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賢者の章

38.喪失※

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 シーツを固く握りしめ、目をギュッと閉じるセリナ。目尻からは涙が流れていた。

 穢れを知らないセリナの膣内に、勇者アリオンの陰茎ペニスがゆっくりと侵入して来る。


「いっ………痛い…………」
「くっ……狭いね………それに、凄い弾力で押し返して来る」


 たっぷりと湿り気を含んだセリナの膣口。しかしアリオンの陰茎を迎え入れるのでは無く、何とか侵入を阻もうと押し返して来る。
 入り口も狭く、アリオンの決して小さくは無い陰茎の先、亀頭で徐々に膣口を拡げながら、それでも少しずつ埋没していく。その過程で、セリナは激しい痛みを感じた。


「ふぅ………ようやく先端が入ったよ。痛みはどうだいセリナ?」
「痛い……痛いです…………」


 苦悶の表情を浮かべるセリナ。もう止めて欲しい。やっぱり抜いて欲しい。しかしその言葉は口から出ない。
 ここで止めては『勇者の加護』を付与してもらえない。それではまた生きてアルトに会えないかもしれない。その一心で、アリオンが侵入して来るのも、この痛みにも必死に耐えているのだから。

 セリナが痛みを訴えた所で、アリオンは一度侵入を止めてセリナの恥丘に手を乗せる。雛鳥の様なうぶ毛が、アリオンの手をくすぐった。


「なん……ですか………」


 涙を滲ませながら怪訝な表情を浮かべるセリナ。その次の瞬間、アリオンの手が光を発した。


「【麻痺魔法パラライズ】」


 光はセリナの恥丘の中へと消えて行く。その瞬間、膣内に感じていた痛みがほぼ消えた。


「麻痺の魔法を威力をかなり落として放った。痛みは消えたかい?」
「……………はい」


 アリオンの魔法の効果で、セリナの膣内の痛みが消えた。しかしそれは別に喜ばしい事では無い。これでアリオンは、多少無理をしてでもセリナの最奥を目指す事になる。

 膣内で、プチプチと鈍い痛みを感じるセリナ。それはアリオンの陰茎が、セリナの処女膜を無理矢理剝している感覚。

 再度、涙を流すセリナ。悔しくて堪らない。本来なら、ここを最初に通過するのはアルトの筈だった。アルトなら、例え魔法で誤魔化さなくても痛みに耐えられた。
 どんなに痛くても、きっとその痛みにこの上ない幸せを感じられた。

 しかし、残念ながらセリナの処女膜を破ったのは、アルトではなくアリオン。そして抵抗が和らいだアリオンの陰茎は、まだ誰も侵入した事の無いセリナの最奥を目指し、遂にはそこに到達する。


「はぁ………一番奥まで挿入はいったよセリナ。僕のペニスが君の温かい膣に包まれて………何て甘美な感覚だろうか」


 ううっと、くぐもった声を上げるセリナ。そんな台詞など聞きたくない。早く、早く勇者の加護の付与を終えて自分の中から出ていって欲しい。

 セリナがそう思っていると、アリオンが呪文を唱え始めた。すると、今度はセリナの身体全体が光に包まれる。


「これで、勇者の加護は付与されたよセリナ。よく頑張ったね!」


 ようやく終わった。この為に受け入れたくないアリオンを受け入れ、アルトに捧げる筈だった処女を失った。
 悔しくて悲しくて、涙が後を絶たない。しかしこれも全ては、アルトとの幸せな未来の為。生きて帰って、アルトと共に生きる為。

 これで、もうこんな事はしなくていい。処女では無くなってアルトは悲しむかもしれないが、優しいアルトならきっと分かってくれる。だから、今すぐ抜いてとアリオンに伝えようとした所で、アリオンが先に口を開く。


「では、少しずつ動くね」
「…………え?」


 一体何を言っているのか。そんな事、わたしは望んでいない。わたしは許していない。そう思った矢先に、アリオンが抽挿を開始する。


「んんっ!ちょ……ちょっと待ってくだ………ああっ!いや………ッ!や、止めて………はうっ!!」


 アリオンが抽挿を開始した事で、セリナの膣内に快感が押し寄せて来る。麻痺の魔法の効果で痛みは無い。

 嫌だ。快感なんて感じたくない。それはアルトと一緒に共有するもので、他の男性と共有するものじゃない。
 魔法で痛みが無いなら快感も無ければいいのに、何故か快感だけは感じてしまう。


「はぁ………セリナの中……温かくて………膣壁が僕のペニスをギュッと締め付けて来る………」
「いやっ!ぬ、抜いてくだ………ああっ!!だ、駄目です………ッ!ンンッはぁっ!!」


 ゆっくりと抽挿を繰り返すアリオン。セリナの狭い膣内で、膣壁に締め付けられる陰茎に膜から流れた純血が混ざった、セリナの甘い蜜が絡みつく。それが不幸にも抽挿を助け、アリオンは徐々に速度を上げて行った。


「あああっ!!い、いやぁぁーーッ!!はぁっ………あっ、んんっ、ふわぁぁーーッ!!」


 ギュッとシーツを握りしめるセリナ。顔を何度も横に振り、額に汗を浮かべながら苦悶の表情を浮かべる。
 そんなセリナの仕草に、更に興奮したアリオンはセリナの胸に手を伸ばす。そして薄桃色の乳首を指でコロコロと刺激した。


「あああぁぁーーーッ!!やめ……止めて………くださ…………あっ、あっ、んあぁぁーーッ!!」


 膣内と乳首、両方を刺激されたセリナに快楽が更に襲って来る。セリナとアリオンの結合部からはクチュクチュと水音が聞こえ、セリナは「いやいやっ!!」と首を振る。
 
 嫌なのに。頭の中では嫌だと思っているのに、身体は何故か今までに経験した事の無い快感を感じている。頭は麻痺でもしたかの様に思考が鈍り、閉じた目の奥がチカチカする。


「はぁはぁ……凄いよセリナ……先ほどよりも愛液が絡み付いて………僕のペニスで悦んでいるんだね」


 違う違うと首を振るセリナ。そんな筈は絶対に無い。今すぐにでも抜いて欲しい。もう一瞬でも繋がっていたくない。
 心の底からそう思うのに、何故か愛液が溢れて来て、アリオンに更なる快感を与えている。


「あああっ!!も、もう本当に………ッ!!お、お願い………します………もう………いやっ……………ンンッ!…………もう………抜いてくださ…………んんッーーーーッ!!」


 これ以上は駄目だ。嫌なのに、絶対嫌なのにーーーー、絶頂まで昇りつめてしまう。
 そんな事あり得ない。アルト以外の男性に絶頂させられてしまうなど、そんな事ーーーー


「はは………こんなにいいのは………くっ、僕も初めてかもしれない………」


 恍惚の表情を浮かべながら、セリナの膣内で抽挿を繰り返すアリオン。
 初めて見た時から、その美しさの虜になっていた。あのフィリアすらを凌ぐ美貌、そしてこの華奢で真っ白な美しい身体。
 その美しい身体を好きな様に触り、舐め回し、挿入までしている。
 その世界一の美少女が、自分の陰茎に悶え、嬌声を上げ、更には絶頂を迎えようとしている。

 男として生まれて、こんなに満たされる時が他にあるだろうか。それは全ての男の願望でありながら、決して手に入れられない欲求。
 それを自分が今、手に入れている。勇者でなくては絶対に叶わないであろう、セリナとフィリア、そしてサージャという世界で最も美しい美少女三人を手に入れたという事実。 


「ふふ……いいんだよセリナ。気持ちいいのなら我慢など必要無いさ………遠慮せずにイクといい」


 そうセリナの耳元で囁きながら、アリオンは更には抽挿の速度を上げた。その瞬間、セリナの身体が弓なりに大きく仰け反る。


「あああぁぁぁーーーーッ!!駄目駄目駄目ぇぇーーーーーッ!!やめてぇぇぇーーーッいやぁぁーーーーーッッッ!!」


 そしてビクンビクンッと、身体が痙攣する。頭の中は真っ白になり、快感の限界を超えた身体が、自分の意志とは関係無く痙攣を繰り返す。


「ぁぁ…………はぁぁ……………」


 絶頂イカされてしまった。アルト以外の男性に。しかも挿入されながら。そんな事、絶対にあってはいけない事なのに。

 荒い呼吸を繰り返すセリナ。その度に小さくて綺麗な双丘が上下に揺れている。頂点の蕾はピンッと立ち、身体が快感を得ている事を無言で物語る。

 しかし、セリナが絶頂に達したからといって、アリオンの行為は終わらない。アリオンはまだ果てていないのだ。


「イッたんだねセリナ。初めてなのにそんなに良かったのかい?」


 聞きたくない言葉が耳に入ってくる。やめて、もうこれ以上わたしを苦しめないで。頭ではそう考えているのに、身体はまだ快感が引いていかない。いや、それどころかーーーー


「僕もそろそろ限界だ。早く動くよセリナ………ッ!」


 そしてアリオンは再び抽挿を開始する。自分も絶頂へと至る為に、遠慮なしに腰を打ち付ける。


「あっ、んはっ、いやっいやですッ!もうやめ………あああっ!!」
「はぁはぁ………イクよセリナ!僕の熱い思いをその身体で受け取ってくれ!」
「あああぁぁーーーッ!!やめ………はぁっ!んん………ッ!や、止めてくだ………あああっ!!」


 卑猥な水音を響かせながら悶えるセリナ。いつしか膣壁はアリオンの陰茎に吸い付き、愛液で満たされた膣内はアリオンに最大の快楽を与える。


「うっ!射精すよセリナ!受け取ってくれ!」
「いやぁぁーーッ!!はっ、あっ、んぅっ、あああっ!あぁぁーーーーッ!!」


 そしてセリナの膣内で放出されるアリオンの精液。その量は凄まじく、あっという間にセリナの中を満たした。その瞬間、セリナの身体が再びビクンビクンッと大きく跳ねる。


「あああっ!いやっ……ンン……あっ………あっ………んぅ…………」


 再び絶頂へと至るセリナ。自分の意志とは関係無く、身体がビクビクッと痙攣する。


「はぁはぁ………うっ………」


 最後の一滴までセリナの中で絞り出すアリオン。徐々にセリナの痙攣が治まっていく。


 痙攣が完全に治まり、薄っすらと目を開けて天井を見上げるセリナ。





 ーーわたし………汚れちゃった。穢れちゃった…………。



 瞳から、大量の涙が流れる。何故こんな事になってしまったのか。一体、いつからこうなる道を進んでいたのだろうか。



 ーー嫌だよ………やっぱりこんなの………嫌だよ…………。




 やり直したい。あの、初めてアルトと身体を重ねたあの日から。
 今度はちゃんと最後までアルトとーーーー、アルトに初めてを捧げるから、だからーーーー



 
 ーーごめんね…………アルト…………




 アルトの優しい笑顔がセリナの脳裏に浮かんで、そして消えていったーーーーー






 
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