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白秋
はくしゅう14
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講義中、教授から見えないよう注意しながら、こっそりスマホを触りWINGを確認する。
『友達が面白そうなアカウント作ったんで便乗しました! あきです!』
青春活動のアカウントに、見慣れない投稿履歴が現れた。投稿の最後には、(あき)と括弧付きで書かれている。
間違いなく横に座る男の仕業だ。
『友達のあきも一緒に投稿することになりました。よろしくお願いします』
俺からも投稿をする。
投稿を確認すると、俺の投稿の最後には(九遠)と表示されていた。
なんだこの名前。
蒼依の方を見てみるが、その目線を知ってか知らずか蒼依は真面目に黒板を見ている。
今まで、こんな名前は名乗ったことがない。読み方すらわからない。
答えは出ないままだが、講義中に問いただす訳にもいかない。
後ろ髪引かれる思いでスマホを閉じ、退屈な講義を受けた。
「あきさん、あきさんや」
教授の口から講義終了の言葉が出た途端、青春活動ね名前で横の男に声をかける。
「ああっ! 『くえん』さんお疲れっ! 私のことはあきちゃんって呼んでねっ」
何を思ったのか、横の筋肉隆々の男は裏声を使いながら手でハートを作り、こちらに向かってウインクを飛ばしてきた。
予想外の反応に気を取られそうになるが、蒼依が発した呼び方がかろうじて頭に残っていた。
「クエン酸?」
食器用洗剤に入ってそうな名前だが、なんでそんな呼び方になるんだ。
「く・え・ん♡」
見た目と動き、話し方のギャップに寒気と吐き気がするが、どうやら俺が分からなかった呼び方を教えてくれているらしい。
「あー、九に遠いって書いて『くえん』か。でも、何で俺の名前を九遠にしたの」
「WINGのアカウント名『Q.E.N』じゃん。あれ、くえんって読むんじゃないの」
気持ち悪い裏声をやめ、普段と同じように話しだす。安堵したものの、それはそれでびっくりする。
「あれ、きゅーいーえぬでいい」
「名前の由来、なんなんだよ」
「俺の好きな悪役キャラが所属する撲殺集団。ほら、勇者の誕生ってアニメの」
蒼依は合点がいったようで、手を叩く。
「うわ、懐かし。そういやあったな、そんなアニメ」
「長髪のアレキってキャラいたじゃん。小さい頃からそいつが好きで」
そこから俺達は、次の講義に向かいながら昔のアニメの話に花を咲かせるのだった。
『友達が面白そうなアカウント作ったんで便乗しました! あきです!』
青春活動のアカウントに、見慣れない投稿履歴が現れた。投稿の最後には、(あき)と括弧付きで書かれている。
間違いなく横に座る男の仕業だ。
『友達のあきも一緒に投稿することになりました。よろしくお願いします』
俺からも投稿をする。
投稿を確認すると、俺の投稿の最後には(九遠)と表示されていた。
なんだこの名前。
蒼依の方を見てみるが、その目線を知ってか知らずか蒼依は真面目に黒板を見ている。
今まで、こんな名前は名乗ったことがない。読み方すらわからない。
答えは出ないままだが、講義中に問いただす訳にもいかない。
後ろ髪引かれる思いでスマホを閉じ、退屈な講義を受けた。
「あきさん、あきさんや」
教授の口から講義終了の言葉が出た途端、青春活動ね名前で横の男に声をかける。
「ああっ! 『くえん』さんお疲れっ! 私のことはあきちゃんって呼んでねっ」
何を思ったのか、横の筋肉隆々の男は裏声を使いながら手でハートを作り、こちらに向かってウインクを飛ばしてきた。
予想外の反応に気を取られそうになるが、蒼依が発した呼び方がかろうじて頭に残っていた。
「クエン酸?」
食器用洗剤に入ってそうな名前だが、なんでそんな呼び方になるんだ。
「く・え・ん♡」
見た目と動き、話し方のギャップに寒気と吐き気がするが、どうやら俺が分からなかった呼び方を教えてくれているらしい。
「あー、九に遠いって書いて『くえん』か。でも、何で俺の名前を九遠にしたの」
「WINGのアカウント名『Q.E.N』じゃん。あれ、くえんって読むんじゃないの」
気持ち悪い裏声をやめ、普段と同じように話しだす。安堵したものの、それはそれでびっくりする。
「あれ、きゅーいーえぬでいい」
「名前の由来、なんなんだよ」
「俺の好きな悪役キャラが所属する撲殺集団。ほら、勇者の誕生ってアニメの」
蒼依は合点がいったようで、手を叩く。
「うわ、懐かし。そういやあったな、そんなアニメ」
「長髪のアレキってキャラいたじゃん。小さい頃からそいつが好きで」
そこから俺達は、次の講義に向かいながら昔のアニメの話に花を咲かせるのだった。
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