大事な回だ。
<救護室>
山本先生が、ベッドにうつ伏せになったうのの背中をマッサージをしている。
「どう?右腕の方は大丈夫そう?」
「はい、痛みはありますけど、投球の時の違和感はなくなりました。コントロールが上手く出来なくなった時はホント焦りましたよ」
「良かったわ。多分、暫くは痛むと思うけど、応急処置はしっかりしたから、跡が残ったりはしないと思うけど、それにしてもボールが当たって切りキズが出来るって、一体どんな球投げてるのかしら」
山本先生は、そう言って背中から腰を揉みながら、うののユニフォームに包まれたお尻を見ていた。3人組の話が気になっていたのだ。やっぱりちゃんと聞いておこう。
「うのちゃんにひとつ聞きたいことがあるんだけど」
山本先生はマッサージの手を腰からお尻に動かし、
「この下、何履いてるの?」
と聞いた。
「あ、えっ先生、どうしてですか?」
慌てたように、うのが聞き返す。
「ははあ、その慌てようは、やっぱりね。うのちゃん、先生にこの下を見せなさい、いいわね」
有無を言わせない命令口調に、
「は、はい」
うのは素直に従った。山本先生はうのに腰を上げさせるとベルトを緩め、ユニフォームのズボンを剥くようにスルリと降ろした。ピンクのTバック。しかもほぼ紐状のそれは、正にギリギリだった。
「いつもの試合ではスライディングパンツを履いてたじゃない。どうして今日に限ってこれを履こうと思ったの?」
「これ、昨日、松村理事長にいただいたものなんです。ピンチの時に役立つからって言われて……信じて履いてみたんですけど、おかしいですか?」
それも事実ではあったが、もう一つの理由は言わなかった。
「ふーん、理事長がね……。なるほど。おかしいなんてことはないけど。それにこのTバック、本当にピンチを救ってくれたのかも知れないわよ」
「このTバックがですか?」
「それがね。あ、そうそう、うのちゃん、あなた花畑の兄貴にどこかでお尻を触られなかった?」
え、という顔をして、少し考えを巡らしたうのは、試合前のことをはたと思い出す。
「あ、そういえば、試合前にポンと叩かれました。ていうか、あの人、打席でわたしのお尻をジロジロ見るんですよ、絶対変態です」
「そうだったのね。確かに花畑の兄貴は間違いなく変態ね。うのちゃんのこと男だと思ってるのに、そのお尻が気になって仕方ないんだからね。それでわかたかの一年に命令して、うのちゃんの見張りをさせていたらしいのよ」
「見張りを?」
「そう。さっきここに来たわかたかの生徒、実は3人組でね、私をここから引き離して何か実験をしようとしてたらしいんだけど……そしたら、うのちゃんがストリップを始めて、そのTバックのお尻を見たって大騒ぎになったわけ」
「ストリップ?そんなことするわけないじゃ……あ、そういえば着替えようとした時にズボンが落ちちゃって。もしかしてそこを覗かれてたんですか?」
「そう、それよ。あいつらったら、それを見て……フフフ、ホントにバカみたいな話なんだけど、このTバックをピンクのふんどしだって言うのよ。うのちゃんは彼らからすると、とんだお祭り野郎なんだそうよ。こんなエッチなTバックを見てね。一体どんな目をしてるんだって感じよね」
山本先生はTバックの腰紐を掴んでパチンと離した。
「きゃん」
「かわいい……」
うのの反応も、白くすべすべの双丘もとても可愛い。思わず漏れてしまった声は、山本先生がいつも思っている心の声だった。
「えっ、何?先生?」
ダメダメ、今はこんなことしてる場合じゃないわ。
「うううん、何でもないの。さあ、ソロソロ次の回の準備をしようか。絶対勝って、甲子園行こうね」
「はい。大丈夫です。わたしはひとりじゃないから」
笑顔のうのは本当に美しかった。いつもはわざと仏頂面ばかりしているみたいだけど、女の子だって、どうして分からないのかしら。山本先生は、何とも不思議な気持ちになるのと同時に、急に不安な気持ちも湧き上がってきた。
ピントのズレた3人組は何とか騙せても、うのの秘密がバレるのは流石にもう時間の問題だろう。花畑兄の次の指令も心配だ。せめてこの試合が終わるまでは、私がうのちゃんを守ってあげなくちゃ。山本先生は悲壮な決意を固めるのだった。
(続く)
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