青春活動

獅子倉 八鹿

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白秋

はくしゅう15

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 青春活動の投稿は、三日坊主で終わることがなかった。
 最初のチャーハンから始まり、空の写真や花の写真。海の写真が並ぶ。
 蒼依が一緒に投稿してくれるおかげで、一定の間隔で写真付きの投稿することができた。
 フォロワーや反応も右肩上がりだ。

『見て。百人突破』
『九遠、やったじゃん』
 フォロワーが百人を突破したスクリーンショットを送ると、蒼依から女の子のスタンプとともに返事が返ってくる。
『あきちゃんのおかげだね』
『えへへ。あき、照れちゃう』
 蒼依との青春活動を始めてからの期間は短いが、あきとして振る舞うときの蒼依の豹変ぶりにも慣れてきた。

 最近では、俺個人のアカウントよりも、青春活動のアカウントを開く時間の方が多いように感じる。
 相互フォローになったアカウントは写真を撮影していることも多く、素人なりに分析しながら写真を見ていた。


「今日は公園で撮影したいと思う」
 寮入口で蒼依と待ち合わせた俺は、仁王立ちでそう宣言した。
「えー」
 文句を言う蒼依を玄関から引きずり出す。

 数分も経たないうちに、俺達は大学の隣にある公園に足を踏み入れた。
 夏よりも日差しが柔らかく射す公園には、大学生と思われる人物が数人おり、おのおの好きなように過ごしている。

 嫌々スマホを持つ蒼依とは対照的に嬉々としてスマホを構える俺。
「俺さぁ、今日やる気ないんだけど。部屋でゴロゴロしようよ」
 口をとがらせながら言う蒼依。
「付き合ってよ師匠」
「付き合うなら野郎じゃなくて女がいい。か弱そうで守ってあげたい感じなのにムッツリだとなお良し」
 欲望に忠実な発言に、思わず深いため息をついてしまった。
 この発言を録音し、蒼依を見てかっこいいと言っている同級生に聞かせてやりたい。
 俺は絶対こんな発言しないのに、なぜ生まれてから一度も彼女ができたことがないんだ。

「素敵な女性がいれば公園でナンパしていいから」
 なだめるための発言に納得したのか、蒼依の歩く速さが多少早くなった。

 小さい公園ながら、ブランコにジャングルジム、大きな広葉樹やトイレと遊具は充実していた。
「ブランコでも撮ってみるか」
 俺は写真アプリを起動し、画面をのぞき込む。
 しかし写真映えしそうな感じはない。

「どう? 映えそう?」
 俺は首を横に振る。
「ただのブランコ」
「見せてみ」
 俺は映えないまま写真を撮ると、その写真を蒼依に見せる。
「こんな感じ」
「なるほど。確かにただのブランコ。ならさ、俺がブランコ揺らしてみるから、連射してみたら?」
 蒼依の提案に、俺は頷いた。

「いい感じになるか保証はしないけど。――いくぞ」
 蒼依はそう言ってブランコを持ち上げると、前方に押した。

 誰も乗せないまま、無人のブランコが揺れた。
 俺のスマホは、何回もシャッター音を鳴らしながら無人のブランコを撮影する。
 正面から。斜め横から。真横から。三回揺らしてもらい、撮影をする。
 真横のアングルを撮った後、俺はデータを確認する。
 撮影したデータを確認すると、まるでパラパラ漫画のように、ブランコが揺れる様子が映っている。
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