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玄冬
げんとう3
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予定していた当日。俺は大学近くの公園にあるベンチに座っていた。
予定の時間より五分程早めに着いたのだが、誰も到着していない。
ちゃんと公園入り口近くのベンチと指定したので、場所は間違っていないはずだ。
もし勘違いを起こしていたとしても、ここに座っておけば見逃すこともないだろう。
WINGを開くが、遅れる連絡は来ていない。
暇過ぎて、スマホを開いてスマホゲームを始めた。
「おっしゃ」
よく使うキャラの限界突破が上限まで完了し、思わず声が溢れてしまった。
スマホゲームにはほとんど課金をしない上、最近はそこまで起動していなかったため、限界突破するのに時間がかかってしまった。
「面白そうですね」
横から声を掛けられ飛び上がる。
そこには、三宅さんが立っていた。
黒いPコートに、以前も履いていたカーゴパンツという装いは、意表をつかれることもなく、彼女に似合っていると感じる。
「すみません。集中していたみたいで声掛けにくくて」
「お、おう」
未だにバクバクしている心臓は落ち着かない。
三宅さんは俺の事情にはお構いなしに、俺の右横に座る。
「あきさん、少し遅れるってチャットありましたね」
「そうなんだ」
ゲーム中で通知が来なかったのか、全く気づかなかった。
「やっぱり緊張しちゃうな」
左右をキョロキョロして、落ち着かない様子を見せる。
「あー」
そうだよな。
目の前から歩いてきている男があきだとは思わないよな。
あきちゃんの中の人は、俺達に向かって手を振る。
「えっと、知り合いですか?」
「うん」
「ごめん遅れた。寝坊した」
「あの……えっと」
唯一状況を把握し切れていない三宅さんが狼狽えている。
「おい、ちゃんと説明しろよ」
俺は蒼依に全てを委ねた。
蒼依は黙って頷く。
「初めまして。あきです」
口に出す気はないが、狼狽していた人間の表情が、恐怖を帯びた驚愕に変わる様は面白かった。
他人事だから呑気にそう観察できるのだろう。
居心地が悪そうにしている蒼依や、女性だと思っていた相手が男性だったことを必死に受け止めようとしている三宅さんの立場なら、そんな余裕はなかっただろう。
「すみまさん。騙すつもりはなかったんですけど。元々、九遠がやってるのに参加した時から女性っぽい口調だった訳だし」
「それは、一応アカウントの投稿は最初から見てたので、分かってはいたんですが。その」
「その、これ、久遠にも言ってなかったんですけど」
予想外な場面で俺の名前が出てきた。
「と、とりあえず座らない?」
この話は長くなると察し、俺は少し歩いた先にある休憩所を指差す。
この雰囲気で、三人仲良くベンチに座るのは気が引けた。
屋根が付いており、下に大人数が座ることのできる大きさの丸いテーブルと固定された椅子が設置してある。
「そうしよっか」
三宅さんを見ると、小さく頷いた。
俺が先陣を切って歩く。黙ったままの三人は、机を囲んで座った。
予定の時間より五分程早めに着いたのだが、誰も到着していない。
ちゃんと公園入り口近くのベンチと指定したので、場所は間違っていないはずだ。
もし勘違いを起こしていたとしても、ここに座っておけば見逃すこともないだろう。
WINGを開くが、遅れる連絡は来ていない。
暇過ぎて、スマホを開いてスマホゲームを始めた。
「おっしゃ」
よく使うキャラの限界突破が上限まで完了し、思わず声が溢れてしまった。
スマホゲームにはほとんど課金をしない上、最近はそこまで起動していなかったため、限界突破するのに時間がかかってしまった。
「面白そうですね」
横から声を掛けられ飛び上がる。
そこには、三宅さんが立っていた。
黒いPコートに、以前も履いていたカーゴパンツという装いは、意表をつかれることもなく、彼女に似合っていると感じる。
「すみません。集中していたみたいで声掛けにくくて」
「お、おう」
未だにバクバクしている心臓は落ち着かない。
三宅さんは俺の事情にはお構いなしに、俺の右横に座る。
「あきさん、少し遅れるってチャットありましたね」
「そうなんだ」
ゲーム中で通知が来なかったのか、全く気づかなかった。
「やっぱり緊張しちゃうな」
左右をキョロキョロして、落ち着かない様子を見せる。
「あー」
そうだよな。
目の前から歩いてきている男があきだとは思わないよな。
あきちゃんの中の人は、俺達に向かって手を振る。
「えっと、知り合いですか?」
「うん」
「ごめん遅れた。寝坊した」
「あの……えっと」
唯一状況を把握し切れていない三宅さんが狼狽えている。
「おい、ちゃんと説明しろよ」
俺は蒼依に全てを委ねた。
蒼依は黙って頷く。
「初めまして。あきです」
口に出す気はないが、狼狽していた人間の表情が、恐怖を帯びた驚愕に変わる様は面白かった。
他人事だから呑気にそう観察できるのだろう。
居心地が悪そうにしている蒼依や、女性だと思っていた相手が男性だったことを必死に受け止めようとしている三宅さんの立場なら、そんな余裕はなかっただろう。
「すみまさん。騙すつもりはなかったんですけど。元々、九遠がやってるのに参加した時から女性っぽい口調だった訳だし」
「それは、一応アカウントの投稿は最初から見てたので、分かってはいたんですが。その」
「その、これ、久遠にも言ってなかったんですけど」
予想外な場面で俺の名前が出てきた。
「と、とりあえず座らない?」
この話は長くなると察し、俺は少し歩いた先にある休憩所を指差す。
この雰囲気で、三人仲良くベンチに座るのは気が引けた。
屋根が付いており、下に大人数が座ることのできる大きさの丸いテーブルと固定された椅子が設置してある。
「そうしよっか」
三宅さんを見ると、小さく頷いた。
俺が先陣を切って歩く。黙ったままの三人は、机を囲んで座った。
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