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迷宮挑戦の章

102.こっそり※

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「みんな寝たかな……?」
「………多分」


 夜、皆が寝静まった頃を見計らって小声で会話をするのは、ずっと悶々としていた未来と愛莉。
 
 そんな二人の隣では、エストが穏やかな寝息を立てて眠っている。こうして見ると、やはり物凄い美少女だなと未来と愛莉は同じ事を思った。


「……リーシャ達も寝てる?」
「ん~………それは無いかも」


 いつもは五人の寝具をピッタリとくっつけて寝るのだが、これだけ広い部屋なのでリーシャとサフィーは少し離れた場所に寝具を敷いた。
 これがいつもの夜なら未来が「そんなに離れるなし!」とでも言って無理やり寝具をくっつけたのだろうが、今夜に限って言えば少し離れてくれた方が好都合だった。
 そして、わざわざ自分達の寝具を離れた場所にした事に対して未来も愛莉も察していた。ああ、二人とも今夜んだなと。
   
 久しぶりにエッチする気満々だった未来と愛莉にしてみれば、いつもみたいに密着されると出来るものも出来ない。そしてそれは、リーシャとサフィーも同じだ。これが四人だけならいつかの時みたいに四人でする選択肢もあっただろうが、今はエストも居る。流石にエストの見ている目の前で四人でなどーーーーー出来る筈も無い。


「何なら……エストもに来ないかな」
「どうだろ……確かに百合の素質有りそうだけど………」


 未来も愛莉も、普段のエストを見ていて思う所があるらしい。男っ気は皆無だし、元々はリーシャとサフィーに憧れを抱いていたとの話もある。
 何度か大衆浴場で一緒になった時も、実はチラチラこちらの身体を見ていた事にも愛莉は気づいている。もちろん今日の風呂でも、皆の裸を見て頬をほんのりと染めていた。


(ん~……でもそれって、わたしが百合脳だからそう見えるだけかもしれないし)


 愛莉も未来も、所謂の恋愛経験は皆無だ。
 二人共、気付いた時にはお互いの事を好きになっていたし、異性を好きになった事など一度も無い。
 自分達の基準に当て嵌めればそれが普通なのだが、だからと言ってエストもそうだとは限らない。

 そんな事を考えていると、未来が顔を近付けて来た。愛莉は目を閉じると、未来の唇を受け止める。


「ん………んん」
「……ちゅ……んむ……」


 お互いの舌を優しく絡め合うキス。二人はそのままパジャマ替わりにしている生地が薄手の服を脱ぐ。そのまま相手の背中に手を回して、ブラジャーのホックを外す。その間も、二人の熱い舌は相手の舌を求めて動き回る。


「ふっ……んんっ……」
「ん……はぁ……んっ……」


 抱き合いながら舌と舌とで愛し合う未来と愛莉。日数的には最後にしてから十日ほどしか経っていないのに、まるで数ヶ月ぶりのような気がするのは、この迷宮に潜り続ける毎日で時間の感覚が曖昧になっているからだ。
 一日中かがり火やらランタンの光以外の光源に恵まれず、陽の光を浴びずに暮らすとこうなるのかと、日本の普通の女子高生だった未来と愛莉にとっては初めての経験だ。
 だからこそ、今この瞬間がとても愛おしい。ずっとこうしたかったからこそ、いつもよりも深く互いを求めてしまう。


「はぁはぁ……来て……未来」
「ん……声我慢してね?」


 愛しの愛莉をゆっくりと布団に横たえながら、未来はチラリとリーシャ達の方を見る。すると、二人もこちら同様に抱き合いながら唇を重ねていた。
 やはりあの二人もずっとしたかったのだと納得しつつも、未来は思わず口端を緩める。そして自分のショーツを脱ぎ、愛莉のショーツに手を掛けてゆっくりと足から抜き取る。


「愛莉……もう濡れてるよ」
「だって……久しぶりだから……」


 愛莉の足を開くと、既に陰唇は開いていて薄桃色の膣壁が見て取れる。ソコは既に水気を帯びていて、未来に触れられるのを今か今かと待ち望んでいる。そんな濡れそぼった愛莉の性器ヴァギナに、未来はゆっくりと顔を近付けたーーーーー



■■■



 比較的、一度眠ると深く眠る体質だと自分では思っている。
 それは実家に居る頃からそうだったし、冒険者になった今でもその体質は変わらない。なのでいつもなら夜中に目が覚める事など滅多に無いのだが、何故か今日は目が覚めてしまった。


(あれ……もう朝……?)


 ゆっくりと目を開くと、ぼんやりと光る天井が視界に映り込むんできた。その光る天井を見て、自分の今の状況を即座に把握する。


(あ、そっか……地下九層に居るんだよね)


 皆で地下九層へ降りたのは今日の夕刻前。いきなり強いモンスターとの戦闘を経て、現在自分が寝ているこの部屋に辿り着いた事を思い出す。


(もう朝……?あまり眠った気がしないけど……)

  
 そもそも迷宮内なので、正確な時刻など分からない。未来と愛莉が腕に装着している時計が無ければ、もしかすると今日が迷宮探索の何日目なのかすら曖昧だったかもしれない。

 寝ぼけ眼でそんな事をぼんやりと考えるのは、白い髪の美少女エスト。目が覚めたという事は朝なのだろうか?だがそれにしてはあまり身体の疲れが取れていないような気がする。


「……ぁ……ああ………」


 突然、エストの耳に呻き声のような声が届いた。確か隣では愛莉が寝ている筈だがーーーー


(アイリちゃん?何かうなされてーーーー)


 ゆっくりと顔を横に向けると、一瞬にして目が覚めてしまうような衝撃的な光景がエストの目に飛び込んで来た。


「ん……ンンっ………」


 布団の上で一糸纏わぬ姿の愛莉が、自分の指を噛みながら何かに必死に耐えている。


(ーーーーえっ!?)


 辛そうな、それでいて気持ち良さそうにも見える愛莉の表情。そんな表情を浮かべながら、自分の指を噛んで声を必死に我慢している。


「ん……あっ……」


 だが、我慢しきれずに少しずつ声が漏れている。今の状況が全く理解出来ないエストは、愕然としながらもゆっくりと視界を下げる。
 すると、愛莉の綺麗な両足を開きながら、未来が愛莉の股間に顔をうずめていた。そこから、ぴちゃぴちゃと水音が聞こえて来る。


(な……なななな………何してるの……!?)


 カーッと顔が真っ赤に染まるエストは、二人に気づかれないような顔を戻し、ギュッと目を瞑る。


(え……?え……?アイリちゃんとミクちゃん………何して………え……?)


 全く意味が分からなかった。何故愛莉が全裸で、同じく全裸の未来に股間を舐められているのだろうか。
 しかも、愛莉の口からは今までに聞いた事の無い声が漏れ出している。一体、二人は何をしているのだろうか。


「ふっ……んんっ………ああっ!」


 固く目を閉じるエストの耳には、愛莉の気持ち良さそうな声が絶えず届いている。すると今度は未来の呟くような声が聞こえた。
  

「声出てるよ愛莉。エスト起きちゃうよ」
「だって……気持ち良くて………」


 そこからは何も声が聞こえなくなった。だが、何となくだが二人の息づかいは感じる。起きている事が知られると不味い気がして、エストは努めて穏やかな寝息を立てた。


「大丈夫、エスト寝てる」
「んー、でもあまり声出すと本当に起きちゃうから、もう少し声我慢してね?」
「………善処してみる」


 そして再び聞こえて来るぴちゃぴちゃとした水音。その度に隣からは、押し殺したような愛莉の声が耳に届く。


「ふっ……うっ………んん……」


 心臓が破裂しそうだった。きっと二人がしている行為は、所謂『愛する者同士がする性行為』というものなのだろう。
 だが、それは男女の間で行われる行為だと教わった。しかし未来と愛莉は同性でそれを行っているのだ。


(うう……やっぱりミクちゃんとアイリちゃんって恋人同士なんだ………)

  
 迷宮突入の初日、虫のモンスターに精神的苦痛を受けた愛莉は、迷宮探索をやめると言い出した。その時に未来がした行為は愛莉へのキスだった。
 キスというものを見たのは、あの時が初めてだった。そしてキスというのは愛し合う二人がするものだという事は、流石のエストも知っていた。なので、もしかして未来と愛莉はなのでは?と思っていたが、どうやら間違い無いらしい。


(どうしよう………心臓の音が二人に聞こえちゃうよぉ………)


 目を閉じていると、うるさいぐらいに聞こえる自分の心臓の音。もちろん二人に聞こえる筈など無いのだが、起きている事が知られてしまうのではないかと気が気ではない。   


「ん……ぁ……」


 尚も聞こえて来る愛莉の嬌声。あの愛莉が、いつも冷静で聡明なあの愛莉がこんな声を出していると思うだけで、エストの中で恥ずかしさと共に興奮が膨張してゆく。
 

(アソコ……気持ちいいの……?)


 何故そうしたのか自分でも分からない。だがエストは布団の中で、自分の下半身に手を伸ばした。そしてワンピース型の寝間着の裾を持ち上げ、ショーツに手を伸ばす。


(え………うそ………?)


 エストの指に、しっとりとした感触が伝わる。ショーツの中央部分が濡れているのだ。


(なん……で……?これじゃあわたし……粗相をしたみたいに……)


 この歳でおねしょをしたとは思えない。思えないのだが、事実ショーツが濡れている。
 それが小水によるものでないのなら、あとはおりものしかない。では何故このタイミングで大量のおりものが出ているのか。

 実はそれはおりものではなく愛液なのだが、エストにその知識はない。性的に興奮する事で分泌される体液があるなどとは知らないのだ。
 

(うう……恥ずかしい………でも……)


 もう一度、見てみたい欲求に駆られる。歯恥ずかしいのに、見てはいけないのに、二人がしている行為をもう一度見たい。だって、あの愛莉が声も我慢出来ないほどの快感を感じているのだから。
  

 そしてエストは、再びゆっくりとまぶたを開いたーーーーー





 
 
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