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2.婚約破棄された令嬢、仲を深める

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ポーリーンが屋敷に戻ると、そこには姉のアイリーンが立っていた。
「ポーリーン……戻って、きたのね……。良かった……。」
いつもなら薄紅色に色づいている頬が、青ざめていた。その様子を見て、ポーリーンは姉に何があったかを悟った。
その答え合わせかのように、アイリーンはよろよろとポーリーンに近づくと、頭を垂れて言った。
「……ポーリーン、先程、あなたの婚約者の方が来て……あなたとの、婚約を破棄したと……それで、それで……っ」
これ以上は言えない、とばかりに、アイリーンの言葉がつまる。
ああ、やはり、そうか。
ポーリーンはもはや無の境地に達していた。この流れも三回目。もう慣れた。
だから、自分から言えない姉の代わりに、代弁してやる。
「……お姉さま、その方から求婚されたのでしょう?私とではなく、あなたと結婚したい、と。」
その言葉に、アイリーンの肩がびくりと震える。図星のようだった。
「っ、ごめんなさい、ポーリーン!また、また、こんなことになってしまって……!どれだけ言っても、あなたには言い訳にしか聞こえないでしょうけれど、でも、私はあなたから婚約者を奪うつもりなんて、これっぽっちもなかったの!!」
可哀想に、アイリーンは、大事な妹の婚約者を三度も奪ってしまった罪悪感に苛まれ、顔を青ざめながら震えている。まるでこちらが悪者のような気分になってくる。
ポーリーンは湧き上がる不快感を押さえつけ、話をそらす方向に努める。
「ですが、お姉さまは断られたのでしょう?今のお姉さまには婚約者がいらっしゃいますから。」
アイリーンは、こくりと頷く。
今回は「婚約者がいる」というしっかりとした理由があったため、あまり長期戦にはならなかったようだ。過去二回の婚約破棄騒動を思いだし、ポーリーンは顔をしかめた。
前回まではアイリーンに婚約者はいなかったため、それはもうポーリーンの元婚約者達の執念は凄まじかった。アイリーンを何とか婚約者にしようと、延々と彼女を口説き続けていたものだ。それは夜が更け始め、怯えるアイリーンを発見したコールマン家の執事から追い出されるまで続いたのだから、恐ろしいものである。
この騒動を見かねたアイリーンとポーリーンの両親は、遂にアイリーンを婚約させることにしたのだった。誰かのものになれば、周辺の男達もアイリーンへの求婚をやめるだろう、そう思って。
だが、現実は非情だった。
現にポーリーンの新たな婚約者は、アイリーンが婚約していることを知っているにも関わらず彼女を選んだし、過去ポーリーンを振った男達も、相変わらず手紙だの贈り物だのを送ってきては、アイリーンを口説き続けている。
ここまで来ると、男達のアイリーンへの狂気的な執着は、もはやホラーの領域だ。
しかし、アイリーンは、そんな男達の執拗な口説きに一切応じなかった。
「大事な妹との婚約を勝手に破棄しておいて、私を口説くなんて信じられない。そんな身勝手で最低な人とは付き合うどころか、関係すら持ちたくないわ。」
という、アイリーンの主張があるからだ。
アイリーンは、ポーリーンの事をそれはそれは大事な妹として見ている。いつもアイリーンはポーリーンの味方で、ポーリーンを可愛がってくれる。姉としても完璧な人なのだ。
なので、アイリーンはポーリーンを傷つけるものを許さない。ポーリーンから婚約者を奪ったことにも罪の意識を感じる。そして、全身全霊でポーリーンの元婚約者達の勝手な口説きを聞き入れない。
妹を想う姉として、最高の姿だ。
だからこそ、ポーリーンは余計にアイリーンを恨めしく思ってしまう。
せめて、自分に対して性格が悪ければ、婚約者を奪われたことにもっと憤慨できるのに。もっと、アイリーンを責め立てられるのに。
もっと、躊躇なくアイリーンを憎むことができるのに。
「お姉さま、今日は婚約者の方とお会いしたのでしょう?まだ私はお会いしたことはありませんが、良い方でしたか?」
ポーリーンは、話を姉の婚約者のことにすりかえることに成功した。
まだ姉と婚約して日が浅いため、ポーリーンは姉の婚約者の姿を見たことがない。また、アイリーンから婚約者の話もあまり聞いていなかった。
アイリーンは、ポーリーンの問いかけに、少し顔を綻ばせて答えた。
「ええ、とても良い方だと思うわ。第一印象的には、とても誠実そうだし。あの方となら、結婚しても上手くやっていけそうな気がする。」
アイリーンが、男性に対してここまで好意的な意見を言うのは久しぶりだった。
様々な男から交際やら結婚やらを迫られてきたアイリーンは男性不信になりかけていて、恋愛事なんてうんざりだ、と言っていたくらいだったのだ。
そんなアイリーンが、婚約者の事をどこか楽しそうに話している。もしかしたら、すでに彼に好意を抱き始めているのかもしれない。
幸せそうなアイリーンを見て、またもポーリーンの胸中は黒い靄に包まれる。
自分は三度も婚約者に裏切られたのに。
姉は一回目の婚約で運命の人と出会った。
ああ、神様は本当に不条理だ。
姉にばかり幸せを与えて、自分には何も与えてくれない。
通常なら、ポーリーンの心はここでとっくに悲鳴をあげて、アイリーンの目の前から逃げ去っていたかもしれない。
だが、今回のポーリーンには、姉の婚約者の話を聞けるほどの余裕があった。
その理由はもちろん、庭園で出会った謎の人物の存在。
自分の事を知ろうとしてくれている者がいる、その事実だけが、ポーリーンの心を支えていた。
来週。来週にまた会える。
姉の話に耳を傾けながら、ポーリーンは心の拠り所に思いを馳せていた。

***

気がつけば、あっという間に一週間が過ぎた。
約束の日、午後2時前、ポーリーンは、この前と同じ庭園のテーブルについていた。
心の中は、期待と不安に満ちている。
あの人は、来てくれるだろうか。
約束を、守ってくれるだろうか。
そわそわしながら時間を待っていると、がさりとアーチの方から物音がした。そして、
『ーーこんにちは。お久しぶりです。まさか、本当に来てくださるとは思わなかった。』
待ちわびた声が、ポーリーンの鼓膜に届いた。
「!!お、お久しぶりです…!あなたも、まさか、来てくださるなんて…!」
感動のあまり、ポーリーンの声がうわずる。
『こちらこそ、ですよ。私のような姿も見せない不誠実な人間との、口だけの約束だったのに。いらしてくださるなんて、あなたは律儀な方だ。』
「それを言うなら、あなただって…」
ポーリーンは言葉を繋げようとしたが、これ以上やると同じようなやり取りを延々と続ける事になる、と思い、そこで口をつぐんだ。
男もそれに気づいたのだろう、コホン、と軽く咳払いをして話を止めると、ポーリーンに言った。
『ーーでは、早速お話願えますか?あなたのことを。』

ポーリーンは、語りだした。
まずは、自分の好きなもの。
読書が好きで、ある著名な作家の最新作を読んだ、と話すと、
『ああ、あの作品ですね!私も読みました。あの作家の作風が好きで、よく手に取るんです。』
同じ作家が好きだということで、お互い話が弾みに弾んだ。
「今回の作品は、どこか切ないながらも最後に希望が残るラストで、とても感動したんです!」
『分かります!大事なものを失い悲嘆にくれる主人公に最後寄り添う恋人…多くのものが手を離れても、その悲しみを分かち合う存在が側にいてくれるというのは、救いがありますよね。』
「ええ、本当に…羨ましい限りです。」
ポーリーンは、遠い目をしながら答える。
ラストに感動したのは嘘ではない。だが、それ以上に羨ましかった。
自分の抱える苦しみを、分かち合ってくれる存在がいることに。
『……踏み込んだ事をお聞きしますが、あなたにはそのような方はいらっしゃらないのですか?』
ポーリーンは、かぶりをふる。といっても、男には見えないだろうが。
「……いません。私には、そのような人はいません。皆、私より姉の方に興味がいってしまうんですもの。心を通わせるだけの時間なんて、ありませんでしたわ。」
『……あなたは、姉君の事はお嫌いですか?』
突如尋ねられた率直な質問に、ポーリーンは言葉をつまらす。
姉のことが嫌いか。そう言われると…
「いいえ。嫌いではありません。姉は私に良くして下さる。とても良い姉です。……ですが、私はどうしても姉を羨み、時には憎みそうになってしまう。そんな矮小な自分が、一番嫌いです。」
そう。これがポーリーンの本心だった。
姉の事を憎みたくないのに、恨みたくないのに。
姉との差を見せつけられる度に、負の感情が心を巣くい、それに負けてしまう。
技量も性格も、姉に遠く及ばない。それが一番辛くて悲しい。
すると、男はポーリーンに、労るような声で返した。
『……あなたは、やはりとても優しく、心の美しい方だ。私は、そう思います。』
「何故ですか?私は姉を恨む気持ちを持っている。心が美しいとは、到底思えませんが。」
『どれだけのことがあっても、姉君を嫌いたくないと、あなたは思っている。十分姉思いで優しいですよ。それに自分の弱さを自覚して、戒めようと必死になっている。そのような方の心が、綺麗でない訳がないでしょう?』
男のその言葉に、ポーリーンはまたも目頭が熱くなった。
今まで、自分の事をこのように評価してくれた人間がいただろうか?
嬉しい。
人に認めてもらえるということは、こんなにも嬉しいものだったのだ。
ポーリーンが必死に涙をこらえていると、男が続けた。
『……私は、あの小説のように身体的に寄り添うことは出来ないかもしれませんが、心はあなたの側にありたいと思います。ですから、もっと話してください。あなたの事を。いや、あなたが話したいことでいい。どうか、聞かせてください。』
「っ…ありがとう、ございます…っ。私なんかのために、そんな優しい言葉を…。」
『いいえ、あなたの心の内を見せていただいたからこその思いですよ。……申し訳ありません、湿っぽくしてしまいましたね。さあ、楽しい話をいたしましょうか。そうですね、その小説家の他の作品はお読みになりましたか?良かったら、感想を教えていただきたい。』
ポーリーンは、問いに答える。その表情は、きっと屋敷の者ならば『久しぶりに見た』と驚くであろう程、穏やかで柔らかな笑みを浮かべていた。
男とポーリーンの談義は続く。それは、日が暮れ始め、男が帰宅を告げる時まで行われた。
そして、再び、二人は一週間後の同じ時間に会うことを約束したのだった。

***

その後、ポーリーンと男の奇妙な絆はゆっくりと育まれていった。
週に一回しか会えないものの、二人の仲は進展していったのだ。
最初はよそよそしい会話しかできなかったが、それも時が経つにつれ、どんなことでも話せるようになっていった。
会わなかった一週間にあったこと、今日起きたこと。楽しかったこと、嬉しかったこと。悲しかったこと、辛かったこと。自分の好きなことも嫌いなことも。後、猫派か犬派かの討論までしたことがあった。(ちなみにポーリーンは犬派、男は猫派だった。)
ポーリーンは、男と話している間だけ、本当の自分を出すことが出来ている、そう感じていた。それは、友人のいないポーリーンにとって、とても幸せなことだった。
だが、その一方で、ポーリーンは自分の中に男に対して友情以外の感情を覚え始めていることに、薄々気づき始めていた。
常に優しく、話もとても合う。温かな言葉をもらう度、ポーリーンの心はきゅっと締め付けられる。だが、それはどこか甘美で切ない痛みだった。
ポーリーンは、その感情の名前を知っていた。だから、見ない振りをすることにした。
大事な友人を失いたくなかったから。
いや、それ以上に。
いつか姉にとられるかもしれない恐怖で、縛られたくなかったから。
そして、男との会話が始まってから、三ヶ月後。
ポーリーンは、初めて姉の婚約者と顔を合わせた。

***

「ポーリーン、紹介するわね。彼が、カルロス・マクレガー侯爵令息様よ。」
アイリーンが、どこか嬉しそうにポーリーンに紹介したその婚約者は、赤茶色の髪に黄玉の瞳が美しい美丈夫だった。
アイリーンがポーリーンに紹介するまで、三ヶ月。これは勿論、アイリーンとの婚約、もといお付き合いの試用期間だったのだろう。
アイリーンとの相性が良いか、そして、男性不信になりかけていたアイリーンが愛せるかどうか。
このカルロス・マクレガー侯爵令息は、アイリーンの心を射止めるという高難易度の試練をクリアしたらしい。
ポーリーンは、カルロス・マクレガー侯爵令息を失礼にならない程度に観察する。
彼は、アイリーンと並んでも遜色ないほど美しかった。整った顔立ち、アイリーンより頭ひとつ高い背丈、そして逞しくも凛とした佇まい。
それに加えて、アイリーンが好意を抱いたくらいなのだから、その性格も高潔なのだろう。
お似合いの二人だな、と思いながら、ポーリーンは丁寧にカーテシーを行い自己紹介をした。
「初めまして、カルロス・マクレガー侯爵令息様。私は、アイリーンの妹で、ポーリーン・コールマンと申します。」
侯爵であるカルロス・マクレガー令息より、伯爵令嬢であるポーリーンが先に名乗るのが定石だ。本当なら侯爵令息から発言の許可をとった方がもっと良いのだろうが、今回はアイリーンから水を向けられたのだから、不敬にはなるまい。
ポーリーンは、カーテシーと共に頭を下げたまま、じっと姉の婚約者の言葉を待った。
だが、しばらく経っても、返事が返ってこない。
どうしたのだろう。やはり、いきなり名乗るのはまずかっただろうか。
ポーリーンが心の中で己の行いを悔やんでいると、
「どうしましたか?カルロス様。妹に、何かありましたか?」
困惑した声で、アイリーンが婚約者に話しかける。
おそらく、妹の自己紹介に何一つ言葉を返さないなどという不遜な行為は、カルロス・マクレガー侯爵令息ならしないはずなのだろう。
アイリーンの言葉に、婚約者がはっと息を飲んだのが、頭を下げたままのポーリーンにも伝わった。
「あ、ああ……申し訳ない、ポーリーン嬢。どうか顔をあげて欲しい。」
テノールの落ち着いた穏やかな声。ポーリーンの『友人』であるあの男のものとは、違う。彼の声は、もう少し高めで、どこか少年のようなあどけなさを残しているのだから。
ポーリーンは、そんな事を思いながら、言われた通りに顔をあげる。
「失礼なことをして済まなかった。私は、カルロス・マクレガー。よろしく。」
カルロスが自己紹介を返している間も、どこか落ち着かないような、不安そうな雰囲気を残していることに、ポーリーンは疑問を覚える。
一体どうしたのだろうか。もしや、『完璧令嬢』アイリーンの妹と思って期待していたら、想像とは違うものが出てきて、失望しているのだろうか。
ポーリーンは、そんな男達の態度にはすっかり慣れきってしまっている。またか、何度目かわからないその言葉を胸に、カルロスの様子に知らぬ振りをする。
「これからカルロス様とティータイムなのだけど、ポーリーンも一緒にどう?」
アイリーンが提案したが、ポーリーンは首を振った。
「いいえ、せっかくのお誘いですがお断りさせて頂きますわ、お姉さま。お二人の間に水を差すようなことはしたくありませんもの。」
「そう…残念だわ。でも、ありがとう。いつか三人でお話しする機会を設けましょうね。」
アイリーンはそう言って優しく微笑むと、
「では、そろそろ参りましょうか、カルロス様。」
婚約者の手をとって、庭の方に歩きだす。 
カルロスは、暫しポーリーンの事をじっと見ていたが、やがてアイリーンと共にその場を去っていった。
一人そこに残されたポーリーンは、姉の婚約者との初対面を思い返し、何とも言えない気持ちになった。
やけにポーリーンの事に注目していた気がするが、そんなにアイリーンとの差が気になったのだろうか。それにしては、そんな不躾な、失礼な視線ではなかったような気もするが。
ポーリーンは、かぶりを振った。
姉の婚約者の事を気にしていても仕方がない。
今は、自分の事に集中しなくては。
三日後、例の『友人』との約束がある。
ポーリーンは、それを楽しみに、自室へと戻っていった。

しかし、そんなポーリーンの状況は一変した。
姉の婚約者との対面から三日後、約束の日、約束の時間に、ポーリーンは男を待っていた。
だが、待てど暮らせど、男はやってこなかった。いつもなら、約束の時間通りにやってくるというのに。
結局その日、男は来なかった。ポーリーンは、何か別の用事があったのかもしれない、と、拭いきれない不安をなんとか押し込めようとした。
だが、その不安は、嫌な方向で的中してしまった。
その次の一週間後、そのまた一週間後、ポーリーンは男を待った。
しかし、男がやってくることはなかった。

ポーリーンと確かに絆を育んだはずのその男は、その日を境に、彼女の前から消えてしまったのだった。
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