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帝国激震の章
230.戦場と食堂
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ツヴァイフェッターの五人の視界には、数日前に見た漆黒の竜の姿。
「来たぜ!」
あの時は突然の来訪と、更には街中という事もあり手を出せなかった。だが今は違う。今はあの竜を倒す為に、この地に立っているのだ。
「ラギア、頼む」
流石の”英雄”バルムンクも”剣聖”ミルファも”破壊王”ゼレットも、相手が空高く飛んでいては手も足も出ない………事は無いのだが、攻撃の威力は格段に落ちる。なのでまずは、相手を同じ土俵へと引きずり降ろさなければならない。
その為には、強力な遠距離攻撃で相手を撃ち落とさなければならないのだが、それが出来るのは、ツヴァイフェッターではただ一人”魔導大帝”ラギアのみ。
ラギアも自分の役割など百も承知なので、バルムンクに言われる前には既に、両腕を空へと向かって突き出していた。そしてその絶大な魔力を、澄み切った空へと放出する。
「雷神よ、眩い閃光と共に敵を穿て」
雲一つ無い空に、吸い込まれるように消えてゆくラギアが放った魔力弾。すると突然、青い空の下に暗雲が発生。暗雲は渦を巻きながら広がって行き、あっという間に青い空を覆い隠す。
そこへ漆黒の翼を広げた天空の覇者が、まるで眼中に無いとでも言わんばかりに侵入して来る。だがその空は既にラギアの領域。
「轟雷神鎚」
その瞬間、恐るべき熱量を含んだ光の柱が、黒き竜を飲み込む。光の柱はそのまま地上へと到達し、あたり一面にはまるで噴火直後のような粉塵、噴煙が立ち昇る。
当然すぐ近くに立つツヴァイフェッターの五人にも凄まじい衝撃波が襲い掛かるが、いつの間にか皆を覆うようにリュアーネが展開した防御壁のお陰で、五人は微動だにしない。
「あらあら、相変わらず凄い威力ね」
「だな。ってかこれ、しばらく視界ゼロじゃねえか」
防御壁の中でそんな会話をする一方で、今の光景の一部始終を見ていた帝都外壁上部の冒険者や兵士達は、誰もが騒然としていた。
「す、すげぇ……なんて威力だよ……」
「おい、まさか一撃で倒しちまったとか……」
「ああ……あんな攻撃を食らったら、いくら化物でもひとたまりもないぜ」
喧騒が少しずつ歓声に変わる中、皇帝アルベルトとグランドマスターのマディアスだけは、ピクリとも表情を変えないで噴煙を見つめている。
かつて黒き竜と戦った事のある自分達には、嫌と言うほど理解出来る。あの程度で倒せる相手ではない、あれで倒せるなら十五年前に自分達が倒していた。
「どう見る?」
アルベルトが低い声でマディアスに訊ねる。いつも何処か笑顔のマディアスも、珍しく真剣な表情で目を細める。
「撃ち落とす事には成功したようです。ですが、残念ながらダメージはほとんど与えられていないでしょう」
そもそも既に生命活動を千年以上も前に終えている黒き竜に、ダメージという概念があるのかどうかも怪しい。間違いないのは、痛みも疲れも一切感じないという点だ。
「そうか。ならばここからが本当の戦いという事だな」
「ですね。ツヴァイフェッターが何処まであの黒き竜と戦えるか……我々には見守る事しか出来ない」
ギュッと拳を握り締めるマディアス。かつて黒き竜に破れ、プリュフォールが事実上の解散に追い込まれた後も一人で研鑽を怠らず、常に精進して来た。いつかまた、あの竜と戦う日の事を想像しながら。
そんなマディアスの気持ちが分かるからこそ、アルベルトもまた居た堪れない気持ちになる。
「すまんな。本来であればお前が真っ先に奴と戦いたかった筈。だがこの場にお前が居なくなれば、帝都の防衛は裸同然。今お前を欠く訳にはいかぬのだ」
「ええ、分かっていますよ。私も何だかんだ言って歳を取り過ぎた。その間に有望な若い者達が台頭し、我々は戦う側から導く側へと移り変わった」
細めていた目を、ふっと緩めるマディアス。その視線の先には、今は噴煙で見えないが勇敢に戦う弟子の姿。
「大丈夫、私の思いは弟子に託しました。あとは弟子の勝利を信じて見守るのみ」
以前マディアスはアルベルトに、クローバーこそが希望だと語った事があった。その直後から、方々に手を尽して行方を追ったが、結局クローバーの足取りは掴めなかった。
それもその筈で彼女達はこの数日間、マディアスすら知らない転移魔法で、遥か東の果てのファルディナの街と『濃霧の森』を行き来していた。いくら帝都の近辺を探した所で、毎日ファルディナの街の宿屋で寝泊まりしているクローバーの所在など分かる訳もない。
頼みの綱だったクローバーの行方が分からない以上、もはやツヴァイフェッターに賭けるしかない。どうか無事に生きて帰ってくれと、弟子やその仲間達の息災を祈るマディアスだった。
■■■
「ったく……朝っぱらから何やってんのよあんた達………」
いつもよりも遅い朝食の時間、偶然なのか必然なのかは分からないが、特に示し合わせた訳でも無いのに六人全員が同じ時間に、宿屋の食堂に顔を出した。
そしていつものように、六人全員で女将の作った手料理を堪能しているのだが、心なしかリーシャ、サフィー、エスト、リズの頬が紅く染まっていた。その原因とはーーーーー
「だって……起きたら未来が……って言うかそれで起こされたみたいなものだし……」
「あはは、愛莉の裸見てたらさ、なんかめっちゃムラムラしちゃってさ、だからしちゃった!みたいな?」
そう、愛莉が目を覚ますと、未来にアソコを愛撫されていた。どうやらそれなりに長い時間されていたらしく、快感で目を覚した時には既に全身が敏感になっていて、そのまま流されるように行為に及んでしまった。
カーテンから差し込む光で既に夜が明けていた事は理解していたが、身体が快感に飲み込まれていた為か、寝起きと相まってあまり思考も働かずに、朝から激しく身体を重ねてしまったのだ。
「驚いちゃった……目が覚めたら二人の……あの声が聞こえて来たから……」
そう言って一層その頬を染めるリズ。あの行為は夜に行うものだと何となく決めつけていたので、朝から二人の嬌声が聞こえて来た時には、本気で一瞬固まってしまった。
「こっちもよ。ったく……あんた達の声は両隣に聞こえるって理解してんのかしら……」
「とか言いつつ、あたし達の声聞きいてたら興奮して、みんなコッソリしてたんじゃないのー?」
冗談で言った未来の発言に、四人は手の動きを止める。
「ま、まさか~、いや~ね~ミクったら……」
「ほ、ほんとよ……!あんた達じゃあるまいし………」
「そ、そうよ……ね……。朝からだなんて……そんな………」
「は、はい……流石に朝からは………」
四人の反応を受けて、愛莉が内心で確信する。
(あ、本当にみんなしてたんだ)
ーーーーと。
そう、昨夜は未来と愛莉同様、リーシャとサフィーも、エストとリズも、遅くまで身体を重ねた結果、珍しくそのまま寝てしまった。特にエストとリズは毎晩行為が終わると、最低でも下着だけは身に着けて寝るのだが、昨夜は珍しくそのまま寝落ちしてしまった。
そんな状態で目が覚めると、隣から聞こえてくる性欲を高める卑猥な声。そして目の前には、愛しの人の一糸纏わぬ姿。全ての条件が揃ってしまっていたのだ。
リーシャとサフィーは未来と愛莉に出会う以前にしていたように、声を殺しながら相手の陰核を弄りながら軽く絶頂。
エストとリズは所謂シックスナインの体位で互いの性器を舐めながら声を殺して絶頂。
つまり四人の頬が紅かったのは、二人の嬌声を聞いたからではなく、朝から性行為に至ってしまった自分自身への羞恥心によるものだったのだ。
「あっははは、だよねー。流石にみんなは朝からはしないよねー」
「え、ええ……もちろんよ~」
「そ、そうね……そんな気も起きないし……」
「う、うん。朝は身支度とか忙しいから……」
「と、当然よね。身体も汚れてしまうもの……」
四人ともぎこち無い口調で言い訳をするが、言い訳をすればするほど怪しさが増してるのになぁと、密かに思わずにはいられない愛莉だった。
「来たぜ!」
あの時は突然の来訪と、更には街中という事もあり手を出せなかった。だが今は違う。今はあの竜を倒す為に、この地に立っているのだ。
「ラギア、頼む」
流石の”英雄”バルムンクも”剣聖”ミルファも”破壊王”ゼレットも、相手が空高く飛んでいては手も足も出ない………事は無いのだが、攻撃の威力は格段に落ちる。なのでまずは、相手を同じ土俵へと引きずり降ろさなければならない。
その為には、強力な遠距離攻撃で相手を撃ち落とさなければならないのだが、それが出来るのは、ツヴァイフェッターではただ一人”魔導大帝”ラギアのみ。
ラギアも自分の役割など百も承知なので、バルムンクに言われる前には既に、両腕を空へと向かって突き出していた。そしてその絶大な魔力を、澄み切った空へと放出する。
「雷神よ、眩い閃光と共に敵を穿て」
雲一つ無い空に、吸い込まれるように消えてゆくラギアが放った魔力弾。すると突然、青い空の下に暗雲が発生。暗雲は渦を巻きながら広がって行き、あっという間に青い空を覆い隠す。
そこへ漆黒の翼を広げた天空の覇者が、まるで眼中に無いとでも言わんばかりに侵入して来る。だがその空は既にラギアの領域。
「轟雷神鎚」
その瞬間、恐るべき熱量を含んだ光の柱が、黒き竜を飲み込む。光の柱はそのまま地上へと到達し、あたり一面にはまるで噴火直後のような粉塵、噴煙が立ち昇る。
当然すぐ近くに立つツヴァイフェッターの五人にも凄まじい衝撃波が襲い掛かるが、いつの間にか皆を覆うようにリュアーネが展開した防御壁のお陰で、五人は微動だにしない。
「あらあら、相変わらず凄い威力ね」
「だな。ってかこれ、しばらく視界ゼロじゃねえか」
防御壁の中でそんな会話をする一方で、今の光景の一部始終を見ていた帝都外壁上部の冒険者や兵士達は、誰もが騒然としていた。
「す、すげぇ……なんて威力だよ……」
「おい、まさか一撃で倒しちまったとか……」
「ああ……あんな攻撃を食らったら、いくら化物でもひとたまりもないぜ」
喧騒が少しずつ歓声に変わる中、皇帝アルベルトとグランドマスターのマディアスだけは、ピクリとも表情を変えないで噴煙を見つめている。
かつて黒き竜と戦った事のある自分達には、嫌と言うほど理解出来る。あの程度で倒せる相手ではない、あれで倒せるなら十五年前に自分達が倒していた。
「どう見る?」
アルベルトが低い声でマディアスに訊ねる。いつも何処か笑顔のマディアスも、珍しく真剣な表情で目を細める。
「撃ち落とす事には成功したようです。ですが、残念ながらダメージはほとんど与えられていないでしょう」
そもそも既に生命活動を千年以上も前に終えている黒き竜に、ダメージという概念があるのかどうかも怪しい。間違いないのは、痛みも疲れも一切感じないという点だ。
「そうか。ならばここからが本当の戦いという事だな」
「ですね。ツヴァイフェッターが何処まであの黒き竜と戦えるか……我々には見守る事しか出来ない」
ギュッと拳を握り締めるマディアス。かつて黒き竜に破れ、プリュフォールが事実上の解散に追い込まれた後も一人で研鑽を怠らず、常に精進して来た。いつかまた、あの竜と戦う日の事を想像しながら。
そんなマディアスの気持ちが分かるからこそ、アルベルトもまた居た堪れない気持ちになる。
「すまんな。本来であればお前が真っ先に奴と戦いたかった筈。だがこの場にお前が居なくなれば、帝都の防衛は裸同然。今お前を欠く訳にはいかぬのだ」
「ええ、分かっていますよ。私も何だかんだ言って歳を取り過ぎた。その間に有望な若い者達が台頭し、我々は戦う側から導く側へと移り変わった」
細めていた目を、ふっと緩めるマディアス。その視線の先には、今は噴煙で見えないが勇敢に戦う弟子の姿。
「大丈夫、私の思いは弟子に託しました。あとは弟子の勝利を信じて見守るのみ」
以前マディアスはアルベルトに、クローバーこそが希望だと語った事があった。その直後から、方々に手を尽して行方を追ったが、結局クローバーの足取りは掴めなかった。
それもその筈で彼女達はこの数日間、マディアスすら知らない転移魔法で、遥か東の果てのファルディナの街と『濃霧の森』を行き来していた。いくら帝都の近辺を探した所で、毎日ファルディナの街の宿屋で寝泊まりしているクローバーの所在など分かる訳もない。
頼みの綱だったクローバーの行方が分からない以上、もはやツヴァイフェッターに賭けるしかない。どうか無事に生きて帰ってくれと、弟子やその仲間達の息災を祈るマディアスだった。
■■■
「ったく……朝っぱらから何やってんのよあんた達………」
いつもよりも遅い朝食の時間、偶然なのか必然なのかは分からないが、特に示し合わせた訳でも無いのに六人全員が同じ時間に、宿屋の食堂に顔を出した。
そしていつものように、六人全員で女将の作った手料理を堪能しているのだが、心なしかリーシャ、サフィー、エスト、リズの頬が紅く染まっていた。その原因とはーーーーー
「だって……起きたら未来が……って言うかそれで起こされたみたいなものだし……」
「あはは、愛莉の裸見てたらさ、なんかめっちゃムラムラしちゃってさ、だからしちゃった!みたいな?」
そう、愛莉が目を覚ますと、未来にアソコを愛撫されていた。どうやらそれなりに長い時間されていたらしく、快感で目を覚した時には既に全身が敏感になっていて、そのまま流されるように行為に及んでしまった。
カーテンから差し込む光で既に夜が明けていた事は理解していたが、身体が快感に飲み込まれていた為か、寝起きと相まってあまり思考も働かずに、朝から激しく身体を重ねてしまったのだ。
「驚いちゃった……目が覚めたら二人の……あの声が聞こえて来たから……」
そう言って一層その頬を染めるリズ。あの行為は夜に行うものだと何となく決めつけていたので、朝から二人の嬌声が聞こえて来た時には、本気で一瞬固まってしまった。
「こっちもよ。ったく……あんた達の声は両隣に聞こえるって理解してんのかしら……」
「とか言いつつ、あたし達の声聞きいてたら興奮して、みんなコッソリしてたんじゃないのー?」
冗談で言った未来の発言に、四人は手の動きを止める。
「ま、まさか~、いや~ね~ミクったら……」
「ほ、ほんとよ……!あんた達じゃあるまいし………」
「そ、そうよ……ね……。朝からだなんて……そんな………」
「は、はい……流石に朝からは………」
四人の反応を受けて、愛莉が内心で確信する。
(あ、本当にみんなしてたんだ)
ーーーーと。
そう、昨夜は未来と愛莉同様、リーシャとサフィーも、エストとリズも、遅くまで身体を重ねた結果、珍しくそのまま寝てしまった。特にエストとリズは毎晩行為が終わると、最低でも下着だけは身に着けて寝るのだが、昨夜は珍しくそのまま寝落ちしてしまった。
そんな状態で目が覚めると、隣から聞こえてくる性欲を高める卑猥な声。そして目の前には、愛しの人の一糸纏わぬ姿。全ての条件が揃ってしまっていたのだ。
リーシャとサフィーは未来と愛莉に出会う以前にしていたように、声を殺しながら相手の陰核を弄りながら軽く絶頂。
エストとリズは所謂シックスナインの体位で互いの性器を舐めながら声を殺して絶頂。
つまり四人の頬が紅かったのは、二人の嬌声を聞いたからではなく、朝から性行為に至ってしまった自分自身への羞恥心によるものだったのだ。
「あっははは、だよねー。流石にみんなは朝からはしないよねー」
「え、ええ……もちろんよ~」
「そ、そうね……そんな気も起きないし……」
「う、うん。朝は身支度とか忙しいから……」
「と、当然よね。身体も汚れてしまうもの……」
四人ともぎこち無い口調で言い訳をするが、言い訳をすればするほど怪しさが増してるのになぁと、密かに思わずにはいられない愛莉だった。
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