世界で一番美少女な許嫁が勇者に寝取られた新米剣士の受難な日々

綾瀬 猫

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聖女の章

53.決意※

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 フィリアからファーストキスだと告白されたセリナは、彼女に対して強い衝撃を受けた。

 もう二年以上、フィリアはアリオンの夜伽をしている筈。それなのに、未だに唇は初心なままだった。
 隙を突かれる事もあるだろう。雰囲気に飲まれ、どうでも良くなる事だってあるかもしれない。しかしフィリアはそういうものには一切負けずに、今日まで唇を守り抜いて来たのだ。そう思うと、セリナの瞳から自然に涙が零れた。

 何という気高い精神。何という強い心。こんなにも華奢で、こんなにも美しい彼女のその強さは、一体何処から来るのだろうか。

 そう思った時には、再びフィリアの唇に自分の唇を重ねていたセリナ。
 愛おしい。胸が熱くなり、フィリア以外の事が頭から抜けて行く。
 彼女とずっとこうしていたい。ずっと唇を重ねていたい。フィリアも同じ事を思ったのか、どちらともなく舌を絡めた。


「んっ………ふっ……んっ……」
「あむっ………ンン………はっ………」


 ピチャピチャと、舌を絡める音が部屋に響く。いつの間にか二人はベッドに倒れ込み、互いの舌の感触を味わっていた。

 
「んむっ………あっ、んん………」
「はぁはぁ………んんっ………」


 こうしているだけで、お互い自分が濡れて来ているのが分かる。いつもならこんなやらしい身体と、それを嫌がるセリナだが何故か今は気にならなかった。

 お互い、乳首は屹立し、下着にシミが出来始める。フィリアはブラジャーを着けているが、セリナは着けていないので部屋着上からでも形が浮き出ていた。


「はぁはぁ………フィリア………」
「セリナ………あの……わたくし………」


 きっと、お互い同じ気持ちになっていた。これで終わりにしたくない。二人でその先に進みたい。
 アルトもきっと、同性相手ならーーーー、フィリアが相手なら許してくれる。そう自分に都合の良い言い訳をした。

 皺になるからと、二人は部屋着を脱いだ。その瞬間に現れるセリナの小ぶりな双丘。既に頂点の薄桃色の蕾は、ピンッと屹立してフィリアに触られるのを待っている。
 フィリアがブラジャーを外す。するとセリナよりも二周りは大きいであろう柔らかで張りのある双丘が顔を出した。
 セリナと同じ色の蕾は、セリナ同様屹立していて、セリナの目が釘付けになった。


「あ、あまり見ないでくださいまし………は、恥ずかしいですわ」
「ご、ごめんなさい………凄く綺麗でつい………」


 お互い胸の鼓動が治まらない。元々セリナに恋い焦がれていたフィリアは、浴場で見た時同様セリナの裸に釘付けなのだが、セリナの場合は以前浴場でフィリアの裸を見た際に、別に釘付けにはならなかった。
 初めて見る同年代の女性の裸を至近距離で見て、人知れず興奮こそしたものの、それ以外の感情は湧かなかった。
 しかし今は、興奮と同時にフィリアの裸を見た事に対して喜びの感情が浮かぶ。
 相手を好きになると、こうも感情が違うものかと若干戸惑ったが、今はそれよりも興奮と嬉しさの方が上だ。

 フィリアがブラジャーを取ったので、二人はそのままパンツに手をかける。そしてお互い恥ずかしそうにモゾモゾと脱ぐと、すぐにそれを隠した。


「な、何で隠すのフィリア………」
「セ、セリナこそ………」


 お互い、パンツの中央に大きなシミが出来ていた。相手に見られると恥ずかしいので慌てて隠したのだが、奇しくもお互い同じ行動を取ったので、見なくても状況を把握する事となった。


「わたし………最近身体がね………以前と違って………」
「………知ってますわ。毎日セリナに【天浄魔法】を掛けていましたから」


 かあーッと赤く染まるセリナの顔。そうだ、何故失念していたのか。
 フィリアは毎日【天浄魔法】を掛ける為に、膣口に指を入れていた。当然、その日その時のセリナの性器ヴァギナの状態を把握していた事になる。


「うぅ………気付いてたんだ………」
「そんなに気に病まないでください。女性の身体とはそういうものなのですから、恥ずかしい事ではありませんもの」
「でも………こんなにやらしい身体に………」


 何だかまた悲しくなってくるセリナ。日に日に身体は淫らになって行く。そんな事、望んでいないのに。

 意気消沈するセリナを見て、フィリアが再び口を開いた。


「まったく、セリナの身体の変化など、わたくしの恥ずかしさに比べればどうと言う事もありませんわ」
「……………え?」
「わたくし、以前セリナの愛撫で絶頂する姿を見られていますのよ?その時の恥ずかしさに比べれば」


 言われて思い出す、あの浴場での光景。セリナの指で、甘い吐息を漏らすフィリア。
 その吐息は嬌声へと変わり、フィリアの身体はセリナの愛撫を求め続けた。


「きっとあの時、わたくしの愛液もセリナの指に絡み付いたのでしょう?」


 石鹸の泡の感触とは違う、ヌルヌルとした感触がセリナの指に伝わり始めた。あれは紛れもなくフィリアのーーーー


「あの………う、うん……」
「そんなわたくしを見て、セリナはどう思いました?やらしい女だと軽蔑しましたか?」
「そんな事ッ!そんな事絶対に無いよ!」


 いつの間にか大声でフィリアの言葉を否定していたセリナ。


「ぁ…………」
「こんなに大きな声を出せる様になったのですね………本当に良かった」


 フィリアの優しさがセリナに伝わる。こんな状況でも変わらずに、常に身を案じてくれているのだ。


「フィリア………わたし………」
「自分の身体がやらしくて嫌とセリナが悲しむのであれば、わたくしはセリナが傷つかない様にもっとやらしい身体になりますわ」
「え………?」
「勇者様に抱かれていたらすぐですもの。もっと淫らになって、セリナが傷つかない様にーーーー」
「そ、そんなの駄目だよぉ!」


 フィリアが望んで勇者に淫らな身体にしめもらうーーーー、何処までも気高いフィリアが。そんな事、絶対に嫌だった。


「あら、駄目なのですか?」
「あ、当たり前だよ………」
「でもセリナは、自分の身体が淫らに変化していくのが嫌なのでしょう?」
「だからって……それにフィリアがそういう事してもわたしの身体の変化が止まる訳じゃないし………」
「そうですわね。でも一人で変わるより二人で変わればセリナも寂しくないでしょう?それにわたくし、どんなにセリナが淫らになっても変わらずに貴女を愛してますから」


 ドキッとした。フィリアにそう言われて、心が喜んでいるのが分かった。


「わ、わたしも………」
「ふふ、その話は一旦置いておきましょう。そろそろ………」


 こうして話をしている間もお互い、期待からか愛液の分泌が止まらない。そろそろ相手の身体に触れたい。


「うん………」
「先行はわたくしですわ。セリナには以前、絶頂させられていますもの」
「え、えっと………うん」


 当然、同性同士でこういう事をした経験などお互い無い。なので正直、セリナはこの先どうしていいのか分からなかった。


「わたくしも初めてですけど………知識だけは何となくありますわ。覚悟してくださいねセリナ」
「お……お手柔らかに………」


 強気に言い放ったフィリアだが、自分の手が震えている事に気付く。
 それもその筈。恋い焦がれていたセリナと、遂に結ばれるのだ。正直、アリオンに奪われる前に先にセリナの身体を奪ってしまおうかと何度思った事か。
 しかしそれをしなかったのは、それはセリナの本意では無かったから。セリナの為にと思っても、セリナは望まなかったかもしれないと思うと遂に出来なかった。
 その結果、やはりセリナは思った通りに傷付いてしまった。しかし、セリナはそれを乗り越えつつある。

 震える手でセリナに触れようとすると、セリナも同じ様に震えていた。それを見たフィリアは自分を叱責する。
 セリナは性行為に対して、深い傷を負っているのだ。男女で違うからと言っても、当然恐怖心はある筈だ。


「セリナ。無理をしなくても良いのですよ。貴女が辛いのであれば、今日はここまでにしてーーーー」


 ガシッと、フィリアの手をセリナが掴む。


「セリナ?」
「違うの………怖い訳じゃないの………」


 潤んだ瞳でフィリアを見つめるセリナ。その瞳には、何かしらの決意と期待の色が浮かび上がっている気がした。


「お願い………あの人との行為を忘れさせて」
「セ、セリナ………」
「わたしを………フィリアでいっぱいにして」


 その瞬間、全てを悟るフィリア。そう、セリナはアリオンとの行為を、自分との行為で上書きしたいのだ。
 一時でも、アリオンとの行為を忘れて好きな人に没頭したいのだ。
 それは本来、アルトとそうあるべきなのだろうが、アルトは居ない。だから代わりに自分がーーーー、そう考えた所で思考をやめる。

 先ほど自分で決意した筈だ。期間限定の恋人で良いのだと。ならば、代わりでも何でもセリナの望む通りにしてあげよう。セリナの心が完全に治るまで、いや治った後もセリナと一緒に居られる間は、彼女の為に全てを捧げよう。
 

「分かりましたわ。頑張ります」


 いつの間にか手の震えが止まっていた。フィリアはそのままセリナの肩に手を置き、優しくベッドに横たえた。






 
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