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迷宮挑戦の章
127.探索イベント
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「うーん……何もおかしな所は無いわね……」
玉座の間の裏手に続く通路を突き当たりまで探索し、かつて宝物庫だった部屋に辿り着いたクローバーの五人。
しかし宝は何一つ残されておらず、では帰ろうという段階になって、未来が素っ頓狂な事を言い出した。
「真のお宝ってのは見つからないように隠し部屋に置いてあるもんだぜ」
その一言は何故かサフィー、リーシャ、そしてエストの心に突き刺さった。隠し部屋とは、なんてロマン溢れる言葉だろうか。冒険者とはこうでなくてはならないとでも言うように、三人は進んで隠し部屋の捜索を開始したのだ。
(はぁ……まあいっか、とことん付き合おう)
ただ一人、都合良く隠し部屋などある筈がないと、心の中で思いっきり嘆息している愛莉。確かにゲームや小説のようなフィクションの世界では、そういうのはお約束だ。
未来が好きな大泥棒のアニメでも、そういうシーンは度々描かれているが、はっきり言って影響を受け過ぎだと思っている。
とは言え皆もウキウキで、ある筈もない隠し部屋を探しているし、そもそも愛する未来が言った事なのだから、全否定せずに皆と歩調を合わせようとの結論に至る愛莉。
(緊張の連続だったもんね。こういう事が出来るのもみんな無事だったからだし)
誰が死んでもおかしくなかった。全滅してもおかしくなかった。それほどリザードキングとの戦いは熾烈を極めた。
生きているのは運が良かっただけ。今があるのは奇跡が連続して起こった為。死霊王との邂逅はそれほど絶望的だった。
だからこそ、今この時が愛おしい。愛する未来が元気に生きていて、大切な仲間達が怪我も無く存在してくれている。
今やクローバーは愛莉にとって、何物にも替えられない無くてはならない大切な場所だ。そのクローバーの仲間達が今こうして、未来の馬鹿な冗談に真剣に向き合っている姿は、平凡なのに特別な光景に映る。
(さて……わたしも隠し部屋探そっと)
平凡、日常、当たり前。そんな生活を送っていたのに、気付けばそんなものとは無縁の今を過ごしている。でも、今この時は平凡で当たり前な日常。今の望月愛莉にとって、クローバーの仲間達とくだらない事で一喜一憂する時間こそが、平凡で当たり前な日常なのだ。
「そっち何かあったーー?」
「う~ん……何も無いわ~」
「こっちも何も………」
「隈なく探すのよ!絶対お宝を持ち帰るんだから!」
頬を汚しながら、誰もが未来の言葉を真に受けて隠し部屋探索に励む。その姿を見て愛莉は口端を緩めると、少女達の元に歩み寄るのだった。
■■■
「ぜーーはーー!」
「何で息が上がってるのサフィー?少し張り切り過ぎたのかしらね?」
「あはは………リーシャちゃん……もう少し労ってあげた方が………」
全員で隈なく宝物庫の壁を調べたが、隠し部屋は見つからなかった。もちろん愛莉はこの結果を予想ーーーと言うより確信していたので、別に落胆はしない。それよりは、茶番でもクローバーの皆と同じ事が出来て楽しかったという思いが強い。
「べ、別に息なんて……上がってない……わよ……」
誰の目から見ても息が上がっているサフィー。何故壁を調べているだけでこんなにも息が上がっているのかは謎だったが、きっと誰よりも頑張って隠し部屋を探した結果だろうと皆は納得する。
「でも……もうこれで終わりね……はぁはぁ……結局隠し部屋は……無かったわ……ね……」
何だかんだ言って皆が夢中になって探した隠し部屋探索も、これで終わりだとサフィーが切り出す。だが、そんなサフィーの言葉を受けながら隠し部屋の事を言い出した未来は、腕を組み何やらブツブツと呟いている。
「壁には無かった………つまり……次は床が怪しいって事だよね………」
未来のその言葉が耳に届く愛莉達四人。リーシャ、サフィー、エストの三人はハッとした表情を浮かべた。だが愛莉はーーーー
(いやいや!まだ続けるの!?)
とことん付き合おうとは思ったが、それはある程度やって諦めると思ったからだ。
そろそろ言い出すべきだろうか?隠し部屋なんてある筈が無いと。何やらサフィーは息を切らしているし、何だかんだ言ってリーシャもエストも疲労が顔に滲み出ている。
あれだけの戦闘を経験し、身体にダメージこそ負わなかったが、精神的にはかなりのダメージだった筈だ。未来の言葉から突然始まった『隠し部屋探し』と言う名のイベントも、いい加減終わらせて休息を取るべきだろう。
「ふむふむ……この宝箱が怪しいね。サフィー、そっち引っ張って」
「はぁはぁ……わ、分かったわ!」
息を切らせながら、何故か未来の指示に従うサフィー。と言うか、何故わざわざ息切れしているサフィーを指名するの!?と愛莉が思うのと同時に、未来とサフィーが壁際に置かれている、人間が一人入れるぐらい大きな宝箱を手前にズルズルと移動させる。他の宝箱は普通サイズなのに、この宝箱だけ棺桶並の大きさだ。
「重っ!」
「はぁはぁ!」
とても少女二人で動かせるような大きさでは無いが、やはりレベルアップのお陰で二人とも腕力がとんでも無い事になっているらしい。特に未来の場合はパッシブスキルの『腕力上昇』があるので、力はまさにモンスター級だ。
「はぁはぁはぁ!」
「て、手伝うわサフィー!」
「わ、わたしも!」
顔を真っ赤にして宝箱を引っ張るサフィーを見かねて、リーシャとエストが手伝いに入る。この状況で一人棒立ちしているのもバツが悪いので、結局愛莉も手伝う。
(これで最後。これでみんな納得するよね)
自分にそう言い聞かせて、みんなと一緒に宝箱を引っ張る。そしてーーーーー
「はぁはぁはぁ………ど、どう……?」
床に座り込んだサフィーが、宝箱の置いてあった床を見つめる未来達に訊ねる。
「うーん……ただの床ね~」
「うん……特に変わった所は……」
当たり前だが、そこは何の変哲も無い床だった。他の床や壁同様、淡い光を発している。だが、その床を見つめながら未来が得意気な表情を浮かべる。
「ふっふっふ、やっぱりあたしの推理は正しかった!」
ドヤ顔をしながら、未来がビッと床を指差す。と言うか、いつ何の推理をしていたのか謎である。
「あら?何かしらこの窪み……」
リーシャが近づいて床を良く見ると、明らかに人口的な(人ではなくリザードマンだが)窪みが二ヶ所掘られていた。そう、それはまるでーーーー
「これはさ、ここに手を掛けて…………ふんにゃ!!」
窪みに指を掛けて、未来が上へと力を込める。すると、巨大な宝箱と同じ部分の床が少しずつ持ち上がり始めた。
「え……うそ……」
その光景に誰よりも驚いているのは愛莉である。そんなまさか、本当に隠し部屋なんてものがーーーーー
「うぬぬぬぬあぁぁーーーッ!!!」
持ち上がった床板を未来が後ろにズルズルと引っ張る。すぐ後ろに先ほどずらした宝箱があるので、愛莉たち四人は急いで宝箱を更に後方へと引っ張る。そしてーーーーー
「はぁはぁはぁはぁはぁ!!」
「す、凄いわミク………本当に……」
「や、やったわね……!凄いわミク!」
「ミクちゃんの言う通り……隠し……階段?」
現れたのは下へと続く階段。隠し部屋ならぬ隠し階段が現れたのだ。その階段を見つめながら呆然としているのは、心の中で隠し部屋の存在を否定していた愛莉。
「ウソでしょ………」
まさか本当にあるとは夢にも思っていなかった愛莉は、呆然と立ち尽くす。現実は小説より奇なりとは言うが、思えば異世界に転移した事が既に有り得ない話なのだ。この世界で、もはや自分の常識は通用しない、最初から経験則で決めつけてはいけないと実感した瞬間だった。
「はぁはぁ……よし、早速降りてみよーっ!!」
汗をびっしょりとかきながらも、相変わらずのハイテンションで階段を降り始める未来。そんな未来をキラキラと尊敬の眼差しで見つめながら、リーシャ、サフィー、エストが後に続く。
そんな四人の背中を見ながら、呆然としていた愛莉はフッと柔らかい微笑みを浮かべた。
「まったく……やっぱり未来には敵わないなぁ………」
ポツリとそう呟き、愛莉も皆の後に続くのだった。
玉座の間の裏手に続く通路を突き当たりまで探索し、かつて宝物庫だった部屋に辿り着いたクローバーの五人。
しかし宝は何一つ残されておらず、では帰ろうという段階になって、未来が素っ頓狂な事を言い出した。
「真のお宝ってのは見つからないように隠し部屋に置いてあるもんだぜ」
その一言は何故かサフィー、リーシャ、そしてエストの心に突き刺さった。隠し部屋とは、なんてロマン溢れる言葉だろうか。冒険者とはこうでなくてはならないとでも言うように、三人は進んで隠し部屋の捜索を開始したのだ。
(はぁ……まあいっか、とことん付き合おう)
ただ一人、都合良く隠し部屋などある筈がないと、心の中で思いっきり嘆息している愛莉。確かにゲームや小説のようなフィクションの世界では、そういうのはお約束だ。
未来が好きな大泥棒のアニメでも、そういうシーンは度々描かれているが、はっきり言って影響を受け過ぎだと思っている。
とは言え皆もウキウキで、ある筈もない隠し部屋を探しているし、そもそも愛する未来が言った事なのだから、全否定せずに皆と歩調を合わせようとの結論に至る愛莉。
(緊張の連続だったもんね。こういう事が出来るのもみんな無事だったからだし)
誰が死んでもおかしくなかった。全滅してもおかしくなかった。それほどリザードキングとの戦いは熾烈を極めた。
生きているのは運が良かっただけ。今があるのは奇跡が連続して起こった為。死霊王との邂逅はそれほど絶望的だった。
だからこそ、今この時が愛おしい。愛する未来が元気に生きていて、大切な仲間達が怪我も無く存在してくれている。
今やクローバーは愛莉にとって、何物にも替えられない無くてはならない大切な場所だ。そのクローバーの仲間達が今こうして、未来の馬鹿な冗談に真剣に向き合っている姿は、平凡なのに特別な光景に映る。
(さて……わたしも隠し部屋探そっと)
平凡、日常、当たり前。そんな生活を送っていたのに、気付けばそんなものとは無縁の今を過ごしている。でも、今この時は平凡で当たり前な日常。今の望月愛莉にとって、クローバーの仲間達とくだらない事で一喜一憂する時間こそが、平凡で当たり前な日常なのだ。
「そっち何かあったーー?」
「う~ん……何も無いわ~」
「こっちも何も………」
「隈なく探すのよ!絶対お宝を持ち帰るんだから!」
頬を汚しながら、誰もが未来の言葉を真に受けて隠し部屋探索に励む。その姿を見て愛莉は口端を緩めると、少女達の元に歩み寄るのだった。
■■■
「ぜーーはーー!」
「何で息が上がってるのサフィー?少し張り切り過ぎたのかしらね?」
「あはは………リーシャちゃん……もう少し労ってあげた方が………」
全員で隈なく宝物庫の壁を調べたが、隠し部屋は見つからなかった。もちろん愛莉はこの結果を予想ーーーと言うより確信していたので、別に落胆はしない。それよりは、茶番でもクローバーの皆と同じ事が出来て楽しかったという思いが強い。
「べ、別に息なんて……上がってない……わよ……」
誰の目から見ても息が上がっているサフィー。何故壁を調べているだけでこんなにも息が上がっているのかは謎だったが、きっと誰よりも頑張って隠し部屋を探した結果だろうと皆は納得する。
「でも……もうこれで終わりね……はぁはぁ……結局隠し部屋は……無かったわ……ね……」
何だかんだ言って皆が夢中になって探した隠し部屋探索も、これで終わりだとサフィーが切り出す。だが、そんなサフィーの言葉を受けながら隠し部屋の事を言い出した未来は、腕を組み何やらブツブツと呟いている。
「壁には無かった………つまり……次は床が怪しいって事だよね………」
未来のその言葉が耳に届く愛莉達四人。リーシャ、サフィー、エストの三人はハッとした表情を浮かべた。だが愛莉はーーーー
(いやいや!まだ続けるの!?)
とことん付き合おうとは思ったが、それはある程度やって諦めると思ったからだ。
そろそろ言い出すべきだろうか?隠し部屋なんてある筈が無いと。何やらサフィーは息を切らしているし、何だかんだ言ってリーシャもエストも疲労が顔に滲み出ている。
あれだけの戦闘を経験し、身体にダメージこそ負わなかったが、精神的にはかなりのダメージだった筈だ。未来の言葉から突然始まった『隠し部屋探し』と言う名のイベントも、いい加減終わらせて休息を取るべきだろう。
「ふむふむ……この宝箱が怪しいね。サフィー、そっち引っ張って」
「はぁはぁ……わ、分かったわ!」
息を切らせながら、何故か未来の指示に従うサフィー。と言うか、何故わざわざ息切れしているサフィーを指名するの!?と愛莉が思うのと同時に、未来とサフィーが壁際に置かれている、人間が一人入れるぐらい大きな宝箱を手前にズルズルと移動させる。他の宝箱は普通サイズなのに、この宝箱だけ棺桶並の大きさだ。
「重っ!」
「はぁはぁ!」
とても少女二人で動かせるような大きさでは無いが、やはりレベルアップのお陰で二人とも腕力がとんでも無い事になっているらしい。特に未来の場合はパッシブスキルの『腕力上昇』があるので、力はまさにモンスター級だ。
「はぁはぁはぁ!」
「て、手伝うわサフィー!」
「わ、わたしも!」
顔を真っ赤にして宝箱を引っ張るサフィーを見かねて、リーシャとエストが手伝いに入る。この状況で一人棒立ちしているのもバツが悪いので、結局愛莉も手伝う。
(これで最後。これでみんな納得するよね)
自分にそう言い聞かせて、みんなと一緒に宝箱を引っ張る。そしてーーーーー
「はぁはぁはぁ………ど、どう……?」
床に座り込んだサフィーが、宝箱の置いてあった床を見つめる未来達に訊ねる。
「うーん……ただの床ね~」
「うん……特に変わった所は……」
当たり前だが、そこは何の変哲も無い床だった。他の床や壁同様、淡い光を発している。だが、その床を見つめながら未来が得意気な表情を浮かべる。
「ふっふっふ、やっぱりあたしの推理は正しかった!」
ドヤ顔をしながら、未来がビッと床を指差す。と言うか、いつ何の推理をしていたのか謎である。
「あら?何かしらこの窪み……」
リーシャが近づいて床を良く見ると、明らかに人口的な(人ではなくリザードマンだが)窪みが二ヶ所掘られていた。そう、それはまるでーーーー
「これはさ、ここに手を掛けて…………ふんにゃ!!」
窪みに指を掛けて、未来が上へと力を込める。すると、巨大な宝箱と同じ部分の床が少しずつ持ち上がり始めた。
「え……うそ……」
その光景に誰よりも驚いているのは愛莉である。そんなまさか、本当に隠し部屋なんてものがーーーーー
「うぬぬぬぬあぁぁーーーッ!!!」
持ち上がった床板を未来が後ろにズルズルと引っ張る。すぐ後ろに先ほどずらした宝箱があるので、愛莉たち四人は急いで宝箱を更に後方へと引っ張る。そしてーーーーー
「はぁはぁはぁはぁはぁ!!」
「す、凄いわミク………本当に……」
「や、やったわね……!凄いわミク!」
「ミクちゃんの言う通り……隠し……階段?」
現れたのは下へと続く階段。隠し部屋ならぬ隠し階段が現れたのだ。その階段を見つめながら呆然としているのは、心の中で隠し部屋の存在を否定していた愛莉。
「ウソでしょ………」
まさか本当にあるとは夢にも思っていなかった愛莉は、呆然と立ち尽くす。現実は小説より奇なりとは言うが、思えば異世界に転移した事が既に有り得ない話なのだ。この世界で、もはや自分の常識は通用しない、最初から経験則で決めつけてはいけないと実感した瞬間だった。
「はぁはぁ……よし、早速降りてみよーっ!!」
汗をびっしょりとかきながらも、相変わらずのハイテンションで階段を降り始める未来。そんな未来をキラキラと尊敬の眼差しで見つめながら、リーシャ、サフィー、エストが後に続く。
そんな四人の背中を見ながら、呆然としていた愛莉はフッと柔らかい微笑みを浮かべた。
「まったく……やっぱり未来には敵わないなぁ………」
ポツリとそう呟き、愛莉も皆の後に続くのだった。
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