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駆け出し冒険者の章

40.代わり※

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 今日もいつもと同じく、下着だけ脱がされた。毎日スナイプに脱がされるから、地味な下着ではなく可愛い下着を着けるように心掛けている。

 魔道士のローブを脱がせようとはしないのは、初めての時から変わらない。一度脱ごうとした事があったが、本気で嫌がられたのでそれ以降は脱ぐ事を諦めた。
 これはきっと、スナイプの性癖というやつなのだろうと思う。魔道士のローブを着ていないと興奮しないのかもしれない。


「うっ……んあっ…………」


 スナイプの舌がわたしのアソコを何度も舐める。温かい舌の熱と、指とは違う柔らかい感触がわたしに快感を与えて来る。

 スナイプに出会ったのは、わたしが初めて冒険者登録をしたその日だった。
 わたしはこのファルディナの街よりももっと西にある小都市の出身。十歳頃に【攻撃魔法契約】のスキルを会得して以降、わたしの将来は決まった。
 正直それまで、大人になったら何になるのか漠然とすら考えた事も無かった。わたしは生まれつきの、この良いとは言えない目つきのせいで友達も出来ず、家で本ばかり読んでいる子供だった。
 あまりにも暇なので、物語だけじゃなく家にあった魔導書まで読み耽った。すると攻撃魔法契約のスキルを会得したのだ。

 冒険者を目指す事になってからは、冒険者の勉強も沢山した。きっとわたしはパーティに入れてなど貰えない。この目つきは他人に嫌な感情を与える事を、他ならぬわたし自身が一番理解している。
 つまり、わたしは冒険者になっても一人で生きて行かなければならない。だから魔法の実力はもちろんの事、知識も必要だった。

 
「うっ……あっ……あっ」


 わたしの太ももを持っていたスナイプの手が、胸元までたくし上げられたローブの中に伸びて来る。そしてわたしのアソコに舌を這わせながら、わたしの胸を揉んで来る。


「はっ、はッ、あっ、んん……」


 スナイプの指先がわたしの乳首をコリコリと刺激する。アソコと乳首を同時に刺激され、わたしは強い快感を覚えながらシーツをギュッと握る。

 顔立ちの綺麗な女の子が羨ましかった。優しい目つきの女の子が羨ましかった。
 だってそういう娘たちはそんなに必死に努力しなくても、きっと誰かが歩み寄って手を差し伸べてくれるから。
 将来はお金持ちと結婚して、不自由無い暮らしを手に入れる事も可能だから。
 でもわたしにはそれが出来ない。わたしは人一倍努力しないと、きっと生活すらままならない。
 別に両親を恨んだりはしていない。むしろ、こんな目つきのわたしでも、多大な愛情を注いで育ててくれた事には感謝しかない。でもだからこそ、両親には何も頼りたくない。これ以上わたしの為に苦労して欲しくない。


「なあ君……良かったら、俺と一緒にパーティを組まないか?」


 ギルドでいきなりそう声を掛けて来たのは、茶髪の青年。きっと同じくらいの歳のその青年は、少し生意気そうな顔立ちをしていたが、何処にでも居る普通の顔立ちだった。
 わたしは自分の耳を疑った。物心付いてから今日まで、誰かに何かを誘われた事など無かった。同年代の子たちは、いつもわたしを避けていたのだから。


「え……わ、わたし……?」
「あ、うん。まだ誰とも組んでなければ」


 組んでいない。と言うより、これからもそんな予定など無かった。わたしには誰も声を掛けて来ない。わたしから声を掛ける事も無い。わたしはいつも一人ぼっち、そう思っていたからだ。


「ほ、本当に……わたしでいいの……?」


 声が上ずっていた。気を抜くと涙が零れそうだった。こんなに嬉しかった事は生まれて初めてだった。


「君って魔道士だろ?俺は剣士だから相性いいぜ絶対!」


 そしてわたしはスナイプとパーティを組む事になった。こんなわたしが、誰かと一緒に居る事を許されたのだ。

 それからは三日ぐらい、二人で簡単な依頼を受けたり、街道沿いの弱いモンスターを倒してレベルを上げたりした。戦闘での連携も取れて来たし、だいぶ気兼ねなく会話も出来るようになったし、信じられないくらい順調だった。


「今夜さ……俺の部屋に遊びに来ないか?」


 パーティを結成して四日目の昼食時、スナイプに唐突に部屋に誘われた。
 わたしだって子供じゃないし、家の本を読み漁って来たのでそれがどういう意味なのかぐらい分かる。
 正直、かなり迷った。当たり前だけどわたしは処女。スナイプには声を掛けて貰って物凄く感謝していたが、それは恋愛感情とは全く別の感情だ。
 こんな顔だけど、わたしだって女として生まれて来たからには、初めての相手は本当に好きになった人にという儚い願望はあった。


「えっと……」


 でもここで断れば、スナイプはわたしの元を去るかもしれない。最初から身体目当てで近付いて来たとは思えないが、彼だって男の子だ。そういう事には興味だってあるだろう。だからわたしが断ったら、別の女の子とパーティを組むかもしれない。
 そうなれば、わたしは今度こそ独りぼっちだ。こんな目つきの悪い女をパーティに誘おうなんて物好きは、きっとスナイプぐらいしか居ない。
 だからわたしは、悩んだ挙句に了承した。わたしの初めてはスナイプに捧げよう。スナイプだってもっとマシな女の子とするチャンスだってあるのに、わざわざこんな女を誘ってくれたのだ。ならば、それに応えようと思った。

 結論から言えば、後悔は無かった。スナイプも初めてだったらしくて最初は上手く出来なかったけど、途中からお互い気持ち良くなれた。こんなに気持ち良いのなら、またしてもいいとすら思った。
 こんなわたしでも抱いてくれる人が居る事に対して、幸せを感じた。行為をきっかけにスナイプに惹かれている自分が居る事に気付いた。しかし、その次の日に事件が起こる。


「な、なあ!良かったら俺とパーティを組まないか!?」


 スナイプが勝手に、二人組の女の子達をパーティに誘ったのである。一人は白いケープを着た……回復術士?何か違う気がする。
 そしてもう一人はあろう事か、わたしと同じ魔道士だった。


(何で……?魔道士ならわたしが居るじゃない……)


 その魔道士の娘の顔を見た瞬間、わたしは全てを悟った。ああ、わたしなんかとは比べ物にならない程の美少女だ。きっとわたしとこの娘を天秤に掛け、いや、天秤にすら掛けなかったのだろう。ほとんど無意識に身体と口が動いて気づいた時には誘っていた、端から見るとそんな感じだ。

 結局、世の中顔立ちの綺麗な女が幸せになるように出来ているんだ。だから別に、この娘に対して憎しみなんか湧かないし、スナイプにもそんな感情は湧いて来ない。だって、分かりきっていた事だから。今までの人生で散々理解して来た事だから。
 それなのに、彼女の発した言葉はわたしの心を激しく揺すぶった。


「男とパーティ組むのなんて嫌だから他を当たってくれる?」


 思わず耳を疑った。そんな理由で断るって、一体どれほど自分が特別な存在だと思っているのか。
 思わず震えそうになる心を何とか落ち着かせる。もしかしたら、男に酷い目に遭わされて男性恐怖症とかかもしれない。それなら納得もいくし、今の発言も仕方ないのだと理解出来る。


「何か……男性に対して苦い思い出が?」
「別に無いわ。何となく好きになれないだけ」


 今度こそ心が震えた。もちろん良い意味ではなく悪い意味で。そんなに綺麗な顔に生まれて来たのに、そんな曖昧な理由で人から差し伸べられた手を払い除けるとは、一体何様のつもりなのか。
 こっちは望んでも手に入らないと諦めて、それでも奇跡的に差し伸べられたその手を大事にしている。そして今まさに、その手は彼の方から離されようとしていた。違う魔道士の手を取る為に、わたしは見捨てられようとしているのだ。
 それなのに、その魔道士はそんな彼の手など汚らわしいとでも言うように払い除けた。この差は一体なに?わたしと貴女のこの差は何なの?
 わたしは誰かに奇跡的に選んで貰う存在、貴女は誰かを自分で選ぶ存在。わたしは誰かに捨てられる存在、貴女はわたしを捨てようとしている男を拒否出来る存在。


(許せない……この女にだけは絶対に負けたくない……)


 同じ女として生まれ、同じ魔道士としての人生を歩み始めたわたしとサフィーは、立っている場所が絶対的に違った。この惨めな気持ちが貴女に分かる?分からないでしょうね、あんたみたいに恵まれた顔で生まれて来た女には絶対に。


「はぁはぁ……そろそろイキそうだ」
「んん……ッ……イって……わたしももう……ああっ!」


 いつもより激しくわたしの膣内なかを掻き乱すスナイプのペニス。初めて経験したあの日以来、わたしは女としての悦びを知った。もしかしたら一生縁が無かったかもしれない性行為、そしてこの快楽をスナイプが教えてくれた。
 最初は男性として意識していなかったスナイプだけど、同じパーティで毎日苦楽を共にし、そして毎晩こうして抱かれていれば、否応なしに愛情は芽生える。
 こんなわたしに、居場所をくれたスナイプ。こんなわたしに、女としての悦びを教えてくれたスナイプ。こんなわたしを、毎晩抱いてくれるスナイプ。でもーーーーーわたしは知っている。


「くっ……射精る!!」
「う……あっ、あああっ!!」


 スナイプは射精の寸前でわたしの膣からペニスを抜く。そして勢い良く熱い精液が、わたしの顔やローブ、お腹に降り注いだ。
 

「はぁはぁはぁ……」
「はぁはぁ……んん……」


 絶頂へと至ったわたしの身体は、自分の意志とは関係なく小刻みに痙攣を繰り返す。目を閉じていても目の前は真っ白に染まり、突き抜ける快感で朦朧とする頭で、わたしはぼんやりと考える。

 スナイプはわたしを見ていない。スナイプが性行為をしているのは、わたしではなくサフィー。わたしをサフィーに見立てて、妄想の中でサフィーを犯しているんだ。わたしの身体で。
 だから、わたしは行為の最中はずっと目を閉じている。こんな目つきの悪いわたしでも、目を閉じていれば少しは可愛く見えるかもしれないから。

 わたしはサフィーが嫌いだ、大嫌いだ。いつもサフィーにべったりなリーシャも嫌いだし、あの二人と仲良くしているエストも嫌いだ。
 サフィー達のパーティには絶対に負けたくない。既に女として完敗しているのに、冒険者としてまで負けたくない。
 だから、正直まだ早いと思う風鳴き山への挑戦も了承した。絶対に、あの娘達より先にCランクに上がってみせる。

 昨日突然サフィー達とパーティを組んだ、あの異国の二人組。あの娘達が来てから、それまで惨めに薬草採取をしていたサフィーとリーシャが、一気に冒険者としての階段を上へと駆け上がって行ってる。


(絶対に……負けないん……だから……)


 そしてわたしは眠る。スナイプの胸の中で、彼の温もりを感じながらーーーーー

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