ペリペレイア探偵事務所

狐川 檸檬

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1.平和とは

0.『ぺリペレイア探偵事務所』幕開けとその他諸々

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あれは、確か3年前
「ねえ茜」
「なに?姉ちゃん」
「…お腹すいてない?」
「…すいてる」
「私、何か作るわ。まあ、私が作れるのなんて、凄く簡易的なラザニアくらいだけどね」
「…」
-----------------
母さんは亡くなり、父さんも亡くなった日。俺がずっと泣いてて、辛かったとき、姉ちゃんは俺にラザニアを作ってくれた。姉ちゃんも方が辛いはずなのに。俺の事なんか考えずにずっと泣いててもいいのに。姉ちゃんはとにかく俺を元気づけようとしてくれた。
「茜、出来たよ。」
「…うん」
お腹はすいていたけど、食べる気にはなれなかった。でも、姉ちゃんの料理なんて、食べたことがなかったから、食べてみることにした。
「じゃあ、いただきます」
一口サイズに切り分けて、口に運ぶ。口に入れた瞬間、俺の口の中は幸せで満たされた。それと同時に、母さんの作ってくれたラザニアを思い出した。母さんには申し訳ないが、確実に姉ちゃんの方が美味い。一口、また一口と食べていくごとに涙がでてきた。本当に美味しかった。俺の中で、ずっと隠そうと、耐えようとしていた悲しみが一気に溢れ出した。思わず姉ちゃんに抱きつく。
「茜…」
「姉ちゃん…俺ら、これからどうなるの?児童相談所に送られるのか?」
「大丈夫だよ、茜。私が守ってあげる。私もそろそろ高校生だから、バイトもできる。これからは2人で暮らそう。…いつでも私に抱きついて、甘えて良いよ。私が出来ることなんて、それぐらいだからさ。」
俺は、姉の優しさにどれだけ救われただろうか。
 姉ちゃんが高校生になる時、ずっと使わずに取っておいた、両親の遺産を解放した。姉ちゃんは名門の高校に行き、俺は中学生活が終わろうとしていた。
「姉ちゃんただいま…って、今日部活だったっけ。
姉ちゃんが居ないと寂しいなんて、俺も中学生にしては子供だよなぁ」
親が残してくれたこの家のおかげで、家賃に追われて電気ガス無しでの生活というような感じにはならなかった。
「ただいま~」
「おかえり」
俺が姉ちゃんを玄関に迎えに行くと、嬉しそうに微笑みながら俺を抱きしめてくる。
「姉ちゃん、俺、姉ちゃんが居ないと寂しいんだけど、異常かな?」
「まあ、世間から見ればそうなのかもしれないけど、私は嬉しいわ。可愛い弟に好かれてて。」
「べ、別に好きとかそういうんじゃ…」
「私は好きよ、茜。姉弟だけど、キスくらいなら許容範囲ね。告白してくれたら付き合ってあげるわよ?」
「な、何言ってんだよ!とりあえずお風呂沸いてるから。早く入って」
全く姉ちゃんは何を考えてるかまるで分からない。姉弟でそんなキ、キスなんて…。
「茜ー」
「うわぁっ!あ、えっと、な、何?姉ちゃん」
「何?は無いでしょ。お風呂一緒に入ろうよ。」
…??ついにとんでもないことを。
「何言ってんだよ。俺思春期だよ?何するかわかんないよ?」
「あれ、私の事好きじゃないのに、女の子としては見てくれてるの?嬉しー」
「あ、いや、そういうんじゃ…」
「で?結局入るの?入らないの?」
「は、入るよ…」
はぁ、まさかこの年齢で姉ちゃんとお風呂入るなんて…、思ってもみなかった。姉ちゃんは裸を見られて恥ずかしくないのだろうか。すくなくとも俺は恥ずかしい。
「お待たせ。」
「うん。」
「あれ、緊張してる?可愛いー」
「あのさ、ずっと気になってたんだけど、聞いていい?」
「んー?」
「ね、姉ちゃんって、胸ないよね」
「うっ…」
素直に気になっていた。姉ちゃんに抱きつかれる度に思っていたことだ。いつ、どのくらいの力で抱きつかれても、胸が当たらないのだ。
「あ、茜…。」
「え?あ…」
やばい、姉ちゃんの顔が赤くなってる。
「な、無いから何よっ!別に、望んで胸が無いわけじゃないし!」
「気にしてた…?」
そう聞くと、姉ちゃんは横を向いて恥ずかしそうにしながらコクリと頷いた。
「まあ、今日は許してあげる。」
「ど、どうも」
いやあ、やっぱ姉ちゃんは…って姉ちゃん?
「姉ちゃん?って、ここどこ!?」
どこだここ…でかい机がある。あれ、その上に寝てるのって…女の子?気になったのもあって、ゆっくりと近づく。机の上には、大量の薬がばらまかれている。近くに置いてあった箱を見ると、【ベンゾジアゼピン系 ハルシオン】と書かれていた。
「ベンゾジアゼピン系 ハルシオン…。これって、めちゃくちゃ強い睡眠薬じゃないか!」
箱に書かれていた内容量は、20粒。箱は近くに6箱。うち3箱が空になっていて、さらにその他の3箱は空にされ、机にばらまかれていた。じゃあ失くなっている3箱分の睡眠薬は…
「こいつ、60粒も飲んだのか!?そんなことしたら、昏睡状態に陥る!」
しかし、もう遅いようだ。呼吸も途切れ途切れだし、脈もあまりに弱い。俺には到底治せるものでは無い。
「うっ…」
不意に頭痛が襲う。意識が朦朧として、その場に倒れ込む。

「はっ!」
何だ、夢?確かに過去形だったような…。それに嫌な夢。
「茜!」
「うわぁっ!」
「何?毎日私を見てるくせにその驚きようは。早く用意してね。遅れるのだけは無しよ。」
え?姉ちゃん何言っ…
「姉ちゃんっ!!」
「きゃっ!?もう、茜ったら、突然抱きつくなんてどうしたの?まあ、私は嬉しいけど」
自然と涙が溢れ出てくる。何故だろう、どこも痛くはないし、悲しい訳でもない。
「あれ、茜泣いてる?怖い夢でも見た?よしよし、大丈夫だからね。私がついてるからね。」
姉ちゃんが俺の頭を撫でると、俺は何故かもっと泣いてしまう。しまいには姉ちゃんをベッドに押し倒して抱きついてしまう。どこも痛くはないし、悲しい訳でもない。
今日から俺たちは探偵事務所を開く。姉ちゃんと俺の2人で。この国は、犯罪発生率は0.3%と低いのだが、そのほとんどが重犯罪だ。だから、必然的に探偵という職業が必要になる。しかし、この国に探偵は数少ない。何故なら、難しすぎるからだ。刑法に過去の事件の記録やその手口等、覚えることが多すぎる。だから、天才か記憶力、集中力がおぞましい人間にしか出来ないのだ。ちなみに姉ちゃんは前者で俺は後者(だと思う)。俺たちは知識院の特別捜査官、『探偵部』の一員、通称『ISD』だ。つまり、俺たちは国の職員。ISDは、この国に2人しかいない天才だ。ちなみに俺はISM。『知識院特別捜査官医学部』の略称だ。何故こんなにも国が略語が好きなのかは知らない。
「茜、私のローブどこだっけ」
「姉ちゃんの部屋。洗濯しといた。」
「ほんと!?ありがとう!でも、いーなー。茜の白衣かっこいいなー」
「俺の白衣は飛び級で国の医科大学卒業したから貰えたんだよ。姉ちゃんのローブ、むしろ羨ましい。」
俺が着替え終わると、珍しく姉ちゃんが朝食を作ってくれていた。目玉焼きにベーコンにサラダか。うん、いつも通りの手抜きっぷりだ。安心する。
 朝食を食べ終えると、姉ちゃんが髪をポニーテールにしていた。人生の節目とも言える日にここまで日常的なのは、俺らくらいだろうな。家を出ると、黒い車が止まっていた。
「おはようございます。私、お迎えにあがりました、宮沢と申します。以後お見知りおきを。」
「あ、はい。」
「今から3分後に出発致しますので、準備等不備の無いようにお気をつけください。」
「茜、お財布忘れちゃった。取ってきて!」
自分で取ればいいのに…。俺は姉ちゃんのなんなんだ?
「その間に私はトイレ。」
ならしょうがないけど。
そうこうしている間に、3分経ってしまった。
「それでは出発致します。シートベルトの着用、お願い致します。」
車に乗りこみ、景色を眺めようとしたとき、肩に重いものがのしかかるのを感じた。まさか…
「茜ー、酔っちゃった」
「大丈夫?姉ちゃん」
そうだ、姉ちゃん無茶苦茶酔いやすいんだった。最近車乗らないから忘れてた。
「きもちわるいよー…」
車内で吐かれるのは困るので、必死に背中をさする。
「茜様、こちらどうぞ。酔い止めです。お水はありますか?」
「あ、ありがとうございます。あります。」
気が利くなこの人。シートベルトを外して姉ちゃんを横にする。なんとか酔い止めを飲ませて、落ち着かせるが、姉ちゃんはまだ気持ち悪そうだ。
「後どのくらいかかりますか?」
「もう着きます。ほら、見えてきた。」
ほえー、凄いな。これ事務所っていうか一軒家だよね?本来の家要らなくなるんじゃ…。
「お姉様が内見されていたので、後で私が茜様にご案内します。ですが、布団を敷いておきましたので、とりあえずお姉様を休ませて頂くのが良いかと。」
「何から何までありがとうございます‪。」
姉ちゃんを車から出して抱っこする。そして布団に寝かせた。その間に中をふらつこうかと思ったんだけど、姉ちゃんが側にいてと言うから隣で仮眠をとった。

姉ちゃんの気分が良くなったのは、30分くらい後だった。宮沢さんが俺を起こしてくれて、姉ちゃんは必死に宮沢さんに謝っていた。しかし、
「いえ、これが仕事ですから」
と対応する宮沢さんは、本当にかっこよかった。
「茜様、ご案内します。」
「あ、いえ、私が案内しておきます。迷惑かけちゃいましたし。」
「そうですか。わかりました。あと、茜様、今回は茜様が助手になられるということでしたので使用人はおりませんが、よろしいでしょうか?」
「はい。俺らで何とかします。」
仕事を終えた宮沢さんは、「では」と言って帰った。電話線の工事が終わっているか確かめるという大義名分のもと、姉ちゃんは高校の友達と話していた。
「久しぶりー。今日から私、探偵事務所開いたよ。」
「おー、すぐるん久しぶり。そっかー、流石天才だよ。」
「いやいや、全然。」
「いやいや、ISDの人に言われても説得力無いよ。それに、弟はISD兼ISMでしょ?どんな家族だよ。」
「まあそうだけどさー。」
「弟もだんだん可愛げが無くなってきた?」
「いや、今でも弟は可愛いよ。」
「はいはい、大した姉弟愛ですこと。…可愛いからって、襲ったりしちゃだめだよ?」
「いや、襲わないわよ!てかむしろ襲われる側だし!」
「なーに、期待してんの?」
「うっ…」
全く何話してるんだか。全部丸聞こえだし。てか襲われる側って何?俺にキスくらいなら許容範囲とか言っておいて、何故突然恥ずかしがってるんだか。
 電話が終わり、姉ちゃんが自分の部屋に戻るのを見計らって、俺も姉ちゃんの部屋に着いて行った。
「電話線繋がってたでしょ?」
「う、うん。あ、そうだ。明日から依頼人の前では姉ちゃんは無しね?」
「え、なんで?」
「うーん、特に理由はないんだけど、何となく。」
「なんだそれ。まあいいけど。」
呼び方変えろって言ってもなー。
「優所長とかでもいいわよ?あとは…優さんとか?」
「うーん、じゃあ優所長で。」
「うんうん、よろしい。あ、私は茜のことなんて呼べばいい?」
「別に、茜でいいよ。」
「うーん、なんか茜にだけ別の呼び方させるのあれだしなぁ。あ、そうだ。私のこと、優って呼んでよ。」
「え、姉ちゃんを名前で呼べばいいの?」
「うん!試しに呼んでみて」
えー、滅茶苦茶緊張する。姉ちゃん以外の呼び方したこと無かったしな。まあでも、試しに呼んでみるか
「…でも、名前だけ呼ぶの変だし、なんか流れ作ってよ」
「え?そうだなー。茜の好きな食べ物は?」
「ラザニア」
「…いやそこはラザニアって言った後に『優は?』って聞くところでしょ」
「そうなの?」
「うん。」
難しいね、これ。呼び方変えるのって意外と出来ないものだ。なんか恥ずかしいし。
「さあ早く!」
「え?うーん…」
「…」
「す、優ー」
「…あぁっ!」
あれ、優が震えてる。
「大丈夫?」
「茜~っ!!」
「うわっ」
ドサッと音を立てながらベッドに落ちた。凄い勢いで優に抱きつかれたのだ。
「茜に下の名前で呼ばれるの、新鮮だよね。なんか嬉しいよ!彼氏が出来たみたいで!」
「優彼氏いたことないじゃん。」
「そういう茜だって、彼女いたことないじゃない。」
まあ確かに。
「なんなら付き合ってあげようか?茜好きよ、私」
「姉弟だからね?…まあ俺も好きだけど」
「ほら、やっぱり。」
「好きだけどそういうのはナシだ。第一、法律で禁じられていることくらい、優が1番よく知ってるだろ。」
「まあそうだけどさ」
まあ優とは長いこと一緒にいたし、好きだけどね。身内の婚姻は禁じられてる、それは法律に携わる優が知らないわけはない。
「でもそれって、婚姻が禁じられてるだけでしょ?」
「うっ…」
「付き合うならいいんじゃない?…私の勝ちね。」
「まあ確かに。でも、自分の性欲を弟で満たそうとするのは、あまり宜しくないな。」
「はっ!?別に性欲とかそういうんじゃないからっ!し、色欲だから!…あれ、それも違うかな。あーもう、わかんない!」
「はい、俺の勝ち」
「え、何それ!…あーあ、茜に負けるなんて、ISD失格だわ」
「いや俺もISDなんだが」
「弟に負けることが嫌なの!」
「はいはい、よしよし」
「助手のくせに頭撫でるにゃー!」
「なんでネコ化してんだよ」
「むーっ…。まあいいや。あ、お風呂湧いたね。」
「え、ここで入るの?家帰らないの?」
 「うん。今日はね。この家の初風呂だし、一緒に入ろうよ。」
「うーん…。まあ、たまにはいいか…。」
「やった!」
本当は今日も断ろうとしたんだけど、断ったら可哀想だと思ってしまうほどの上目遣いをされ、入らざるを得なくなってしまった。まあ最初は優だけで先に体洗っといて貰うんだがね。俺にはやる事がある。
「あれ、ここにしまったはずなんだけど。あ、あった。」
父さんが死んで、優が俺にラザニアを作ってくれたあの日から、日記を付けているのだ。まあ用事というのはそれ以外にもあるのだが、まあ良いだろう、優に言わなくても。

「茜ー、まだー?」
「今行く。」
お風呂場に行くと、優がお風呂に浸かっていた。
「茜、すごい気持ちいよー」
「ん、姉ちゃん顔赤いよ?」
「んー?優でしょ?」
「あ、そうだった」
「むふ、よろしい。」
慣れないなーこれ。普段姉ちゃんなのに突然優に呼び方チェンジなんてさ。あれ、ちょっと待てよ。姉ちゃんが「むふー」って言う時って大体…
「優、大丈夫!?」
「えへへー…うわぁ」
「優!やっぱり。顔赤いし、意識が朦朧としてる。のぼせてるな、完全に。」
 のぼせて風呂に沈みそうになってる優を抱きかかえて急いで優の部屋に向かう。着いたら体を拭いてから布団に寝かせ、冷房をきかせる。
「えーと、氷嚢は…あった。」
こんなこともあろうかと、一応保冷剤と製氷機、あと氷嚢は持ってきておいた。とりあえず首元と脇の下に当て、氷嚢はおでこに乗せる。
「しばらくは様子見だな。」
さすがにタオルを腰にまいただけだとカルテが書きづらいので、寝巻きに着替えてその上から白衣を着る。本来なら寝巻きに白衣という組み合わせは、あまりよろしくないのだが(ダサいし)、まあいいだろう。
「優ー」
「だいじょうぶらよ。」
「良かった。アイス買ってくるから、ちょっとまってて。」
「わかったー」
患者を家に1人きりなんて、本来めちゃくちゃ危険なんだけどね。まあ何かあれば俺のスマホに通知が来るようになってる。それがせめてもの救いだ。
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