21 / 41
白秋
はくしゅう15
しおりを挟む
青春活動の投稿は、三日坊主で終わることがなかった。
最初のチャーハンから始まり、空の写真や花の写真。海の写真が並ぶ。
蒼依が一緒に投稿してくれるおかげで、一定の間隔で写真付きの投稿することができた。
フォロワーや反応も右肩上がりだ。
『見て。百人突破』
『九遠、やったじゃん』
フォロワーが百人を突破したスクリーンショットを送ると、蒼依から女の子のスタンプとともに返事が返ってくる。
『あきちゃんのおかげだね』
『えへへ。あき、照れちゃう』
蒼依との青春活動を始めてからの期間は短いが、あきとして振る舞うときの蒼依の豹変ぶりにも慣れてきた。
最近では、俺個人のアカウントよりも、青春活動のアカウントを開く時間の方が多いように感じる。
相互フォローになったアカウントは写真を撮影していることも多く、素人なりに分析しながら写真を見ていた。
「今日は公園で撮影したいと思う」
寮入口で蒼依と待ち合わせた俺は、仁王立ちでそう宣言した。
「えー」
文句を言う蒼依を玄関から引きずり出す。
数分も経たないうちに、俺達は大学の隣にある公園に足を踏み入れた。
夏よりも日差しが柔らかく射す公園には、大学生と思われる人物が数人おり、おのおの好きなように過ごしている。
嫌々スマホを持つ蒼依とは対照的に嬉々としてスマホを構える俺。
「俺さぁ、今日やる気ないんだけど。部屋でゴロゴロしようよ」
口をとがらせながら言う蒼依。
「付き合ってよ師匠」
「付き合うなら野郎じゃなくて女がいい。か弱そうで守ってあげたい感じなのにムッツリだとなお良し」
欲望に忠実な発言に、思わず深いため息をついてしまった。
この発言を録音し、蒼依を見てかっこいいと言っている同級生に聞かせてやりたい。
俺は絶対こんな発言しないのに、なぜ生まれてから一度も彼女ができたことがないんだ。
「素敵な女性がいれば公園でナンパしていいから」
なだめるための発言に納得したのか、蒼依の歩く速さが多少早くなった。
小さい公園ながら、ブランコにジャングルジム、大きな広葉樹やトイレと遊具は充実していた。
「ブランコでも撮ってみるか」
俺は写真アプリを起動し、画面をのぞき込む。
しかし写真映えしそうな感じはない。
「どう? 映えそう?」
俺は首を横に振る。
「ただのブランコ」
「見せてみ」
俺は映えないまま写真を撮ると、その写真を蒼依に見せる。
「こんな感じ」
「なるほど。確かにただのブランコ。ならさ、俺がブランコ揺らしてみるから、連射してみたら?」
蒼依の提案に、俺は頷いた。
「いい感じになるか保証はしないけど。――いくぞ」
蒼依はそう言ってブランコを持ち上げると、前方に押した。
誰も乗せないまま、無人のブランコが揺れた。
俺のスマホは、何回もシャッター音を鳴らしながら無人のブランコを撮影する。
正面から。斜め横から。真横から。三回揺らしてもらい、撮影をする。
真横のアングルを撮った後、俺はデータを確認する。
撮影したデータを確認すると、まるでパラパラ漫画のように、ブランコが揺れる様子が映っている。
最初のチャーハンから始まり、空の写真や花の写真。海の写真が並ぶ。
蒼依が一緒に投稿してくれるおかげで、一定の間隔で写真付きの投稿することができた。
フォロワーや反応も右肩上がりだ。
『見て。百人突破』
『九遠、やったじゃん』
フォロワーが百人を突破したスクリーンショットを送ると、蒼依から女の子のスタンプとともに返事が返ってくる。
『あきちゃんのおかげだね』
『えへへ。あき、照れちゃう』
蒼依との青春活動を始めてからの期間は短いが、あきとして振る舞うときの蒼依の豹変ぶりにも慣れてきた。
最近では、俺個人のアカウントよりも、青春活動のアカウントを開く時間の方が多いように感じる。
相互フォローになったアカウントは写真を撮影していることも多く、素人なりに分析しながら写真を見ていた。
「今日は公園で撮影したいと思う」
寮入口で蒼依と待ち合わせた俺は、仁王立ちでそう宣言した。
「えー」
文句を言う蒼依を玄関から引きずり出す。
数分も経たないうちに、俺達は大学の隣にある公園に足を踏み入れた。
夏よりも日差しが柔らかく射す公園には、大学生と思われる人物が数人おり、おのおの好きなように過ごしている。
嫌々スマホを持つ蒼依とは対照的に嬉々としてスマホを構える俺。
「俺さぁ、今日やる気ないんだけど。部屋でゴロゴロしようよ」
口をとがらせながら言う蒼依。
「付き合ってよ師匠」
「付き合うなら野郎じゃなくて女がいい。か弱そうで守ってあげたい感じなのにムッツリだとなお良し」
欲望に忠実な発言に、思わず深いため息をついてしまった。
この発言を録音し、蒼依を見てかっこいいと言っている同級生に聞かせてやりたい。
俺は絶対こんな発言しないのに、なぜ生まれてから一度も彼女ができたことがないんだ。
「素敵な女性がいれば公園でナンパしていいから」
なだめるための発言に納得したのか、蒼依の歩く速さが多少早くなった。
小さい公園ながら、ブランコにジャングルジム、大きな広葉樹やトイレと遊具は充実していた。
「ブランコでも撮ってみるか」
俺は写真アプリを起動し、画面をのぞき込む。
しかし写真映えしそうな感じはない。
「どう? 映えそう?」
俺は首を横に振る。
「ただのブランコ」
「見せてみ」
俺は映えないまま写真を撮ると、その写真を蒼依に見せる。
「こんな感じ」
「なるほど。確かにただのブランコ。ならさ、俺がブランコ揺らしてみるから、連射してみたら?」
蒼依の提案に、俺は頷いた。
「いい感じになるか保証はしないけど。――いくぞ」
蒼依はそう言ってブランコを持ち上げると、前方に押した。
誰も乗せないまま、無人のブランコが揺れた。
俺のスマホは、何回もシャッター音を鳴らしながら無人のブランコを撮影する。
正面から。斜め横から。真横から。三回揺らしてもらい、撮影をする。
真横のアングルを撮った後、俺はデータを確認する。
撮影したデータを確認すると、まるでパラパラ漫画のように、ブランコが揺れる様子が映っている。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

俺と代われ!!Re青春
相間 暖人
青春
2025年、日本では国家主導で秘密裏に実験が行われる事になった。
昨今の少子化は国として存亡の危機にあると判断した政府は特別なバディ制度を実施する事により高校生の恋愛を活発にしようと計ったのだ。
今回はその一組の話をしよう。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

執事👨一人声劇台本
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
執事台本を今まで書いた事がなかったのですが、機会があって書いてみました。
一作だけではなく、これから色々書いてみようと思います。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
とあるアプリで出題されたテーマから紡がれるセカンドストーリー❤︎
砂坂よつば
青春
「書く習慣」というアプリから出題されるお題に沿って、セリフが入っていたり、ストーリーが進む予測不可能な小説。第2弾は新たな物語ラブコメでお届け!!
主人公、高校1年生 輪通 萌香(わづつ もえか)が屋上でクラスメイトの友達と昼食を食べながらグランドを眺めていると、萌香好みの男子生徒を発見!萌香は彼と両思いになって楽しくも甘酸っぱい?青春高校生活を送ることが出来るのだろうか運命やいかに––––!?
※お題によって主人公が出てこない場合もございます。
本作品では登場する様々なキャラクターの日常や過去、恋愛等を描けてたらと思っています。小説家になろうとカクヨムの方でも同じ内容で連載中!※
いくつかのお題をアルフォポリス限定で執筆予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる