世界で一番美少女な許嫁が勇者に寝取られた新米剣士の受難な日々

綾瀬 猫

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魔姫の章

98.試練

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 それは、アルトにとって甘くもあり苦くもあるあの日の光景。

 『成人の儀』の日の夜に、アルトの家でセリナを抱いたあの日の光景。


「きゃっ…………い、いや!」


 裸のセリナとアルト。それを見たリティアは恥ずかしさのあまりすぐに目を逸らそうとするが、何故か身体が動かない。
 瞼も動かないし、横を向こうにも首も動かない。


「おっと、目を逸らさないでくれたまえよ。先ずは彼の記憶の一部始終を見ることが第一の試練なのだから」


 初めて見る同年代の少女の裸。その少女は薄紫色の髪の、とても華奢でとても美しい少女。
 そんな彼女が裸で布団の上に横たわり、銀色の髪の青年が彼女の身体に舌を這わせている。その銀色の髪の青年はリティアも良く知る、今リティアの隣に佇む青年。


(ア………アルトさん…………)


 それは紛れもなくアルトだった。アルトが、裸の少女の身体にその舌を這わせている。何という、淫らな光景なのだろうか。

 リティア自身、男女がそういう行為をするというのは何となく知っている程度で、実際に見た事も無いし詳しく聞いた事も無いので良く知らない。
 しかし、現在目の前に映し出されている光景は、まさにリティアの知らないその行為。互いに愛し合った男女が、子を作る為に、子を宿す為に行う行為。


「はぁはぁはぁはぁ」


 恥ずかしさのあまり、気が遠くなりそうだった。知識が無くとも本能的に分かる、扇情的な光景。
 アルトが少女の身体に舌を這わせている。最初は首筋、そこからだんだんと下へと下がり、少女の控えめな双丘へ。そしてその緩やかな丘を登ると、頂点には薄桃色の綺麗な蕾。

 その綺麗な蕾をアルトが口に含んだ瞬間、少女の口から嬌声が漏れ出した。


「はぁはぁはぁはぁ…………」


 恥ずかしい。今すぐに目を閉じ、耳を塞ぎたい。それなのに、身体は一切動かす事が出来ずに、その光景を見せられる。

 美しい少女の、悶えた顔。頬は桜色に染まり、その小さな口からは切なそうな嬌声が漏れ出す。
 立てた膝の間からは少女の下着が見えていて、それがリティアの目に映りこむと、何故かお腹の奥がキュッと縮こまった。


(何………この気持ち…………わたし………)


 視界の先では、アルトが少女の下着の紐を引き、少女の下着を脱がせていた。そして現れるのは少女の性器ヴァギナ。ここから見てもソコは濡れているのが分かった。
 初めて見る女性の性器。もちろん自分のすら見た事がないリティアは、セリナの濡れそぼった性器を見て、異常なまでの興奮を覚える。

 リティアの膣内で、愛液が分泌される。それはリティアが生まれて初めて性的興奮で分泌した愛液。本人は目の前の光景に目を奪われて気付いていないが、それはじんわりと膣口から外へと漏れ出し、下着に染みを作っていく。


「はぁはぁはぁはぁ………もう………いや…………」


 見たくない。こんなの、もう見たくない。でも見たくないのに興奮が治まらない。身体は先ほどまでよりも更に熱くなり、頭が朦朧としてくる。それでいて、視界は妙に鮮明で、どうしたって目の前の光景がリティアの記憶に刻まれていく。
 
 アルトが少女の股に顔をうずめる。そして少女の、セリナの秘部に舌を這わせた瞬間、彼女の嬌声が大きくなった。
 

「はぁはぁはぁ………うぅ…………」


 聞きたくない。恥ずかしくて聞いていられない。耳を塞ぎたい。
 それなのに、少女の口から漏れる嬌声を聞く度に、興奮は更に高まっていく。身体がピリピリと痺れる。恥ずかしさのあまり顔は真っ赤に染まり、息はずっと荒いまま。これが色欲の神の試練なのだとしたら、無知な自分にはあまりにも過酷過ぎる。もういい加減終わりにして欲しい。

 しかし、そんなリティアの視界に更に映り込んで来るのは、アルトがズボンを脱ぐ光景。下着の中で行き場を無くして苦しんでいるソレを、開放しようとしている場面。


(いや………やめてアルトさん………そんな…………)


 見た事が無いのだ。だから、どんな形なのかどんな色なのかどんな大きさなのか、何一つ分からない。それはまだ知る必要が無いから。
 まだ十五歳のリティアには知る必要の無い、見る必要の無いモノ。それはもっと心も身体も大人になって、好きな人が出来てから見るモノ。だからまだーーーーー


 見せないで!そう心の中で叫んだ瞬間、リティアの視界にアルトの膨張した陰茎ペニスが映り込んで来た。


「ぁ………………」


 それを見た瞬間、鼓動が早鐘のように胸を打ち付ける。身体は芯から燃えるように熱くなり、瞳には涙が溜まっていく。
 過呼吸にでもなってしまうかと思うほどに息は更に荒くなり、身体の感覚は既におかしい。そして膣内では大量の愛液が分泌され、十五歳の無垢なリティアを急速に女の身体へと変えていく。


「はぁはぁはぁはぁ!だめ……もう………」


 頭の中が混乱している。自分の思考と気持ちがぐるぐると回り、全く一致しない。見たくないと理性的な考えが浮かぶ度に、もっと見ていたいという気持ちが溢れて来て、自分で自分が分からなくなる。
 そんなリティアの視界の中では、アルトが膨張したソレを少女の性器に充てがっていた。
 その光景を、呼吸をする事も忘れて見入るリティア。それはまさに、生物として生まれた最大の理由。誰もが持って生まれる揺るぎない本能。子を作る為の、子を宿す為の行為。


「あ………あ……………」


 人族や魔族がどうやって子を作るのか、そんな詳細な知識は無いが、十五歳ともなれば本能的にこれがその行為なのだと理解出来る。
 あのアルトの膨張したモノを、セリナの濡れそぼった性器に挿入するのだと、誰に教わった訳でもないのに理解出来る。


「だめ………こんなの…………」


 そんな光景を見せられたら…………自分は一体どうなってしまうのか。
 
 しかしアルトが挿入する直前で何やら声が聞こえ、アルトとセリナは急いで服を着始めた。それを見たリティアは、心底ホッとした反面ーーーーー、何処かで残念がる自分を認識した。


(わたし………何で……………)


 そして不意に映像が消える。一瞬場に沈黙が訪れるが、すぐに色欲の神フォーゼリアが口を開いた。


「なるほどなるほど、君にとっての初体験は残念ながら叶わなかった訳だね」


 何処か楽しそうにそんな事を言うフォーゼリア。その言葉を聞きながら、リティアは羞恥に身を焦がしながらもアルトの事を心配した。
 身体が動かせないので隣に立つアルトの表情が分からない。こんな場面を見せられて、一体どんな気持ちなのだろうか。
 羞恥心で顔を真っ赤に染めているのか、怒りで顔を真っ赤に染めているのか、或いは興奮しているのか。


「さてさて、では次の記憶に行こうか。次は…………うん、この記憶がいいね」
「ぇ…………ま、まだ………」


 こんな光景をまだ見せられるというのか。もうとっくに心が限界だし、身体も先ほどからおかしい。これ以上見せられたら…………自分では無い自分になってしまう、リティアはそんな危機感を覚えた。


「もちろんだとも!これは神の試練だからね、そんなに簡単じゃないよ?」


 リティアは思い違いをしていた。試練というぐらいだから、きっと肉体的に過酷な試練、例えば無数のモンスターと戦うとか、物凄く強いモンスターと戦うとか、或いは過酷なダンジョンを踏破するとか、そういう試練だとばかり思っていた。そしてそんな試練であれば、きっとエルマーとミミリと三人で乗り越えられる、そう思っていたのだ。

 しかしいざ蓋を開けてみれば、試練は肉体的にではなく精神的に辛いもので、一緒に試練を受ける筈だったエルマーとミミリも居ない。
 ほとんど巻き添えで試練を受ける事になったアルトは、誰にも見せたく無いであろう過去の記憶を勝手に見せられ、そしてその記憶を見て頭が混乱すると同時に酷く興奮しているリティアは、自分でも知らない自分リティア

 リティアは今になって初めて『色欲の神の試練』が怖いと思った。
 遺跡に入った時にはあまり感じていなかった恐怖心が、ここに来て溢れ出して来た。
 だって、この試練が始まってからーーーー、まるで自分が自分じゃないみたいだから。
 こんな淫らな…………自分の知らない性的な光景を生まれて初めて見せられて、興奮している自分が居る。

 まだピッタリと閉じていたリティアの性欲と言う名の箱を、目の前の色欲の神は無理やりこじ開けようとしている。いや、既にその箱はこじ開けられ、リティアの中に性欲というものが芽吹いてしまった。
 それは本来こんな風に無理やりこじ開けられるものではなく、徐々に自分で蓋を開けていくものだった。だからこそ皆、心の準備も出来るのだが、今日いきなり箱をこじ開けられ、その心の準備をする暇すらリティアは与えられなかった。まるで何も知らない子供が、偶然両親の行為を見てしまったかの様に。

 だからこそリティアは怖かった。この試練が終わる時、自分は一体どうなってしまうのかーーーーー、それが分からないからこそ怖くて仕方ない。もう、以前の自分とは違う自分になってしまうかもしれない。
 今だって、身体中は熱く、鼓動も激しい。腹の奥がキュンとして、アソコはジンジンと疼いている。こんな感覚、初めてだった。


「さあ、では始めようか」


 色欲の神フォーゼリアがパチンッと指を鳴らすと、再び違う光景が目の前に映し出された。
 その光景は、見た事の無い青い髪の青年が、裸で赤い髪の少女の上に覆い被さりーーーーー






 ーー腰を振っていた。



 それを見たリティアはーーーーー









 ーー考える事を手放した。

 
 
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