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賢者の章

11.グレノールにて※

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 ウルスス村を出発して一週間、セリナを含む勇者一行は、アリオン達が遠征の拠点にしていた街〖グレノール〗に到着する。


 この一週間、戦闘に関して全くの素人であるセリナに訓練を施しながら、勇者一行はグレノールの街を目指した。

 ”賢者”の称号を授かったとは言え、セリナが使える魔法はウルスス村の魔道士の老婆に教わった魔法と、魔導書を読んで自分で身につけた魔法のみ。
 しかもその全てが、攻撃や防御といった戦闘系の魔法では無く、僅かな水を出したり小さな火を出したりする、いわゆる『生活魔法』と呼ばれる魔法だった。


 しかしこの一週間の間に、”聖女”フィリアが扱える攻撃、防御、補助魔法、加えて兵士の中にも魔法を扱える者が居たので、その兵士からも魔法を伝授された。

 
「驚きましたわ。あっという間に習得してしまうんですもの」


 グレノールで一番豪華な宿屋、その食堂を貸し切り、勇者一行は遅めの昼食の席を囲む。
 貸し切る以上、他の宿泊客の迷惑にならない様に、昼食の時間をずらしたので遅めの昼食となったのだ。


「流石ね。賢者の称号は伊達では無いと言う事だわ」
「い、いえそんな………」


 フィリアとサージャに褒められて、頬を染めるセリナ。容姿を褒められる事は多々あったが、それ以外の何かを褒められた事はあまり無かったので、素直に嬉しかった。これがアルトに褒められたのなら、もっと嬉しかったのにと心の中で思っていたが。


「はっはっは!頼もしいじゃないか。これはほとんど即戦力になれるかもしれないね!」
「そ、そんな………からかわないでください勇者様」


 ”勇者”アリオンの言葉に、慌てて手を振るセリナ。この一週間の間に、流石のセリナもだいぶ皆との付き合いに慣れて来ていた。


 アリオンはとにかく良く喋るが、それが特に嫌な感じもしない。セリナに触れて来ようともしないで、その立ち振舞は常に紳士的だった。
 アルト以外の誰かを好きになるなどセリナの中では有り得ないが、少なくとも好感は持てる。それぐらいにはアリオンという男との距離は近くなっていた。


 フィリアは最初からセリナに好意的だった。それはこの一週間で更に増長していて、何かとセリナの世話を焼きたがる。
 恐縮してしまうセリナだが、フィリアが自分に好意的だというのは嫌でも(嫌では無い)伝わるので、セリナも徐々にフィリアに懐いていった。


 そしてサージャだが、”剣聖”である彼女は賢者のセリナとは一番接点が無い。
 魔法などほとんど使えないし、セリナに教えられる事など無いのだが、内心では少し歳の離れた妹の様に感じている。なので、たまにセリナに礼など言われると、


「別に……礼の必要は無いわ」


 などと言いながら、影でニタニタしていたりする。そう、サージャは照れ屋なのだ。


 そんな勇者一行としばらく一緒に居て、セリナも少しずつだがこの空気に慣れつつあった。
 とは言え、既に戦力として完成されているアリオン、サージャ、フィリアを前に、どうしても劣等感はあった。


「仕方ありませんわ、セリナはつい最近賢者になったばかりですもの」
「むしろ、この短期間で魔法をいくつも覚えたその実績の方が凄いと思うけど」


 と、フィリアやサージャに慰められたり諭されたりして、何とか気持ちを折らずにすんでいる。


「ははは、焦る必要はないよセリナ。君のペースで強くなってくれればいいんだからね」


 勇者アリオンにもそう声を掛けられて、救われた気持ちになるセリナだった。



■■■



 勇者一行が滞在するグレノールの街の、それほど豪華では無い宿屋の一室。


「んっ……あっ………はぅ………」


 桃色の髪の小柄な少女が、緑色の髪の男の顔の上に跨っていた。下着を脱いだ状態で。

 男はベッドに横になりながら、目の前にある少女の性器ヴァギナに舌を這わせる。その度に、少女は気持ち良さそうな嬌声を上げた。


「はあっ……あっ……!んぁ………ああッ」
「あんっ……凄く硬くなって……んん…………はっ………いいっ……!」


 男の足元では、健康そうな褐色の肌をした別の女性が、彼の陰茎ペニスを自分の性器で咥え込み、上下に腰を動かしている。


「そう言えば……んん……この街に………はんっ……勇者様が滞在して……ンン………るんだって……ああっ!」


 腰を上下に振りながら、褐色の女性がそんな情報を口にするが、正面で性器を愛撫されている少女も、その少女の性器に舌を這わせている男も、特に返事はせずに行為に没頭している。


「ああっ!いやっ……何か来ちゃ………んあぁぁ!あっ、はぁぁ!!」
「ふふ、気持ち………ん、良さそうねノエルちゃん………あっ……あんっ………」


 目の前で喘ぎ声を上げる少女の胸に手を伸ばす褐色の女性。そのまま少女の乳首を指で刺激する。


「ああああーーーッッ!!だ、駄目サリーさん………あっ!んん!」
「あんっ……今のノエルちゃんの声で………んん!またレックのが………ああぁぁ!!お、大っきく………はぁっ………ああっ」


 腰を動かしながら、ノエルと呼ばれた少女の乳首を刺激する、サリーと言う名の褐色の女性。と同時に、レックと呼ばれた男が腰を動かしてサリーを下から突き上げた。



「ああああーーーッッ!!は、激しっ……んん!あっ、んっ、はあぁっ……そろそろ……ンン………イ、イキそう………ああっ!!」
「わ、わたし……も……あっ、はっ………いやっ!気持ち……ああああーーーッッ!!」
「ああぁぁ!!イクイクッ!!もう駄目ぇぇーーーーッッ!あっ、ああああーーーッッ!!」
「はうっ!わたしも!イ、イッちゃう!!ああああーーーッ!イクイクッ!イッちゃうよーーーッッ!!」


 レックの上で、ビクビクと腰が跳ねるノエルとサリー。そのままグッタリと、レックの上に倒れ込んだ。


「ああっ………はぁはぁっ………」
「んん………はぁ…………はぁっ」
「………お前ら、この宿屋の壁薄いんだからよ………声聞こえるぞ」


 行為が終わり、ようやく口を開くレック。その身体は見事なまでに引き締まっていて、全身が筋肉で覆われている。


「だって………あんな所を舐められたら……」
「ふふ………どうなのレック?実の妹のアソコを舐めるのは」
「バーカ。んなもんお前……別に何とも……」
「ふーん?その割には、ノエルちゃんがエッチに加わるようになってからのレック、前より硬いのよねぇ。やっぱり背徳感があるから?」
「ばっ!?んな事ねえよ!俺はノエルが言うから仕方なくだなーーー」


 グレノールの宿屋の一室で、昼間から快楽に耽る三人。

 緑色の髪の男はレック。今年三年目の冒険者で称号は”剣士”。

 スタイルの良い褐色の女性サリーも三年目の冒険者。称号は”武闘家”。

 そして、桃色の髪の小柄な少女ノエル。今年十五歳の彼女は先日、このグレノールの街で冒険者の試験を受け合格した新米冒険者。称号は”僧女”。そして、レックの実の妹でもある。


 何処にでも居る普通の冒険者パーティの彼ら三人だが、これより数週間後に一人の剣士と出会う事になる。
 その剣士は田舎の村から出て来たーーーー、冒険者になるのを夢見る顔の綺麗な青年だった。




 


 
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