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賢者の章

31.湯浴み2※

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 何とか気を取り直し、セリナに笑顔を浮かべるフィリア。そのタイミングで、メイドがセリナに話し掛けて来た。


「では賢者様、お身体を洗って参ります。何か不都合があった場合は仰ってください」
「へ……?か、身体?」


 不都合とはまさに、その事自体だ。誰かに身体を洗って貰うなど、申し訳無いと言うより恥ずかし過ぎる。
 しかしはっきり嫌とは言えないセリナ。そうこうしている間に、メイドが石鹸を泡立てる。ほんのりと甘い良い香りが漂って来た。


「あ………いい匂い……」
「こちらはアムルの花の石鹸でございます。では、失礼致します賢者様」


 手に泡を付けたメイドが、セリナの後ろから優しく身体を触って来る。


(え………?まさか………素手で!?)


 てっきり、布などで洗われると思っていたのだが、メイドは泡を付けた手で直接セリナの身体に触れる。いきなりの事に狼狽したセリナは、思わずフィリアを見る。すると、フィリアも別のメイドに同じ様に素手で身体を洗われていた。


「ふぅ……久しぶりなので気持ちが良くて………どうかしましたかセリナ?」


 セリナの視線に気付いたフィリアが、セリナに声を掛ける。


「あ、あの……洗って貰うのって素手………なの?」
「ええ。布を使うと肌に良くありませんから、いつもこうして素手で洗って頂いてます」


 事も無げに言うフィリア。見ると、フィリアの首、肩、背中、そこから前に手が伸びて来てフィリアの豊かな胸を洗うメイド。
 フィリアは気持ちの良さそうな表情をしていて、セリナは再び鼓動が激しくなる。
 そんな時、セリナの身体を洗っていたメイドの手が、セリナの胸に伸びて来た。


「ッッ!?」


 そして、何事も無かったかの様にセリナの胸を素手で洗って行く。当然、メイドの手がセリナの胸の蕾にも触れる。


(んんっ………!)


 思わず出そうになる声を、顔を真っ赤に染めながら必死に堪える。これはただ身体を洗って貰っているだけだ。変な声を出してしまえば、やらしい女だと思われてしまう。

 しかしそんなセリナの頑張りとは裏腹に、メイドの手が下へ下へと降りて来る。
 胸から腹部、臍をなぞりながら腰へ。そのまま太ももから足の先まで丁寧に洗い、再び太ももの方へと戻って行く。
 

(待って………まさかも!?)


 太ももから更に内側へ。一番大事な所へと進む途中で、セリナは咄嗟にメイドの手を掴んだ。


「ぁ……………」

 
 やってしまった。しかし、いくら何でもソコを他人に、ましてや同性であろうと知らない人に触られるのはかなり抵抗がある。


「も、申し訳ありません賢者様!な、何か不都合など…………」


 明らかに狼狽するメイド。彼女にとってはこれが仕事であり、その仕事をセリナ本人に止められてしまったという事は、何かしらの粗相があったと解釈して当然だった。


「いえ………あの………」


 彼女は何も悪く無い。自分が恥ずかしさに耐えかねて彼女の仕事を一方的に止めてしまったのだ。

 そんな二人を見かねて、フィリアが顔を真っ青にしているメイドに声を掛ける。


「セリナは初めてなので恥ずかしいだけですわ。今日はもう良いので、お二人とも下がってくださいまし」


 聖女フィリアにそう言われて、メイド達の顔に緊張が走る。仕事の途中で下がれと言われたという事は、自分達の仕事が認められなかったという事。

 しかしフィリアはそんな二人に、いつもの微笑みを向けた。そして優しい声音で言葉を掛ける。


「ふふ、また明日からお願いしますわね。今日は少し、セリナと大事な話があるので下がってください」


 そう言われて、安堵するメイドの二人。つまりは、自分達に不備があった訳では無いという事だ。
 二人はセリナとフィリアに深々と頭を下げ、浴場を後にした。残されたのはセリナとフィリアの二人だけである。


「うぅ……恥ずかしかった………」
「やはり、恥ずかしくて彼女の手を止めたのですわね?」
「だって………いきなりそんな………」


 アルトにしか触らせた事の無い胸や腰、太ももを触られ、更にその手は一番大事な場所へと伸びて来た。あれ以上、あの状況に耐えられるセリナでは無かった。


「とは言っても、セリナの身体を洗うのが彼女のお仕事。恥ずかしいからと拒否していては、彼女のお仕事が失くなってしまいます」


 それはつまり、自分のせいであのメイドが職を失うかもしれないという事。


「そ、それは…………」


 そんな事はセリナとて望むところでは無い。しかし、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。こればかりは自分でもどうする事も出来ない。


「では、慣れるしかありませんわね」
「…………慣れる?」
「そうですわ。やはりいきなり知らない方では、セリナが戸惑うのも無理はありません。だからーーーー」
「…………だから?」


 首を傾げてフィリアを見るセリナ。そんなセリナに、フィリアがとんでもない事を言い放った。



「続きは、わたくしがいたしますわ!」
「………………はい?」


 言われた事の意味が良く分からないセリナ。続き………続きとは一体…………。


「セリナの………その………大事な所をわたくしが………洗って差し上げます」
「え……………えぇーーーーッッ!!?」


 思わず大声を上げるセリナだが、フィリアは既に石鹸の泡立てを始めている。


「き、今日初めて会った彼女よりは………わ、わたくしの方が恥ずかしくないでしょう………?」


 声が震えるフィリア。セリナは恥ずかしがっているが、それはフィリアも同じだった。と言うより、まさか自分がセリナの大事な部位に触れる事になるなんて………と、自分で言っておきながら緊張が襲って来る。


「ま、待ってフィリア……!そ、そんなの………」


 顔を真っ赤に染めるセリナ。そんなセリナと同じくらい顔を真っ赤に染めたフィリアが、石鹸を充分に泡立て、フィリアの太ももに触れる。


「ひゃっ!?」


 思わずビクッと身体を震わせるセリナ。フィリアの手は、メイドよりも小さくて温かった。


「わ、わたくしも人様を洗って差し上げた事などありませんので………もしも痛かったりしたら仰ってください………」


 たっぷりと泡を付けた手を、太ももからその上へと滑らせる。
 セリナもフィリアも、心臓が破裂するのではと思う程に激しく鼓動が胸を打ち付けていた。

 そして、フィリアの細い指の先が、セリナの性器ヴァギナへと到達する。


「んっ!」


 フィリアの指が触れた瞬間、セリナの口から思わず声が漏れ出す。慌てて手で口を塞ぐが、フィリアには聞こえてしまっただろうかと更に顔を赤くする。

 フィリアは、デリケートなセリナの秘所を優しく指を往復させる。その際に、指に少し硬い突起の感触が伝わる。その突起の部分に指が触った瞬間、セリナからくぐもった声が漏れてフィリアの膣内で蜜が溢れて来る。


(ああ………これがセリナの………貴女の………)


 その突起は、女性が快感を得る為だけの器官である陰核クリトリス。この指に伝わる小さな突起が、セリナの陰核の感触。


 セリナが身体を仰け反らせ、はぁはぁと息を荒くしている。見ると、小さくて張りのある双丘の頂にある蕾が、ピンッと立っていた。

 このまま、セリナの全てを奪いたい。奪って奪って、セリナを自分だけに振り向かせたい。

 どうせ奪われてしまうなら、セリナもきっとその方がーーーーー



 そこまで考えて、フィリアは手を止める。これ以上は駄目だ。これ以上は。


「ふふ、綺麗になりましたわセリナ」


 何事も無かったかの様に、いつもの口調でセリナに話しかける。


「はぁはぁ………う、うん…………ありがとう………」


 心なしか、少しだけ瞳に涙が浮かんでいるセリナ。
 自分とて女性だ。今のセリナの気持ちは良く分かる。それでも、今はその先に進む訳にはいかない。


「ふふ……誰かに洗って貰うのも………悪く無いでしょう………?」


 セリナの上気する顔を見ながら、フィリアは泣きそうな顔でそう言ったのだった。




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