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迷宮挑戦の章

104.愛撫※

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 それはとても甘美な瞬間だった。

 想像すらした事が無かった誰かとのキス。それはあまりにも甘やかで、柔らかな唇の感触が緊張でガチガチだった全身の力を溶かしてゆく。
 そのキスの相手が、まだ出会って二週間も経過していない異国の美少女、いつも太陽のように明るく、そして誰よりも戦闘の才能に溢れた未来なのだから、エストにとっては夢のような瞬間だった。


「んっ……」


 どれくらい唇を重ねていたのだろう。物凄く長い時間だった気もするし、ほんの一瞬だった気もする。未来の唇が離れて行く時に感じたのは、猛然とした寂しさ。
 このまま未来を抱きしめて、ずっと唇を重ねていたい。そんな思いに強く駆られるも、そんな事をする勇気などエストには無い。


「うわぁ……エストの唇柔らかぁ~い」


 未来のそんな声が聞こえて来て、ただでさえ真っ赤に染まった顔が更に熱を帯びる。
 柔らかいのは未来の唇もだ。とてもいい匂いがしたし、とても甘美な瞬間だった。これが生まれて初めてのキスなのに、もっとして欲しい、もっと唇を重ねていたいと強く思う。


「そうなんだ」
「うん!次は愛莉の順番だよ!」
「え?わたしもするの?」


 再びエストの胸が高鳴る。未来だけではなく、まさか愛莉もーーーーそう考えるだけで、身が悶えてしまいそうな高揚感が湧き上がる。


「え、しないの?さっきするって言ってたからてっきり……」
「あはは……未来の冗談に乗っただけだよ。やっぱり寝てる相手に勝手にキスするのはちょっと………」


 その言葉を聞いて、エストは心底ガッカリしてしまう。先ほどの会話からして、愛莉にもキスをして貰えると勝手に期待していたのだ。


「じゃあエストが起きればするって事?」
「いや、そういう事じゃなく……でもエストがしてって言うなら……」


 して欲しい。愛莉にもキスして欲しい。先ほどの甘美な瞬間をもう一度経験したい。
 もはや何故寝たフリをしているのかも曖昧なエストは、ゆっくりと瞳を開いた。その瞳は少し潤んでいて、何かを懇願するように愛莉を見る。


「やっと目を開けてくれたねエスト」
「………ごめんなさい。わたし……ずっと寝たフリをしてて……」
「あはは……謝るのはあたし達の方だよ。ごめんね、ビックリしたよね」
「わたし……こういう知識が無くて………凄く恥ずかしくて、でも凄く気になって……」


 視界に映る未来と愛莉は、先ほど見た時同様に何も身に着けていない。生まれたままの姿で、エストの顔を覗き込んでいる。


「もしかして……興味ある?」
「分からない……でも……凄くドキドキして……凄く変な気分になって……」
「そっかぁ、続きはエストも一緒にしてみる?嫌だったら言ってくれればすぐに止めるし!」


 未来の突然過ぎる提案に心臓が大きく跳ねる。それは不安、期待、混乱、興味、色々な感情がない混ぜになり、エストの脳内でぐるぐると回る。


「え……わたしどうすれば……」
「とりあえずあたしと愛莉に任せてくれればいいよ?エストの事、すっごく気持ち良くしてあげるから」


 気持ち良く。それは先ほど散々聞いた愛莉の声。そして先ほど見た光景がまざまざと甦る。
 愛莉は未来に、アソコを舐められて声を出していた。つまり、自分も同じようにアソコを舐められるという事なのだろう。
 それはあまりにも恥ずかし過ぎる。誰にも、自分でも見た事の無い女性の一番大事な部分。ソコを見られるだけではなく舐められるのだ。想像しただけで意識が飛んでしまいそうな程の羞恥心を覚える。


「あの……それは……」


 断りたい。でも知りたい。どんなに気持ちが良いのか知りたい。経験してみたい。でも恥ずかしい。恥ずかし過ぎて気絶しそうだ。

 エストが答えあぐねていると、突然愛莉が顔を近付けて来た。それだけで胸の高鳴りが更に加速する。


「じゃあ、とりあえずキスしてみる?さっきからエスト、凄くして欲しそうにわたしの事を見てるから」


 顔から火が出そうだった。まさか自分が愛莉にそんな表情を向けていたなんて。これではまるで、はしたない淫らな女性ではないか。


「ぁ……ぅ……」
「顔真っ赤だよ。可愛い」
「そんな……」
「してもいい?」


 もうどうにかなってしまいそうだった。恥ずかしいのに、自分で自分が恥ずかしいのに、愛莉にキスをして欲しいと強く願う自分が居る。
 もうまともな思考が出来ない。こんな現実離れした状況が次々と押し寄せて来て、自分で自分が分からなくなる。
 

 だからエストは、小さくコクリと頷いた。


 その瞬間、愛莉が目を閉じながら顔を近付けて来る。エストは反射的に目をギュッと閉じると、その瞬間を待った。そしてーーーーー


(あ……う…………アイリちゃんの唇が……わたしの唇に………)
 

 未来に続いて愛莉からのキスで、エストは更に思考回路が麻痺していった。



■■■



 何故こんな状況になっているのだろうか。


「はぁはぁ………」


 寝間着にしている薄手のワンピースはいつの間にか脱がされ、ブラジャーも自分の足元に置かれている。


「はぁはぁ………ん……くっ……」


 愛莉にキスされた時、再び訪れた甘美な時間がエストの思考を完全に麻痺させた。
 キスされながら、愛莉と未来に寝間着を脱がされているのに気付いていながらも全く抵抗が出来なかった。いや、しなかった。
 頭の中が痺れて、非現実的な状況に流されるがまま、服とブラジャーを脱がされた。だがそれは、相手が未来と愛莉だから。
 いつも大衆浴場で裸を見られているし、同性だし、そして実は恋焦がれている相手だからこそ一切の抵抗をしなかった。


「ふっ………うっ……」


 そんなエストは現在、愛莉に首筋を舌で刺激され、未来には腹部に唇を押し当てられている。ゾクゾクと、身体の奥の方から何かが湧き上がるのが自分でも分かる。
 くすぐったいのに、何故かそれが気持ち良く感じてしまう。こんなはしたない行為、本当はしてはいけないと理性では分かっているのに、何故か抗う事が出来ない。


「はぁはぁ………うぅ………」
 

 愛莉の熱い舌が、だんだんと下へと降りて来る。鎖骨をチュッチュとキスされ、そのまま更に下へ。
 未来は腹部からだんだんと上へと舌を這わせる。それはエストの緩やかな丘へと到達し、そのまま頂上を目指してゆっくりと進む。

 そして愛莉と未来がそれぞれ、頂上の綺麗な薄紅色の蕾へ到達。既に硬くなったその蕾を、舌先でコロコロと刺激する。その瞬間、ずっと我慢していた声が、エストの口から溢れ出した。


「ああっ!んんっ………あっ……あうっ!」


 今までの人生で一度も出した事の無い声が、我慢出来ずに溢れ出す。
 まるで頭の中に電流でも走ったように、感じた事の無い快感が脳を刺激する。


「ちゅっ……んっ……気持ちいいのエスト?」
「う……あっ……はぁはぁ……うう……」


 返事をする代わりに嬌声を上げる白髪の美少女。その華奢な身体がピクピクと小刻みに震えている。


(だめ……声が……我慢出来ない)


 気持ちいい。乳首という器官がこんなにも気持ちがいいなんて知らなかった。誰も教えてくれなかった。自分で弄った事も無かった。
 未来と愛莉の熱い舌の感触が深く伝わってくる。まるで全身の神経が乳首に集中しているかのように、乳首で生まれた快感が全身へと拡がってゆく。


「んんっ………あっ、だめ……あぁ……」


 左側から未来が、右側から愛莉がエストの乳首を愛撫する。生まれて初めて感じる快感に、次第に意識が遠のいてゆく。
 まるでぬるま湯の上に浮かんでいるような、そんな不安定で覚束ない感覚なのに、乳首からは常に快感が生み出されて全身を包み込んでゆく。


「う…ぁ……ま、待って……ああっ……」


 視界がぼやけて来る。意識が遠のくと同時に、今まで感じた事の無い感覚が押し寄せて来て、ここに至ってエストは不安を覚える。
 快感に押し流される。身体がビリビリと痺れて、意識がここでは無い何処かへと運ばれてゆく。
 どうなってしまうのか、このまま快感を与えられ続けたら一体どうなーーーーー


「あっ……ああっ!!」


 ビクンッビクンッと跳ね上がるエストの華奢な身体。 
 目を閉じているのに、視界は真っ暗ではなく真っ白に染まる。身体の中があり得ないほどに熱を帯びていて、それなのに身体の感覚はふわふわと宙を漂っているように覚束ない。


「はぁはぁ……あ……はっ……」


 生まれて初めて、エストが絶頂を向かえた瞬間だったーーーーー


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