204 / 316
帝国激震の章
190.エクストラスキル 前編
しおりを挟む
リズのスキルの一つ【竜盾】の能力をまざまざと見せつけられた未来達は、驚きと喜びを持ってリズを迎える。
「すっごいじゃんリズっち!今のって魔法じゃないんだよねー!?」
「うん。これは紛れもなくSPを消費して使用するスキル。物理攻撃、魔法攻撃、両方に対して有効だから使い勝手がとてもいいの」
リズが皆にスキルの説明をしていると、魔法を放ったサフィーが帰って来た。その表情は何処かホッとしたような、それでいて少し悔しそうな表情である。
「はぁ、無事に終わって良かったわ。って言うか、相殺すら出来ないでこっちの魔法だけ消されるなんて完敗よね」
もちろん出来る限り魔法の威力を落として撃ち放ったサフィー。とは言え、流石に自分とリズのレベル差が20もある事を考えれば、リズの【竜盾】も相殺くらい出来るだろうと思っていたのだ。
「ふふ、それはサフィーが魔法の威力を落としてくれたからだよ」
「うーん……まあそうなんだけど……ってか、もしかしてもう少し威力強くても防げたりする……?」
「うん、多分出来ると思う」
あっけらかんと言い放つリズに、サフィーは思わず苦笑してしまう。流石に全力を出せば自分の魔法の方が強いとは思うが、それを踏まえて考えた場合、もしも同じレベルなら全力でも防がれるかもしれないとの考えが頭をよぎったのだ。
「はは……とんでもないのね、竜の力って」
「その竜の力だけど、次はエクストラスキルの【竜人化】を検証してみよっか」
愛莉の言葉で皆の顔に緊張が走る。先ほどの愛莉の説明から察するに、おそらくその【竜人化】こそがリズの力の真骨頂。肉体の能力が爆発的に上がるとか【竜魔法】とか、実際に見てみないとどれくらい凄いのかが分からない。
「えっと……具体的にどうすればいいの?発動の仕方が分からないのだけど」
それはそうだろうと愛莉も思う。何せ昨日初めて会得したスキルであり、発動させるのは今回が初めて。エスクストラスキルなんて大層な名前からして、そう簡単に発動出来るとも思えない。
「うーん……そう言えば未来のエクストラスキルは【時空斬】ってスキルだっけ?」
「そうそう!あっ、どんなスキルなのか鑑定してみてみて!!」
この後に検証しようと思っていたので、まだ皆のエクストラスキルをちゃんと鑑定していない愛莉。この際なので、全員のエクストラスキルを鑑定してみる。
「んーと、未来の【時空斬】はーーーーー」
『時空斬ーー任意の場所に斬撃を発生させる事が出来る。尚、斬撃の威力は使用者の実際の斬撃の能力、または武器によって変動するーー』
「だって。つまり遠く離れている場所の何かを斬れるって事なんだけど………」
「チートじゃん!!」
時空を超えて斬撃を発生させられるので【時空斬】。相手はほとんど防御不可能であり、斬られた後に気付く。
しかも威力は未来の斬撃の能力と、装備している武器によって変わる。現在オリハルコン製の最強の剣、『真・未来の剣』を装備している状態で繰り出される時空斬は、まさに防御不可能の一撃必殺のスキルだ。
「うへぇ……エクストラスキルってマジでパない………もう投擲とか飛翔斬とか要らないじゃん」
「うーん……それは検証してみないと何とも……もしかして物凄くSP消費して、一回か二回しか使えない可能性もあるし」
なるほどと、その場に居る全員が思った。リズのエクストラスキルにしろ未来のエクストラスキルにしろ、発動させる事が出来れば最強の能力である。だが、そんな凄まじいスキルを僅かなSPで発動出来るとも思えない。強力なスキルの発動には、それなりのSPを消費するものである。
「そっかぁー。まあそうだよね!じゃあとりあえずやってみるかーっ!」
いとも簡単にそんな事を言う未来だが、愛莉が「ちょっと待って」と未来を止める。まだ他の皆のエクストラスキルの鑑定が終わっていないからだ。
「次はわたしの【不可視】ってエクストラスキル。これはーーーーー」
『不可視ーー対象物を視界から消失する事が出来る。ただし術者の視界からは消失しない。また、気配や匂いなどを消失する事は出来ない』
「うーん……これって誰かの身体ごと見えなく出来るのかな?」
「ふふ、それが出来ると楽しそうね~。モンスターに気付かれずに攻撃出来るわよね」
「でも匂いとか気配は消せないんでしょ?獣系のモンスターとか匂いに敏感だから、使いどころを間違えると大怪我しそうよね」
それはサフィーの言う通りだと愛莉自身も思った。匂いに敏感な獣もそうだが、未来のように『気配察知』など同類の能力を持つ敵が居たとすると、やはり脅威になるだろう。つまりこのスキルの使い方としてはーーーーー
「あ、でもアイリちゃんの円月輪をそのスキルで見えなくしたら……かなり凄い事になるような気が………」
ふっと口端を緩める愛莉。そう、エストが言ったようにこのスキル【不可視】の有効的な使い方は武器を見えなくして戦う事。
高速回転する、堅いガーディアンの身体すら簡単に切断する愛莉の【月閃刃】。ただでさえその威力はモンスターにとっては脅威なのに、それが視認出来ずに襲い掛かって来るのだ。
一部の生物を除いては、視覚から得る情報というのは他の部位から得る情報の何倍もの感度である。匂いに敏感な獣でさえ、視覚を失えば正確には位置を把握出来なくなる。
つまり全く見えない攻撃というのは、ほとんどの生物にとっては恐怖以外の何物でも無い。そんな恐怖の攻撃手段を、愛莉は手にした事になる。
「チートじゃん!戦う最強錬金術士じゃん!」
「あはは……錬金術士って本来は戦わない人なのだけど」
この国の錬金術士を知っているだけに、リズも乾いた笑いしか出て来ない。だがこれで三人。自身のエクストラスキル【竜人化】、未来の【時空斬】、そして愛莉の【不可視】。もはやこれだけで、大抵のモンスターは難なく撃破出来てしまいそうな程に強力だ。だがまだ、あと三人残っているのだ。その驚愕の事実に、リズの華奢な身体がブルリと震える。
(凄い……まだ実際にみんなの戦いを目にした訳じゃないけど……絶対に強いよね)
今や自分もそのパーティの一員なのだ。このパーティなら……クローバーなら、皇家の悲願を本当に叶えられるかもしれない。どうしたってそんな期待と自信が湧いて来てしまう。
「次はわたしかしら~?」
「うん。リーシャのエクストラスキルは………【召喚獣神化】だね」
「幻獣進化?」
言葉だけ聞くと、誰もがそちらの『進化』を連想する。もちろん未来もそうだった。
「ううん、『しんか』の『しん』は『神』っていう字。『神化』と書いて『しんか』だよ」
「マジで!?それって召喚獣が神になるって事!?」
思わずテンションが上がる未来と、端で聞いていて首を傾げるリーシャ、サフィー、エスト、リズの四人。神化と聞いても、全くピンと来ない。
『召喚獣神化ーー使用者の使役する召喚獣を、一時的に神級の召喚獣へとランクアップさせる。神化した召喚獣は攻撃力が爆発的に上昇するーー』
首を傾げる四人に【召喚獣神化】の説明をする愛莉。その説明を聞き、リーシャが思わず前のめりになりながら愛莉に訊ねる。
「こ、攻撃力が上がるの!?どのくらい上がるのかしら!?」
「さ、さあ……それは実際にやってみない事には………」
「そ、そうよね……!ごめんなさい、わたしってば……つい嬉しくて……」
未来、愛莉、リズの凄まじいエクストラスキルの説明を聞いていたリーシャは、また自分がパーティの皆に置いて行かれるのではという一抹の不安を抱いていた。
しかしただでさえ、このパーティで一番の攻撃力を有している、中精霊の力を取り込んだリーシャの召喚獣。そんな召喚獣の攻撃力が更に爆発的に上がるというのだから、もはや手が付けられない。皆に置いて行かれるどころか、殲滅力ではリーシャに比肩する者は現在では皆無である。
(次は……あたしの番よね……)
リーシャの【召喚獣神化】の説明を愛莉から聞き、次は自分の番だと緊張せずにはいられないサフィー。
これでもし、自分のエクストラスキルがそれほどの能力では無かった場合、もはや皆の凄さには着いて行けなくなると、気が気では無かったーーーーー
「すっごいじゃんリズっち!今のって魔法じゃないんだよねー!?」
「うん。これは紛れもなくSPを消費して使用するスキル。物理攻撃、魔法攻撃、両方に対して有効だから使い勝手がとてもいいの」
リズが皆にスキルの説明をしていると、魔法を放ったサフィーが帰って来た。その表情は何処かホッとしたような、それでいて少し悔しそうな表情である。
「はぁ、無事に終わって良かったわ。って言うか、相殺すら出来ないでこっちの魔法だけ消されるなんて完敗よね」
もちろん出来る限り魔法の威力を落として撃ち放ったサフィー。とは言え、流石に自分とリズのレベル差が20もある事を考えれば、リズの【竜盾】も相殺くらい出来るだろうと思っていたのだ。
「ふふ、それはサフィーが魔法の威力を落としてくれたからだよ」
「うーん……まあそうなんだけど……ってか、もしかしてもう少し威力強くても防げたりする……?」
「うん、多分出来ると思う」
あっけらかんと言い放つリズに、サフィーは思わず苦笑してしまう。流石に全力を出せば自分の魔法の方が強いとは思うが、それを踏まえて考えた場合、もしも同じレベルなら全力でも防がれるかもしれないとの考えが頭をよぎったのだ。
「はは……とんでもないのね、竜の力って」
「その竜の力だけど、次はエクストラスキルの【竜人化】を検証してみよっか」
愛莉の言葉で皆の顔に緊張が走る。先ほどの愛莉の説明から察するに、おそらくその【竜人化】こそがリズの力の真骨頂。肉体の能力が爆発的に上がるとか【竜魔法】とか、実際に見てみないとどれくらい凄いのかが分からない。
「えっと……具体的にどうすればいいの?発動の仕方が分からないのだけど」
それはそうだろうと愛莉も思う。何せ昨日初めて会得したスキルであり、発動させるのは今回が初めて。エスクストラスキルなんて大層な名前からして、そう簡単に発動出来るとも思えない。
「うーん……そう言えば未来のエクストラスキルは【時空斬】ってスキルだっけ?」
「そうそう!あっ、どんなスキルなのか鑑定してみてみて!!」
この後に検証しようと思っていたので、まだ皆のエクストラスキルをちゃんと鑑定していない愛莉。この際なので、全員のエクストラスキルを鑑定してみる。
「んーと、未来の【時空斬】はーーーーー」
『時空斬ーー任意の場所に斬撃を発生させる事が出来る。尚、斬撃の威力は使用者の実際の斬撃の能力、または武器によって変動するーー』
「だって。つまり遠く離れている場所の何かを斬れるって事なんだけど………」
「チートじゃん!!」
時空を超えて斬撃を発生させられるので【時空斬】。相手はほとんど防御不可能であり、斬られた後に気付く。
しかも威力は未来の斬撃の能力と、装備している武器によって変わる。現在オリハルコン製の最強の剣、『真・未来の剣』を装備している状態で繰り出される時空斬は、まさに防御不可能の一撃必殺のスキルだ。
「うへぇ……エクストラスキルってマジでパない………もう投擲とか飛翔斬とか要らないじゃん」
「うーん……それは検証してみないと何とも……もしかして物凄くSP消費して、一回か二回しか使えない可能性もあるし」
なるほどと、その場に居る全員が思った。リズのエクストラスキルにしろ未来のエクストラスキルにしろ、発動させる事が出来れば最強の能力である。だが、そんな凄まじいスキルを僅かなSPで発動出来るとも思えない。強力なスキルの発動には、それなりのSPを消費するものである。
「そっかぁー。まあそうだよね!じゃあとりあえずやってみるかーっ!」
いとも簡単にそんな事を言う未来だが、愛莉が「ちょっと待って」と未来を止める。まだ他の皆のエクストラスキルの鑑定が終わっていないからだ。
「次はわたしの【不可視】ってエクストラスキル。これはーーーーー」
『不可視ーー対象物を視界から消失する事が出来る。ただし術者の視界からは消失しない。また、気配や匂いなどを消失する事は出来ない』
「うーん……これって誰かの身体ごと見えなく出来るのかな?」
「ふふ、それが出来ると楽しそうね~。モンスターに気付かれずに攻撃出来るわよね」
「でも匂いとか気配は消せないんでしょ?獣系のモンスターとか匂いに敏感だから、使いどころを間違えると大怪我しそうよね」
それはサフィーの言う通りだと愛莉自身も思った。匂いに敏感な獣もそうだが、未来のように『気配察知』など同類の能力を持つ敵が居たとすると、やはり脅威になるだろう。つまりこのスキルの使い方としてはーーーーー
「あ、でもアイリちゃんの円月輪をそのスキルで見えなくしたら……かなり凄い事になるような気が………」
ふっと口端を緩める愛莉。そう、エストが言ったようにこのスキル【不可視】の有効的な使い方は武器を見えなくして戦う事。
高速回転する、堅いガーディアンの身体すら簡単に切断する愛莉の【月閃刃】。ただでさえその威力はモンスターにとっては脅威なのに、それが視認出来ずに襲い掛かって来るのだ。
一部の生物を除いては、視覚から得る情報というのは他の部位から得る情報の何倍もの感度である。匂いに敏感な獣でさえ、視覚を失えば正確には位置を把握出来なくなる。
つまり全く見えない攻撃というのは、ほとんどの生物にとっては恐怖以外の何物でも無い。そんな恐怖の攻撃手段を、愛莉は手にした事になる。
「チートじゃん!戦う最強錬金術士じゃん!」
「あはは……錬金術士って本来は戦わない人なのだけど」
この国の錬金術士を知っているだけに、リズも乾いた笑いしか出て来ない。だがこれで三人。自身のエクストラスキル【竜人化】、未来の【時空斬】、そして愛莉の【不可視】。もはやこれだけで、大抵のモンスターは難なく撃破出来てしまいそうな程に強力だ。だがまだ、あと三人残っているのだ。その驚愕の事実に、リズの華奢な身体がブルリと震える。
(凄い……まだ実際にみんなの戦いを目にした訳じゃないけど……絶対に強いよね)
今や自分もそのパーティの一員なのだ。このパーティなら……クローバーなら、皇家の悲願を本当に叶えられるかもしれない。どうしたってそんな期待と自信が湧いて来てしまう。
「次はわたしかしら~?」
「うん。リーシャのエクストラスキルは………【召喚獣神化】だね」
「幻獣進化?」
言葉だけ聞くと、誰もがそちらの『進化』を連想する。もちろん未来もそうだった。
「ううん、『しんか』の『しん』は『神』っていう字。『神化』と書いて『しんか』だよ」
「マジで!?それって召喚獣が神になるって事!?」
思わずテンションが上がる未来と、端で聞いていて首を傾げるリーシャ、サフィー、エスト、リズの四人。神化と聞いても、全くピンと来ない。
『召喚獣神化ーー使用者の使役する召喚獣を、一時的に神級の召喚獣へとランクアップさせる。神化した召喚獣は攻撃力が爆発的に上昇するーー』
首を傾げる四人に【召喚獣神化】の説明をする愛莉。その説明を聞き、リーシャが思わず前のめりになりながら愛莉に訊ねる。
「こ、攻撃力が上がるの!?どのくらい上がるのかしら!?」
「さ、さあ……それは実際にやってみない事には………」
「そ、そうよね……!ごめんなさい、わたしってば……つい嬉しくて……」
未来、愛莉、リズの凄まじいエクストラスキルの説明を聞いていたリーシャは、また自分がパーティの皆に置いて行かれるのではという一抹の不安を抱いていた。
しかしただでさえ、このパーティで一番の攻撃力を有している、中精霊の力を取り込んだリーシャの召喚獣。そんな召喚獣の攻撃力が更に爆発的に上がるというのだから、もはや手が付けられない。皆に置いて行かれるどころか、殲滅力ではリーシャに比肩する者は現在では皆無である。
(次は……あたしの番よね……)
リーシャの【召喚獣神化】の説明を愛莉から聞き、次は自分の番だと緊張せずにはいられないサフィー。
これでもし、自分のエクストラスキルがそれほどの能力では無かった場合、もはや皆の凄さには着いて行けなくなると、気が気では無かったーーーーー
0
お気に入りに追加
746
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる